Ansys(アンシス)とは、アメリカのAnsys社によって開発された解析ツールです。
Ansysの特徴を活かして設計や開発作業の効率化を図っている企業も少なくありません。
そのため、これからAnsysの導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、Ansysという解析ツールに注目し、使用するメリットや主な使い方などを詳しく解説していきます。
Ansysを導入するメリット
Ansys(アンシス)を導入するメリットには下記のようなものがあります。
製品品質の大幅な向上が期待できる
Ansys(アンシス)には様々な高機能を用いたシミュレーションができるのが特徴であり、あらゆる物理現象が可視化できる点がメリットの一つです。
そのため、潜在的な故障やトラブルの対策もできるようになり、製品に対する品質向上が期待できます。
開発スピードが向上する
Ansysを導入すれば、設計など作業の初期段階から製品のシミュレーションを実施するという使い方も可能です。そのため、試作品の制作や試験の回数などが削減でき、開発におけるスピードの向上を実現してくれます。
開発費用が抑えられる
Ansysの使用は試験回数などを抑える事ができるため、その分コスト削減にも繋がります。
またシミュレーションを用いる事で材料の評価や選定がしやすくなり、製造コストのカットも期待できます。
ANSYSの基礎操作方法
ここではANSYSの起動方法をはじめ、流体解析モデルの作成及び作成したモデルにメッシュを加える場合の操作方法について以下に解説します。
ANSYSを起動させる
ANSYSを立ち上げて、画面左側にある「Toolbox」内にある「Field Flow (Fluent) 」します。
すると「Project Schematic」内にラベルの解析システム「Field Flow (Fluent)」が表示されます。
流体解析モデルを構築する際の操作方法
流体解析モデルを構築する手順.1
- 流体解析システムのGeometryを右クリック
- 「New DesignModeler Geometry」 をクリックして「ANSYS Design Modeler」を立ち上げる
※OSがLinuxの場合は、「New DesignModeler Geometry」の箇所が「New Geometory 」となります。
流体解析モデルを構築する手順.2
構築するモデルの単位を設定します。
例えばミリ単位を設定する場合は、「Units」タブ内にある「Milimeter」を選択します。
流体解析モデルを構築する手順.3
- 形状を作成するために「Create」タブ内にある「Proimitives」から「Torus」を選択
- 主管の曲線部分であるトーラスが作成される
- Torus1という項目がTree Outlineに追加される
流体解析モデルを構築する手順.4
- 「Detail View」内にある「Base Y Component」を「-1」に設定
- 同様に「Angle」、「Inner Rdeius」、「Outer Radius」といった項目の数値を設定
- 「Generateボタン」をクリックし、トーラスのセグメントを作成
流体解析モデルを構築する手順.5
- 「Extrude」ボタンをクリックし、Extrude1がTree Outlineに追加
- Details of Extrude1という項目がDetails Viewに追加されている事を確認
流体解析モデルを構築する手順.6
- 「Details View」内にある「Details of Extrude1」のGeometry横に表示されている「Not selected」の部分を選択
- 「Not selected」の部分が「Apply/Cancel」の選択ボタンに切り替わる
- Faces選択モードを選び、モデルの上部表面を選択してApplyをクリック
- Geometryが「1 Face」となり、選択した面が青色に表示
流体解析モデルを構築する手順.7
- Direction Vectorの None (Normal) をクリック
- 「Apply/Cancel」ボタンが表示される
- Faces選択モードをクリック
- モデルの上部表面を選択
- 「Apply」 をクリック
- Direction Vectorの値が「Face Normal」となっている事を確認
流体解析モデルを構築する手順.8
- 「FD1, Depth (>0) 」に数値を入力し「Generate」をクリック
※例えば、数値を300にするとGeometryで選択した面から、Direction Vectorで指定したベクトル方向に、高さ300mmの円筒が追加される事になります。 - 同様の操作を実施してもう片方の面にも同サイズの円筒を追加
流体解析モデルを構築する手順.9
- 側管を作成するために「Create」内にある「Primitives」から「Cylinder」を選択
- Details Viewに追加されている「Details of Cylinder1」の各項目に対して値を入力
- Generateをクリック
これで側管が作成されます。
流体解析モデルを構築する手順.10
- 「Tree Outline」内にある「1 Part, 1 Body 」から Solid を選択
- 構築したモデルを流体ボディとして指定
- 「Details View」内にあるBodyを「Solid」から「Fluid」に、Fluid/Solid の項目では「Fluid」にそれぞれ変更
- Generate をクリック
- 「ANSYS DesignModeler」を閉じ、流体解析システムのGeometryのステータスがレ点になっている事を確認
作成したモデルにメッシュを加える操作方法
作成したモデルにメッシュを加える手順.1
- 流体解析システムのMeshセルをダブルクリック又は右クリック
- 「Edit」 を選択
するとGeometryで作成したモデルが自動ロードされます。
