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5軸加工のマシニングセンタ9選!製品の特徴と価格の目安を比較

自動で金属を加工するマシニングセンタは、3軸加工を行うものが多いですが、5軸加工を行えるマシニングセンタもあります。
その中から代表的なものを6つ、5軸加工マシニングセンタの特徴やメリットと共に紹介していきます。

XYZ軸に2つの回転軸を加えた動作をする5軸加工マシニングセンタ

5軸加工マシニングセンタは、左右のX軸、上下のY軸、前後のZ軸の3軸に、回転傾斜軸という2つの軸を組み合わせたマシニングセンタです。

基本的には、工具の移動はXYZ3軸で行い、工具を部材に当てる向きを回転傾斜によって決めます。
高性能な5軸加工マシニングセンタは、3軸での移動と回転傾斜軸を同時に使用することができます。
そのため、立体的で複雑な加工をする際に用いられる場合が多いです。

代表的な5軸加工マシニングセンタ9選

代表的な5軸加工マシニングセンタ

それでは代表的な5軸加工のマシニングセンタをいくつか紹介していきます。

Mytrunnion-4G

Mytrunnion-4G
引用元:KITAMURA

マシニングセンタを専門的に製造しているキタムラ機械株式会が開発したMytrunnion-4Gは、高精度の5軸マシニングセンタでありながら設置スペースの省略化に成功したモデルです。
元々10.9平方メートルあった製品が7.7平方メートルに改善しており、さまざまな場所に設置できるようになりました。
また、加工時間が100時間以上となるプログラムでも一括して処理を行えるのがポイントです。

SUPERCELL-800G

SUPERCELL-800G

引用元:KITAMURA

SUPERCELL-800Gは、同じくキタムラ機械株式会社の製品で、価格はおよそ8900万円です。
長い歴史を持つSUPERCELLシリーズの最上位マシンとして製造され、標準で122本の工具を収納することが可能です。
そして、その工具を1秒間隔で交換し、高速の自動製造を実現します。

また、駆動には、ツインタイプのサーボモーターが採用されていて、安定感のある位置決定を行います。
そのサーボモーターをツイン駆動のボールねじと組み合わせることで、製造の精度を高めてあります。
さらに、ひとつのラインで複数の製品を製造する、FMSに対応させることも可能です。

ガントリー型NC加工機

引用:ヤマハ発電機株式会社

ヤマハ発動機が最新設備として発表した新型5軸加工機のガントリー型NC加工機は、国内トップクラスの加工サイズと加工精度・加工速度を実現させたマシニングセンタです。
一般的なNC加工機より、一体で大型のものを加工できるので導入するだけで作業効率も格段に上がります
複雑で大型の加工をしたい企業や、精度の高い曲線の加工を行いたい企業にはとてもおすすめです。

FTV-500i

FTV-500i
引用元:大鳥機工株式会社

大鳥機工株式会社が開発したFTV-500iは、作業効率とコストパフォーマンスに優れた5軸マシニングセンタです。
多面加工や高精度加工が可能な上に比較的お求めやすい大きさと価格になっているので、小ロット生産や安価な製品の大量生産でも採算が取りやすいです。
すぐにでも5軸マシニングセンタで生産を開始したいといった企業に非常におすすめでしょう。

E-32v

E-32v
引用元:株式会社エグロ

E-32vは、工作機械の老舗である、株式会社エグロが製造している5軸加工マシニングセンタです。
基本となる3軸には、磁気によって位置を確認するマグネスケールが搭載されていて、高い精度での製造を安定して行うことができます。
そして、チャックの使い分けによって、様々な自動化を実現可能です。

また、サイズが1715×2400×2595mmと、マシニングセンタの中でも小さめなのが特徴です。
価格は要問い合わせですが、低価格化を重視して作られています。
場所を取りにくく、比較的安いコストで購入できるため、初めて5軸加工マシニングセンタを導入する場合に選ばれることも珍しくありません。

マシニングセンタC250

マシニングセンタC250
引用元:愛知産業株式会社

マシニングセンタC250は、ドイツのハームレ社が製造する5軸加工マシニングセンタです。
日本では愛知産業株式会社が主な販売を手掛けていて、価格は要問合せです。

3軸加工機にオプションとして2軸が加えられているのではなく、最初から5軸加工マシニングセンタとして設計開発が行われています。
そのため、無駄な要素がないのが特徴です。そして、フレーム部分には、人造石が使用されているという特徴もあります。
温度変化をしにくく、振動も少なく済む石のフレームによって、安定した製造を実現できます。
また、Y軸駆動部分には、3本のレールがスライドするという、ハームレ社の特許技術が使用されています。
レールを偶数ではなく奇数の3本にし、三角形状に配置することで、スムーズかつ安定した駆動を実現します。

