E資格とは、AI技術の中でも代表的なディープラーニングに関する知識や技能レベルを認定する資格です。AIを活用したサービスが社会に広がっていく中で、近年注目を集めつつある資格の一つです。
今回は、E資格の試験日程や難易度、シラバス、学習に最適な書籍について解説していきます。
現在AIに関わる業務に従事している方や、E資格の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
E資格とは
E資格とは、日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催しており、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する試験です。
ディープラーニングはAI開発における中核的な技術であり、近年特に注目を集めています。
E資格が必要とされる理由
第3次AIブームにより、多くの企業がAIを活用した事業の展開に乗り出しています。
しかし、AI人材は企業の需要に対して不足しています。
経済産業省が2019年4月に発表した「IT人材需給に関する調査」によると、平均シナリオの場合、AI人材は2030年にはおよそ12.4万人不足すると予測されています。
そのような中で、E資格は世界初のAI資格として注目を集めています。
E資格はエンジニアを対象としたAI資格であり、ディープラーニングの実装を担える人材を増やすことを目的に作られました。今後、一層注目が集まる資格といえるでしょう。
E資格の試験概要
続いては、E資格の試験概要について解説していきます。
E資格を受験するためには、日本ディープラーニング協会の認定プログラムを修了する必要があるため注意が必要です。
E資格の受験資格
E資格の受験資格には、日本ディープラーニング協会の認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了することが定められています。そのため、E資格の取得を目指す方は、まずは日本ディープラーニング協会認定プログラムに参加する必要があります。
認定プログラムには、初学者向けから実務経験者向けまでさまざまな内容があるため、自身の経験や知識にあったプログラムを選択しましょう。
認定プログラムを受講しながらE資格について学びたい場合は「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」が非常におすすめです。
E資格対策講座ではE資格へ合格するための知識とともに、受講すると日本ディープラーニング協会の認定プログラムに参加したことになります。
一石二鳥でとても時短になるので、ぜひこの機会にE資格対策講座を受講してみてください。
E資格の受験会場と試験時間
E資格は、全国各地の会場で試験が開催されています。
受験者は任意の試験会場を選択して受験することができます。
試験時間は120分間であり、会場に用意されたパソコンを使用して解答する「CBT方式」によって行われます。
E資格の問題形式と問題数
E資格の問題形式は多肢選択式で行われ、105問程度の問題数が出題されます。
試験時間が120分であるため、1問あたり1分程度のスピードで回答していく必要があります。
E資格のシラバス
E資格の試験範囲はシラバスに基づいて出題されます。
出題範囲は、
- 数学的基礎
- 機械学習
- 深層学習の基礎
- 深層学習の応用
- 開発・運用環境
に大別されており、プログラミング言語のPythonの知識と特定のフレームワークに依存しない形式で問題が出題されるとされています。
E資格の受験費用
E資格の受験費用は、次のようになっています。
受験費用(税込) | |
一般 | 33,000円 |
学生 | 22,000円 |
会員 | 27,500円 |
一般受験では、受験者数が5名以上の場合は団体申込が可能です。
E資格の試験日
続いて、E資格の試験日について解説します。
試験日程を把握することで、計画的に学習を進めていきましょう。
試験日程
E資格の試験日程は、2024年実施分で下の表のとおりです。
2024#1 | 2024年2月16日(金) |
2024年2月17日(土) | |
2024年2月18日(日) | |
2024#2 | 2024年8月30日(金) |
2024年8月31日(土) | |
2024年9月1日(日) |
E資格試験日までの流れ
それでは、E資格試験日までの流れを以下の4つのステップに分けて詳しく説明していきます。
- 試験日を決める
- JDLA認定プログラムの受講
- E資格受験の申込み
- 試験当日
ステップ1.試験日を決める
まず最初に、試験日を決めることが重要です。
E資格試験は年に2回実施されるため、自分のスケジュールに合わせて適切な試験日を選びましょう。試験日はJDLAの公式サイトでも確認できるので最新の情報をチェックしてください。
また、試験日を決める際には、自分の学習計画と進捗状況を考慮することが大切です。
試験準備には、一般的に数ヶ月の学習期間が必要ですので、計画的に試験日を決めると良いでしょう。
ステップ2.JDLA認定プログラムの受講
E資格を受験するためには、JDLA認定プログラムを受講し、試験日の過去2年以内に修了することが必須です。
