CADソフトであるSOLIDWORKSは、法人が使用することが多いですが、個人向けのライセンスもあります。そして、個人向けのSOLIDWORKSの使い方は、多種多様です。
では、個人向けのSOLIDWORKSは法人向けとは何が違うのか、どういったことに使えるのかなどを解説していきます。
SOLIDWORKSとは?
SOLIDWORKSは、立体的なモデルを作ることができる、3DCADソフトです。
基本機能は3Dモデルの作成や編集ですが、CADデータの管理や、3Dモデルを使用したシミュレーションなど、色々な目的で活用できます。
そして、使いやすさを重視して作られているのが、大きな特徴です。
ユーザーインターフェースの操作が容易、直感的な使い方ができるといった定評があります。
CADソフトは、上からハイエンド、ミドルレンジ、ローエンドという3つのクラスに分けることができますが、SOLIDWORKSはその中のミドルレンジクラスに分類されます。
ハイエンドに近い性能を持っていながら、CADソフトの中では料金が安いため、ビジネスシーンで導入されることも少なくありません。
業界によっては、使用するCADソフトのシェア率の半分以上を、SOLIDWORKSが占めている場合もあります。
ミドルレンジクラスであるSOLIDWORKSには、
- Standard
- Professional
- Premium
という3つのライセンスがありますが、いずれも法人が利用することを想定したソフトであったため、価格が個人向けとは言えませんでした。
けれど、個人向けのライセンスであるSOLIDWORKS for Makersが登場したことで、個人でも使いやすくなっています。
SOLIDWORKSの個人・法人との違い
SOLIDWORKSの個人向けと法人向けの違いとしてはまず、ライセンスの期間が挙げられます。
ライセンスの期間
個人向けのSOLIDWORKS for Makersで選べるのは、サブスクリプション契約のみです。
それに対して法人向けは、サブスクリプション契約の他に、永久ライセンスを購入することができます。
ライセンスの料金
また、料金の差が大きいです。
個人向けのSOLIDWORKS for Makersの利用料金は、年に99ドル、日本円にすると2万円以下です。
法人向けのサブスクリプション料金は、最も安いStandardでも年に約50万円かかります。
ライセンスの機能
機能面では、個人向けのSOLIDWORKS for Makersにいくつかの制限がかけられているのが、大きな違いです。個人向けはクラウドタイプとなっているため、使用するためには常時インターネットに接続できる環境が求められます。オフライン環境では使用不可です。
また、シミュレーションや解析などの機能も搭載されていません。
商用利用できるか
また、SOLIDWORKS for Makersは、あくまでも個人使用のためのライセンスです。
そのため、法人向けのように、商用目的で使うことができません。
個人事業であっても、ビジネス目的では使用不可能なので注意が必要です。
ただ、年間の利益が2,000ドルを上回らないのであれば、個人向けのSOLIDWORKS for Makersを使って制作したものを販売することはできます。
SOLIDWORKSの個人向け使い方3選
SOLIDWORKSは、多種多様な目的で使用することが可能です。
その中でも、個人向けの使い方として代表的なものを3つ紹介します。
3Dプリンターの造形に使用するモデル作成
個人が3DCADソフトを使用する目的として多いのは、3Dプリンター用のモデル作成です。
3Dプリンターはプラスチックの材料を使って、色々なものを作ることができます。
ただ、使用するためにはCADで作ったモデルが必要不可欠です。
そのモデルは、個人向けのSOLIDWORKSで作ることができます。
3Dプリンターを持っていれば、趣味の人形や実用的なプラスチック製品など、あらゆるものを作成可能です。日常的に使用しているプラスチック製品が破損したり紛失したりした際に、そのコピーを自分で用意するということも不可能ではありません。
また、3Dプリントの制作サービスと組み合わせるという使い方もあります。
3Dプリンターを持っていなくても、個人向けのSOLIDWORKS for Makersで作成した3Dモデルデータをサービス側に渡せば、制作してもらうことが可能です。
木工製品や機械製品を作る際の設計図作成
