facebook
AI AIスーツケースとは?体験内容や料金・清水建設開発のAIスーツケースも紹介

【2025】AIスーツケースとは?体験内容や料金・清水建設開発のAIスーツケースも紹介

AIスーツケースは、視覚障害を持つ方の歩行時の不安を和らげ、移動そのものを楽しい体験に変えてくれる画期的技術です。大阪万博でもAIスーツケースが登場し、イベントの目玉アトラクションとして人気を博しています。

今回は、話題のAIスーツケースについて徹底解説します。大阪万博でAIスーツケースを予約する方法や料金、AIスーツケース開発企業の製品など幅広く紹介するので、ぜひこの機会にAIスーツケースの魅力に触れてみてください。

AIスーツケースとは?

AIスーツケースは、視覚障害を持つ方の移動をサポートするスーツケース型ロボットです。一見すると普通のスーツケースに見えますが、中には最新のAI技術が積み込まれています。

  1. 視覚に障害を持つ方の願いを込めて誕生
  2. AIスーツケースの仕組みと特徴

①視覚に障害を持つ方の願いを込めて誕生

AIスーツケースは、日本科学未来館の浅川智恵子館長の発想から誕生しました。視覚に障害を持つ館長は、白杖や盲導犬だけでは解決できない移動の課題を、最新技術で乗り越えたいと強く願い、2018年以降企業と提携して開発を進めたのです。

2024年4月には、日本科学未来館で世界初の常時運用がスタート。その後、商業施設や空港での実証経験を経て、2025年開催の大阪・関西万博では、さらに進化したAIスーツケースが登場し、大きな注目を集めています。

AIスーツケースの仕組みと特徴

AIスーツケースは、センサー技術やAIによる画像認識を活用しています。

特徴 主な内容
高度な案内 センサーで周囲を認識し、障害物を避けながら最適なルートを自動選択
直感的な操作 スマホアプリや音声で目的地を設定でき、複数箇所の巡回も可能
衝突防止機能 目の前の障害物を自動検知・停止、停止理由を音声で報告
豊富な音声案内 進行方向、目の前の情報や注意点を音声で提供
安全設計 利用者がハンドルを握っている時のみ動作し、手を離すと停止

このように、AIスーツケースは、開発者である浅川館長の「全ての世代の方が一人で移動でき、楽しみながら移動できる、そんな風に広がっていけばいい」という思いがまさに凝縮したシステムなのです。

大阪・関西万博のAIスーツケースとは?

大阪・関西万博で使われているAIスーツケース
引用元:IBM

AIスーツケースは万博の「未来社会ショーケース事業」の「スマートモビリティ万博」の一つとして採用され、新たなる移動支援技術を世界に発信しています。ここでは、万博で使われているAIスーツケースについて見ていきましょう。

  1. 技術のプロ集団による共同開発
  2. 進化した機能で万博をサポート
  3. 万博ならではの特別運用

①技術のプロ集団による共同開発

万博のAIスーツケースは、「一般社団法人 次世代移動支援技術開発コンソーシアム」という団体が開発しました。このコンソーシアムは、各分野のトップ企業が名を連ねています。

  • アルプスアルパイン(電子部門)
  • オムロン(センサー技術)
  • 清水建設(建設・インフラ)
  • IBM(AI技術)

当プロジェクトの中核を担うのが、AIスーツケースの開発を牽引した日本科学未来館です。

②スーツケースの進化したAI機能で万博をサポート

大阪・関西万博に登場するAIスーツケースは、これまでの課題を乗り越える画期的な進化を遂げました。特に注目すべきは、次の2点です。

  • 段差をスムーズに乗り越える新しい車輪機構
  • 低い位置の障害物も正確に捉える高性能センサー

これらは、従来のAIスーツケースが苦手としていた移動時の課題を解決するために開発されました。この進化により、広大で複雑な万博会場でも安全かつ快適に案内してくれます。

③万博ならではの特別運用

大阪・関西万博におけるAIスーツケースの運用は、これまでの実証実験とは一線を画します。その特別なポイントは以下の通りです。

  • 複数台のAIスーツケースを同時に動かす規模の大きさ
  • 万博期間を通した長期間の活用
  • 実際に使われる社会環境により近い状況での検証

万博でのAIスーツケースの運用は、将来の実用化に向けた課題の明示、および解決策発見を促進しています。万博という国際的な舞台は、この革新的な技術の進化を間近で見届け、その発展に貢献できる場でもあるのです。

参照:IBM

AIスーツケース体験の内容

まずは、万博でのAIスーツケース体験の概要から見てみましょう。

参加料金 無料
開催期間 2025年4月13日(日)〜10月13日(月)
利用時間 毎日9:45〜17:45
対応言語 日本語・英語・中国語
利用人数 AIスーツケース1台につき1〜4名まで
体験エリア
  • ロボット&モビリティステーション
  • 建物周辺、東ゲート広場
  • 大屋根リング上および下

選べる2つの体験コース・所要時間

万博でAIスーツケースを利用する場合、以下の2つのコースから選択できます。

ショート・ツアー

こちらは、ロボット&モビリティステーション周辺のパビリオンを巡る気軽な体験コースです。2種類の異なるルートから自由に選べ、初めての方や時間に限りのある方におすすめです。

