建築や設備の設計で広く使われている「Revit」を、さらに便利に使えるようにする仕組みがRevit APIです。しかし、具体的に何ができるのか、どのように導入できるのかわからないとお悩みではないでしょうか。
そこで、この記事ではRevit APIの概要やできること、使い方といった基本知識をわかりやすくまとめました。Revitの作業効率を上げたいという方は、導入の参考にしてみてください。
Revit APIとは?
Revit APIとは、Autodesk社が提供する「Revit」に搭載された機能を自由に拡張できる仕組みのことです。次のようなプログラミング言語を使うことで、Revitの標準システムではできない機能を付与できます。
- C#
- Python
操作中に考える「もっとこんな機能が欲しい」「この作業が手間だ」という悩みを解決でき、何度も発生する手作業を最小限に抑えられるのが魅力です。Revitの操作に不満を抱えている方は、ぜひRevit APIを導入してみてください。
なお、Revitの基礎本操作から学習したい方は、以下の記事がおすすめです。
Revit APIでできること
具体的にRevit APIで何ができるのか、代表例を以下にまとめました。
| できること | 具体例 |
|---|---|
| 作業の自動化 | ・図面の一括出力(複数PDFを一気に出力) ・数量拾い出しの自動化(数量表の作成) |
| カスタム機能の追加 | ・独自ルールでの図面チェック機能の追加 ・使いやすいショートカットボタンの制作 (業務でよく使う機能だけまとめるなど) |
| 外部ツールとの連携 | ・Excelやデータベースとの連携 ・クラウド連携で情報を共有 |
| AIとの連携 | ・生成AIと組み合わせて新たなAPIを制作する ・Model Context Protocolとの連携でAPIの自動生成 |
Revitの基本機能では、ある構造物を制作し、数量を算出するまでしかできないケースがあります。対して、Revit APIとして、建築基準法といった国の基準に則っているのかをチェックするツールをRevit内に直接反映できます。
バラバラのソフトを使わずにRevit内で作業を完結したいなら、Revit APIを使わない手はありません。
Revit APIのメリット・デメリット
Revit APIは追加機能を付与できる便利な仕組みである一方、難しさといった難点が存在します。参考として以下に、Revit APIを活用するメリット・デメリットを整理しました。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・作業自動化により本来の設計業務に集中できる ・チェック機能をつくることで人的ミスを減らせる ・外部ツールとの連携でデータを一元管理できる ・自社だけの「オリジナルRevit」を構築できる |
・開発にはプログラミング知識が必要 ・既存アドインはバージョンアップの管理が必要 ・学習やアドイン開発に時間がかかる ・個人開発に頼ると属人化しやすい |
便利である分、難易度が高い点に注意しなければなりません。
また、プログラミング等に精通した従業員がいる場合には、そのひとりに任せず、チーム全体でルールや構築の情報を共有することが大切です。Revit APIの開発は属人化しやすいため、担当者が離職した後でも使える環境を整えることが欠かせません。
入門者がRevit APIを活用する3つの方法
Revit APIについて「プログラミング経験がないと難しいのでは?」と感じる方も多いですが、入門者でも取り組める方法がいくつかあります。
ここでは、初心者が無理なく始められる方法から、プログラミングの基礎知識がある人向けの方法まで、3つの取り組み方を紹介します。
- AutodeskのApp Storeでアドインをインストールする
- C#・Pythonを用いてAPIを開発する
- 生成AIを用いてRevit APIを開発する
AutodeskのApp Storeでアドインをインストールする

入門者から簡単にRevit APIを活用したいなら、Autodesk公式サイトに公開されているアドインを導入するのがおすすめです。たとえば公式App Storeには、世界中の開発者がつくった次のジャンルのアドインが登録されています。
- 建築設計
- 機械設計
- 電気設計
- 給排水衛生設備設計
- 建設
- スケジューリング・生産性
- 注釈ツール
- 建築性能解析
- 構造シミュレーション/解析
- 相互運用性 など
基本的な拡張機能であれば、わざわざ自社で開発しなくとも、アドインの導入だけで済むケースも少なくありません。Revit作業画面の右上にある「カートマーク」から簡単にアクセスできるため、使えそうなRevit APIがないかチェックしてみてください。

