3Dスキャナーで対象物をデータ化すると様々なことに活用できますが、販売されているスキャナーは平均価格10万円前後で金額が高く、簡単に試すことができません。
そんな人のために3Dスキャナーを無料で使う方法をまとめたので参考にしてみてください。
3Dスキャナーの無料と有料って何が違うの?
無料と有料の一番の違いは、カメラです。
無料の3Dスキャナーはパソコンについてるカメラや外付けカメラを利用し、対象物を撮影します。アプリの場合も同様でスマートフォンに内蔵されているカメラを使って対象物の撮影を行いますが、元々は写真を撮ったり、ビデオ通話の時に使用されているカメラなので、有料の3Dスキャナーに比べて性能が落ちます。そもそも写真やビデオ通話用のカメラは目の原理と似ており、レンズに光を集めて画像として保存します。
それに比べて、3Dスキャナーで利用しているセンサーは、意図的に光を当てて表面の凹凸を忠実に再現し、データ化を行うので、精密度が格段に向上します。
なので、凹凸が少ない対象物の形を撮影する時には無料の3Dスキャナーが便利ですが、業務で利用したり、精密なものを表現したいときには向いていません。
無料の3Dスキャナーの種類
無料の3Dスキャナーの種類は3つあります。
①アプリケーションの3Dスキャナー
1つ目が、アプリケーションの3Dスキャナーで3Dスキャンする際、操作方法が簡単で簡単に測定することが可能です。しかし、種類が少なくスキャン時にスキャンしたい対象物からズレることがあるので、データ化するまでに時間が掛かってしまいます。
本来であれば10万円以上掛かるスキャナーを無料で使えるので、コスト面で購入するか悩んでいる人は3Dスキャンを気軽に試すことができます。
②パソコンソフト
2つ目は、パソコンのソフトです。スマートフォンに比べて持ち運ぶことができないので不便ですが、容量を気にしないでいいので、高機能が揃ったソフトを簡単にインストールすることができます。
データ化する際のカメラはなるべく小型のものを選ぶようにしましょう。
小型カメラは対象物を撮影する時、細かいところまで撮影できること、ビデオ通話目的で利用する際置き場所に困らないメリットがあります。
③無料貸し出しサービス
3つ目が、企業による無料貸し出しサービスです。
稀にお試し期間として3Dスキャナーの無料貸し出しサービスが行われることがあります。
しかし、企業限定だったり、相手企業まで行ってその場で触る程度だったり、制限が掛けられていることがあるので満足するまで利用できない可能性が高いです。
アプリケーションやパソコンのソフトに比べて、高性能な3Dスキャナーを体験できるのでおすすめです。
【スマートフォンアプリ】無料3Dスキャナー3選
スマートフォンアプリの3Dスキャナーは持ち運べるメリットがあります。
気になった対象物をその場でデータ化できるので、色々なものを3Dデータ化したい人に向いています。たくさんあるスマートフォンアプリの中からおすすめを3つ紹介します。
①3D Scanner App
LiDAR搭載iPad Proのみ動作するスマートフォンアプリです。
靴やボール、箱など大雑把な形であれば3Dデータ化することが可能です。
解像度調整やマスク深度を設定できますが、実際のデータ化された解像度は高くありません。
ただ、3Dスキャンしたデータをグーグルドライブなどのクラウドサーバーにシェアすることでパソコンと簡単に共有することができます。
その他にもリメッシュ、テクスチャ作成、メッシュのスムーズ化の機能が揃っています。
②Polycam – LiDAR 3D スキャナー
操作方法がわかりやすく、初心者でも使いやすいスキャナーアプリです。
数秒でフルカラーの3Dデータを作成でき、インターネット接続不要で3Dスキャンデータの作成回数に制限はありません。ただし、エクスポートしたい場合は料金が発生します。
買い切りは4900円で、月額購入は450円です。
スキャンの精度と解像度の高さはスマートフォンアプリの中でも断然にトップなので、高性能なアプリが欲しい人におすすめです。
③WIDAR – 3Dスキャン&編集
3Dスキャンを開始すると、写真を連写し、パノラマのように繋ぎ合わせることで3Dデータ化します。3Dデータ化された後は写真の余白が残っているのでトリミングすることでより正確なデータを取得できます。
15センチ前後のぬいぐるみサイズであれば3Dデータ化できますが、それ以上大きい物をデータ化したい場合は、LIDAR搭載のiPhoneが必要です。
【パソコンソフト】無料3Dスキャナー3選
パソコンソフトで3Dスキャンすると、スキャンしたデータをそのままパソコンから編集することができるメリットがあります。
データの通信速度も速いので、3Dデータのやり取りを頻繁に行いたい人におすすめです。
スマートフォンアプリと同様で3つ厳選したので紹介します。
①Autodesk Fusion 360
湾曲のパーツや、凹凸が多い3Dデータでも細かいところまで確認、編集ができるソフトです。
モデリング履歴が備わっているので修正を行っても更新履歴を確認できたり、データに対して修正機能があるので3Dスキャン時の粗を修正できます。また最大の特徴として、パーツの分析に特化しており、周波数解析、熱解析、熱応力解析などのシミュレーション機能があります。
様々なデバイスにも対応しているのでパソコンからスマートフォンにデータを転送することも可能で、パーツを細かく分析したい人におすすめなソフトです。
このソフトも有料ですが、無料で体験版ができます。
②Artec Studio 17
業務用としても使われている高品質なソフトです。
パーツ毎に色分けができたり、最大で5億ポリゴンのデータセットの処理が可能なのでビックデータでも簡単に扱うことができます。また3Dデータからリバースエンジニアリングを行う際、簡単に分析できるように重要なパーツ毎にわかりやすく目印を出します。
サポート体制も充実しており、毎年行われるアップデートで常に最新の機能を保っています。
製品版は有料ですが、試用版を無料で使えるので1度は検討してほしいパソコンソフトです。
③FreeCAD
FreeCADは、3Dデータ編集機能を無料で使えるフリーソフトです。
基本的な機能はすべて揃っているので、商業目的ではない限り不便に感じることはありません。
APIの連携、拡張子の追加を行えるので様々な環境に対応しています。
しかし、初心者では拡張子の追加などは難しく感じるかもしれないので、操作を覚えるのに時間が掛かる可能性があります。
無料の3Dスキャナーと3Dスキャンを利用してできること
無料の3Dスキャナーを利用して3Dスキャンを行うと、3D化されたデータが作成されます。
このデータを利用することで主に2つのことに活用できます。
3Dスキャナーを利用してできること1.デザインのモデル
フィギュアや絵、パーツ作りに3Dデータを参考にして作成することができます。
360度の角度から確認できるので便利です。
3Dスキャナーを利用してできること2.3Dプリンタでモデル作成
3Dスキャンしたデータを3Dプリンタに転送することで、造形することができます。
材料は樹脂を使っており、熱によって溶けた樹脂を3Dデータ通りに組み立てることで、フィギュアのような造形が可能となります。
迷ったら無料3Dスキャナーを活用してみよう
有料の3Dスキャナーを買おうと迷っている人は、無料3Dスキャナーを利用してみることをおすすめします。
有料に比べて精度は落ちるかもしれませんが、操作や編集方法、データ化までの流れを掴むことができます。高い買い物で失敗しないためにも今回紹介した無料3Dスキャナーを活用してみてください。