複数あるCAD関連の資格試験のうち、図面を正しく読み、効率よく作図できる人材だと証明する「CAD利用技術者試験」に興味をお持ちではないでしょうか。しかし、自身に必要な資格なのか、どれくらいの難易度なのかわからないとお悩みの人もいるはずです。
そこでこの記事では、CAD利用技術者試験の概要やおすすめな人の特徴、試験内容までわかりやすくまとめました。また、意味がないと言われている理由や学習方法まで解説しているので、自身が取得すべき資格なのかチェックしてみてください。
CAD利用技術者試験とは
CAD利用技術者試験とは、一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)が主催する、設計・製図の知識とCAD操作スキルを総合的に評価する全国共通資格です。
1991年の創設以来、建築・機械・製造・土木など幅広い分野で採用されており、2次元CAD試験と3次元CAD試験の2体系が運用されています。
特に近年の製造・建築業界では、3D設計(BIM・CIM)への移行が進む一方で、その考えのベースとなる2次元図面を正確に扱える人材が必要不可欠です。対してCAD利用技術者試験では、2次元・3次元それぞれの試験が用意されているため、CADに共通する知識があると証明できます。
他資格との違い(建築CAD検定試験・BIM利用技術者試験)
CAD関連の資格には、CAD利用技術者試験の他にも「建築CAD検定試験」「BIM利用技術者試験」などがあります。参考として以下に、それぞれの資格試験の違いを整理しました。
| 資格名 | 主催 | 対応分野 | 試験内容 |
|---|---|---|---|
| CAD利用技術者試験 | 一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP) | 建築・機械・製造・土木 | 筆記+実技 |
| 建築CAD検定試験 | 全国建築CAD連盟 | 建築 | 実技中心 |
| BIM利用技術者試験 | 一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP) | 建築・土木 | 筆記+BIM操作 |
建築CAD検定試験は建築特化型の「図面表現力」を証明する資格であることに対し、BIM検定は、建築土木を網羅した「3D設計・情報連携力」を証明できます。一方で、CAD利用技術者試験は2D・3D両方の理論と実技を体系的に証明できるのが特徴です。
受験の順番としては、まずCAD全般の知識を身につけられるCAD利用技術者試験に合格し、その後、専門性を求められる建築CAD検定試験・BIM利用技術者試験を受験するのがおすすめです。
また、CADに関連する他の資格もチェックしたい方は、以下の記事もご参考ください。
CAD利用技術者試験がおすすめな人

CAD利用技術者試験は、建築・機械・インテリア・製造など、設計分野での実務スキルを証明できる資格です。参考として以下に、おすすめの人の特徴をまとめました。
| 資格名 | ケース | 取得の魅力 |
|---|---|---|
| 学生 | ・学校の授業を深く理解したい ・就職で有利な資格が欲しい |
建築学科や機械科での設計課題で、CADを扱う場合に有利になる |
| 社会人 | ・CADに関する基礎を身につけたい ・キャリアアップ向けの資格が欲しい |
CADスキルを理解している証明になるため、キャリア評価にも直結する |
| 転職希望者 | ・未経験からCAD関連の仕事にチャレンジしたい ・面接でアピールできる資格が欲しい |
資格取得という根拠があるため、無資格で転職活動をするよりも有利になる |
取得理由は、その人の状況によって変化します。自身の考えにあてはまる項目があるのなら、ぜひこの機会に、CAD利用技術者試験を受験してみてください。
2次元・3次元それぞれの特徴と対象者
CAD利用技術者試験には、2次元と3次元に分けて2つの試験が用意されており、それぞれ受験する目的が違います。一例として、次のような人におすすめです。
| 試験の種類 | おすすめの人 |
|---|---|
| 2次元CAD利用技術者試験 | AutoCADやJw_cadなどの図面作成スキルを証明したい方 |
| 3次元CAD利用技術者試験 | Autodesk FusionやSOLIDWORKSなどのモデリングスキルを証明したい方 |
現在利用しているソフト、また今後チャレンジしたいソフトを決めたうえで、2次元・3次元のどちらを選ぶか決めると良いでしょう。
CAD利用技術者試験の基本情報
CAD利用技術者試験を受験したい方向けに、基本情報を整理しました
- 日程・受験資格・申込方法
- 受験費用
- 試験内容と出題範囲
- CAD利用技術者試験の難易度・合格率(2・3次元・級別)
日程・受験資格・申込方法

