「MacBookでCADを使いたいけど、どのソフトが対応しているのかわからない」「Windows向けのソフトが多いけど、Macでも快適に使えるものはある?」と疑問を持つ方もいるでしょう。
MacBookはデザイン性や操作性の高さからクリエイターに人気ですが、CADソフトの対応状況はWindowsとは異なります。そのため、事前にMac対応のCADソフトを知り、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
本記事では、MacBookで使用できるおすすめのCADソフト7選を紹介し、選ぶ際の注意点やWindows版との違いについて解説します。
CADソフトはMacBookで使用できる?
CADソフトはMacで使用可能です。かつてはCADソフトの多くがWindows専用でしたが、現在ではMac対応のソフトも増えています。例えば、世界でもトップクラスのシェアを誇る「AutoCAD」や「Autodesk Fusion」といった業界標準のツールはMac版が提供されており、Windowsとほぼ同じ機能を利用可能です。
しかし、画面の構造が異なる、機能が使用できないケースも。また、一部のCADソフトは依然としてWindows専用のものもあるため、使用したいソフトがMacに対応しているか事前に確認することが大切です。
MacBookとWindowsの機能を比較
MacBookとWindowsにはさまざまな違いがあり、特にCADソフトを使用する際にはOSの違いや対応ソフト、ファイルの取り扱い、キーボード操作などに注意が必要です。以下の表を参考に、それぞれの特徴を比較してみましょう。
MacBook | Windows | |
OS | macOS(Apple開発) | Windows OS(Microsoft開発) |
対応CADソフト | 一部対応 | ほぼ全てのCADソフトが対応 |
ソフトウェアの種類 | クリエイティブ系に強い | ビジネス・工業系のソフトが充実 |
シェア率(日本) ※2024年9月時点 |
約12.88% | 約70.82% |
拡張子の扱い | 不要(メタデータで識別) | 必須(.exe、.dwg など) |
ショートカットキー | macOS独自の組み合わせ | 一般的なWindowsのキー配置 |
MacBookはデザインやクリエイティブ分野に強い一方で、CADソフトの対応範囲や拡張子の扱い、キーボード操作などの違いがあるため、用途に応じて選択しましょう。
MacBookで使用できるCADソフト
ここからはMacBookで使用できるCADソフトを7つ紹介します。
ソフト名 | 有料/無料 | 特徴 |
AutoCAD | 有料 |
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Autodesk Fusion | 有料 |
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Jw_cad | 無料 |
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Vectorworks | 有料 |
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Rhinoceros | 有料 |
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FreeCAD | 無料 |
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Blender | 無料 |
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ソフト①AutoCAD
AutoCADは、2Dおよび3Dの図面作成に対応した業界標準のCADソフトウェアで、建築、機械設計、土木など幅広い分野で利用されています。Mac版はWindows版と同様に高い精度と柔軟性を持ち、クラウド機能やモバイルアプリとも連携可能です。
他のCADソフトとの互換性が高く、カスタマイズ性にも優れているため、初心者からプロフェッショナルまで幅広く活用できます。以下より見積もり依頼や・疑問点などのお問い合わせが可能です。
ソフト②Autodesk Fusion
クラウドベースの3D CADソフトで、モデリングから解析、製造まで一貫して行えるオールインワンツールです。Mac環境でもスムーズに動作し、リモートワークやチームコラボレーションにも適しています。
高度なシミュレーション機能やジェネレーティブデザインを活用することで、設計の最適化が可能。CADとCAEが統合されているため、設計から試作までスムーズに進められ、特に製造業やエンジニアリング分野で高く評価されています。
ソフト③Jw_cad
Jw_cadは、建築設計や製図に特化した無料の2D CADソフトで、日本国内で広く利用されています。Windows版が主流ですが、Macでも一部の互換ソフトを通じて使用が可能です。シンプルなインターフェースとマウス操作中心の設計により、初心者でも簡単に作図できます
建具や設備の作図機能や日影図の作成機能も搭載されており、建築設計に特化したツールとして重宝されています。ただし、公式のMac対応版はないため、動作環境には注意が必要です。
Jw_cadの操作スキルを短期間で身につけたい方は以下のリンクからセミナーの受講を検討してみてください。
ソフト④Vectorworks
Vectorworksは、建築、ランドスケープ、舞台設計など多岐にわたる分野で利用される高機能なCADソフトです。2D作図と3Dモデリングの両方に対応し、BIM機能も標準搭載されているため、建築業界で特に高い評価を受けています。
Mac環境との相性も良く、直感的な操作性と高い精度を兼ね備えています。さらに、プレゼンテーション用のCGやVR/AR機能、表計算機能も統合されており、設計から施工まで一貫してサポートできるのが特徴です。
ソフト⑤Rhinoceros
Rhinocerosは、NURBSモデリングを活用した高度な3DCADソフトで、曲面デザインに強みがあります。建築設計、プロダクトデザイン、自動車デザインなど、複雑な形状のモデリングが求められる業界で広く使用されています。
Mac版でもWindows版と同等の機能を備えており、さまざまなファイル形式に対応。他の3Dソフトとの互換性が高く、MacBookでもWindows同様に使いやすいでしょう。
