3Dモデリングができるソフトウェアは複数ありますが、そのなかでも「多目的」「拡張性」に強いソフトを導入したいならRhinocerosがおすすめです。しかし、Rhinocerosがどのようなソフトなのかわからない人も多いでしょう。
そこでこの記事では、3DモデリングができるRhinocerosの概要や価格情報、使い方についてわかりやすくまとめました。無料の3Dモデリングソフトとの違いも紹介しているので、導入ソフト選びの参考にしてください。
3DモデリングができるRhinocerosとは?
Rhinocerosは、米国シアトルに本社をもつRobert McNeel & Associatesが開発・提供している3Dモデリングソフトです。1992年頃から提供が続いており、長い人気を保ち続けています。
またRhinocerosは、多業種で利用できる汎用性の高い3D機能が魅力です。
建設(土木・建築)、製造、機械、電気、デザイナー、宝飾など、ものづくりに関わる人たちから利用されています。
さらにRhinocerosは、日本語版としても提供されているため、導入のハードルも低めです。
直感的な操作だけで3Dモデリングを実施できるのはもちろん、拡張機能を使って自分だけの3Dモデリングソフトを構築できます。
Rhinocerosの3Dモデリング機能
Rhinocerosは、NURBSという数学的な手法を用いて3Dモデルを構築できるソフトウェアです。
滑らかかつ複雑な3Dモデリングに向いているソフトですので、ここでは挿入できるオブジェクトの概要を紹介します。
サーフェス
Rhinocerosに挿入できるサーフェスは、物体を面的に表現できる3D機能です。
3Dモデルをすべて面上に表示することから、内側に空間がある箱状のモデリングを実施できます。
また自由曲面をつくりやすいため、キャラクターデザインやインテリアデザインなどに適しています。
ソリッド
Rhinocerosのソリッドは、内側にも中身が詰まった物体として表現できる3D機能です。
前述したサーフェスと違い、面ではなく立体としてモデリングができます。
なお、ソリッドで作成する3Dモデルは、建設(土木・建築)および製造業などで多く利用されています。体積での表示が可能であることから、作成したモデルを3Dプリンターで出力することも可能です。
メッシュ
Rhinocerosのメッシュとは、以下の構成で作成された多角形表現ができる3D機能です。
- 頂点
- エッジ
- 面
鋭角な折り目を設けるモデリングなどで利用することが多く、格子状の面の幅を調整できるなど、曲線の滑らかさを自由にカスタマイズできます。主に製品設計や物理シミュレーションを必要とする業務で利用します。
Rhinocerosの買い切り価格
3DモデリングができるRhinocerosは、買い切り版として販売されています。
サブスクリプションのように月額支払が発生しないため、継続的な支払いを避けたいという人におすすめです。参考として以下に買い切り価格をまとめました。
製品 | 商用版(税込) | |
Rhinoceros8 |
フルパック | 187,000円 |
前バージョンのアップグレード | 110,000円 |
なお、Rhinocerosは完全な買い切りではなく、バージョンアップごとにアップグレード費用がかかる点に注意しなければなりません。数年に1回のペースでバージョンアップされているため、追加機能に必要性を感じた際には、アップグレードを検討しましょう。
Rhinocerosの学生・教員版は最大80%OFF

Rhinocerosを学業のために利用したいと考えている場合には、最大80%OFFで購入が可能です。
製品 | 学生および教員(税込) | 学校(税込) | |
Rhinoceros8 |
フルパック | 39,600円 | 198,000円 |
前バージョンのアップグレード | 19,800円 | 110,000円 |
また、学生・教員版の単一ライセンスをまとめて大量購入する場合には、最大90%OFFまで購入価格を抑えられます。商用版と同じ機能であるため、教育機関でRhinocerosの3Dモデリングをしたい場合には、お得に利用できると覚えておきましょう。
ただし、学生・教員版は教育機関のみが対象となるプランです。
ビジネスでの利用については、必ず商用版を契約しなければなりません。
無料3DモデリングソフトとRhinocerosの違い
3Dモデリングソフトのなかには、無料で利用できる製品も数多く提供されています。
そのため有料で導入する必要があるRhinocerosよりも無料3Dモデリングソフトを使ったほうがいいのではないかと考えている人も多いでしょう。
そこでここでは、Rhinocerosにあって、無料3Dモデリングソフトにない魅力をまとめました。
活用できる業種が多い
