「3次元CAD利用技術者試験」は、高度な設計・モデリング能力などの実務経験や学習成果を客観的に証明できる国家認定資格として注目を集めています。2級、準1級、1級の3段階構成で、各級ごとに求められる技能と知識が異なるため、自身のスキルレベルに応じたステップアップが可能です。
本記事では、試験概要から級別のメリット、難易度・合格率、勉強法、実務での活かし方までを徹底解説します。3次元CAD利用技術者試験について知りたい方はぜひ参考にしてください。
3次元CAD利用技術者試験とは?
3次元CAD利用技術者試験は、3次元CADを活用して製品設計やモデリングを行う技術者の知識・技能を客観的に証明する国家認定試験です。
製造業や建設業で求められる、3次元CADによるパーツ・アセンブリモデリング、2次元図面からの形状認識、データ管理と活用までを網羅しており、自身のキャリアステップや企業の人材育成ニーズに応じた級別受験が可能です。
試験種別
3次元CAD利用技術者試験は、2級、準1級、1級の三段階あり、それぞれ試験形式や出題範囲が異なります。
| 級 | 試験形式 | 試験時間 | 出題内容 |
| 2級 | CBT方式(筆記・多肢選択) | 60分 | 3次元CADの基本概念、操作方法、2次元図面からのパーツモデリング、CADデータの基礎知識 |
| 準1級 | 実技試験 | 120分 | パーツモデリング、アセンブリモデリング能力 |
| 1級 | 実技試験 | 120分 | 高度な3次元設計能力、PDM、CAE/CAM連携などの周辺知識、管理技術 |
2級は基礎知識を幅広く問う試験、準1級は実務的なモデリング能力、1級は高度な設計・管理技術が必須となります。自身のスキルレベルに応じて段階的にステップアップしましょう。
受験資格
各級の受験対象者は、実務経験や学習経験に応じて以下の要件が定められています。
- 2級:受験資格の制限なし
- 準1級:2級合格者が受験可能
- 1級:2級または準1級合格者が受験可能
準1級は、2級で得た基礎知識をもとにアセンブリ設計と実務応用力を問われます。また、1級は、高度設計技術とPDM/CAE/CAM連携知識が必要です。
試験日程と申込方法
試験は年数回、全国の認定会場で実施され、級や地域によって日程や会場が異なります。受験申込は協会公式サイトのオンライン申込みシステムから行い、個人受験と団体受験が選択可能です。
申込期限は試験日の約1ヶ月前までで、2級はCBT試験のため随時予約方式、準1級・1級は指定開催日の中から選択します。受験料は級ごとに設定され、個人・団体で料金が異なります。
3次元CAD利用技術者試験の難易度・合格率

3次元CAD利用技術者試験は級が上がるほど出題範囲が広がり、求められるスキルレベルも高まります。
- 2級:難易度【易】 – 合格率72.59%
- 準1級:難易度【中】 – 合格率40.89%
- 1級:難易度【難】 – 合格率21.40%
参考:CAD利用技術者試験
①2級
2級は3次元CADの基本概念や操作方法、2次元図面からのパーツモデリング能力を問う筆記CBT試験です。60分間で60問の多肢選択問題に回答し、各分野で50%以上かつ総合で70%以上の正答率が合格基準となります。
②準1級
準1級は実技試験で、3次元CADソフトを用いたパーツモデル作成およびアセンブリモデリング能力が出題されます。
試験時間は120分で、モデルの体積・表面積測定など設計実務に直結する技能を問う問題があります。2級で基礎を固めた上で、実際の設計現場で活かせる技術力を身につける必要があります。
③1級
1級も実技試験で、3次元設計の高度技能に加え、PDM運用やCAE/CAM連携など周辺知識も含む総合的な設計・管理能力が問われます。120分で課題に対するモデル作成と数値解析、運用フロー理解を示す必要があり、高度な専門性と実務経験が必須です。
設計補助から管理職候補まで視野に入れた上級者向けで、合格後は大手メーカーや設計コンサルティング企業でのキャリアパスが期待されます。
就職・転職に有利な級は?取得級別の就職先比較

3次元CAD利用技術者試験の級が上がるほど、求められるスキルと業務範囲が広がり、就職・転職市場での評価も高まります。
| 級 | 就職・転職有利度 | 主な就職先 | 担当可能業務 |
| 2級 | ★☆☆☆ | 中小製造企業、設計補助職 | CADデータ管理、パーツモデリング |
| 準1級 | ★★☆☆ | メーカー設計部門、設計事務所 | アセンブリ設計、設計補助・現場対応 |
| 1級 | ★★★☆ | 大手メーカー、設計コンサル、プロジェクト管理職 | 高度設計、PDM運用、プロジェクト管理、CAE/CAM連携 |
級別に求められる業務内容を比較して、自身のキャリアプランに合わせた級を選択しましょう。
下記ではCADオペレーターの求人について詳しくまとめています。ぜひ参考にしてください。
3次元CAD利用技術者試験の勉強法

