製品設計に利用するソフトウェアを探している人のなかには、NX CADが気になっている人も多いでしょう。しかし「使いにくい」という情報を見つけてしまい、それが本当なのか気にしていないでしょうか。
そこでこの記事では、NX CADが使いにくいと言われている原因やその解決策についてわかりやすくまとめました。
結論としてNX CADは使いにくいということはなく、逆に使いやすいソフトウェアです。
製品を利用する魅力も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
Siemensが提供するNX CADとは
NX CADとは、ドイツに本社を構える総合テクノロジー企業のSiemensが提供している、ハイエンドタイプの3DCADです。
主に製品設計や製造プロセスの構築に対応しており、作図作業はもちろん、3Dモデルの解析やシミュレーションなど幅広い機能をひとつのソフトウェアで実施できます。
なおNX CADには、クラウドベースでデータ管理ができる「NX X」、オンプレミス版として社内ネットワーク上で利用できる「NX」という2つのタイプが提供中です。
NX CADの概要をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
搭載されている機能や活用事例について解説しています。
SiemensのNX CADの価格
Siemensが提供しているNX CADは「NX」「NX X」でそれぞれ提供価格が異なります。
まず「NX」について、会社ごとにネットワーク環境を構築する必要があることから、要見積もりとして提供されています。詳しい金額をチェックしたい場合は、以下のボタンから見積もり依頼をしてください。
SiemensのNX Xの価格
つづいて「NX X」は公式サイト上にも価格が公開されています。
参考として、価格情報を以下に整理しました。
契約プラン | 価格(税込) | 搭載機能 |
NX X Design Standard | 1,079,901円/年 (89,992円/月) |
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NX X Design Advanced | 1,402,948円/年 (116,912円/月) |
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NX X Design Premium | 1,790,605円/年 ( 149,217円/月) |
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なお、NX X上でアドインをカスタマイズしたい場合には「NX X Value Based Licensing」という専用のプランもあります。
費用はかかるものの、100種類以上のNX X Designのアドオン・モジュールを効率よく実行できます。
NX CADが使いにくいというのは間違い
NX CADについて、ネット上に「使いにくい」という意見もありますが、実際には使いにくいと感じることはほとんどありません。逆に使いやすさの多いCADソフトだと言えます。
特に近年のNX CADには、アダプティブUIという人工知能を使った学習機能が備わっています。
NX CAD上でよく使うコマンドを予測して表示してくれるアダプティブUIパネルが常時表示されているため、直感的に必要な機能を使えるのが魅力です。
なおアダプティブUIは、画面右側に表示されているアイコンが、コマンドの使用回数、頻度に応じて自動で切り替わっていくのが特徴です。NX CADを操作するユーザーはわざわざコマンドのパネルを探すことなく機能を使えます。
ほかのCADソフトにはあまり搭載されていない機能ですので、使いにくいと感じることなく3Dモデリング等を進行できるでしょう。
NX CADが使いにくい理由と解決策
なぜNX CADが使いにくいと言われるのでしょうか。
ここでは、使いにくいと言われる理由や、使いにくいと感じやすいポイント、そしてその解決策を項目に分けて解説します。
ハイエンドCADソフトとして機能が多いため
NX CADはハイエンドタイプのCADソフトということで、ひとつのソフト内に次の機能がすべてまとまっているため、初心者から複雑で使いにくいと言われる場合があります。
- CAD
- CAM
- CAE
- PLM
製品設計の3Dモデリングのみならず、解析やモデリング、工程管理など幅広い作業に対応できるのがNX CADの強みです。一方で、使う頻度が低い機能も多く、なかには業務の関係上、まったく使わない機能があるかもしれません。
そのため、NX CADの初心者にとっては項目が多すぎて使いにくいと感じられやすいのが特徴です。ただし、上に掲載した新規作成画面の項目さえ覚えてしまえばあとは簡単です。
細かく機能が分かれているだけであるため、自身の業務でどの項目を使うのかを記憶してしまえば使いにくいという悩みからすぐに解放されます。
日本語化する手順が複雑であるため
