建築設計に興味はあるけれど、CADソフトは難しそう…そんな風に思っていませんか?実は、Jw_cadを使えば、初心者でも驚くほど簡単に建築図面を作成できるんです。
Jw_cadは、日本製の無料CADソフトとして広く知られており、操作が簡単で直感的に使える点が魅力です。建築図面を作成するために必要な機能が全て揃っており、しかも無料で利用できるため、コストをかけずに建築設計を始めることができます。
この記事では、Jw_cadの初心者向けガイドとして、以下の内容をわかりやすく解説していきます。
Jw_cadによる建築図面の種類
図面を作る目的を説明していきます。図面には、工事を依頼した時に工事請負契約において、注文者と請負者の間で認識の食い違いをなくす大事な目的があります。家は、お店で販売している製品を購入するのではなく、細かいところまで全てがオーダーとなります。
建築図面は建築するものに対して、相互で認識を共有しておかないと、家が完成してからイメージと違う結果になる恐れを防ぐためにあります。
また、その他にも家を建てる時に必要な建築確認のために申請手続きや、どのような工事が必要かを工事現場に伝える目的もあります。
おもな建築図面の種類は以下の表の通りです。
図面名称 | コンテンツ |
配置図 | 建築物が経つ敷地の形状および道路や建築物の位置関係を表した図面 |
平面図 | 建築物の各階の床上から1m~1.5mくらいのところで水平に切断し、真上から下を見た様子を表した図面 |
立面図 | 建築物の外面を指定した方向(東西南北)から眺めた様子を表した図面 |
断面図 | 建築物を指定したところで鉛直に切断し、矢印方向に見た様子を表した図面 |
屋根伏図 | 建築物を真上から見た屋根の形状を平面的に表した図面 |
矩計図(かなばかり図) | 建築物を指定したところで鉛直に切断し、切断方向を詳細に表した図面 |
鉛直と垂直の違いとは?
鉛直と垂直は、建築業界でよく使われる言葉なので違いを理解してください。どちらも「まっすぐ」や「直角」といったイメージを持つ言葉ですが、厳密には異なる意味を持ちます。
鉛直とは、地球の中心に向かって引かれる重力の方向を指します。つまり、重力に引かれて物体が自然に落ちる方向が鉛直方向です。鉛直線は、重力の方向を示す線であり、地球上のどの地点でも常に一定の方向を指します。
垂直は、ある面に対して直角な方向を指します。例えば、床に対して垂直な線は、床に対して90度の角度で交わる線です。垂直は相対的な概念であり、基準となる面によって垂直の方向は変わります。
断面図と矩計図(かなばかり)の違いとは?
断面図と矩計図は、どちらも建物の構造を理解するために用いられる図面ですが、詳細さに違いがあります。断面図は、建物をある箇所で切り取った断面を表現した図面です。主に建物の高さや各階の床高、屋根の形状などを把握するために用いられます。断面図では、壁の中身や基礎の詳細までは描かれていません。
矩計図(かなばかりず)は、断面図よりも詳細な情報が記載された図面です。建物を垂直に切断した際に現れる、基礎から屋根までのすべての構造要素が詳細に描かれています。床下や壁の中、天井裏の構造、断熱材の種類や厚み、配管の位置など、建物の性能を評価する上で重要な情報が盛り込まれています。
建築図面の用紙の大きさは決まっているの?
建築図面といえば、大きな紙に緻密な線が描かれたイメージが強いのではないでしょうか。なぜ建築図面は、他の書類よりも大きなサイズの用紙が使われることが多いのでしょうか?建築図面の用紙サイズについて、その理由や特徴を解説します。
建築図面はなぜ大きな図面を使うのか?