3次元CAD利用技術者試験に合格するには、基礎知識の習得から実務応用力の強化まで、計画的な学習が欠かせません。ここでは、自宅学習のみで合格を目指す方法と、専門スクールや通信講座を活用して効率的に学ぶ方法を紹介します。
- 独学で合格を目指す方法
- スクール・通信講座・セミナーの活用法
①独学で合格を目指す方法
独学で2級合格を狙う場合、まず試験範囲の全体像を把握し、公式ガイドブックや過去問を軸に学習プランを組み立てましょう。CADの基礎概念、データ構造、モデリング手法など、各分野ごとに学習目標を明確に定め、問題演習と解説の反復で理解を深めます。
特に2D図面を3Dモデルに変換する練習は、実技試験対策の要となるため、フリーモデルデータや練習問題集を活用して手を動かしながら知識を手に入れましょう。また、模擬試験形式で時間配分を体得し、マークシートへの記入ミスを防ぐことも重要です。
②スクール・通信講座・セミナーの活用法
限られた学習時間で確実に合格レベルに到達したい場合は、専門スクールや通信講座、セミナーの活用が効果的です。講師による解説動画や実務経験豊富な講師のライブ指導で、出題傾向やポイントを効率よく把握できます。
添削課題や模擬試験、オンライン質問対応など、学習サポートが充実した講座を選ぶと、独学では気づきにくいミスを早期に修正し、弱点を克服できます。
初めて学習する方は、3次元CAD利用技術者試験2級対策講座がおすすめです。この講座では、章ごとの出題率分析や実践的モデリング演習、最終模擬試験による総復習がセットになっており、短期間で合格力を身につけられます。
3次元CAD利用技術者試験の実技試験対策ポイント

実技試験は実際の3次元CAD操作能力をダイレクトに評価されるため、現場での手動作と判断力を磨くことが合格のカギとなります。本番は限られた時間の中で試験を行うため、設問ごとに要する時間をあらかじめ把握し、見直しに使える余裕時間を確保しておきましょう。
形状認識能力を高めるためには、実際の2次元図面を多数解き、図面から3D構築へのイメージ変換を訓練することが効果的です。また、模擬試験を本番形式で実施して、本番の試験内容に慣れることも大切です。
3次元CAD利用技術者試験を取得するメリット

3次元CAD利用技術者試験の合格は、キャリア形成と収入向上において大きな効果をもたらします。ここでは3次元CAD利用技術者試験に合格するメリットを紹介します。
- 就職・転職で具体的にどう有利になるか
- 実務に活かし年収UPできる
- 将来性と活躍できる業界の拡大
①就職・転職で具体的にどう有利になるか
3次元CAD利用技術者試験の合格は、転職市場での競争力を大幅に向上させる強力な武器となります。求人検索サイトdodaでは3D CADを含む求人が4,000件以上掲載されています。
特に、機械設計や自動車関連の職種では、年収480万円以上の案件も多数あり、資格取得者は優遇される傾向にあります。
資格取得により技術的信頼性が担保され、面接時のアピールポイントとしても効果的です。未経験からでも設計補助やオペレーター職への転職が可能になります。
参考:doda
②実務に活かし年収UPできる
一般的なCADオペレーターの平均年収は約422万円ですが、3DCADスキルを持つ技術者では500万円以上になっています。特に経験を積んだ3次元CAD技術者は、設計補助業務に加えてプロジェクト管理やPDM運用など管理業務も担当するため、年収600万円以上になるケースもあります。
企業の年収テーブルでも、3次元CAD資格保有者は昇進・昇給において優遇される傾向があり、一般的な設計職と比較して10-20%程度の年収アップが見込まれる場合が多いです。
下記ではCADオペレーターの年収について詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
③将来性と活躍できる業界の拡大
製造業のデジタル化推進により、従来の自動車・機械業界に加え、建設業界でのBIM導入、3Dプリンター関連ビジネスまで応用範囲が広がっています。
特に建設業界では、国土交通省のi-Construction推進により、BIMオペレーターの需要が急増しており、3次元CADスキルを持つ人材への期待が高まっています。
資格保有者はオペレーション業務をはじめ、技術コンサルティングや新技術導入支援など、より高い業務への転換が可能なので、長期的なキャリアアップにおいて非常に有利な資格といえるでしょう。
製造業で資格保有者が活躍する具体的な事例