ただし「外国語表示であるため使いづらい」「欲しいアドインが有料である」という場合には、後述する開発を検討してみるのも良いでしょう。
C#・Pythonを用いてAPIを開発する
社内にプログラミングに精通した従業員がいる場合には、C#やPythonといったプログラミング言語を用いてRevit APIを開発するのがおすすめです。なお、社内にAPI開発の担当者がいなくとも、次の方法で開発できます。
- 開発会社にRevit APIを制作してもらう(費用は高額)
- Revit API Docsを用いて自動生成する(品質についてはチェックが必要)
前述したApp Storeのアドインは開発されている機能だけしか使えませんが、直接APIを開発すれば、さらに自由度を増した機能を追加できます。
自社の独自作業をAPIに組み込めるほか、複数の機能を組み合わせて連続で動作させるといった効率化も実現できるので、自社専用Revit APIをつくりたいなら、開発を検討してみてください。
生成AIを用いてRevit APIを開発する

直近の動向として、現在は次のような生成AIでRevit APIを開発するといった手段が登場しています。
- ChatGPT
- Gemini
たとえば、上画像のように「寸法に小数点3ケタ以下の数値が入っている構造物を赤色で表示するチェック機能」を生成してもらいます。すると、次のコードが出力されました。
from Autodesk.Revit.DB import *
from Autodesk.Revit.UI import *
from Autodesk.Revit.UI.Selection import *
from Autodesk.Revit.ApplicationServices import *
from Autodesk.Revit.Exceptions import *
import clr
import math
# Revitのドキュメントを取得
doc = __revit__.ActiveUIDocument.Document
~一部省略~
except Exception as e:
print(“Error with element: {}”.format(e))
t.Commit()
TaskDialog.Show(“チェック完了”, “{} 個の寸法が赤色に表示されました”.format(count_flagged))
このように、プロさながらのRevit APIを出力してくれます。
ただし、出力精度が指示内容やバージョンで変化することもあるため、出力後の動作確認が必要です。
Revit APIの効率的な学習方法
Revit APIはとても便利ですが、プログラミングの初心者がいきなり挑戦しても挫折する可能性があります。
計画が頓挫してしまうと、そこにかかった時間が無駄になってしまうため、ここでは、Revit APIの開発を効率よく進める学習方法について紹介します。
基礎知識を開発者用ガイドやチュートリアルで身につけよう

まずはAutodesk公式サイトにある開発者向けガイド(Revit Developer Guide)・チュートリアルを読んで、開発の基礎を身につけることが大切です。
たとえば、上画像のページでは、Revit APIの開発手順が8つのレッスンに分けて紹介されています。以下にレッスンの概要をまとめました。
- 基本プラグインの知識
- プログラミングの概要
- コードに関する基礎知識
- デバッグの基礎知識
- グループ選択の機能紹介
- 部屋ジオメトリの取扱い
- プラグインの拡張
- 追加情報の提供
日本語ページも用意されているので、ひとつずつレッスンを進めていくだけでRevit APIの基礎が身につきます。
なお、Revitの基本操作に関するチュートリアルは、以下の記事でも解説しています。
フォーラムでRevit APIについて学ぶ

Revit APIの基礎を学習した後は、Revitのユーザーコミュニティである「フォーラム」を利用するのがおすすめです。
開発についてわからないことを相談できるのはもちろん、過去に質問された情報などを拾い集められます。有志の方たちが回答をくれるほか、開発に強いユーザーや運営側からの回答をもらえることも多いため、開発中の悩みなどはフォーラムで解決するのがおすすめです。
また、Revit APIを活用するためにはRevitの基本知識や操作方法を理解することが大切です。まだ使い始めたばかりだという方は、以下のセミナーを受講してみてください。
| セミナー名 | BIM・建築 3DCAD Revitセミナー講習 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 41,800円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
APIを自動生成できるRevit API Docsの使い方

効率よくRevit APIを開発したい人は、要望を入力するだけでAPIを自動生成してくれる「Revit API Docs」の使い方を覚えるのがおすすめです。
まずは、公式ページにある「Get Start(日本語ページだと始める)」をクリックしましょう。
画面が切り替わると登録画面が表示されるため、基本情報を入力して会員登録を済ませてください。

無事、会員登録が完了したら、Revit APIのエディターを使えるようになります。
たとえば、次のように生成したいコードの指示を出したところ、20秒程度でコードがつくり出されました。

なお、Revit API DocsのAI機能は月あたり50回までという制限があります。
まずはお試しで、自分が欲しいと思うAPIをつくってみてください。
Revit APIについてよくある質問
Revit APIについてよくある質問をまとめました。
Revit APIについてまとめ
Revit APIは、BIM業務における設計作業を効率化して、企業の動きに合ったオリジナル機能を追加できる便利な仕組みです。
Revit APIを使いこなせれば、手間や時間のかかる作業をカットし、メインの業務に集中しやすくなります。手作業や繰り返し作業が多いとお悩みなら、Revitの使い方だけでなく、API活用についても検討してみてはいかがでしょうか。