CAD利用技術者試験は、年間を通してCBT(Computer Based Testing)方式で実施されており、全国のテストセンターで随時受験可能です。参考として以下に、2次元・3次元ごとの日程や受験資格、申し込み方法を整理しました。
| 受験の種類 | 日程の目安 | 受験資格 | |
|---|---|---|---|
| 2次元 | 基礎(IBT) | 随時実施 | なし |
| 2級(CBT) | 随時実施 | なし | |
| 1級(試験会場) | 前期:6月中旬 後期:11月上旬 |
過去の1級有資格者 2級合格者 |
|
| 3次元 | 2級(CBT) | 随時実施 | なし |
| 準1級・1級(試験会場) | 前期:7月中旬 後期:12月上旬 |
2級合格者 | |
出典:CAD利用技術者試験「2025年度CAD利用技術者試験年間スケジュール」
各試験は公式サイトからのWeb申し込みが必要です。2級までの受験は随時利用できるため、最短期間での合格も目指せます。
また試験会場は全国のCBTテストセンターで実施しています。
東京・大阪・名古屋などの都市部だけでなく、地方都市にも設置されているため、まずは近くにセンターがあるのかを調べてみてください。
なお、将来的に1級受験を目指す方は、2級の合格が必須です。
基礎だけでなく2級も受験資格なしで受験できるため、効率よく資格取得を目指したいなら、最初から2級を受験しましょう。
2級受験の一発合格を目指したいなら、eラーニングタイプのセミナー講習で効率よく学習するのがおすすめです。以下のセミナー講習では、3次元CAD利用技術者試験の2級についての対策講座を学べます。
eラーニング形式であるため、忙しい方やスキマ時間を使って学びたい方に最適です。
| セミナー名 | 3次元CAD利用技術者試験2級対策講座 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 27,500円〜 |
| 開催期間 | 1日間 |
| 受講形式 | eラーニング |
試験内容と出題範囲
CAD利用技術者試験では、主に「CADの知識+操作スキル+製図理解」が問われます。
出題範囲は級ごとに違い、基礎級は概論中心、上位級では実務的な作図・応用問題が出題されるのが特徴です。
ここでは、2次元・3次元に分けて級ごとの試験内容の概要を紹介します。
- 2次元CAD利用技術者試験(基礎・2級・1級)
- 3次元CAD利用技術者試験(2級・準1級・1級)
2次元CAD利用技術者試験(基礎・2級・1級)
2次元CAD利用技術者試験で出題される内容を整理しました。
| 受験の種類 | 主な内容 | |
|---|---|---|
| 2次元 | 基礎 | CADの概念・基本操作・製図の基礎 |
| 2級 | CAD理論・製図原則・データ管理 | |
| 1級 | 実技+筆記・実務図面の理解 | |
基礎では2次元CADの基本知識を問われる一方で、2級では応用知識、1級では実際に作図をするなど実技を求められるのが特徴です。
3次元CAD利用技術者試験(2級・準1級・1級)
3次元CAD利用技術者試験で出題される内容を整理しました。
| 受験の種類 | 主な内容 | |
|---|---|---|
| 3次元 | 2級 | 3D概念、データ構造、PDM |
| 準1級 | パーツモデリング | |
| 1級 | 複数部品組立、解析、干渉 | |
2級では、3次元CADの概念や目的、基本的な仕組みを問われる一方で、準1級では実技としてのモデリング、1級では、複雑な組み立てや解析、干渉チェックなども理解しておく必要があります。
受験費用
CAD利用技術者試験は、個人受験・団体受験によって次のように費用が変化します。
| 受験の種類 | 個人受験の費用 (税込) |
団体受験の費用 (税込) |
|
|---|---|---|---|
| 2次元 | 基礎 | 4,950円/人 | 2,750円/人 |
| 2級 | 6,600円/人 | 6,050円/人 | |
| 1級 | 17,600円/人 | 16,500円/人 | |
| 3次元 |
2級 | 8,250円/人 | 7,700円/人 |
| 準1級 | 12,100円/人 | 11,000円/人 | |
| 1級 | 17,600円/人 | 16,500円/人 | |
なお、受験費用はクレジットカードまたはコンビニ決済での支払いが可能です。
事前支払いが必要であるため、期日を間違えないように注意してください。
CAD利用技術者試験の難易度・合格率(2・3次元・級別)
CAD利用技術者試験の公表合格率および、その合格率から見る難易度を整理しました。
| 受験の種類 | 合格率 (最新版) |
難易度 | |
|---|---|---|---|
| 2次元 | 基礎 | 約80.4% (2024年度) |
低(★☆☆) |
| 2級 | 約55.7% (2025年度) |
中(★★☆) | |
| 1級 | 約29.2~50.0% (2025年度) |
高(★★★) | |
| 3次元 |
2級 | 約72.6% (2024年度) |
低(★☆☆) |
| 準1級 | 約40.9% (2025年度) |
中(★★☆) | |
| 1級 | 約21.4% (2025年度) |
高(★★★) | |
出典:CAD利用技術者試験「統計情報」
年度によって合格率に差はありますが、2次元の2級よりも、3次元の2級のほうが難易度は低めです。ハードルが低いなかで、少しでも級が高い資格を取得したいなら、3次元CAD利用技術者試験からチャレンジするのが良いでしょう。
CAD利用技術者試験のおすすめの学習方法