3次元CAD利用技術者試験に合格した技術者は、製造業のさまざまな現場で即戦力として活躍し、設計プロセスから量産準備、品質管理まで幅広い領域で成果を上げています。以下では、試験保有者が活躍している具体的な事例を紹介します。
- 設計・モデリングで開発効率を大幅向上
- デジタル試作・検証でコストと時間を削減
- 金型設計・CAM連携で量産準備を効率化
- CADデータ活用で品質管理を高度化
①設計・モデリングで開発効率を大幅向上
試験取得者はパーツ設計において、2次元図面からの3Dモデル化を迅速に行えます。ソリッドと曲面の双方を使い分けるパラメトリック設計により、設計変更時の修正工数を削減し、試作サイクルを短縮することで新製品開発の期間を短縮したケースもあります。
②デジタル試作・検証でコストと時間を削減
試験保有者はCADデータを活用したCAE解析の前準備も効率的にこなせます。解析用メッシュ生成や材料特性設定を正確に行うことで、強度試験をデジタル検証1回でクリアできます。金属成形用の厚み検証でも、製造前に気づくことができるので、着工後の手戻りコストの削減が可能です。
③金型設計・CAM連携で量産準備を効率化
資格保持者が作成したパーツモデルをそのままNCプログラムに取り込み、加工ツールパスを自動生成できます。加工工程の作成時間を短縮し、金型試作の時間を短縮することが可能です。
加えて、仕上げ加工と樹脂成形の条件設定を一元管理することで、トラブルを大幅に抑えることにも成功しています。
④CADデータ活用で品質管理を高度化
品質管理分野では、資格取得者がCADデータを活用したデジタル検査の流れを整備し、三次元測定機(CMM)との連携設定や自動的に測定ポイントを認識するシステムの構築が可能です。これにより検査時間も短縮でき、不良品の原因となる測定ポイントの誤りも防ぐことができています。
製造ライン全体の品質保証体制を大きく改善し、効率化と品質向上の両面で大きな効果をもたらしています。
建設業で資格保有者が果たす役割と導入効果

3次元CAD利用技術者試験保有者は、建設業で重要な役割を果たします。以下では、具体的な導入効果と保有者が担う業務内容について解説します。
- BIMモデル作成で設計品質を劇的に向上
- 3Dデータで積算・施工計画を自動化
- 現場管理・維持管理にリアルタイム照合を導入
- クラウド共有でプロジェクト協業を強化
①BIMモデル作成で設計品質を劇的に向上
資格保有者は、建築プロジェクトで3Dモデル構築などの専門業務に携われます。資格未保有者は2次元図面作成などの補助業務に留まることが多いのに対し、資格保有者はより高度な設計業務を担当できます。
BIMモデルを使うことで、配管や電気配線などの干渉を設計段階で発見でき、設計変更や修正の回数が半分以下に減ります。設計の正確さと効率が大きくアップし、施工前の準備がしやすくなることで、建築期限の短縮やコスト削減につながります。
②3Dデータで積算・施工計画を自動化
資格保有者であれば、3Dモデルから必要な資材の数量を自動的に取り出すスキル習得済みで、従来の手作業による数量計算を省力化できるでしょう。計算ミスや時間の浪費が減り、積算の正確さも向上します。
さらに、そのモデルを使って工事の流れや資材の運搬計画のシミュレーションを行い、効率的な施工計画を立てることも可能。工事の進行がスムーズになり、コスト削減にも繋がります。
③現場管理・維持管理にリアルタイム照合を導入
資格保有者は現場作業時に、タブレット端末でBIMモデルと実際の施工状況をその場で照合することも可能なスキルを習得していることとなります。進行状況や品質の誤りを早く見つけて修正できるため、工事の遅れややり直しを防ぐ人材として活躍することも可能でしょう。
完成後も、この3Dデータを使って設備の点検や修理履歴の管理を行い、長期的な建物の維持管理を効率的に進めることができます。
④クラウド共有でプロジェクト協業を強化
資格保有者であれば、クラウド上にBIMモデルをアップロードし、設計者、施工者、施主など関係者全員が最新の3Dデータをリアルタイムで共有できる環境を整えることも可能でしょう。モデルのバージョン管理や変更履歴が一目で分かるため、連絡ミスを抑えられます。
また、リモートワークや複数拠点でのプロジェクトでも、円滑な情報連携が可能で、全体の生産性が飛躍的に向上させられるのも、チームに資格保有者の存在あってこそです。
3次元CAD利用技術者試験2級対策講座
初めて3D CADを学習する方は、3次元CAD利用技術者試験2級対策講座がおすすめです。この講座では、章別の出題傾向分析や基礎知識の整理から、実務に直結するモデリング手法までを体系的に学べます。講師による最終模擬試験と詳細解説もあるので、本番環境に慣れることも可能です。
| セミナー名 | 3次元CAD利用技術者試験2級対策講座 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 27,500円〜 |
| 開催期間 | 1日間 |
| 受講形式 | eラーニング |
3次元CAD利用技術者試験2級対策講座e ラーニングはこちら
3次元CAD利用技術者試験まとめ
3次元CAD利用技術者試験は、2級から1級までのステップを通じて基礎から高度な設計・管理スキルを証明できる国家認定資格です。取得により就職・転職市場での競争力が高まり、プロジェクト推進力や業務効率の向上につながります。
本記事で紹介した勉強法や実務事例、導入効果を参考に、将来性豊かなキャリアを築いてください。