Rhinocerosは、3Dモデリングの機能が豊富であるため、業種を問わず気軽に利用できるのが魅力です。
例えば、無料3Dモデリングソフトの場合、特定の業種向けの機能しか搭載されておらず、思うようなモデリングを実施できないケースも少なくありません。一方でRhinocerosは、初期導入時から多業種向けの3Dモデリング機能が備わっています。
細かな設定をせずに、すばやく業務に適用できることから無料3Dモデリングソフトの対応範囲に不満を感じている人などが導入しています。
必要な3Dモデリングの機能を拡張できる
Rhinocerosには、3Dモデリングのクオリティを上げる次のようなプラグインが用意されています。
- レンダリングの設定を増やす「V-ray」「Lumion」
- パラメトリックデザインを視覚的に実施できる「Grasshopper」
- RhinocerosをBIM化する「VisualARQ」
- ランドスケープデザインに使える「Lands Design」
ほかにも豊富な拡張機能が用意されています。
無料3Dモデリングソフトによっては拡張性が少ないものもあるため、用途に合わせて自由なカスタマイズをしたいという人たちに人気です。
他ソフトとの互換性に優れる
Rhinocerosは、作成した3Dモデルのデータを、次のような他ソフトウェアにも共有できる互換性があります。
- Autodesk製品(AutoCADやRevit)
- SOLIDWORKS
- SketchUp
上記のソフトはあくまで一例ですが、ほかにも多種多様なデータ形式に対応しているのがRhinocerosの魅力です。
無料3Dモデリングソフトの場合、別のデータ変換ソフトを介しないと共有できない場合もあるため「自社で利用している他ソフトと連携したい」「他社(発注者や下請け)に共有しやすい3Dモデリングソフトがほしい」という人たちがRhinocerosを導入しています。
また、3DモデリングのなかでもCADとしての色が強い無料のソフトウェアを探している方は、以下の記事をチェックしてみてください。おすすめの無料CADソフトや、導入するメリット・デメリットについて詳しく解説しています。
Rhinocerosの3Dモデリングの使い方
Rhinocerosの3Dモデリングの使い方は、非常にシンプルです。
参考として、3Dモデル作成の手順をまとめました。
- Rhinocerosを起動してモデル空間を準備する
- コマンドから3D機能を選択してモデル空間上に挿入する
- 挿入・修正・調整などを加えつつ3Dモデルを構成していく
- 各オブジェクトにマテリアル(色や質感)を反映する
- 完成した3Dモデルデータを保存・出力(PDF印刷・3Dプリント)する
例えば、ゼロベースでさまざまな形状の3Dオブジェクトを組み合わせながら、ひとつのモデルを構築することができるほか、2D図面を読み込んだのちに、形状・寸法を合わせながら3Dモデリングを実施することも可能です。
なおRhinocerosは、3Dモデリングだけではなく2D図面の作成にも対応しています。
モデル空間には、上面・側面・3D表示など複数のビューを表示できるため、2D・3Dを切り替えながらモデリングを実施してはいかがでしょうか。
またRhinocerosの使い方や3Dモデリングの手順を独学で学びたい方は、以下の記事がおすすめです。建築初心者向けに覚えておきたい機能の使い方や、学習方法を解説しています。
Rhinocerosの3Dモデリングをセミナー講習で学ぼう
Rhinocerosには豊富な3Dモデリング機能が搭載されているため、なかには使い方を覚えきれないとお悩みの人も多いはずです。それならまずは、Rhinocerosのセミナー講習に参加して、基本操作やモデリングの流れをマスターするのがいいかもしれません。
例えば、Rhinocerosのセミナー講習に参加することで、次のスキルが短期間で身につきます。
- 基本操作の理解
- 3Dモデリング機能の把握
- モデリングの流れの理解
実践的に3Dモデリングを学べることはもちろん、短期集中型のセミナーに参加することで、すぐに業務でRhinocerosを活用できます。豊富なセミナーが開催されているため、まずは初心者向けのものに参加してみてはいかがでしょうか。
Rhinocerosの3Dモデリングについてまとめ
Rhinocerosは業種を問わず、多目的で利用できる3Dモデリングソフトです。
3Dを活用した豊富なモデリング機能が搭載されているのはもちろん、プラグインを利用して機能の追加にも対応しています。
また無料の3Dモデリングソフトと比べて、全体的な性能が高く、ハイクオリティなデザインが可能です。セミナー講習などに参加することにより、3Dモデリングの基礎を学べるため、Rhinocerosを使ってみたいという方は、自分に合うセミナー講習に参加してみてはいかがでしょうか。