建築図面は、建物の全体像や細部までを正確に表現する必要があります。そのため、多くの情報を盛り込むことができる大きなサイズの用紙が適しているのです。
詳細な表現:建物の構造や設備、材料などを、より詳細に表現するためには、広いスペースが必要です。
複数の図面を配置:平面図、立面図、断面図など、複数の図面を一つの用紙に配置することで、建物の全体像を把握しやすくなります。
現場での利用:現場で図面を広げて確認する場合、ある程度の大きさがないと、細かい部分が見えにくくなってしまいます。
建築図面で一般的に使用される用紙サイズは、A1やA2です
A1サイズとA2サイズのイメージは以下の通りです。
- A1サイズ
新聞2ページ分の大きさです。比較的大きな図面で、建物の全体図や詳細図を表現する際に使用されます。 - A2サイズ
新聞1ページ分の大きさです。建築図面としては十分な大きさで、平面図の一部や、詳細図を拡大して描く際に使用されます。
建築図面で使用されるA系列の規格の表
仕様名 | 用紙サイズ(寸法 ヨコ㎜ × タテ㎜) |
A0 | 841 × 1,189 |
A1 | 594 × 841 |
A2 | 420 × 594 |
A3 | 297 × 420 |
A4 | 210 × 297 |
Jw_cadで建築図面を簡単に作れる
Jw_cadは、建築設計や製図に使われる無料のCADソフトとして、多くのユーザーから支持されています。その最大の特徴は、初心者でも扱いやすいシンプルなインターフェースと、高機能な設計ツールが備わっている点です。
Jw_cadは操作が直観的
Jw_cadは軽量でありながら、プロフェッショナルが使用するCADソフトに引けを取らない豊富な機能を持っているため、個人から企業まで幅広く利用されています。Jw_cadのもう一つの魅力は、他のCADソフトと比べて操作が直感的で、図面作成の基本を素早く習得できることです。
たとえば、基本的な線の描画や寸法設定、図形の作成は、初心者でも簡単に操作可能です。さらに、ショートカットキーやカスタマイズ可能な設定が用意されているため、自分好みの作業環境を整えることもできます。
Jw_cadはフリーソフト
Jw_cadはフリーソフトであり、コストを抑えつつ高品質な図面を作成したい方に最適です。数多くのユーザーコミュニティやサポートも充実しており、困ったときにはオンラインで解決策を見つけることも容易です。Jw_cadを利用すれば、誰でも気軽に高品質な設計を始めることです。
Jw_cadのインストールについてはこちらの記事を参考してください。
Jw_cadによる建築図面を描くための操作を覚えよう
本記事では、Jw_cadを使って建築図面を描くための基本操作をわかりやすく解説します。まず、線を描く操作が図面作成の基本となります。Jw_cadでは、クリックとドラッグだけで簡単に線を引くことができ、壁や間取りなどの要素を素早く描画できます。
次に、図形の作成や寸法の設定も重要です。四角形や円といった基本的な形状を描き、寸法を正確に入力することで、実際の建物サイズに合わせた図面を作成できるようになります。
さらに、レイヤー機能を使いこなすことで、異なる要素(例えば壁、窓、家具など)を整理して管理できるようになります。
これにより、複雑な建築図面でもスムーズに編集や変更が可能です。
また、ショートカットキーを覚えることで、作業効率が大幅にアップし、よりスピーディーに作業を進められるでしょう。
Jw_cadの操作はシンプルで初心者にもやさしい設計になっています。少しずつ基本をマスターしながら、自分のペースで建築図面を描いてみましょう。
基本的な操作についてはこちらの記事を参考にしてください
Jw_cadによる建築図面を描くための設定方法
Jw_cadで建築図面を描く際、正しい設定を行うことがスムーズな作業の鍵となります。初心者でも簡単に設定できるJw_cadのカスタマイズ機能を活用すれば、建築図面を正確かつ効率的に描けるようになります。
この章では、Jw_cadで建築図面を描くために必要な基本設定を解説します。
Jw_cadによる建築図面の用紙サイズを設定する
この記事では、家庭用プリンターに合わせて、用紙サイズをA4サイズで設定します。Jw_cadで建築図面を作成する際には、用紙サイズを適切に設定することが重要です。
Jw_cadを起動してください
Jw_cadを起動するには、デスクトップのアイコンをダブルクリックするか、スタートメニューからJw_cadのプログラムを探してクリックします。
用紙サイズを設定
Jw_cadで用紙サイズを設定する方法は、以下の手順で行います。
- ステータスバーの確認:画面下部にあるステータスバーの「用紙サイズボタン」の箇所を確認します。
- 用ステータスバーの「用紙サ紙サイズの設定:イズボタン」の箇所をクリックします。
- ドロップダウンメニュー:希望の用紙サイズ(A0、A1、A2など)を選択します。ここでは「A4」を選択します。
- 図面枠の作成:用紙サイズに合わせて図面枠を作成します。
用紙枠が表示されない場合の設定
下記図のようにJw_cadで図面枠が表示されない場合は、以下の設定を確認しましょう。
- ツールバーの「設定」から「基本設定」を選択する
- 設定表から設定(1)をクリックする。
- 設定(1)から「図面枠を表示する」にチェックを入れる。
- 図面枠が表示されます。
Jw_cadで建築図面の図面枠を描いてみよう
図面枠を描くことは、建築図面に関わらず最も大事なことです。図面枠は、図面が描かれている範囲を明確に区切ります。これにより、図面全体の構成や各要素の位置関係を把握しやすくなり、図面を読み解く際の視覚的な整理に役立ちます。
図面枠を描く目的は下記です。
- 図面の範囲を示す
