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【AUレポート第二弾】Autodesk University2018に潜入! ジェネレーティブデザインを使ったらどんなものができるの?

AUレポート

こんにちは! 千葉大学の Fusion 360 ストゥーデントエキスパートイジュ (@IJU_chan)です。

今回は11/13〜11/16の4日間ラスベガスで開催されたAutodesk Universityに参加しています。

前回の記事では

  • ジェネレーティブデザインとは
  • ジェネレーティブデザインの作り方

をご紹介しました。

前回の記事はこちら↓
【AUレポート】Autodesk Universityに潜入!ジェネレーティブデザインって結局なんなの?

今回の記事では

  • ジェネレーティブデザインの事例
  • ジェネレーティブデザインのデータを作った後どうやって実際の形にしていくのか

について詳しく紹介します。

ジェネレーティブデザインの使い方はわかったけど、じゃあ実際Fusion 360 のジェネレーティブデザインを使うとどんなことに応用できるのか気になりませんか?

AU のギャラリーにはそんなジェネレーティブデザインを実際に作って見た作品が展示されていましたので、今回はジェネレーティブデザインが使われている実際の製品をご紹介します!

ところでみなさん、火星探査機と聞いて思いつくことはなんですか?

記憶に新しいのは1998年、日本で初めて打ち上げられた火星探査機のぞみですよね?
私は2歳なので記憶にないですが。

そして一番新しいのは、2018年11月27日に火星の着陸に成功した”InSight”です。

火星探査機

出展:NASA の火星探査機「InSight」は、こうして火星の内部まで「のぞき込む」

この探査機をみるととてもメカニックな造形をしてますよね。

環境が厳しい宇宙で耐えるには充分な強度を持った機構が必要です。

さらには調査するための機材なども載せた時のことも考慮し、限られた重さや大きさの中で機構を設計しなければなりません。

では、ジェネレーティブデザインを使うとどんな探査機が実現するのか!

製品紹介

製品紹介-1

こちらが Autodesk と NASA が共同開発した火星探査機です!

製品紹介-2

近くで見るとなんだか恐竜の骨みたいですね。
実際に近くでみるとザラザラしたテクスチャで骨が複雑に組まれているみたいでした。

高さ1メートル、アームも含めた幅2.5メートルのこの機体は、火星の生命体調査のためにつくられました。

このプロジェクトでは 20%〜30%の軽量化を目指し、従来の方法をガラリと変えてAutodeskは限られた時間の中で設計するために Fusion 360のジェネレーティブデザインを使い軽量化を図りました。

その結果、なんと35%の軽量化に成功したそうです。機械っぽい形というよりは生物っぽいデザインで未来感がありますね。

すごい。私もせめて10%軽量化したい。オートデスクに頼もうかな

この探査機のように、Fusion 360ではジェネレーティブデザインを使ってこのような形のデータ作成ができます。

ではジェネレーティブデザインのデータを作った後どうやって実際の形にしていくのか。

製造方法

探査機は全ての構造はジェネレーティブデザインで設計されているのですが、 アームと中央部では作り方が違います。
中央部は砂型というものを使って作成されているそうです。

製造方法

このパーツは先ほどの探査機の中央部のパーツの一部で、アルミニウムで作られています。

では実際にどのようにアルミニウムのオブジェクトが出来上がるのか図にまとめてみました。

砂型成形の作り方

砂型成形の作り方

1. 砂型のデータを作成。このとき下からアルミを注げるように注ぎ口をつくり、 上に空気の逃げ道をつくる。

2. レイヤーごとに分割して砂型を3Dプリンターで出力

3. 重ね合わせる

4. 下からアルミニウムを注ぐ

5. 砂型を壊してアルミニウムのオブジェを取り出す

分けて砂型を出力することによって時間の効率化をしています。

また、一般的な金型は何度でも複製できますが、型が抜ける形のみしか作れません。
一方この砂型成形は型自体を壊してしまうので一度しか使えませんが、金型では実現できなかった複雑な立体的な形を作ることができます。

砂型-1

図:レイヤーに分けた砂型を重ねたところ
提供:オートデスク

砂型-2

図:砂型を壊すとアルミニウムのオブジェが取り出せる
提供:オートデスク

この工程を経てできたアルミニウムのオブジェがこちらです!!!
オブジェ-1

あれ、普段私たちが見慣れているアルミニウムとちょっと違いますよね。

アルミ缶とかってもっと光沢があってツルツルしているけれど、これはザラザラしてる。

なんで??

実は砂型で作ったオブジェは砂の形がついていてボコボコしているので取り出して完成〜〜〜にはならないそうです。

この後研磨すると普段私たちが見慣れているアルミニウムに近づきます。

オブジェ-2

近くで見てみても少しザラザラしている様子がわかります。

オブジェ-3
オブジェ-4

冒頭で説明しましたが、この探査機はパーツによって製法を変えて作られていて、中央部は砂型で作成し、アームの部分は切削で作られています。
図:アームの構造

このようにパーツごとに作って組み合わせるとこの火星探査機ができあがります。

感想

Fusion 360にジェネレーティブデザインという機能が使えるのは知っていたけど、実際に作るにはどうしたらいいの?という疑問を解決できてよかったです。

特に3Dプリンターは実物を出力するものだと思っていたので、
3Dプリンターで型を出力することを知ってその手があったか!と驚きました。

今回の記事でジェネレーティブデザインってどうやって応用できるのか。どうやって製造していくのかを知っていただけたら嬉しいです。

オートデスクさんでは時々ジェネレーティブデザインの体験会や、オンラインセミナーを無償で開催しているらしいので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?

Fusion 360イベントページ

イジュ (@IJU_chan) イジュ

  • 千葉大学 工学部 デザイン学科
  • Autodesk Fusion360 ストゥーデントエキスパート (元アンバサダー)
  • 現在 アメリカ オハイオ州に留学中
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