多くの教育機関が認定プログラムを提供しており、オンラインやオフラインで受講できますが、今回おすすめするのは、AI研究所が提供する「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」です。AI研究所のE資格対策ディープラーニング短期集中講座は、E資格対策に特化したプログラムを提供しています。
この講座の特徴は以下のものが挙げられます。
- 短期集中型のカリキュラムで、必要な知識を効率よく学べる
- ディープラーニングの基礎から応用までを実践的に学ぶことができる
- 経験豊富な講師陣の指導とサポート
- 受講スタイルが会場・ライブウェビナー・eラーニングから選択可能
ステップ3.E資格受験の申込み
認定プログラムを修了したら、次はE資格受験の申込みです。
申込み手続きはJDLAの公式サイトで行います。
E資格受験申込み手続きは以下の流れです。
- JDLAの公式サイトでアカウントを作成し、ログイン
- 試験日と試験会場を選択し、申込み手続き
- 必要な情報を入力し、受験料の支払い
※認定プログラムの修了証が受験資格の証明となりますのでお手元に準備してください。 - 確認メールが届いたら申し込み完了
お申込完了メールに試験の詳細情報や当日の注意事項が記載されていますので、しっかり確認しておきましょう。
ステップ4.試験当日
試験当日は、万全の準備を整えて試験会場に向かいましょう。
受験票、身分証明書(写真付き)、筆記用具を忘れずに持参し、会場には早めに到着するようにしてください。余裕を持って行動することで、落ち着いて試験に臨めるでしょう。
到着後は受付し、受験票に記載された座席を確認します。
試験中は監督の指示に従い、問題をよく読んで焦らず回答し、時間配分に注意を払いましょう。
なお、結果は後日、JDLAの公式サイトで確認できます。
E資格の難易度
続いては、E資格の難易度について受験者数や合格者数をもとに解説していきます。
E資格の取得難易度は決して簡単ではありませんが、計画的に学習を進めることで取得できる資格ですので、粘り強く取り組んでいきましょう。
E資格の受験者数
E資格の受験者数・合格者数・合格率は下表のとおりです。
全体を通してみると、試験回数を重ねるごとに受験者数が増加していることがわかります。
特に、2021年2月実施回は、2020年8月実施回が延期となったため受験者数の増加が顕著です。
開催回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年(9月) | 337人 | 234人 | 69.44% |
2019年(2月) | 387人 | 245人 | 63.31% |
2019年(8月) | 696人 | 472人 | 67.82% |
2020年(2月) | 1,042人 | 709人 | 68.04% |
2020年(8月) | 延期 | ||
2021年(2月) | 1,688人 | 1324人 | 78.44% |
2021年(8月) | 1,170人 | 872人 | 74.53% |
2022年(2月) | 1,327人 | 982人 | 74.00% |
2022年(8月) | 897人 | 644人 | 71.79% |
2023年(2月) | 1,112人 | 807人 | 72.57% |
2023年(8月) | 1,065人 | 729人 | 68.45% |
2024年(2月) |
1,194人 |
867人 | 72.61% |
E資格の合格者数と合格率
E資格の合格者数は、受験者数の増加に比例している傾向が読み取れます。
また、合格率も初回実施分では69.44%でしたが、2021年以降は75%前後で推移しています。
実務経験などを通じて一定の知識や技術を持っている受験者が多いことも、合格率が高い要因の一つであるといえます。初学者が挑戦する場合は、日本ディープラーニング協会認定プログラムを修了し基礎から対策を行いましょう。
E資格の業種別合格者数
2024年2月実施回の業種別合格者数は、下の表のとおりです。
業種 | 合格者数 | 全体の割合 |
コンピュータ及び周辺機器製造または販売業 | 18 | 2.08% |
サービス業 | 16 | 1.85% |
ソフトウェア業 | 225 | 25.95% |
医療・福祉業 | 18 | 2.08% |
運輸・通信業 | 27 | 3.11% |
卸売・小売業、飲食店 | 4 | 0.46% |
官公庁、公益団体 | 8 | 0.92% |
教育(学校、研究機関) | 10 | 1.15% |
金融・保険業、不動産業 | 35 | 4.04% |
建設業 | 17 | 1.96% |
情報処理・提供サービス業 | 167 | 19.26% |
製造業 | 191 | 22.03% |
調査業、広告業 | 5 | 0.58% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 10 | 1.15% |
農業、林業、漁業、鉱業 | 2 | 0.37% |
大学院生 | 26 | 3.00% |
大学生 | 31 | 3.58% |
無職、その他 | 57 | 6.57% |
合計 | 867 | 100.% |
業種別合格者数では、ソフトウェア業が163人と最も多いです。
続いて、情報処理・提供サービス業が159人という結果になっています。
E資格の学習に最適な書籍
次に、E資格の学習に最適な書籍を紹介します。
E資格認定プログラムだけではなく、さまざまな書籍から幅広く知識を吸収し、より実践的な知識やスキルを身につけましょう。
人工知能プログラミングのための数学がわかる本