3Dプリンターを使用しない人でも、手作業で趣味のDIYで木工製品や機械製品を作ることがあるかもしれません。そのようなものを作る際の設計図を、個人向けのSOLIDWORKS for Makersで作成できます。
数多くの部品で構成された複雑な製品を作る場合、それぞれの部品の寸法や組み方などをあらかじめ決めておかなければなりません。
ただ、部品が多くなればなるほど、寸法の計測ミスや組み方の失敗といったトラブルが発生するリスクが高くなります。
個人向けのSOLIDWORKS for Makersで、立体的な設計図を作成した場合、そのようなトラブル発生のリスクを下げることが可能です。
また、ソフト内で完成した製品のモデルを確認できるので、完成した時のイメージをつかみやすいです。部品単位でもイメージを確認できるため、どういった部品を作るのかを具体的に把握することで、材料を加工する際のミスを減らせるでしょう。
ミドルレンジクラスCADソフトの使い方を覚える
将来的にCADを使った仕事をしたいと考えている人は、CADの使い方を学ぶためにSOLIDWORKS for Makersを用いると良いです。
数ある3DCADソフトの中でも、SOLIDWORKSは比較的操作がしやすいので、CADソフトの使い方を覚えるのにも適しています。
そして、個人向けのSOLIDWORKS for Makersを使いこなせるようになると、法人向けのSOLIDWORKSの基本的な機能も使用可能です。
よって、SOLIDWORKSを使える人材を必要としている現場で、活躍できる可能性があります。
また、まずは個人向けのSOLIDWORKS for Makersで基本のCADの使い方を学び、他のCADソフトについて学んでいくということも可能です。
個人向けのSOLIDWORKSを使うメリット
個人向けのSOLIDWORKS for Makersを使用するメリットは、複数あります。
具体的にどのようなメリットがあるのか、確認していきましょう。
ミドルレンジクラスのCADソフトをリーズナブルな料金で使える
個人向けのSOLIDWORKS for Makersは、ミドルレンジクラスの性能を持っていながら、料金が安いのが大きなメリットです。
ミドルレンジクラスのCADを使用しようとすると、法人向けのSOLIDWORKSと同様に、数十万円から数百万円の料金が必要となります。だからといって、低価格のローエンドソフトを選択すると、機能面がミドルレンジクラスとは違います。
ミドルレンジクラスの高い性能と、リーズナブルな料金を両立させられる数少ないソフトが、個人向けのSOLIDWORKS for Makersです。
CADの使い方を学ぶ際に躓きにくい
SOLIDWORKSは、数ある3DCADソフトの中でも、操作が簡単です。
そのため、初心者の人がCADの使い方を学ぶために使用しても、躓きにくいでしょう。
そして、SOLIDWORKSには、公式のガイドが数多く用意されています。
さらに、コミュニティに参加して、使用している人同士が相談をすることが可能です。
公式ガイドとコミュニティは、個人向けのSOLIDWORKS for Makersを利用している人でも問題なく使えます。よって、分からない部分が出てきたとしても、ガイドを参考にしたりコミュニティで他の人に訊ねたりして、早めに解決できるでしょう。
業界のシェア率が高くて学んだことを活かしやすい
将来の仕事で使うために、個人向けのSOLIDWORKS for Makersを使用する場合、習得したスキルを活かしやすいというメリットもあります。
なぜなら、SOLIDWORKSはシェア率が高いからです。
主流の3DCADソフトとして、SOLIDWORKSを取り入れている企業は数多くあります。
そのような企業であれば、即戦力になれる可能性が高いです。
個人でSOLIDWORKSを使用したということがステータスとなり、採用される確率が高まるかもしれません。
リーズナブルに使える個人向けのSOLIDWORKS for Makers
個人向けのSOLIDWORKS for Makersは、いくつかの制限こそあるものの、CADソフトとしては法人向けと大差のない使い方が可能です。
そして、料金がリーズナブルなので、継続的に利用することは難しくありません。
したがって、CADソフトを色々な目的で使いたいと考えている人は、個人向けのSOLIDWORKS for Makersを試してみると良いでしょう。
