仕事を続けながら新しいスキルを身につけたいと思っても、受講費の高さにためらってしまう人は少なくありません。そんなときに活用できるのが「一般教育訓練給付制度」です。
一定の条件を満たすと、国から受講費の一部が支給される仕組みで、在職中でも利用できるのが特徴です。本記事では、一般教育訓練給付制度の内容や申請の流れ、対象となる資格や講座の具体例を交えながら、実際に使う際のポイントをわかりやすく解説します。
一般教育訓練給付制度とは
一般教育訓練給付制度は、働く人のスキル開発やキャリア形成を支援するために設けられた国の精度の一つです。厚生労働大臣が指定した講座を受講・修了すると、受講費用の一部が支給されます。
対象講座は約1万7千件あり、資格取得やスキルアップに役立つものが中心です。オンラインや夜間・週末に学べる講座も多く、仕事を続けながら無理なく学べるのが特徴となっています。
キャリアアップや転職を見据えて学びたい社会人にとって、一般教育訓練給付制度はたいへん活用価値の高い制度といえるでしょう。
また、関連する用語として「リスキリング」が存在します。以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご一読ください。
給付金の種類とそれぞれの違い
一般教育訓練給付制度の他にも、給付金の種類は主にもう2つ存在します。給付金の種類とそれぞれの違いを一覧表にしたものが、以下です。
| 区分 | 給付率・上限額 | 対象となる講座・内容 | 主な対象者・特徴 |
|---|---|---|---|
| 専門実践教育訓練 | 最大80%支給(上限64万円/年)
※2024年9月までの受講開始分は70%(上限56万円) |
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| 特定一般教育訓練 | 最大50%支給(上限25万円)
※2024年9月までの受講開始分は40%(上限20万円) |
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| 一般教育訓練 | 20%支給(上限10万円) |
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3種類の制度は、学びたい内容やキャリアの段階で使い分けるのがポイントです。
ざっくり分けると、専門実践は転職・再就職などに向けた実践的な学習ができ、特定一般は短期間で業務に役立つスキル習得ができ、そして一般教育訓練給付制度は働きながら資格取得を目指す人に適しています。
どんな人が受けられる?一般教育訓練給付制度の対象者の条件
一般教育訓練給付金制度はどんな人が受けられるのか、対象者の条件を一覧表にまとめたものが以下です。
| 条件 | 内容 | 補足・ポイント |
|---|---|---|
| 雇用保険の加入期間 |
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専門実践教育訓練は「通算2年以上」必要 |
| 受講開始時の状態 | 在職中または離職後1年以内 | 妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで延長申請した場合は、最長20年以内まで適用可能 |
| 対象となる講座 | 厚生労働大臣が指定した教育訓練講座(約17,000講座) | オンライン・夜間・土日対応の講座も多く、働きながらでも受講可能 |
| 再受給の条件 | 過去に教育訓練給付金を受け取った場合、前回支給日から3年以上経過していること | 受講開始前に必ず要件を確認する |
| 雇用形態 | 正社員・契約社員・派遣・パート・アルバイトなど | 雇用保険に加入していれば職種・雇用形態を問わず対象 |
| 支給要件の確認方法 | ハローワークまたはe-Govで手続き可能 | 「支給要件照会」を行うと、自分が対象か詳しく確認できる |
一般教育訓練給付制度は正社員でなくても受給できる
一般教育訓練給付制度は、雇用保険に一定期間加入している人なら、正社員だけでなく契約社員やパート、派遣社員も利用できます。働きながら受講できる講座も多く、離職後でも1年以内であれば申請可能です。
受給したことがある人は3年あけないと再利用できない
また一般教育訓練給付制度は、過去に給付を受けたことがある場合は、前回の支給日から3年以上経過していることが条件です。一般教育訓練給付制度の対象かどうか不安な場合は、ハローワークやe-Govで支給要件照会するのが確実でしょう。
給付金では公務員でも使える?
一般教育訓練給付制度は、公務員の方は原則として対象外となります。
なぜなら一般教育訓練給付金は、雇用保険に加入している人を対象とした制度だからです。公務員は雇用保険ではなく「共済組合」に加入しているため、この制度の適用を受けられません。
ただ、退職後に一般企業へ再就職し、一定期間雇用保険に加入した場合は、一般教育訓練給付制度を利用できるケースもあります。
申請の流れ5ステップ