- 図面の見栄えを良くする
- 図面を保護する
- 図面の管理を容易にする
Jw_cadで建築図面を保存しよう
Jw_cadで建築図面を保存する際は、JWW形式が一般的です。保存する際は、定期的なバックアップと分かりやすいファイル名の命名を心がけましょう。
これから、平面図を描きますので、ファイル名を「平面図」にしましょう。
- ツールバーから「ファイル」を選択する
- メニュー欄から「名前を付けて保存」を選択する
- 任意の保存先を選択する
- ファイル名を入力する:平面図を入力する
- 「OK」を選択する
- 任意の場所に「平面図.jww」が保存される
図面枠と表題欄を作図をしてみよう
Jw_cadで図面枠と表題欄を作図してみましょう。図面枠は図面の範囲を示し、表題欄には図面に関する情報(図面名、作成日など)を記入します。線種や文字を使い、図面の見栄えを良くしましょう。
- 図面枠と表題欄用のレイヤーはFグループに作図します
- 縮尺は1:1にします
- 用紙サイズはA4です
図面枠を描く
図面枠とは、図面全体を囲む枠のことです。図面の範囲を示し、図面の見栄えを良くする役割があります。図面枠上に補助線を目安に枠を描き、その内側10㎜に超極太線の実線で枠を描きます。
- タイトルバーの「設定」から「線属性」を選択する
- 線属性一覧から「補助線色」と「補助線種」をクリックしチェックを入れる
- ツールバーから「□」を選択する
- 画面を縮小表示し、用紙枠が見えるようにする
- 短形「□」の始点と終点とし、用紙枠の左上と右下と順次、右クリックして短形を作図する
- ツールバーから「設定」を選択し「線属性」を選択する
- 「線属性」から「線色5」と「実線」をチェックしOKをクリックする
- ツールバーから「範囲」を選択し「選択範囲コマンド」で、用紙枠を囲むように選択する
- ツールバーから「複線」を選択する
- コントロールバー「複線間隔」ボックスに<10>を入力し、マウスをポインターを短形の内側に移動し複線を確定。
- 図面枠完成
表題欄の枠をかく
表題欄とは、図面の一角に設けられた、図面に関する情報をまとめた欄のことです。図面番号、図面名、作成者、作成日など、図面を管理するために必要な情報が記載されます。いわば図面の顔であり、図面を見る人が最初に目にする部分です。
Jw_cadで表題欄の枠を描くには、線分や矩形を使って枠を作成し、文字で項目を入力します。寸法を設定し、複線機能を利用すれば、簡単に描くことも可能です。
- ツールバーの「複線」コマンドが選択され、コントロールバー「複線間隔」ボックスが「10」になっていることを確認する
- 図面枠の下辺を右クリックする
- 10㎜離れた位置(上側)に赤色の複線が表示されるので、マウスを図面枠の内側に移動して複線確定をする
- 次に表題欄を分ける縦線を作図します
- ツールバーの「複線」コマンドが選択された状態のままで、コントロールバー「複線間隔」ボックスに<30>を入力す
- 操作を繰り返して、表題欄を分ける他の縦線を作図します
- 上記で作図した縦線を基に、3本の縦線を作図します。
- 作図した縦線を縮めて表題欄の区分けにします
- ツールバーから「伸縮」ボタンを選択します
- 「伸縮」コマンドで線を縮める操作は、縮めた時に線が残る側を指示し、縦線を表題欄の内部でクリックします
- 伸縮点の指示として、表題欄の線との交点を右クリックします
- 同じ操作で他の3本の線を縮める
表題欄に文字を記入してみよう
表題欄に文字を記入する目的は、図面の内容を明確にし、管理を容易にすることです。図面番号、図面名、作成者、作成日などを記載することで、図面を識別し、いつ誰が作成した図面か、どのような内容の図面かなどを一目で把握できます。これにより、図面の共有や保管、修正作業がスムーズに行えます。
Jw_cadで、表題欄に必要な文字を記入していきます。
- 「/」コマンドと「文字」コマンドを使います
- 文字を中央に配置するために、補助線を使って文字枠の目安線を作図します
- ツールバーから「設定」を選択し、「線属性」を選択します
- 線属性から「補助線色」と「補助線種」をクリックしてチェックを入れ、OKをクリックします
- ツールバーから「/」ボタンをクリックし、表題欄枠の各枠に対角線を2本作図します
- 文字を入力します
- ツールバーから「文字」ボタンを選択します
- コントロールバー左端の書き込み文字種ボタンを選択します
- 表示される「書き込み文字種変更」ダイアログで「文字種[4]」を選択します
- ダイアログが自動で閉じて、書き込み文字種ボタンが[[4]W=4 H=4 D=0.5 (2)]に変わったことを確認します
- コントールバーで「基点(左下)」ボタンをクリックし、表示される「文字基点設定」ダイアログで「中央」を選択します
- コントロールバー「基点(中央)」ボタンの切り替わりを確認します
- 「文字入力」ボックスに文字を入力し「Enter」キーを押して確定します
建築図面の表題欄が完成しました。
Jw_cadで建築図面を描くまとめ
今回は、Jw_cadで建築図面の図面枠の描き方について解説しました。図面枠とは、図面全体を囲む枠線のことです。単なる枠線に思えますが、図面枠は図面において非常に重要な役割を果たしています。
図面枠の役割は、図面が描かれている範囲を明確に区切り、図面の構成や各要素の位置関係を把握し、図面を読み解く際の視覚的な整理に役立ちます。また、図面枠内に表題欄を設けることで、図面に関する情報を整理し、図面の品質を高めることができます。
Jw_cadでの建築図面の図面枠の作図は、基本にしたがって進めていけば難しいことではありません。図面枠の作図は、図面作成する上での基本となりますので、この記事を参考に覚えてください。
