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3Dプリンターで使える素材と材料の特徴|おすすめの樹脂素材は?

3Dプリンターは、手軽に自分がデザインしたものを造形できます。
しかし造形するときに、注意しなければならないポイントがいくつかあります。
今回はその一つ、樹脂素材について解説。
樹脂一つとっても多種多様な素材がありますが、それぞれに特色があります。
選び方はもちろん、メリット・デメリットも解説します。
とくに3Dプリンターで何か作りたい方に必見の記事です。
ぜひ最後まで読んでください。

3Dプリンターで使える素材10選

当記事では、3Dプリンターでよく使われている10の素材を厳選して解説します。

  • ABS樹脂
  • PLA樹脂
  • ASA樹脂
  • PEI樹脂(ULTEM)
  • ナイロン樹脂
  • PP樹脂
  • ワックス樹脂
  • エポキシ系樹脂
  • ポリカーボネート樹脂

ABS樹脂

ABS樹脂
引用:
BASFジャパン公式サイト

ABS樹脂とは、以下の3つの化合物の総称です。

  1. アクリロニトリル(A)
  2. ブタジエン(B)
  3. スチレン(S)

3つの有機化合物を結合させた熱可塑性樹脂です。
最も扱いやすく、さまざまな分野で使われています。
熱や衝撃に強く、試験などに使われる薬品にも耐久性を持ちます。
ただし外で使う場合は注意しましょう。
紫外線や湿気には弱く、長期間外部に放置してしまうと変形するリスクも。

メリット デメリット 対応している造形方式
  • 耐衝撃性
  • 耐熱性
  • 耐薬品性
  • 塗装や研磨といった、造形後の加工がしやすい
  • 耐候性に弱い
  • 太陽光が当たるところで長時間使用すると強度が低下する
  • 湿気で反り返ってしまう
  • 安定性が低く冷やすと収縮して反り返りやすい
  • 大きい造形物は造形不良が起こりやすい
熱溶解積層方式

PLA樹脂

PLA樹脂
引用:
BASFジャパン公式サイト

PLA樹脂は、でんぷんが含まれている植物のとうもろこしやじゃがいもを使った素材です。
ABS樹脂のような石油を使った素材ではないため、環境にやさしいと近年注目を浴びています。
石油の値段が上昇している現在では、PLA樹脂を使った3Dプリンターが多く売れています。

メリット デメリット 対応している造形方式
  • ABS樹脂よりも安定性が高い
  • 冷やしても収縮や反り返りが起こりにくい
  • 大きい造形物の製作に向いている
  • 樹脂が溶けた嫌な臭いがしない
  • 耐衝撃性や耐熱性が弱い
  • 塗装や研磨などの、造形後の加工が難しい
熱溶解積層方式

ASA樹脂

ASA樹脂
引用:
BASFジャパン公式サイト

ASA樹脂は、ABS樹脂のブタジエンを、アクリレート代替した素材です。
ABS樹脂と特性は同じですが、ASA樹脂は外でも劣化しにくいメリットがあります。

メリット デメリット 対応している造形方式
  • ABSにはないUV耐性
  • 高い屋外耐候性
  • 耐薬品性
  • 帯電防止特性
  • 耐熱性や摩擦力に弱い
熱溶解積層方式

PEI樹脂(ULTEM)

PEI樹脂(ULTEM)
引用:
BASF公式サイト

PEI樹脂、通称ULTEMは米国のゼネラル・エレクトリックが開発した新素材です。
3Dプリンターの上位機種で主に使われており、造形物をそのまま部品として使えます。
そのためスーパーエンジニアリング・プラスチックとも呼ばれています。
ABSの特性はもちろん、耐候性や環境にも優しい素材です。
主に自動車や航空機、船舶などの重工業はもちろん、医療分野でも利用検討中です。

メリット デメリット 対応している造形方式
  • 耐薬品性
  • 耐水性
  • 耐熱水にも有効で難燃性
  • 燃えた場合でも発煙が少ない
  • 電気特性
  • 耐候性
  • 絶縁破壊強さも高い
  • アルコールに対して弱い
  • 透明度が低い
  • 修理不可
熱溶解積層方式

ナイロン樹脂

ナイロン樹脂も多くの分野で使われています。
自動車のパーツやアパレル製品、電子部品にも使われています。

メリット デメリット 対応している造形方式
  • 耐衝撃性
  • 耐熱性
  • 耐薬品性
  • 粉末焼結方式(SLS方式)では一般的に使用される素材ですが、熱溶解積層方式(FDM方式)での造形は難しい
  • 熱溶解積層方式を採用している機種の中でも対応機種が限られている
粉末焼結積層方式

 

PP樹脂

PP樹脂
引用:
BASFジャパン公式サイト

PP樹脂は、耐熱容器に使われる素材です。
安価で製造ができるため、おもちゃなどの大量生産品や日用品に使われています。

メリット デメリット 対応している造形方式
  • 耐熱性
  • 耐衝撃性
  • 耐薬品性
  • 素材自体が軽い(他の素材を使って同じものを作っても非常に軽い)
  • 耐候性が低いため直射日光により劣化しやすい
  • 低温で脆くなってしまう
  • 燃えると石油のにおいがする
  • 接着、印刷がしにくい
熱溶解積層方式

粉末焼結方式

ワックス

ワックス
引用:
FormLab公式サイト

ワックスは、インクジェット方式を使う素材です。
現在研究が進められている段階で、今後今まで作れなかった形状を造形可能にすることも。
まだ開発途中のため、一部の企業のみ利用しています。

メリット デメリット 対応している造形方式
  • 高精度な造形が可能
  • 困難だった形状、中空やラティス構造も造形可能
  • 造形が高価
  • 劣化、変色、変形が多い
インクジェット方式

