ビジネススキルというと、「一般常識」「感じの良い対応」を思い浮かべる人が多いでしょう。
とはいえ、これらは「自然に身につくもの」と捉えられ、改めて学ぶ意識が薄れがちです。しかし、実際にはビジネススキルは体系的に整理された概念であり、その重要度や求められる内容は、キャリアの段階によって大きく変化していきます。
この記事では、ビジネススキルを15種類に分類して解説します。ビジネススキルを適切に身につけて、個人のキャリアアップ、企業の競争力を底上げしていきましょう。
ビジネススキルとは?

ビジネススキルとは、仕事を円滑かつ効果的に進めるための知識、行動力、思考力のすべてを合わせた総称です。
専門知識だけではなく、コミュニケーション能力や問題解決能力など、職種や業界を問わず多くの仕事に共通する「土台の力」を指します。
ビジネススキルを身につける重要性
なぜ、今このビジネススキルを磨くことが重要なのでしょうか?
それは、ビジネススキルが個人の成長を越え、社会で生き抜く基盤であるからです。ビジネススキルの重要性は経済産業省が提唱する「社会人基礎力」によっても裏付けられています。
同省は、ビジネススキルを「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」として定義し、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」だと位置づけています。
「人生100年時代」において、ライフステージの各段階で活躍し続ける原動力となるのが、まさにビジネススキルなのです。
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ビジネスの基本となる三大スキル
組織の中でどのような立場にいても、ビジネスパーソンとして押さえておきたい基本があります。それが、カッツ理論で示される三大スキルです。
三大スキルの概要
まずは、このカッツ理論で提唱された三大スキルの概要を表で見てみましょう。
| スキル | 具体例 | 説明 |
| テクニカルスキル |
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| ヒューマンスキル |
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| コンセプチュアルスキル |
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ビジネススキルの比重の変化
上記の3つのビジネススキルは、キャリアステージによって重要性が変わります。
| キャリアステージ | テクニカルスキル | ヒューマンスキル | コンセプチュアルスキル |
| 新人・若手 | 高(60%) | 中(30%) | 低い(10%) |
| 中堅社員 | 中~低(20%) | 高(60%) | 中~低(20%) |
| 管理職 | 低(10%) | 中(30%) | 高(60%) |
まずは、三大スキルの特徴を踏まえ、その後、キャリアによる比重を意識しながら柔軟に取り入れましょう。
ヒューマンスキルはキャリアによって形を変える
ヒューマンスキルは、どのキャリアステージでも求められる能力ですが、内容はそれぞれ異なります。例えば、新人・若手のうちは、指示を正確に理解し、行動につなげるための「傾聴力」や「報連相力」が中心です。
一方、中堅社員にはチームをまとめるリーダーシップ、管理職には部署全体を最適な方向へ導く調整力が求められます。つまり、ヒューマンスキルは「立場とともに進化する力」なのです。
その根底にあるのが「共感力=相手本位の思考」です。共感力が備わっていれば、どのステージでも柔軟に対応でき、「人」として信頼も得られます。
逆に、共感力を欠くと、つい自分や他人の成功体験を基準にして「自分にできたのだから、あの人もできるはず」と考えがちです。これは相手の理解を妨げ、モチベーションを下げてしまう原因になるため、相手の立場に寄り添う姿勢を意識しましょう。
【キャリアステージ別】ビジネススキル15選!

では、ビジネススキルをキャリア別に解説しましょう。まずは、15のビジネススキルの概要を表でご確認ください。
| キャリア段階 | ビジネススキル | 主な内容 | スキル区分 |
| 新入社員 | オフィスソフトの操作 | Word・Excelなどの操作 | テクニカル |
| 時間管理力 | 時間を見据えた業務遂行 | テクニカル | |
| 学習応用力 | 知識やスキルの実践力 | テクニカル | |
| ビジネスマナー | 言葉遣い、メール対応 | ヒューマン | |
| コミュニケーション力 | 円滑な意思疎通・伝達 | ヒューマン | |
| 中堅社員 | プレゼンテーション力 | 意見・提案の効果的な伝達力 | ヒューマン |
| リーダーシップ | チームをまとめ成功に導く力 | ヒューマン | |
| 育成力 | 後輩の成長をサポートする力 | ヒューマン | |
| 専門知識 | 担当分野の深い理解と実践力 | テクニカル | |
| 課題解決能力 | 複雑な問題分析・解決策立案 | コンセプチュアル | |
| ベテラン社員 |
戦略的思考力 | 中長期的視点での戦略立案 | コンセプチュアル |