これからCAD利用技術者試験を学習したい方に向けて、おすすめの学習方法を3つ紹介します。
- 独学で勉強する
- 公式の過去問を使って実技対策をする
- 職業訓練校・専門学校・セミナー講習を利用する
独学で勉強する
コストを抑えながら自分のペースで進めたい人は、まず独学で勉強するのがおすすめです。
たとえば、CAD利用技術者試験の公式テキストやYouTube動画、Web学習サイトを利用して試験勉強をするだけでも、合格の可能性があります。
なお、2次元・3次元の下位資格の場合であれば、1日1時間で2ヶ月程度の学習をすることにより、合格の可能性がみえてくるでしょう。
公式の過去問を使って実技対策をする

CAD利用技術者試験は、公式サイトには、サンプルや過去問題が無料で公開されています。
各級ごとの問題が見つかるため、まずは過去問を使いながら全体の傾向を学んでみるのがおすすめです。
(出典:コンピュータ教育振興協会「ACSP主催検定試験 サンプル・過去問題」)
なお、実技試験に関しては実際にCADソフトを操作しながら学ぶのがおすすめです。
無料で利用できるCADソフトも豊富にあるため、以下の記事を読んで気になるCADソフトを自身のPCにインストールしてみてはいかがでしょうか。
職業訓練校・専門学校・セミナー講習を利用する
独学に挫折した方や、計画的に勉強するのが苦手だという方は、次のサービスを利用して効率よく学習するのがおすすめです。
- 職業訓練校
- 専門学校
- セミナー講習
上記のなかでも、手軽かつ比較的低価格で利用できるのがセミナー講習です。
短期間のカリキュラムを受講するだけで、CAD利用技術者試験の試験対策や勉強のコツを学べます。独学よりも短期間で試験対策を終えられるため、急いで用意をしたい方におすすめです。
以下のセミナーでは、eラーニング形式でスキマ時間を使いながら試験対策を行えます。効率よく学習したい方は、ぜひ受講してみてください。
CAD利用技術者試験「意味ない」と言われる理由と真実

一部では、「CAD利用技術者試験は意味がない」と言われることがあります。
ですが実際には、業界未経験者や学生にとって「学習・スキル証明の入口」として非常に価値がある資格です。参考として以下に、指摘されがちなポイントと真実を整理しました。
| 「意味ない」と言われる主な理由 | 真実 |
|---|---|
| 国家資格ではない | 企業が評価するのは「実務能力」であるため、資格の種別(国家資格)よりも基礎スキルを証明できる点が重要 |
| 試験内容が古い | 毎年出題傾向が見直されているため、AutoCAD・Autodesk Fusion・Revitなどの現行ソフトに対応 |
| 資格よりも実務経験が重視される | 未経験者にとっては「CAD技術者のスタート」「転職の切り札」として最適 |
| 3Dが主流だから2Dは不要である | 3D設計でも2D図面の理解力が必須であるため、業務の土台として有効 |
CAD利用技術者試験は2次元・3次元における「図面が読める」「図面が描ける」ことを第三者に示せる有用な民間資格です。「意味がない」と言われるのは誤解ですので、ぜひCADの基礎知識習得やその証明のために、取得を目指してみてください。
合格後のキャリア・仕事の広がり
CAD利用技術者試験に合格すると、設計・製造・建築・インフラ業界など幅広い分野でキャリアの選択肢が広がります。特に実務で役立つ2級以上を取得すれば、設計補助やCADオペレーターとして即戦力として評価されやすくなるのが魅力です。
以下に業界ごとの活躍フィールドを整理しました。
| 業界 | 主な職種 | 資格活用のメリット |
|---|---|---|
| 建築設計・住宅メーカー | ・CADオペレーター ・意匠設計補助 |
実施設計・確認申請図面の作成が有利になる |
| 土木・インフラ | ・CADオペレーター ・CIMオペレーター ・施工管理補助 |
公共工事への実務対応のほか、BIM・CIM対応につながる |
| 製造業・機械設計 | ・モデラー ・開発エンジニア |
試作・解析・量産設計で活用できる |
| プラント・設備 | ・配管設計者 ・設備エンジニア |
設備系設計でニーズが高い |
| 教育・公的機関 | ・CAD講師 ・研修担当 |
学校・職業訓練での指導資格に活かせる |
CAD利用技術者試験は、AutoCAD・Revit・Autodesk Fusionなどの主要ソフトに対応しているため、特定メーカーに依存せず幅広い業界で通用します。特定の業界で活躍したい、キャリアアップを目指したいという方は、ぜひ資格を取得してみてください。
CAD利用技術者試験についてよくある質問
ここまで解説してきたCAD利用技術者試験について、よくある質問をFAQ形式で紹介します。
CAD利用技術者試験についてまとめ
CAD利用技術者試験は、設計・製図分野でのスキルを客観的に証明できる代表的な資格です。
また、2次元・3次元それぞれに対応した試験体系があり、基礎から上級までステップアップが可能です。AutoCAD・Revit・Autodesk Fusionなど複数ソフトに対応しているため、特定メーカーに依存せず、業界全体で通用する実務資格を目指す方は、ぜひ取得を検討してみてください。