作成したモデルにメッシュを加える手順.2
Named Selectionを作成するために、
- 対象のモデルの入り口部分を選択
- 選択した部分が緑色に表示されている事を確認
作成したモデルにメッシュを加える手順.3
- 選択した面を右クリックし、[Create Named Selection] を選択
- 「Selection Name」のダイアログが表示
- テキストボックスを「velocity-inlet-large」に変更
- 「OK」ボタンをクリックしてダイアログを閉じる
- 「velocity-inlet-large 」という名称が付いた Named Selectionが作成
その後、同様の操作を、もう片方の入り口部分に対しても実施します。
作成したモデルにメッシュを加える手順.4
- 流体ボディのNamed Selectionを作成するために選択フィルタをBodyに変更
- 対象のモデルを選択
- モデルを選択したままの状態で右クリック
- 「Create Named Selection」という項目を選択
- 「Named Selection」のダイアログが表示されるので、テキストボックスに「Fluid」と入力
- 「OK」 をクリック
作成したモデルにメッシュを加える手順.5
- OutlineのProject/ModelのMeshを選択
- Outline内に「Details of “Mesh” 」が表示されている事を確認
- 確認後、Sizingを展開させて、Relevance CenterをFineに変更
- Quaityを展開してSmoothingをHighに変更
- OutlineでMeshが選択されている状態でモデルを選択
- 右クリックをして「Insert」内にある「Sizing」を選択
- OutlineにBody Sizingが表示されている事を確認
作成したモデルにメッシュを加える手順.6
- Body Sizingを選択したまま、「Details of “Body Sizing” ? SizingのDefinition」内にある「Element Size」に値を入力
- OutlineでMeshを選択し「Details of “Mesh” 」を表示
- 「Infration」内にある「Use Automatic Inflation」 を「Program Controlled」に変更
- 「Outline」内にあるMeshを右クリック
- Updateを選択
これでメッシュ作業の完了となります。
Ansysを使って作成したモデルを解析する場合の操作方法
作成したモデルをAnsysを用いて解析する方法を以下に詳しく紹介します。
Ansysで解析する手順.1
- 「Solving」内にある「Solution」から「Methods」をクリック
- Task PageにSolution Methodsを表示
- Gradientのドロップダウンリスト内にある「Green-Gauss Node Based」を選択
- 「Solving」内にある「Reports」の「Residuals」を選択
Ansysで解析する手順.2
- 「Residuals Monitors」ダイアログが表示
- 画面左上にある「Plot」にチェックが付いている事を確認
- 「OK」をクリック
- 「Solving」>「Reports」>「Definitions」>「New」>「Surface Report」>「Facet Maaximum」を選択
Ansysで解析する手順方法.3
- 「Surface Report Definition」ダイアログが表示
- Nameに「temp-outlet-0」と入力
- Report FileとReport Plotにチェック
- Frequencyを「3」に設定
- Field Variableのドロップダウンリスト内にある「Temperature」と「Static Temperature」を選択
- Surfacesのリスト内にある「pressure-outlet」を選択
- 「OK」をクリック
Ansysで解析する手順.4
Treeビューにて
- Solution > Report Definitions > temp-outlet-0
- Solution > Monitors > Report Files > temp-outlet-0-rfile
- Solution > Monitors > Report Plots > temp-outlet-0-rplot
が追加されている事を確認します。
Ansysで解析する手順.5
- 「temp-outlet-0-rfile」をダブルクリック
- 「Edit Report File」ダイアログを表示させて設定を確認
- デフォルト状態のまま「OKをクリックしてダイアログを閉じる
- 「temp-outlet-0-rplot」をダブルクリック
- 「Edit Report Plot」ダイアログを表示させて設定を確認
- デフォルト状態のまま「OK」をクリック
そしてダイアログを閉じます。
Ansysで解析する手順.6
- 「Solving」内にある「Initialization」にてHybridを選択
- 「Initialize」をクリック
- 「Solving」>「Run Calclation」>「Check Case」をクリックして設定が適切か確認
- 自動チェックが実施され推奨する設定が表示されるので、適用したい場合は「Apply」をクリック
- 計算が実行され「Calculation complete」と表示されていれば完了
Ansysの使い方を理解すれば作業効率の大幅な向上も期待できる
Ansys(アンシス)は製品品質及び開発スピードの向上が期待できるなど様々なメリットが得られる高機能な解析ツールと言えます。
モデルの作成や解析など今回紹介したAnsysの操作方法を身に付けてツールを導入すれば、設計や開発といった作業も効率良くできるようになるでしょう。