業務の効率化や自動化を図るうえで注目されているのが、ExcelやAccessで活用できるプログラミング言語「VBA」です。
本記事では、VBAのスキルを客観的に証明できる「VBAエキスパート」資格について、全4科目の違いや難易度、勉強方法、実務での活かし方を見ていきましょう。
VBAとは?マクロとの違いと活用シーン

業務の効率化や自動化を考えるとき、まず名前が挙がるのが「VBA」と「マクロ」です。どちらもExcelやAccessといったMicrosoft Office製品で使われる機能ですが、役割やできることには明確な違いがあります。
ここでは、VBAの基本的な仕組みとマクロとの違いを解説しながら、実際に業務でどのように使われているのかを整理していきましょう。
VBAの基本的な仕組み
VBAは、Microsoft Office製品に組み込まれているプログラミング言語です。
主にExcelやAccessなどで、繰り返し作業や複雑な処理を自動化するために使用されます。VBAを使うことで、業務のミスを減らし、処理スピードを格段に高めることが可能です。
VBAの特徴は、Officeアプリケーション内で動作する点です。別途開発環境を用意する必要がなく、身近なExcel画面から簡単に開発・実行ができるため、プログラミング初心者でも取り組みやすい言語とされています。
マクロとの違い
マクロとVBAは混同されやすいですが、厳密には異なる概念です。
どちらも「操作の自動化」を目的としていますが、仕組みや柔軟性に違いがあります。
| 比較項目 | マクロ | VBA |
|---|---|---|
| 実行方法 | 操作の記録を自動で実行 | コードを手動で記述・実行 |
| 設定方法 | 「マクロの記録」で簡単に設定可能 | VBAエディタでコードを書く必要がある |
| 柔軟性・拡張性 | 制限あり(基本的な操作のみ) | 高度な処理や条件分岐、ループ処理などが可能 |
| 主な対象ユーザー | 初心者・非エンジニア | 中級者以上・実務効率化を重視するビジネスパーソン |
つまり、マクロは「手順の記録と再生」に向いており、VBAは「複雑な処理や柔軟な自動化」が可能な仕組みと言えます。
VBAはマクロ機能の延長線上にある高度なツールと捉えると理解しやすいでしょう。
VBA資格の学習を始める前に、まずはExcelの基本操作や仕組みをしっかり理解しておきたいという方には、こちらの記事がおすすめです。関数の基礎、ショートカットの活用法、効率的なデータ整理など、日常業務で使えるExcelの機能が体系的にまとめられており、実務スキルの土台作りに最適です。
業務で使われる代表的な場面
VBAはさまざまな業務シーンで活用されており、特に定型業務の自動化や、手作業によるミス防止に強みを発揮します。
以下は、代表的な活用例です。
| 業務カテゴリ | 活用例 |
|---|---|
| 経理・財務 | 請求書の自動作成、経費データの集計・整形 |
| 営業・販売管理 | 顧客リストの整備、売上データの月次レポート生成 |
| 人事・労務管理 | 勤怠データの整形、給与明細の作成 |
| 製造・物流 | 在庫管理表の自動更新、出荷リストの作成 |
上記の業務は日々の作業として繰り返されることが多く、人手による入力ミスや工数の負担が大きくなりがちです。VBAを導入することで、こうしたルーティン作業を正確かつ高速に処理できるようになり、業務の生産性が大幅に向上するでしょう。
「VBAエキスパート」資格とは

ExcelやAccessを活用した業務の自動化スキルを証明したいと考える人にとって、信頼性のある指標となるのが「VBAエキスパート」資格です。VBAに関する知識や実践力を客観的に示せる数少ない資格であり、事務職やIT職に限らず、多くの業種で注目されています。
ここでは、「VBAエキスパート」資格の基本情報から、運営団体、受験形式までを見ていきましょう。
VBAエキスパート資格の概要
「VBAエキスパート」は、VBAのスキルを証明するための公式な民間資格です。
対象はExcelとAccessの2製品で、それぞれに「ベーシック」と「スタンダード」の2つのレベルがあります。合計で4つの試験区分が存在し、実務での活用を前提とした出題範囲が特徴です。
試験主催団体と信頼性
VBAエキスパート資格を運営しているのは、株式会社オデッセイコミュニケーションズという民間企業です。
同社は、他にも「MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)」や「IC3」など、実務系資格の試験を数多く取り扱っており、長年にわたる試験運営の実績があります。