| 変革マネジメント力 | 新施策に組織を導く推進力 | コンセプチュアル | |
| 理念策定能力 | 組織の方向性・ビジョン提示力 | コンセプチュアル | |
| リスク管理力 | リスクを予測・適切に備える力 | コンセプチュアル | |
| 交渉・調整力 | 利害を調整し最適な結果を導く | ヒューマン |
新入社員が身につけたいビジネススキル
まずは、新入社員が身につけておきたい5つのビジネススキルについて解説します。
オフィスソフトの操作
オフィスソフトは、現代ビジネスに必須のツールで、業種を問わず幅広く求められます。オフィスソフトはExcelやWord、PowerPointが主ですが、中でもデータ分析や顧客管理など、企業のDX化に貢献できるのがExcelです。
特に、新入社員がExcelを「即戦力」として活用するには、VLOOKUPやピボットテーブルといったデータ集計・分析機能を習得し、報告しやすい情報に加工する能力が求められます。
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時間管理力
時間管理力とは、締め切りを守り、効率的に仕事を進める力です。働く時間は無制限ではないため、新入社員であっても月ごと、日ごとに管理しながら行動するのがビジネスの基本です。
計画的に時間を管理するためにも、スケジュールを決める際に、まず最終段階までどの程度の時間を要するのか逆算する習慣を付けましょう。
学習応用力
学習応用力とは、蓄積した知識やスキルを実務に活かす力です。これは、学生時代や入社後に得た知識を実践に活かす能力を指します。
この能力を発揮するには、その時々に何が求められるかを考え、成功・失敗を分析する力が必要です。学習内容と仕事の結びつきを考えながら、業務に取り組むと応用力がアップします。
ビジネスマナー
ビジネスマナーはすべての社会人にとって必須のスキルです。適切な対応や言葉遣いはもちろん、電話はメモを取りながら意図を汲み取った返答をする、メールは簡潔かつ丁寧に表現することも心がけましょう。
ビジネスでは、対面のマナーだけでなく、電話やメールといった非対面でのマナーも重要視されます。表情や態度で補えない場面では、言葉の重みが一層増すことを意識してください。
コミュニケーション力
コミュニケーション力とは、ビジネスを前提に上司や同僚と円滑にやり取りをする力です。具体的には、報連相をこまめに行い、質問時は具体的な内容で尋ねることが求められます。
特に重要なのは、傾聴力を高めて相手の意図を汲み取り、一度教わったことを確実に定着させることです。単純に親しくなる=コミュニケーション力ではない、ということを理解しましょう。
中堅社員を対象としたビジネススキル
続いて、中堅社員を対象としたビジネススキルを見てみましょう。
プレゼンテーション力
プレゼンテーション力とは、考え・提案をわかりやすく伝え、相手を納得させる力です。中堅社員になると企画提案の機会が増えるため、ぜひとも身につけておきたいスキルです。
このスキルは、コミュニケーション力だけでなく、PREP法や資料構成など、技術的側面も多いスキルです。不安な場合は、周到に準備し、伝える意識を高めることで自信を持って臨めます。
リーダーシップ
リーダーシップは、チームをまとめ、目標達成に向けて導く力です。リーダーシップにおいては、指導力や人を鼓舞する力といった強い側面だけではなく、常にチームの全メンバーに細かく注意を払う繊細さが必要です。
例えば、メンバーが困難に直面したときには迅速に支援し、その不安を共有しましょう。真のリーダーシップは、全員が心を一つにして進む一体感を維持することなのです。
育成力
育成力は、後輩を導く立場となる中堅社員に欠かせないスキルです。目的は、知識を教えるという「手段」を通じて後輩の人間的な成長を促し、その経験を自らやチーム全体の成長にもつなげることにあります。
そのためには、個々で指導方法を柔軟に変えることが重要です。後輩が挫折せずに自立できるよう支援し、共に成長を喜べる関係を築くことこそ、真の育成力といえるでしょう。
専門知識
専門知識とは、担当分野を深く理解し、実務に活かす力です。営業であれば提案力、エンジニアであればプログラミングなど、職種ごとに求められる知識は異なります。
中堅社員として重要なのは、表面的な理解にとどまらず、その分野の本質を掴むことです。自己学習や研修を通じて知識を深めることで、組織にとって価値ある存在へと成長できるでしょう。
課題解決能力
課題解決能力は、複雑な問題に対応し、最適な解決策を導き出す力です。中堅社員には、与えられた業務をこなすだけでなく、課題の本質を見極める力が求められます。
この際、まず課題の根本原因を探り、そのうえで複数の解決策を検討・実行することを心がけましょう。表面的な対処で済ませて根本原因を放置する、ということは避けてください。
ベテラン社員向けのビジネススキル
最後に、ベテラン社員を対象としたビジネススキルを見てみましょう。
戦略的思考力
戦略的思考力とは、目の前の業務だけでなく、数年先を見越して行動を考える力です。ベテラン社員には、日々の実務を超えた視点が求められます。
