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ARES CADと互換性のあるソフトを紹介

ものづくりの現場にもデジタル化の波が押し寄せています。
製品を作る、建物を建築するうえで基礎となる設計図も、CADを使用して作成することが一般的になりました。
低価格のCADも登場し、その代表的なものの一つが、ARES CADです。
こちらでは、ARES CADの特徴や互換性があるソフトを紹介し、メリットと使用上の注意点を考えます。

ARES CADの特徴

ARES CADは、高い機能を持つ2次元CADで、ドイツのベルリンにあるグレーベルGmbH社により開発されました。建築や土木などで頻繁に利用される製図記号を使え、利用頻度が高い汎用的な機能が盛り込まれている点が評価されています。例えば、土木ツールでは、破断線や地盤・水位など、土木に欠かせない記号類を搭載していますし、建築の分野でも、片開きや両開き・親子ドアの作成、軌跡の作図が容易にできるツールがそろっています。海外製のCADソフトですが、日本で広く使われているCADのファイル形式に対応している点も使い勝手の良さにつながっています。

ARES CADの魅力的な特徴の一つが、低価格であることです。ARES CADの製品は主に、2次元CADの作成ができる「ARES CAD Standard」と、3次元モデルの作成が可能で機能が豊富な「ARES CAD Commander」の2種類に分かれています。それぞれのモデルにスタンドアロン版とネットワーク版があり、新規で購入する場合は、Standardのスタンドアロン版で税込み6万円余り、3ライセンス以上のCommanderネットワーク版で税込み10万円強と、中小企業でも手が出せる範囲にとどまっています。また、2年目以降の保守更新にかかる経費も、1万円台から2万円台に収まるケースがほとんどで、負担が比較的少ないのが利点です。

ARES CADの最大の特徴となっているのが、互換するソフトの多さです。他社が採用しているファイル形式を使用可能にしていることにが、互換性につながっています。仮に互換性がないソフトを使っている会社通しであっても、「ARES Kudo」というクラウド版を使うことで、ブラウザでの情報共有が可能です。また、「ARES Touch」を使うと、スマホやタブレットに図面を入れて、外部に持ち出せます。なお、デスクトップ版であるARES CAD、モバイル版ともいえるARES Touch、クラウド版であるARES Kudoの3つすべて使える「ARES Trinity」ライセンスは、それぞれで作成した図面データを共有し、編集することが可能です。

ARES CADは、バックアップ体制も期待できます。海外製の製品ですが、ARES CADを使うための入門テキストを出版したり、インストールや使い方に加え、トラブル時に対応するコールセンターを設けている販売店もあります。価格が安いだけでなく、他のCADソフトと互換し、サポート体制が構築されているので、ARES CADの需要は今後も伸びることが期待されています。

ARES CADと互換性があるソフト

ARES CADは、他のCADシステムと互換性があることが知られていますが、その代表的な製品の一つが、AutoCADです。AutoCADは、1982年に2次元・3次元CADとして発売され、他のCADソフトと差別化を図るために独自のデータフォーマットを公開し、戦略的に物事を進めてきました。その結果、AutoCADの利用を前提としたアプリケーションが多数登場するなど、CADの市場で大きなシェアと地位獲得に成功してきました。

ARES CADでは、AutoCADの標準ファイル形式であるDWGをサポートしているため、AutoCADで作成したデータを利用できます。AutoCADと同様の機能や画面構成を採用しているため、AutoCADに慣れている利用者でも違和感なくARES CADを操作できるようです。CADを使う方は、必ずしもITスキルが豊富ではないため、見た目が一緒、操作がそれほど変わらないといった要素は大事です。

Jw_CADも、ARES CADと互換性があります。Jw_CADは、日本で開発された2次元CADソフトの代表格ともいえるもので、フリーウェアであることから中小の設計事務所を中心に普及しています。主に建築用として使用されていますが、電気や水道などの施工図を利用する業界でも使われるようになり、Jw_CADの利用を前提としたソフト開発も進んでいます。