エポキシ系樹脂

エポキシ系樹脂とは、加熱して硬化する液体樹脂です。
エポキシ系樹脂の素材はABSライクとPPライクです。
ABS樹脂やPP樹脂に似た性質を持っていますが、強度が劣っているため、ABS樹脂の代替としては向いていません。

メリット デメリット 対応している造形方式
  • 安定性と耐薬品性
  • 透明度が高い
  • 強度が低い
  • 紫外線による劣化
  • 耐熱性に弱い
光造形

ポリカーボネート樹脂

ポリカーボネート樹脂
引用:
BASF公式サイト

ポリカーボネート樹脂は、主に工業製品に使用されています。
別名エンジニアリングプラスチックとも呼ばれ、様々な業界で活躍しています。
メガネレンズなど透明度の高い素材として注目されており、今後も市場を伸ばすでしょう。

メリット デメリット 対応している造形方式
  • プラスチック素材の中でも最高レベルの強度
  • 耐熱性
  • 耐衝撃性や耐候性も高い
  • 素材自体が軽い
  • 透明性と自己消火性
  • 高い透明性
  • 高温多湿の環境に弱い
  • 対応機種が多くない
熱溶解積層方式

素材別使える造形方式

素材別に使える造形方式は以下のとおりです。

熱溶解積層方式 インクジェット方式 インクジェット粉末積層方式 光造形方式 粉末焼結積層方式
ABS樹脂
PLA樹脂
ASA樹脂
ナイロン樹脂
PP樹脂
ワックス
エポキシ系樹脂
ポリカーボネート樹脂

熱溶解積層方式は、多くの素材で採用されている造形方式で、3Dプリンターを導入したい方におすすめです。
一方で粉末焼結積層方式は、設備費用が高く素材自体の価格が高いです。
3Dプリンターを使ってより精度の高いものを考えている方に向いています。
またワックスに採用されている、インクジェット方式は高精度な造形が可能である一方、耐久性の低さにデメリットがあります。
試作品として作ってみたい方や趣味で作成したい方向けです。
エポキシ系樹脂は、さまざまな耐性に強く、企業の試作などに便利です。

3Dプリンターに必要なサポート材とは?

3Dプリンターに必要なサポート材とは?
引用:
BASFジャパン公式サイト

サポート材とは、3Dプリンターで造形するときに使われてる支えです。
造形物に宙に浮く部分がある場合、支えがなければ印刷がうまくいきません。
完成品に歪みやヒビなどが入らないようにします。具体的にはT字やH字、◯のような形状が挙げられます。
また造形後にサポート材を除去しなければなりません。
サポート材に造形で使う材料を使う場合は、シングルヘッド機種でも問題ありません。
しかし予めサポート材が必要とわかっている場合は、デュアルヘッドの機種がおすすめです。
デュアルヘッド機種を用いれば、一方が造形に使う材料で、もう一方はサポート材の作成に使えるからです。
またサポート材を作成するときは、水に簡単に溶ける材質がおすすめ。
理由はサポート材を造形物から簡単に取り除けるからです。

樹脂を使った3Dプリンターはどれがおすすめ?

樹脂を使う3Dプリンターは多数あります。
その中でも今回は3つ紹介します。

  • XYZプリンティングダヴィンチ nano w
  • Tiertime UP Plus2
  • Raise3D Raise3D E2(デュアルヘッド)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

XYZプリンティングダヴィンチ nano w

ダヴィンチ nano wは、持ち運びが可能な3Dプリンターです。
初心者に気軽に導入しやすく、価格も5万円未満で購入できます。
Wi-Fiにも対応しているため、離れた場所から遠隔操作も可能です。
手軽に使える分、造形できる最大サイズが120×120×120 mmのため、注意しましょう。

Tiertime UP Plus2

UP Plus2は、高品質な造形が可能な装置です。
過去にアメリカMake誌に掲載する3Dプリンターバイヤーズガイドのランキングで1位を獲得したことも。
装置回りが覆われていないため、外部の影響を受けやすいため、注意が必要です。
UP Plus2は、ABS樹脂とPLA樹脂に対応しています。

Raise3D Raise3D E2(デュアルヘッド)

Raise3D E2は、デュアルヘッド型の3Dプリンターのため、2つの素材を同時に使用が可能です。
造形で使える樹脂は以下のとおりです。

  • PLA
  • ABS
  • ASA
  • PP

その他にも多数の樹脂を使えます。
自由に造形がしたい方や業務で本格的な造形を検討されている方におすすめです。

非純正品のフィラメントを使っても大丈夫?

非純正品のフィラメントを使っても大丈夫?

結論、非純正品のフィラメントを使用した場合、以下のデメリットがあります。

  • 保証対象外
  • 造形物の破損、欠損など製品トラブル
  • 3Dプリンターの故障

非純正品を使うと、3Dプリンターが故障したり、うまく造形できなかったりします。
メーカーの保証対象外になってしまうため、他の素材を使うときは十分注意しましょう。
3Dプリンターで造形したものを商品として販売する場合は、正規品を使うのがおすすめです。
一方で趣味や試作で使う場合は、非正規品でも大丈夫です。

3Dプリンターを使うときは材料にも気をつけよう!

今回は3Dプリンターで使われる樹脂素材について解説しました。
3Dプリンターで使われる樹脂素材は多種多様で、どれを使えばよいかわからない人も多いと思います。
今後3Dプリンターで樹脂素材選びに悩んだときは、ぜひ当記事を参考に選んでみてください。
耐熱性や耐候性などさまざまな外部的要因から素材を選べます。
また素材を使うときは、正規品であるかどうかや対応している装置があるかどうか必ず確認しましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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