このスキルで大切なのは、市場動向や競合状況、社内リソースを総合的に判断し、最適な方向性を決めることです。組織の成長を促すためにも、目の前の成果ではなく、本質を見抜く洞察力を養いましょう。
変革マネジメント力
変革マネジメント力は、組織を動かし、新しい取り組みを推進する力です。ベテラン社員には、現状に満足せず、組織を次のステージへ導く役割が期待されます。
困難や抵抗に直面しがちな業務ですが、明確なビジョンを示すことで、周囲を巻き込みながら改革を実現できます。変革の過程で生まれる不安に対処する力が重要といえるでしょう。
リスク管理力
リスク管理力は、潜在的なリスクを予測し、事前に備える力です。市場の変動や法規制の変更、システムトラブルなど、起きてから対処するのでは遅い事態は数多くあります。
ベテラン社員に求められるのは、豊富な経験を活かした先見性です。「もしも」の状況を想定し、適切な対策を講じることで、組織全体を守ることができます。
理念策定能力
理念策定能力とは、組織の方向性やビジョンを示す力です。実務経験を踏まえ、説得力のある理念を描けるのは、やはりベテラン社員ならではの強みです。
明確な理念は、市場が急変した、部門間で意見が対立したなど、困難な状況を打破する指針になります。ただし、大局的に物事を見る力がなければ、組織全体の迷走につながるため、俯瞰的な視点を持つことが重要です。
交渉・調整力
交渉・調整力は、利害が対立する場面で、双方が納得できる落としどころを見つける力です。価格交渉や契約条件の調整、社内の複雑な利害関係の調整など、ベテラン社員が直面する場面は多岐にわたります。
このスキルで重要なのは、強引に押し通すのではなく「ピンチはチャンス」と捉えることです。信頼関係を堅固にするためにも、誠実さを失わず、Win-Winの関係を築く姿勢で臨みましょう。
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必要なビジネススキルを見分ける方法

続いて、必要なビジネススキルを見分ける方法をお伝えしましょう。
| 方法 | 内容 |
| 自己診断ツールの活用 | 職業興味検査、仕事価値観検査、職業適性テストなどで能力を可視化 |
| 1on1・フィードバック面談 | 上司との対話を通じて、業務上の課題や必要な役割をすり合わせる |
| 業務の振り返りと分析 | 時間がかかった業務、失敗した業務を記録し、パターンを見つける |
| 同僚や他部署からの意見 | 同僚や協業他部署の人に率直な意見を求め、多角的な視点を得る |
| ロールモデルとの比較 | 先輩や上司の行動を観察し、自分に足りない要素を具体的に洗い出す |
なお、ビジネススキルを計れる自己診断ツールは、厚生労働省の「自己診断ツール」など、無料でできるサービスもいくつかあるので、ぜひこの機会にチャレンジしてみてください。
個人でビジネススキルを身につける方法
続いて、個人でビジネススキルを身につける方法をお伝えしましょう。
| 方法 | 内容 |
| ゴール設定と自己学習 | 自分の課題を明確にし、書籍や動画教材で体系的に学ぶ |
| ロールプレイングやOJT | 実践を通じて経験を積み、上司や先輩からのフィードバックを受ける |
| 資格取得 | ビジネススキルに直結する資格を取得する(秘書検定・ビジネスマナー検定) |
| オンライン学習の活用 | eラーニングや社外セミナーで実践力を効率的・効果的に身につける |
なお、個人でビジネスのスキルアップに取り組む際は、計画的に進めること、そして柔軟な学習環境で学ぶことが重要です。
ジェネラル教育セミナー講習は、24時間いつでも学べる動画視聴形式のセミナーなので、個人でも無理なく着実にビジネススキルが身につきます。「セミナーに参加する時間が取れない」という方にもおすすめのカリキュラムです。
企業が従業員にビジネススキルを身につけさせる方法
最後に、企業側が従業員にビジネススキルを身につけさせる方法を解説します。
| 取り組み | 内容 |
| 入社初期研修の充実 | ビジネスマナー・報連相・PDCAサイクルなど、基礎スキルを重点的に育成 |
| 階層別研修の実施 | 中堅・管理職には、リーダーシップや戦略思考など役職に応じた研修を提供 |
| 学習支援サービスの活用 | コンピテンシー診断、セミナー参加などで個々の成長をサポート |
| 定期的なスキル診断 | 現状把握を行い、個々の課題に応じた育成計画を立てる |
企業でのビジネススキルの育成方法に迷った際には、外部セミナーを活用するなど、視点を変えたビジネススキルアップ手段も検討してみてください。
「従業員の総合的なビジネススキルを底上げさせたい」。そんな企業の担当者の方は、126講座が見放題のジェネラル教育セミナー講習がおすすめです。
自由に学べるeラーニングスタイルで、DXからマネジメント、ロジカルシンキングまで、実務直結のスキルが身につく幅広い講座が開講されています。
ビジネススキルについてまとめ
ビジネススキルとは、知識・行動力・思考力など多様な要素が組み合わさった総合的な力です。その根底には「社会人基礎力」があり、さらに突き詰めれば「人間力」が存在します。
大切なのは、常に「自己成長」を目的に据えることです。自分を高める意識を持ち続け、日々の行動を積み重ねていくことで、確かなビジネススキルが身についていきます。