オデッセイ社が提供するVBA資格は、全国の多くのテストセンターで受験可能なうえ、Microsoft製品との密接な関連性を背景に、多くの企業や教育機関にも認知・採用されています。民間資格でありながらも、業界内での信頼性は比較的高く、特に業務自動化やRPAの導入が進む現場では、実務力を測る尺度として活用されているのです。
試験方式と実施形態
VBAエキスパートの試験は、全国のCBT会場で随時実施されており、自分の都合に合わせて日程を選ぶことが可能です。
さらに一部の試験会場では、在宅受験(オンラインCBT)にも対応しており、学習から受験までを自宅で完結できる柔軟な体制が整っています。試験形式はすべて選択式で、ExcelやAccess上での操作に関連した実務的な問題が中心です。
試験終了後すぐに合否結果が表示されるのも特徴で、効率的にVBA資格を取得したい人には非常に利便性の高い仕組みでしょう。
VBAの資格VBAエキスパートの全4科目

VBAに関する資格として知られる「VBAエキスパート」には、学習段階や目的に応じて選べる4つの科目が用意されています。ExcelとAccessのそれぞれに「ベーシック」と「スタンダード」のレベルがあり、自身のスキルや実務経験に合わせて受験することが可能です。
- Excel VBA ベーシック
- Excel VBA スタンダード
- Access VBA ベーシック
- Access VBA スタンダード
ここでは、各科目の特徴と違いを紹介します。
①Excel VBA ベーシック
Excel VBA ベーシックは、Excelでのマクロ操作や基本的なVBAコードを扱えることを証明する初級者向けの資格です。
VBAの基礎構文や、簡単なプロシージャ、変数の使い方などが出題されます。VBAを初めて学ぶ人が最初に目指すべき資格として位置づけられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象レベル | 初学者・VBA未経験者向け |
| 出題範囲 | 変数、条件分岐、ループ、簡単なユーザーフォーム |
| 想定学習時間 | 約20~30時間 |
| 合格率の目安 | 比較的高い(非公開だが60〜80%程度とされる) |
資格を取得することで、Excel VBAの基本スキルがあることを客観的に示せるようになるでしょう。事務職や営業職など、日常的にExcelを使う仕事でスキルの土台を築くのに最適です。
②Excel VBA スタンダード
Excel VBA スタンダードは、実務でより高度な自動化やデータ処理ができることを証明する中級レベルの資格です。
複雑な構文、エラー処理、外部データとの連携など、より実践的な内容が問われます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象レベル | VBAの基本操作を習得済みの人 |
| 出題範囲 | コレクション、オブジェクト、イベント処理、外部ファイル操作 |
| 想定学習時間 | 約50~70時間 |
| 合格率の目安 | やや低め(40~60%程度と推定される) |
このレベルまで習得すれば、企業内でのデータ処理業務や帳票作成を自動化できる実力があると判断され、VBA資格の中でも特に転職や実務でのアピールに効果的です。
③Access VBA ベーシック
Access VBA ベーシックは、Accessデータベースの基本操作に加えて、VBAによる簡単な自動処理を扱えることを示す資格です。
Accessに馴染みのない人でも、基本的なフォーム操作やデータ抽出を理解していれば取り組みやすい内容となっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象レベル | Accessの使用経験が浅いユーザー |
| 出題範囲 | レコードの操作、フォーム・レポートの制御、簡単なVBAコード |
| 想定学習時間 | 約30~40時間 |
| 合格率の目安 | 中程度(50~70%程度と見られている) |
Excelよりも習得者が少ない分、Access VBA ベーシックの資格は、他者との差別化に有効です。特にデータベースを扱う職場では重宝される知識です。
Access VBA スタンダード
Access VBA スタンダードは、Accessを用いた本格的なデータベース操作や業務アプリケーション開発を行うための上級資格です。
SQLやDAO、レコードセットの活用など、高度な知識が求められます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象レベル | AccessとVBAに慣れており、実務で活用したい人 |