ここからは、一般教育訓練給付金制度の申請の流れを、以下の5ステップで紹介していきます。
- 対象講座を探して決める
- 訓練前キャリアコンサルティング
- 申し込み・受講
- 受講修了後、必要書類を講座が発行
- ハローワークへ申請
①対象講座を探して決める
まずは、厚生労働省が指定する一般教育訓練給付制度の対象講座の中から、自分に合ったものを選びます。
対象講座は約1万7千件あり、厚労省の「教育訓練給付金講座検索システム」で検索できます。
②訓練前キャリアコンサルティング
一般教育訓練給付制度の対象講座を決めたら、受講前にキャリアコンサルティングを受けます。これは、受講内容が自分のキャリア目標に適しているかを確認するための重要なステップとなります。
ただ、こちらは専門実践教育訓練と特定一般教育訓練のみが対象で、一般教育訓練はキャリアコンサルティングはありません。
③申し込み・受講
キャリアコンサルティングを終えたら、選んだ講座に申し込みます。申し込みの際は、対象講座であることを必ず確認しましょう。
受講期間中は出席や課題の提出など、修了要件を満たす必要があります。
④受講修了後、必要書類を講座が発行
受講を修了すると、一般教育訓練給付制度の対象講座の運営機関から「教育訓練給付金支給申請書」や「修了証明書」などの必要書類が発行されます。
これらの書類はハローワークでの申請に必須となり、紛失や不備があると申請できないため、大切に保管しておきましょう。
⑤ハローワークへ申請
必要書類を揃えたら、修了日の翌日から1か月以内にハローワークへ申請します。窓口申請のほか、e-Govを利用した電子申請も可能です。
申請内容が確認され、支給が認められると、指定口座に給付金が振り込まれます。一般教育訓練給付制度は期限を過ぎると無効になるため、早めの申請を心がけましょう。
実際に支給される金額の例
一般教育訓練給付金では、受講費用の20%(上限10万円)が支給されます。たとえば、受講料が5万円の講座なら1万円、10万円なら2万円、50万円の講座なら上限の10万円が支給されます。
ちなみに特定一般教育訓練では最大25万円、専門実践教育訓練では年間最大64万円まで受け取れる場合もあります。ただ、講座や受講時期によって給付率が異なるため、事前に確認しておきましょう。
一般教育訓練給付制度を使うメリット・デメリット
一般教育訓練給付制度を使うメリット・デメリットを一覧表にすると、以下のようになります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 受講費用の一部が支給され、自己負担を軽減できる | 厚生労働大臣が指定した講座でないと対象外になる |
| 在職中でも利用でき、キャリアアップの機会を得やすい | 申請や確認などの手続きが多く、準備に時間がかかる |
| オンラインや夜間講座もあり、働きながら受講しやすい | 給付金の上限があり、高額講座では自己負担が残る |
| 公的支援制度のため、安心して学習に取り組める | 給付には雇用保険の加入期間など条件を満たす必要がある |
制度を上手に活用すれば、金銭的な負担を抑えながら新しいスキルを習得ますが、講座の指定や申請条件などの制約も多く、事前確認は欠かせません。
自分の目的や働き方に合った講座を選び、手続きを計画的に進めることが大切です。
一般教育訓練給付制度の対象となる製造・CAD系資格
ここでは、一般教育訓練給付制度の対象となる製造・CAD系資格を紹介していきます。
- CAD利用技術者検定
- Webクリエイター能力認定試験
- 電気主任技術者試験
①CAD利用技術者検定
設計や製造の現場で欠かせないCADスキルを証明する資格です。AutoCADやFusion360など、実務で使用するソフトの理解度を測ります。
資格を取得することで、設計補助や製図業務の精度向上につながり、製造・建設・機械設計など幅広い分野での評価が高まるでしょう。そもそもCADについてよく知らない方は、以下の記事が参考になりますので、ぜひお読みください。
②Webクリエイター能力認定試験
Webデザインやコーディングの基礎を身につけ、HTMLやCSSを使ったサイト制作スキルを証明できる資格です。
製造業でも、自社サイトや製品紹介ページを担当する機会が増えており、設計×デジタルスキルを兼ね備えた人材として活躍の場が広がります。
③電気主任技術者試験
工場やオフィスビルなどの電気設備を管理・保守できる国家資格です。設備トラブルの予防やエネルギーコスト削減にも関わる重要な専門職であり、製造現場では特に重宝されます。
難易度は高いものの、資格取得後はキャリアアップや収入増加が期待できる実践的な資格です。
給付制度の対象外でも費用対効果の高い講座はある
ここまで、一般教育訓練給付金制度の対象資格などを紹介してきましたが、対象外の講座やセミナーでも、リーズナブルかつ内容が充実しているものは存在します。ここでは、以下のセミナーをご紹介します。
- AutoCAD基礎セミナー講習
- Python基礎セミナー講習
- 生成AIセミナー
①AutoCAD基礎セミナー講習

AutoCAD基礎セミナー講習は、設計や製造業で広く使われるAutoCADの操作を、初心者から実務レベルまで体系的に学べる講座です。画面設定からオブジェクト作図、寸法・注釈・テンプレートの設定、さらに生成AIを活用した自動作図まで網羅しています。
実務ですぐに役立つスキルを短期間で身につけられる点が魅力で、給付制度の対象外でも、費用に対して得られる効果が大きく、現場で即戦力を目指す方におすすめです。
| セミナー名 | AutoCAD基礎セミナー講習 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 29,500円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
②Python基礎セミナー講習

Python基礎セミナー講習は、プログラミング未経験からでも、Pythonの基礎から応用までを短期間で習得できる集中講座です。環境構築から文法、データ分析、Webスクレイピング、画像処理、AIプログラムの実装まで幅広く学べます。
Excel処理の自動化や業務効率化など、実務に直結するスキルを習得可能です。Python資格試験の対策にも有効で、IT・製造業問わずスキルアップに最適な講座です。
| セミナー名 | Python基礎セミナー講習 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 27,500円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
③生成AIセミナー

生成AIセミナーは、話題の生成AIを、初心者でも体系的に学べる短期集中講座です。ChatGPTやCopilotなどの最新ツールを活用しながら、プロンプトエンジニアリングや業務効率化の手法を実践的に習得できます。
画像・動画・コード生成のほか、独自のChatGPT構築まで体験できる内容で、AI活用を実務に結びつけたい人に最適です。
セミナー名 生成AIセミナー 運営元 GETT Proskill(ゲット プロスキル) 価格(税込) 27,500円〜 開催期間 2日間 受講形式 対面(東京・名古屋・大阪)・eラーニング
一般教育訓練給付制度に関するよくある質問
最後に、一般教育訓練給付制度に関するよくある質問に答えていきます。
一般教育訓練給付制度についてまとめ
一般教育訓練給付制度は、スキルアップやキャリア形成を後押ししてくれる心強い支援策です。条件を満たせば、仕事を続けながらでも負担を抑えてスキルアップできます。
資格取得や転職、キャリアチェンジなど、将来への投資として活用する価値は十分にあります。制度を上手に利用し、可能性を広げる一歩を踏み出してみてください。