CADの操作において「ブーリアン演算」という言葉を耳にすることはあっても、具体的な使い方やメリットがよく分からないという方も多いのではないでしょうか?複雑な形状のモデルを作成する際に、単純な形状の組み合わせでは思うようにデザインが進まないと悩みを抱える方も少なくありません。
そこで活用するのがブーリアン演算です。ブーリアン演算は、異なる3Dモデル同士を「和」「差」「積」などの演算で組み合わせることで、より複雑な形状を効率的に作成できる便利な機能です。
本記事では、CAD初心者から中級者の方に向けて、ブーリアン演算の基本的な使い方や使用するメリット、活用場面について詳しく解説します。
ブーリアン演算とは?

ブーリアン演算とは、形状やモデル間の和、差、積の集合を行うことで、新しい形状やモデルを作成する方法です。
例えば、2つの立方体を「足し算」すれば1つの大きな立方体ができ、逆に「引き算」をすれば片方の形状が他方にくり抜かれるように仕上がります。つまり、異なる形状を簡単に組み合わせて複雑なデザインを作るための手法がブーリアン演算です。
以下はブーリアン演算の操作で実現するものです。
| 和演算 | 2つ以上の形状を組み合わせてモデルを作成 |
| 差演算 | 1つの形状から別の形状をくり抜いてモデルを作成 |
| 積演算 | 2つの形状が交差する部分だけを取り除いてモデルを作成 |
初心者の方にとっては少し難しいと感じるかもしれませんが、操作に慣れればそこまで難しい機能ではなく、デザインの効率化が図れるため覚えておきたい昨日の1つです。
ブーリアン演算の基本操作
ここからは実際にブーリアン演算の基本的な使い方を「Autodesk Fusion」を使用しながら解説していきます。
まずは50mm×50mmの立方体を作成しておきます。下記の立方体から実際に円を描いていきます。

立方体を真正面から見て右上の角に円の中心を合わせて作成します。また、この際に線分コマンドを選択し、円の下の部分から半分になるように線分を描きます。

ここで一度スケッチを終了し、回転コマンドを選択します。すると下記の画面のようにダイアログボックスが出てくるので、「プロファイル」→円の右半分を選択します。また、「軸」を選択し、中心線を選択します。

すると以下の画面のように薄く赤い円が作成できます。ここからが本題です。

ダイアログボックスの「操作」をクリックすると、以下のように様々なコマンドが出てきます。ここで表示されている「結合・切り取り・交差」がブーリアン演算の「和・差・積」を表しています。

実際に「結合=和」をクリックすると、2つの体積(立方体と球体)が集約されています。

では、次に「切り取り=差」をクリックすると、作成した立方体から球体の部分が削除されています。

最後に「交差=積」をクリックすると、作成した立方体と球体の共通部分の体積が残ります。

今回は立方体と球体で解説しましたが、「立方体×立方体」や「球体×球体」など様々な形状でも可能になります。ブーリアン演算は覚えておけばとても便利な機能ですので、使いこなしていきましょう。
以下の記事では基本的なモデリング方法について解説していますので、併せてご覧ください。
CADでのブーリアン演算を使用するメリット

CADでブーリアン演算を使用するメリットは以下の3点です。
- 効率的にモデリングできる
- デザインの柔軟性が高い
- 正確な形状が作成できる
効率的にモデリングできる
CADでのブーリアン演算を活用することで、複雑な形状を効率よくモデリングできるようになります。
例えば、複数のシンプルな形状をブーリアン演算の「和」で結合すれば1つのまとまったモデルがすぐに作成でき、逆に「差」を使うことで不要な部分をくり抜けます。従来の手作業での形状編集と異なり、数回のクリックだけで目的の形状に近づけられるため、設計時間を短縮しながら多様なアイデアを試せるのがメリットです。
デザインの柔軟性が高い
ブーリアン演算を用いることで、CADデザインの柔軟性が向上します。
異なるパーツやモデルを簡単に結合したり削除したりすることで、試行錯誤しながらデザインの方向性を変えたり、細部の調整を行えます。特にブーリアン演算における「交差=積」は、二つの異なる形状の交差部分だけを抽出するコマンドですが、従来のモデリング方法では難しかった自由な造形が可能。
デザインの柔軟性を高められるコマンドの1つと言えるでしょう。
正確な形状が作成できる
ブーリアン演算により正確な形状を作成することが可能です。
複雑な切り取りや結合も数値に基づいた計算で行われるため、手動操作でのズレや誤差がなく、精度が求められる設計にも適しています。工業製品や建築部品のように正確性が必要な場面では、ブーリアン演算を活用することで意図した寸法通りの形状が作成できるため、製品の品質や耐久性も向上。
製品の試作などを繰り返す必要もなくなるため、コストの削減なども期待できるでしょう。
ブーリアン演算を活用する場面