Rhinocerosの操作スキルを短期間で身につけたい方は以下のリンクからセミナーの受講を検討してみてください。
ソフト⑥FreeCAD
FreeCADは、無料で利用できるオープンソースの3DCADソフトで、建築や製造業向けの設計に適しています。パラメトリックモデリング機能を搭載しており、設計変更が容易で、プロ仕様の機能も多く備えています。
Mac環境でも動作し、モジュール構造により、必要に応じて機能を拡張できるのが特徴です。また、多様なファイル形式をサポートしており、他のCADソフトと連携しながら柔軟な設計が可能です。
ソフト⑦Blender
Blenderは、3Dモデリングやレンダリング、アニメーション制作に対応した無料のオープンソースソフトウェアで、Macでも快適に使用できます。CAD用途としても活用でき、特に3Dデザインやビジュアライゼーションの分野で強みを発揮します。
無料のチュートリアル動画やユーザーコミュニティがあり、初心者でも学びやすいでしょう。また、商用利用が可能なため、個人クリエイターや企業のプロジェクトにも適しています。
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MacBookでCADソフトを使用するメリット
MacBookでCADソフトを使用するか迷っている場合は以下のメリットを確認してみましょう。
- ディスプレイの解像が高い
- Mac版限定の機能がある
- セキュリティが高い
メリット①ディスプレイの解像が高い
MacBookはRetinaディスプレイを搭載しており、Windowsよりも高解像度かつ高精細な画面表示が可能です。つまり、CADソフトを使用する際に細かい設計図や3Dモデルのディテールを鮮明に確認できるため、より正確な作業が可能になります。
また、色再現性にも優れており、デザインの視認性が向上するため、建築設計やプロダクトデザインなどの精密な作業に最適。文字やグラフィックの表示も滑らかで、長時間の作業でも目の疲れを軽減できるのはメリットです。
モバイルワークでも高精細なディスプレイを活用できるため、どこでも快適に作業を進められます。
メリット②Mac版限定の機能がある
一部のCADソフトにはMac版専用の機能が搭載されており、Windows版にはない操作性や機能面での利点があります。
例えば、AutoCAD for Macはマルチタッチジェスチャーに対応しており、トラックパッドを活用したスムーズなズーム操作が可能です。また、macOSとの統合機能を活かして、iCloudを利用したデータ共有や、Appleのエコシステムと連携した作業ができるため、Macユーザーにとっては便利と言えるでしょう。
AutoCAD for Macの操作
ここでは、AutoCAD for MacとWindows版の違いについて解説します。まずは作業画面の違いです。以下のようにMacでは、画面左に図形などのコマンドがありますが、Windowsでは画面上に機能があります。
【Mac版】
【Windows版】
ただし、作業方法などは変わりません。例えば、Macで長方形を作成する際は、左のコマンドから選択し、数値を入力して作成します。
Mac版とWindowsで使用できる機能に違いはあるものの、作業方法自体は変わりません。
メリット③セキュリティが高い
MacはUnixベースのmacOSを採用しており、Windowsに比べてウイルスやマルウェアの脅威が少なく、安全にCADソフトを使用できます。AppleのGatekeeper機能により、不正なソフトウェアのインストールを防ぐことができ、信頼性の高いアプリケーションのみを利用可能です。
また、定期的なmacOSのアップデートによって、セキュリティの脆弱性が修正されるため、安心して作業を続けられます。クラウド機能と連携して、データのバックアップや暗号化を行うことで情報漏洩を防ぐこともでき、機密性の高い設計データを扱うエンジニアやデザイナーにとってメリットと言えるでしょう。
MacBookでCADソフトを使用する際の注意点
MacBookでCADソフトを使用するメリットがある一方で、注意点もあります。使用する際は以下3つの点に注意しましょう。
- Windowsを利用しているユーザーの方が多い
- Windowsでしか使用できない機能がある
- ファイル形式が対応していない場合もある
注意点①Windowsを利用しているユーザーの方が多い
先述した通り、Windowsを使用しているユーザーの方が圧倒的に多く、建築や製造業界ではWindows専用のソフトウェアが主流となっています。そのため、MacBookでCADを使用する場合、社内や取引先と環境が異なり、データのやり取りがスムーズに行えない可能性があります。
Macを使用することで業務に影響が出る可能性は高いため、周囲の環境や互換性を事前に確認することが重要です。
注意点②Windowsでしか使用できない機能がある
Mac版のCADソフトは、Windows版に比べて一部の機能が制限されている場合があるため注意が必要です。
例えば、AutoCAD for MacはWindows版とほぼ同等の機能を備えていますが、自動化で使用されるLISPやVBAなどのスクリプト機能が制限されているため、業務効率に支障が出る場合も。また、一部のソフトウェアでは解析機能やレンダリング機能がWindows版でのみ提供されていることがあり、Mac版では代替ツールを使用する必要が出てくることもあります。
注意点③ファイル形式が対応していない場合もある
業界標準のファイル形式であるDWGやDXFは、多くのソフトでサポートされていますが、Windows版とMac版の間で互換性がない場合もあります。その場合は、変換ツールを使用しなければいけません。
また、Macのファイル管理システムでは拡張子を省略できる仕様のため、Windows側で開く際に正常に認識されない可能性も。クライアントや取引先とデータを共有する際にフォーマット変換が必要になり、作業工程が増えることを考慮しておきましょう。
MacBookでCADソフト使用についてのまとめ
MacBookでCADソフトを使用する際には、高解像度ディスプレイや直感的な操作性、セキュリティの高さといったメリットがあります。一方で、Windows専用のCADソフトが多いことや、一部の機能制限、ファイル形式の互換性といった注意点もあります。
Mac対応のCADソフトを選ぶ際には、用途に合った機能が備わっているか、業界標準のフォーマットに対応しているかを事前に確認することが重要です。ぜひ、本記事を参考にMacBookでCADソフトを導入するか検討してみてください。