引用元:Amazon
「人工知能プログラミングのための数学がわかる本」は、人工知能プログラミングに必要とされる数学について、基礎から学ぶことができる参考書です。
数学になじみがない方であっても読み進められるように、優しく解説されています。
演習問題や例題も掲載されており、Pythonのコードを実際に動かすことで、より理解を深められるでしょう。
最短コースでわかる ディープラーニングの数学
引用元:Amazon
「最短コースでわかる ディープラーニングの数学」は、ディープラーニングの理解に必要な数学知識を最短コースで学べる構成となっています。
ディープラーニングの理解に欠かせない数学について、高校1年生レベルからわかりやすく解説しており、初学者でも安心して取り組める内容となっています。
東京大学のデータサイエンティスト育成講座 ~Pythonで手を動かして学ぶデ―タ分析~
引用元:Amazon
「東京大学のデータサイエンティスト育成講座 ~Pythonで手を動かして学ぶデ―タ分析~」は、ディープラーニングに関連深いデータ分析や、Pythonのプログラミングの基礎的な内容や流れについて丁寧に説明している一冊です。データ分析から機械学習の初歩までをカバーしており、実際に手を動かしながら分かりやすく学ぶことができます。
独学プログラマーPython言語の基本から仕事のやり方まで
引用元:Amazon
「独学プログラマーPython言語の基本から仕事のやり方まで」は、Python言語を用いたプログラミングの入門書です。
アルゴリズムやデータ構造といったプログラムの基礎知識から、チームでのプログラム管理といったビジネス業務上で必要な知識の解説まで掲載されているため、より実務的な知識を身につけたいと考える方におすすめです。
ゼロから作るDeep Learningシリーズ
引用元:Amazon
「ゼロから作るDeep-learning」はオライリージャパンシリーズの1冊です。
テーマごとに「理論と実装」「自然言語処理」の2冊に分かれています。
同書籍は、エンジニアでない読者にもわかりやすいと定評があり、ディープラーニングに関する基礎を学ぶには最適な入門書といえます。
PythonとKerasによるディープラーニング
引用元:Amazon
「PythonとKerasによるディープラーニング」は、ディープラーニングの基礎・応用・実装を解説した書籍です。ディープラーニング用ライブラリKerasの作成者であるフランソワ・ショレが執筆しており、豊富な実例によりディープラーニングの概念について説明しています。
Kerasの理解を深めたい方や脱初心者を目指す方にとっておすすめです。
Python機械学習プログラミング 達人データサイエンティストによる理論と実践
引用元:Amazon
「Python機械学習プログラミング 達人データサイエンティストによる理論と実践」は、世界各国で翻訳されている機械学習本のベストセラーです。
分類/回帰問題~深層学習/強化学習まで、機械学習コンセプト全般をカバーしており、理論的背景とPythonコーディングについて解説しています。
より専門的な知識を学ぶことができる構成となっており、理論と実践を架橋する解説書の決定版です。
E資格と併せて取得したいG検定
E資格と併せて取得したい資格にG検定があります。
最後に、G検定の概要を紹介します。
G検定の概要
G検定は、公式名称を「ジェネラリスト検定」といい、E資格とともに注目を集めている資格の一つです。E資格と同様に、日本ディープラーニング協会が主催しています。
G検定では「ジェネラリスト」ということばについて、「適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有している人材」と定義しています。
G検定取得者の権利
G検定試験に合格することで、名刺にG検定のロゴを記載することができます。これはE資格でも同様です。これにより、自身のAIやディープラーニングに関する専門性を客観的に証明することができます。
また、日本ディープラーニング協会が主催する各種コミュニティに参加できます。
これらのコミュニティは、AIやディープラーニングに関する情報交換やネットワークの形成に効果的です。
E資格との違い
E資格はディープラーニングを実装するAIエンジニア向けの資格であるのに対し、G検定はAIを事業に活用するジェネラリスト向けの資格です。試験内容もそれぞれ異なります。
E資格ではAIに関連する業務や研究を通じての専門知識が問われるのに対して、G検定ではディープラーニングを事業に活用するためのAIに関する基礎的な内容が問われます。
E資格の試験日は?まとめ
E資格の試験日程や難易度など解説しました。
近年、AI技術の推進は急速に進んでおり、AI人材に対する企業のニーズは高まりつつあります。
E資格を取得することで、AI技術やディープラーニングに関するスキルを客観的に証明することができます。
現在AIに関わる業務に従事している方や、AI開発の仕事に携わりたいと考えている方は、積極的に受検してみてください。
企業の成長にはDXやAI活用が欠かせません。
AIについての知識が不足している場合、どのように進めればよいのか悩まれることもあるでしょう。
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企業のニーズに合わせたAIコンサルティングを提供しており、専門家がお手伝いいたします。お気軽にお問い合わせください。