MX-520

5軸制御立形マシニングセンタ MX-520
引用元:松浦器械製作所

MX-520は、松浦器械製作所が製造する5軸加工マシニングセンタで、低価格であることを重視して作られています。
およそ2600万円程度という、比較的入手しやすい価格設定となっているので、5軸加工機を初めて導入する際のエントリー機に適しています
そして、豊富なオプションによって、自動化ができるようになっているのが特徴です。
フロアパレットシステムのPC4を組み合わせれば、パレット移動を伴った自動化を実現できます。
その他にも、使用できる工具を増やすマガジンや部材を運搬するコンベアなど、様々な自動化オプションとの組み合わせを想定してあります。

NTX 500

NTX 500
引用元:DMG MORI

NTX 500は、DMG森精機株式会社が製造するマシニングセンタで、価格は税抜き3770万円です。
比較的狭いスペースでも使用できることを重視して作られていて、DMG森精機株式会社製の複合機の中でもサイズが小さいです。
そして、1台だけでフライス加工からミーリング加工まで、ひと通りの加工を行えます。
そのため、限られたスペースで加工を行わなければならない場合に適しています。

また、ロボットシステムであるIMTRを併設すれば、完全な自動化が実現できます。
IMTRを取り付けた状態でも、本体サイズが大きく変わることはないため、限られたスペースでも活用しやすいでしょう。

操作パネルも特徴的で、ボタンの液晶表示が、必要に応じて切り替わる仕様となっています。
よって、幅広い状況に対応できると共に、液晶パネルではなくボタンをしっかり押すという感覚によって、操作ミスのリスクを下げられます。

V100S

V100S
引用元:MAKINO

V100Sは、牧野フライス製作所が製造する5軸加工マシニングセンタで、価格は税込み8900万円です。
マシニングセンタの中では大型に分類され、人が加工室に立ち入って作業をすることが可能です。
加工室は扉を閉めることで、周囲から独立した空間を作り出せます。
そのため、オペレーターは周囲に気を配ることなく、作業に集中しやすいです。

そして、ワークスペースの最大サイズは2000×2500×1050mmあり、1.5トンまでの部材加工が可能なので、大型製品の製造に適しています。
扉は天井一体型となっているため、上部から部材をクレーンで搬入し、完成した後は吊り上げて搬出するということができます。

5軸加工マシニングセンタを使用するメリット・デメリット

5軸加工マシニングセンタを使用するメリット

それでは数あるマシニングセンタの中でも、5軸加工のマシニングセンタを使用するメリットやデメリットはあるのでしょうか。

5軸加工マシニングセンタのメリット

5軸加工マシニングセンタは、複雑な形状の加工を施すことができて精度が高いのが大きなメリットです。

また、5軸加工マシニングセンタは、製造途中で治具を交換したり、部材の向きを変えたりする必要がありません。複雑な設計であっても、完全自動で製造を完了させることも可能です。そのため、製造時間が短く済ませられるのもメリットです。
さらに、完全自動で、工程に人の手が加わらないため、高い精度での製造ができるというメリットもあります。

金属に傾斜のある加工を施す場合、傾けた状態で部材を固定し特殊な治具を用意しなければならないことが多いです。設計ごとに治具を新しく作ることも珍しくありません。そうすると、製造コストが高くなってしまいます。
その点、5軸加工であれば標準のセットのみで傾斜のある加工が行えるため、治具を用意する必要がありません。
したがって治具分のコストも浮かせられます

5軸加工マシニングセンタのデメリット

5軸加工マシニングセンタを使用すると、製造コストを安く済ませることが可能です。
ただ、それは長期的かつ高頻度で使用した場合に限られます。5軸加工マシニングセンタは、数あるマシニングセンタの中でも、価格水準が高めです。

よって、最初に高額な費用を支払った上で、その初期費用分を、製造コストの低さを活かして回収していくという使い方となります。
したがって、短期的に使用したり使用する頻度が低かったりすると、初期費用分を回収できない恐れがあります。
それが、5軸加工マシニングセンタのデメリットです。

環境や目的に応じた5軸加工マシニングセンタを選ぼう

5軸加工マシニングセンタはいずれも、短時間で高精度の製造が可能です。
ただ、製品によって特徴が異なります。
したがって、5軸加工マシニングセンタを導入する場合、候補となる製品の特徴をひと通り把握した上で、使用する環境や目的に合ったものを選ぶようにしましょう。

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