NX CADが使いにくいと言われているのは、インストールした状態の初期設定が英語であるためです。また、ソフトの操作画面内を探しても言語変更の項目がありません。そのため英語表記のままNX CADを利用することとなり「使いにくい」と発言する人が出てきます。
英語表記で使いにくいという問題を解決したい人は、次の手順で日本語化の設定をしてください。
- パソコンのスタート画面で「システム環境変数の編集」を検索する
- 表示されたウィンドウにある「環境変数」をクリックする
- ウィンドウ下側の枠から「UGII_LANG」という項目を探す
- 編集ボタンをクリックして「english」から「Japanese」に変更する
これで、以下の画像のようにNX CADが日本語化されます。
若干、難しい操作が必要であることから、システム環境変数に触れることに慣れていない人などは「使いにくい」と感じてしまうかもしれません。
とはいえ設定手順はシンプルですので、英語の使いにくい状態から解放されましょう。
サブスクリプション形式で利用する必要があるため
NX CADは、継続的に支払いが必要なサブスクリプション形式であることから、もともと買い切り型のCADソフトを利用していた人たちから使いにくいと言われています。
サブスクリプション形式の場合、利用する期間が長ければ長いほど高額な支出が発生します。
またNX CADは年間100万円以上の費用がかかることから、安定的にNX CADを利用する機会がない人や会社の場合には、費用対効果を得にくいのがデメリットです。
ただし、NX CADは「今年は利用する」「今年は利用を控える」というようにスポット的な使い方ができます。使いにくいと感じやすいサブスクリプション形式も、使い方次第では費用を押さえながら利用できるのが魅力です。
コマンド操作手順が従来のCADソフトと違うため
NX CADは、従来のCADソフトとコマンド機能の利用手順が違う点が、導入したばかりの初心者から使いにくいと言われやすいです。
参考として以下に、コマンド機能の利用手順を整理しました。
- コマンドをクリックする
- 専用ウィンドウの条件を設定する
- 対象オブジェクトをウィンドウ内で選択する
- OKをクリックしてワークスペースに反映する
上記のうち、2・3の項目が従来のCADソフトと違うため、使いにくいと言われやすいです。
ただし、NX CADのコマンド機能はすべて上記の手順で統一されています。
一度使い方を覚えてしまえばスムーズな操作が可能であるため、すぐに使いにくいという悩みを解決できるでしょう。
使いにくいと言われるNX CADを利用する魅力
NX CADを利用する初心者や、ほかのCADソフトから乗り換えた人などから使いにくいと言われることのあるNX CADですが、次のような魅力を持っているとご存じでしょうか。
- 高精度な3Dモデリング機能が充実している
- 複雑な形状を直感的に設計できる
- 種類豊富な解析機能が搭載されている
製品設計に必要な機能がすべて備わっていることから、CADソフトでよくある「一部の検討を他社ソフトで対応する」といった手間をかけずに済みます。
自動車設計・船舶設計など特定の業種で利用するようなニッチな機能も豊富ですので、シンプルなCADソフトではなく、高性能なCADソフトを導入したいという場合には、NX CADを活用してみるとよいでしょう。
NXのCADの魅力を理解したら、ぜひ無料体験版の利用をスタートしてみてください。
なお、NXのCADの使い方を詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
NX CADの使いにくいから解放されるおすすめ参考書籍
NX CADは、現在英語版のペーパーバックしか販売されていない点も使いにくいと言われる理由のひとつです。参考書として利用できる書籍が英語であるため、英語が読める人しかNX CADについて学習できない点に注意しなければなりません。
そこで日本人におすすめなのが、参考書の代わりとなる「ディスカバリーセンター(NX CADの起動画面)」です。ディスカバリーセンターには初心者向けのチュートリアルが公開されているため、参考書の代わりにできます。
さらにWeb上にはSiemensのコミュニティページが用意されており、有志の方たちと使い方に関する知識の共有が可能です。日本語翻訳機能を使えばさまざまなコマンドの使い方をチェックできるので、参考書の代わりとして利用してみてください。
また実際にNX CADが使いにくいのかをチェックしたい方は、以下より無料体験版を利用してみましょう。
使いにくいと言われているNX CADについてまとめ
NX CADは一部のユーザーから使いにくいとの声が挙がっていますが、それは使い方に慣れていないのが原因です。本記事で紹介した知識や使いにくい問題の解決策さえ覚えてしまえば、製品設計を効率化できる便利なツールへと変身します。
製品設計に使えるCADソフトのなかでもハイクオリティなソフトウェアですので、使いにくいのかをチェックするために、まずは無料体験版から利用してみてはいかがでしょうか。