| 出題範囲 | SQL文、DAOの操作、イベント制御、データ検証、複雑な連携処理 |
| 想定学習時間 | 約60~90時間 |
| 合格率の目安 | やや難易度高(40~50%程度と想定される) |
資格を取得すれば、Accessを使った業務効率化や、部門内システムの構築など、より専門的な業務にも対応可能です。IT部門やシステム担当者にも適しているでしょう。
VBAの資格の合格率と学習時間の目安

VBAエキスパート資格を取得するには、ある程度まとまった学習時間が必要になります。とはいえ、難関資格というわけではなく、目的とレベルに応じて段階的に進めることで無理なく合格を目指すことが可能です。
ここでは、各試験の学習時間の目安や難易度、MOSなど他の資格との違い、そして初心者がどのようにステップアップしていけば良いかを見ていきましょう。
各レベルの想定学習時間と難易度
VBAエキスパート資格は、ExcelやAccessの操作経験がある人であれば、比較的短期間でも取得可能です。
ただし、スタンダードレベルでは応用的なVBA知識が問われるため、独学ではやや難易度が高く感じられる場合もあるでしょう。
| 科目名 | 想定学習時間 | 難易度の目安 | 学習方法の推奨 |
|---|---|---|---|
| Excel VBA ベーシック | 約20~30時間 | 初級(易しい) | 独学・公式テキスト可 |
| Excel VBA スタンダード | 約50~70時間 | 中級(やや難しい) | 実務経験・演習重視 |
| Access VBA ベーシック | 約30~40時間 | 初級~中級 | 独学+実機演習 |
| Access VBA スタンダード | 約60~90時間 | 中級~上級(難しい) | 教材+現場実務が有効 |
特にスタンダードレベルでは、単にテキストを読むだけでなく、実際にコードを書きながら覚えることが効果的です。Access系の試験は受験者数が少ない分、評価されやすいという側面もあります。
MOSとの違い
VBAエキスパートと混同されやすい資格に「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」があります。
両者は対象アプリは同じですが、問われるスキルの性質が大きく異なります。
| 比較項目 | VBAエキスパート | MOS(Excel/Access) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 自動化・プログラミングスキルの証明 | アプリケーション操作スキルの証明 |
| 試験形式 | 選択式(VBAの知識・構文中心) | 実技操作中心(マウス・キーボード操作) |
| 難易度(初級) | やや高い(コード理解が必要) | やさしい(操作に慣れていればOK) |
| 実務での活用幅 | 高い(業務自動化・効率化に直結) | 限定的(マニュアル業務に強い) |
VBA資格は、より“仕組みを作る側”のスキルを証明するため、ITスキルとしての価値が高く、実務における即戦力として評価されやすい傾向です。
初心者が目指すべき順番とステップ
これからVBAを学ぶ初心者にとっては、どの科目から着手すれば良いか迷うところです。
以下のように勉強してみましょう。
- Excelの基本操作に慣れる
- マクロの記録機能を使って自動化の流れを理解する
- Excel VBA ベーシックに挑戦する
- VBAエディタでコードを書く練習を重ねる
- Excel VBA スタンダードを目指す
- Accessを使う機会があるならAccess VBA ベーシックを受験する
- Access VBA スタンダードに挑戦する
このように、まずはExcelからスタートし、実務に応じてAccess系の試験に進むのが無理のない進め方です。ベーシック試験はVBAの入り口として非常に適しており、学習のモチベーション維持にもつながるでしょう。
VBAの資格勉強をしていると、Excelの関数や数式がうまく反映されないトラブルに直面することがあります。こちらの記事は、そうしたよくある問題の原因と対処法を体系的に解説しており、エラー対応に不安がある方にとって心強い内容です。
関数が反映されない主な原因(「=」の記述ミス、書式設定の問題、参照方式の誤りなど)を一つずつ丁寧に解説し、初心者でも実践できるショートカットキーや設定方法も紹介されています。
VBAの資格を取得するのに向いている人