  • 体験時間: 約20分
  • 全体所要時間: 約50分

ロング・ツアー

こちらは、ショート・ツアーの内容に加え、エレベーターで大屋根リングに上がり、上空からの景色を楽しみながら散策できる充実したコースです。万博会場をより深く体験したい方にぴったりです。

  • 体験時間: 約50分
  • 全体所要時間: 約80分

万博でAIスーツケースを予約する方法

万博でAIスーツケースを予約する方法
引用元:日本科学未来館

AIスーツケースは、大阪・関西万博で一般の方も体験できますが事前予約が必要です。実際に会場で体験したいという方は、以下の情報を元に予約を取っておきましょう。

対象者 受付場所 受付時間 受付期間
一般の方 AIスーツケース予約サイト 24時間 体験希望日2週間前から
視覚に障がいのある方 電話、メール
(予約センター)
10:00〜17:00
(毎日)
体験希望日1ヶ月前から

予約枠に空きがある場合に限り、ロボット&モビリティステーションで当日受付も行っていますが、できる限り事前予約しておきましょう。なお、雨天時は安全のため体験を中止しています。

参照:日本科学未来館

大阪・関西万博には、未来を見据えた多様な展示が訪れる人を魅了しています。中でも注目を集めるのがパナソニックのパビリオン「ノモの国」です。本アトラクションについては、以下の記事で紹介しています。

【2025】パナソニックパビリオン「ノモの国」とは?内容や子どもも楽しめる技術を解説

中国パビリオンは、中国文化の魅力が凝縮した注目のスポットです。以下の記事で詳しく紹介しているので、これらのアトラクションもぜひチェックして万博を満喫してください。

【2025】中国パビリオンとは?展示内容やコンセプトを徹底解説

清水建設が独自開発したAIスーツケースとは?

清水建設が独自開発したAIスーツケース
引用元:thousands-miles

大阪・関西万博では、先ほどお伝えしたように、4社が共同でAIスーツケースを開発しました。その中の1つである清水建設は、独自のAIスーツケースも開発しています。

ここでは、清水建設独自のAIスーツケースについて解説しましょう。

  1. シンプルで使いやすいシミズ版AIスーツケース
  2. 手で触れるだけの直感的な操作
  3. 高度な技術で安全をしっかり確保
  4. 一台で完結する音声案内と物理誘導

①シンプルで使いやすいシミズ版AIスーツケース

清水建設が独自に開発したAIスーツケース「シミズ版」は、共同開発版と並行して開発を進めていました。その一番の特徴は拡張性の高さで、例えば、センサーや動く部品は、必要時に応じて付け外ししながら利用できます。

共同開発版が複雑なシステム連携を要するのに対し、シミズ版は単体で全機能をこなせるのが特徴です。これにより、普段使いのしやすさ、および今後の研究開発のしやすさ、その両方を実現しています。

②手で触れるだけの直感的な操作

手で触れるだけの直感的な操作
引用元:清水建設

シミズ版AIスーツケースは、ハンドル部分の「力覚センサー」も特徴的です。このセンサーは、使う人のハンドルの握り方や強さ、方向を細かく読み取ります。

使い方は以下の様に直感的です。

  1. ハンドルを左右に軽く押すと登録済みの目的地の中から選択
  2. 目的地を決めてスイッチを押すとAIスーツケースが自動的に動作
  3. ハンドルにかける力の強さで速度調整
  4. 完全自動モードから自立操作モードへの切り替え

さらに、ハンドル上の白いローター部分が振動して、手の感覚でロボットの状態を伝えてくれる機能も付いています。

③高度な技術で安全をしっかり確保

AIスーツケースには通常、障害物を回避する機能が備わっています。しかし、シミズ版AIスーツケースは、力覚センサーによって使用者が直接操作できるため、その際にもぶつからないようにする、より高度な安全機能が必要です。

そこで使われているのが、最新技術「制御バリア関数」です。この技術により、利用者が手動でロボットを動かしている最中でも、AIスーツケースが周囲の人や物(利用者本人も含む)への衝突を自動的に防ぎます。

④一台で完結する音声案内と物理誘導

清水建設の音声案内技術が、このAIスーツケースに活かされています。スマホアプリと連携する共同開発版とは異なり、シミズ版はハンドルに触れるだけで目的地まで物理的に誘導可能です。

さらに、移動中にはロボットが直接音声で周辺情報を提供するため、まるでベテランガイドが隣にいるように、建物の情報や見どころを聞きながら散策を楽しめます。

参照:清水建設

このように、シミズ版AIスーツケースは、使いやすさと安全、そして一台完結の便利さを追求した次世代の移動補助ロボットの姿を具現化しています。AIは、こうした革新的な製品を生み出す源泉であり、企業の未来を築く要の技術でもあるのです。

AIスーツケースについてまとめ

AIスーツケースは、大阪・関西万博でも使われており、その革新的な技術はニュースでも積極的に取り上げられ大きな話題を集めています。万博会場では無料で貸し出しされているため、万博に来場する際にはぜひAIスーツケースで未来の移動体験に触れてみてください。

AIスーツケースとは?体験内容や料金・清水建設開発のAIスーツケースも紹介
最新情報をチェックしよう!