ブーリアン演算の使用方法が分かっても「実際にどのような場面で使用するの?」と思う方もいるでしょう。実際に活用する場面は以下の3つです。
- 複雑な形状の作成
- シェル構造の作成
- パーツのデザイン
複雑な形状の作成
ブーリアン演算は、異なる基本形状を組み合わせて複雑なデザインを作りたい場合に便利な機能です。
例えば、複数の円柱と立方体を「足し算」で結合して複雑な構造物を形成したり、「引き算」を使って穴や凹みを加えたりできます。従来なら1から作成するのが難しい曲面や入り組んだデザインでも、ブーリアン演算を活用すればパーツごとに組み合わせるだけでスムーズに作成可能。
複雑な形状を作成する際に最適なコマンドと言えるでしょう。
シェル構造の作成
ブーリアン演算は、CADでシェル(空洞構造)を作成する際にも役立ちます。シェル構造とは、選択した面をあけて均一な厚みにくり抜くことで作成する空洞を指します。
例えば、厚みのある立方体や円柱の内部を「引き算」によりくり抜くことで、内側が空洞のシェル形状を容易に作れます。軽量化が求められる部品や内部に別のパーツを収納するスペースが必要な設計が可能となります。
シェル構造は製品の材料コストを抑え、耐久性を保ちながらも重量を軽減できる点がメリットであり、使用される場面も多いためブーリアン演算を活用できれば、シェル構造の作成が容易にできるでしょう。
パーツのデザイン
CADでのパーツ設計においても、ブーリアン演算は有効です。複数の部品が一つに合体したパーツを設計したい場合、「足し算」を使って複数の形状を一体化させることで、機能性とデザイン性の高い部品を簡単に作成できます。
また、「引き算」により特定の部分にねじ穴やくぼみを追加できるため、組み立てや分解がしやすい設計が可能です。ブーリアン演算を活用することで、設計段階での細部調整が容易になり、実際の製造や組み立てにおいても精度の高いパーツが作成できるようになるでしょう。
ブーリアン演算を学ぶならセミナーがおすすめ
ブーリアン演算は覚えるとそこまで難しい操作ではありません。しかし、初心者にとっては使いこなすのは容易ではないでしょう。CAD操作は専門知識が必要となるため、独学での習得は長期化する可能性も。
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概要
GETT Proskillが運営する「Autodesk Fusionセミナー講習」は、2日間で効率的に3DCADスキルを習得できるAutodesk公認の講習です。
初心者でも安心して学べ、基礎から応用操作まで短期間で身につけられるため、実務ですぐに活用可能な技術を2日間で習得できます。
また、会場受講・ライブウェビナー・eラーニングから受講形式を選べ、全国どこでも受講が可能であり、各会場では修了証明書も発行されます。また、復習用のオリジナル教材も用意されているため、復習としての教材としても活用できます。
講座詳細
講座詳細は以下の表を参照ください。
| 受講形式 | 会場/ライブウェビナー/eラーニング |
| 料金 | 会場/ライブウェビナー:58,300円 eラーニング:41,800円 |
| カリキュラム | 【1日目】
【2日目】
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| 持ち物 | 特になし(筆記用具程度) |
| 会場住所 |
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ブーリアン演算におけるよくある質問

ブーリアン演算におけるよくある質問についてまとめています。
ブーリアン演算がうまく動作しない原因として、最も一般的なのは「ジオメトリのエラー」です。特にCADにおいて、形状同士が重なりすぎていたり、完全に密着していたりすると、演算が正しく機能しないことがあります。
モデルの面同士の重なりや隙間を調整し、適切な位置にしましょう。必要であれば、操作に適した形状に修正してからブーリアン演算を試みると成功しやすくなります。
ブーリアン演算についてのまとめ
本記事ではCAD操作のブーリアン演算について、基本的な使い方やメリット、具体的な活用場面を解説しました。
ブーリアン演算を活用することで複雑な形状やシェル構造を効率よく作成でき、デザインの柔軟性も向上します。使い方を覚えれば初心者でも理解しやすく、設計の幅を広げる便利な機能です。ぜひ本記事を参考に活用してみてください。