なお、Jw_CADでは、JWC、JWWといった独自のファイル形式が採用されています。ARES CADでは、Jw_CADの独自ファイル形式に対応しているため、互換性を持つことができます。ARES CADとJw_CADでは画面構成が異なりますが、「JTools」という無料の専用アプリをインストールすることで、Jw_CADと同様の画面メニューで操作が可能です。さらに、Jw_CADで作成した図面を、ARES CADを使って、AutoCADが採用しているDWG形式で保存できます。ARES CADは、AutoCADとJw_CADの懸け橋となるソフトとなる可能性を秘めています。

ARES CADが他のソフトと互換できるメリット

ARES CADが、他のソフトと互換性があることには大きなメリットがあります。これは、CADに限らず、これまでの事例からも明らかです。規格に関する問題として有名なものが、VHSとベータのビデオ戦争でしょう。家庭用のビデオは、当初はさまざまな規格が存在し、VHSとベータの2種類に絞られましたが、最終的にVHSが受け入れられることになりました。ですが、お互いの規格に互換性がないため、最終的に消費者が不利益を被る結果になりました。

CADソフトは、ビジネスの世界で使用されるものなので、互換性がないことで受けるデメリットは、家庭用よりも甚大といえるかもしれません。どのCADソフトを使っていても、取引がある各社がスムーズにデータのやり取りし、修正を行える点は、互換性のメリットです。

ARES CADとAutoCADやJw_CADが互換していることは、緻密な設計図を必要とする場面で特に大切です。双方のデータを他のソフトで完全に再現できれば、建物や製品が出来上がってから不備に気が付くといったことがなくなります。また、手戻りを極力減らすことにつながります。設計段階での小さなずれが、多大な時間や利益を奪うことになりかねない点を考えると、ARES CADが他のソフトと互換できるメリットは大きいといえるでしょう。

他のCADソフトを使っていた人がARES CADを使う場合の注意点

ARES CADは、AutoCAD・Jw_CADと互換していて、導入コストとともに維持管理コストも抑えられることを考えると、ARES CADに切り替えたほうが得策と考える方も多いでしょう。確かにARES CADは有用なCADソフトですが、さまざまな側面を考慮して導入や入れ替えを検討するとよいかもしれません。

他のCADソフトからARES CADに切り替える場合に生じる懸念点の一つが、生産性の低下です。ある調査によると、AutoCADの使用になれた人が、同じ作業をARES CADで行った際の作業時間の差は、AutoCADでは1時間半ほどだったのに比べ、ARES CADでは3時間以上かかるケースが見られたようです。これはトレーニングなどで解消することが十分可能であるものの、少なくともソフトの入れ替えを実施したタイミングでは、操作に戸惑うなどして、生産性が一時的に下がることが予想される点には留意したいものです。

業界で使用されているシェアが高いCADソフトとの互換性は、必ずしも保証されるわけではない点にも注意が必要です。どのソフトウェアでもそうですが、利用者のニーズにかなうよう、定期的にアップデートが行われているため、そのタイミングで互換性が失われたり、一部の機能に制限が加わることも十分に考えられます。ARES CADは、他のCADソフトと互換性があることを前面に打ち出しているので、柔軟に対応すると考えられますが、取引会社がすべて同じCADソフトを使っている中、自社だけ他のソフトに乗り換えると、一定のリスクがあることを考えて、慎重に決定するとよいでしょう。

ARES CADの互換性

ARES CADは、AutoCADやJw_CADといったシェアの高いCADソフトと互換しています。それは、各ソフトの独自ファイル形式に対応しているからです。画面構成の違いも、無料のアプリを使うと解消でき、導入コストも維持管理コストも抑えられる点が、ARES CADを使うメリットです。それでも、他のソフトからARES CADに切り替えたときに一時的に生産性が落ちる危険や、互換性は永久に保証されていない点を理解しておくことが大事です。

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