VBAの資格は、単にプログラミングスキルを証明するだけでなく、日常業務の効率化やキャリアの幅を広げるための実践的な武器になるでしょう。特に、ExcelやAccessを使った反復作業に課題を感じている人や、これからITスキルを身につけたいと考えている人にとって、VBA資格は強力な一歩です。
- 事務職や経理職で効率化を目指す人
- 副業・転職に向けてスキル証明をしたい人
- IT初心者でプログラミング入門を考えている人
ここでは、どのような人がVBA資格の取得に向いているかを見ていきましょう。
①事務職や経理職で効率化を目指す人
日々のルーティン業務を多く抱える事務職や経理職では、ExcelやAccessを使った作業の効率化が大きな課題です。
請求書の作成、売上管理、データ集計など、繰り返し発生する処理を自動化できるVBAのスキルは非常に有効です。こうした業務にVBAを活用できるようになると、作業時間の短縮だけでなく、ヒューマンエラーの削減にもつながるでしょう。
VBA資格を取得することで、自分のスキルを対外的にもアピールできるようになります。
②副業・転職に向けてスキル証明をしたい人
在宅ワークや副業の選択肢が増えている今、VBA資格は実践的なスキルを証明する手段として注目されています。
クラウドソーシングでは、Excel自動化や業務フロー改善の依頼も多く、VBAスキルがあることで案件獲得の幅が広がるでしょう。また、転職活動においても、単にExcelが使えるというレベルではなく、自動化や業務改善の提案ができる人材として評価されやすくなります。
③IT初心者でプログラミング入門を考えている人
これからITスキルを身につけたいけれど、いきなり高度なプログラミング言語に取り組むのは不安という人にとって、VBAは最適なスタート地点です。
Excelなどの身近なアプリケーションを使って学べるため、プログラミングに対する心理的ハードルが低く、視覚的にも学習効果を実感しやすいのが特徴です。VBA資格のベーシックレベルは初心者にも手が届きやすく、学習の成果を明確に残せる点も安心材料になります。プログラミング入門として、VBA資格を通じて基礎から始めるのは非常に有効なアプローチでしょう。
VBAの資格取得におけるメリットと注意点
VBAの資格を取得することで、スキルの可視化やキャリアの幅を広げるうえでメリットが得られるでしょう。一方で、「VBAの資格だけでは不十分」といった声もあり、過信は禁物です。
資格を取得する目的を明確にし、他のスキルとの組み合わせや実務経験とどうリンクさせるかを考えることが重要です。
ここでは、VBA資格取得の代表的なメリットと、注意しておきたいポイントについて解説します。
スキルの可視化・転職市場での評価
VBA資格を取得する最大のメリットのひとつは、自分のスキルを「見える化」できる点にあります。
ExcelやAccessの操作に自信があっても、客観的な証明がないと、履歴書や職務経歴書で強くアピールするのは難しいものです。VBAエキスパートという資格があることで、業務自動化に関する知識と実務的な理解を持っていることを伝えることができるでしょう。
特に、転職市場では「即戦力」として評価されるケースもあり、VBA資格があることで書類選考の通過率や面接での説得力が高まる傾向があります。
「資格だけでは弱い」と言われる理由
一方で、VBA資格には「実務経験が伴っていなければ評価されにくい」という側面もあります。
試験は選択式で、実際にコードを記述する能力までは問われないため、資格を持っていても「実際に使いこなせるかどうか」は別問題と見なされることがあるのです。
また、VBAはあくまでMicrosoft Office内での自動化に特化したスキルであり、システム開発全般や他のプログラミング分野に比べると、応用範囲が限定的だと捉えられることもあります。したがって、資格取得後は実務での活用経験を積むことが、より重要です。
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VBAの資格を取ってキャリアアップを目指そう
VBAの資格は、ただの知識の証明にとどまらず、業務改善の実行力や自動化スキルを備えた人材であることを示す強力な武器です。
日々の仕事に追われながらも、「もっと効率的にできる方法はないか」と考えているなら、VBAの学習と資格取得はその第一歩になるでしょう。現場で役立つスキルを身につけたい人、キャリアに新しい選択肢を加えたい人、転職や副業を視野に入れている人、どんな立場であっても、VBAエキスパート資格はあなたの強みになります。
小さな成功の積み重ねが、やがて自分らしいキャリアの礎となるはずです。