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歩留まりの計算方法は?良品率・直行率との違い、産業別計算方法も解説

製造現場では日々さまざまな製品が生産されますが、原材料のすべてが製品にはならず常にロスが発生します。このロスを把握することは生産性向上の鍵となり、収益増加やコスト削減に貢献します。そこで重要となる指標が「歩留まり」です。

本記事では、歩留まりの計算方法について解説します。
良品率・直行率との違い、歩留まりの産業別計算方法についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

歩留まりとは?

歩留まりとは?

まずは歩留まりを理解するために、歩留まりの意味・重要性に焦点を当てて解説します。

歩留まりの意味

歩留まり(ぶどまり)は、成果を示す指標です。

「歩留まり」の「歩」は歩合(成果に応じて支払われる報酬)が語源で、「留まり」は溜まるという意味で使われています。つまり、歩留まりは「成果が溜まる」という意味を持った言葉です。具体的に、業種ごとに歩留まりの使い方を挙げてみました。

業種 使い方
製造業 原料や素材を投入した後の完成品の割合
農業 種籾と収穫した農作物、または収穫した農作物と出荷した農作物の割合
営業 見積もりから成約に至った割合

歩留まりのメリット

歩留まりはビジネスのあらゆる場面で活用され、さまざまな業種がその重要性・効果に着目しています。歩留まりを活用して得られるメリットとして挙げられる代表的なものを紹介します。

生産効率向上

同じ原材料から多くの製品を生産できるようになり、コスト削減、利益率向上につなげることが可能となります。

顧客満足度の向上

品質管理が強化され品質が安定するため、顧客の信頼獲得・競争力強化につながります。

環境負荷の低減

廃棄物の発生量が削減し、企業の環境への貢献度が向上し、社外的なPRにもなります。

従業員のモチベーション向上

業務における達成感が高まり、従業員満足度・モチベーション向上に一役かうことができます。


このように、競争力の向上、継続的な成長・目標達成が実現できるため、多くの企業は歩留まりの改善に向けて取り組んでいます。

製造現場では、歩留まりだけではなく材料のコスト削減も並行して取り組まなければなりません。シグマテックジャパン株式会社の「SIGMANEST」は板金・溶断用CAD/CAMソフトとして、導入企業の年間材料削減に大きく貢献しています。

材料コストの削減だけでなく、切断リードタイムの短縮や品質の向上にも寄与し、全業界を通じて25,000社以上の企業に導入されているのが特徴です。
歩留まりだけではなく、コスト削減にも力を入れていきたい企業の方は、下記より利用してみましょう。

歩留まりの計算方法

歩留まりは、完成品数を投入材料数で割って100を乗算することで算出できます。
歩留まり率が高いほど、生産効率が高いことを示します。具体的には下記の計算方法です。

計算式:歩留まり率 = 完成品数 ÷ 投入材料数 × 100

厳密には、歩留まりは投入した材料に対する完成品の割合を示した数値であり、歩留まり率はその割合を%で表現したものです。

歩留まり率と良品率、直工率の違い

歩留まり率と似た言葉に良品率と直工率があり、それぞれ異なる意味を持ちます

以下の表に、歩留まり率、良品率、直行率についての説明と計算方法を示します(歩留まり率は前項と重複)。

指標 意味 計算方法
歩留まり率 投入した材料に対して、実際に完成した製品の割合 歩留まり率 = 完成品 ÷ 全体の総数 × 100
良品率 完成品のうち、検査基準を満たした製品の割合 良品率 = 良品数 ÷ 完成品数 × 100
直行率 完成品のうち、検査で一発合格した製品の割合 直行率 = 直行品(一発合格品)数 ÷ 完成品数 × 100

完成品は、製造工程を終えた製品であり、検査前の段階のことです。
良品は、検査に合格した完成品のことで、再検査やメンテナンスを経て合格した製品も含まれます。一発合格品は、検査を一回で合格し、再検査やメンテナンスを必要としない製品です。

歩留まりの産業別計算方法

歩留まりの産業別計算方法

歩留まりは、産業別に計算方法が多少異なります。
ここでは、歩留まりの産業別計算方法について解説します。

製造業

製造業における歩留まりの計算方法は、大きく2つに分けられます。

原料ベース

原料ベースの歩留まりとは、投入した原料に対する完成品の割合のことです。
例えば、100kgの原料から80個の完成品ができた場合、原料ベース歩留まり率は80%となります。

工程別

工程別歩留まりは、各工程の投入材料と完成品をもとにして歩留まりを算出する方法です。
例えば、100個の部品を投入した工程で、90個の完成品ができた場合、工程別歩留まり率は90%となります。

農業

農業における歩留まり率の計算方法は、播種量(畑にまく種の量)と収穫量の2つの観点があります。

播種量

田畑にまいた種や苗に対して実際に収穫できた量を示す割合です。
例えば、1kgの種籾から800kgが収穫された場合、歩留まり率は800%となります。
計算式は1 ÷ 100 = 800%です。

収穫量

収穫した農産物のうち、出荷できる割合を示します。
例えば800kg収穫して出荷量が600kgの場合、歩留まり率は600 ÷ 800 = 75%となります。

サービス業

サービス業における歩留まり率は、投入した資源(材料・人員)に対して、実際に顧客に提供できたもの(製品・サービス)の割合のことです。

例えば、ある商品を売るために120件の営業活動を行い、10件の成約を獲得した場合、歩留まり率 = 10 ÷ 120 × 100 ≒ 8.3%となります。

建設業

建設業における歩留まり率は、使用された材料や労力が最終的な成果物にどれだけ効果的に変換されたかを示す重要な指標です。

歩留まり率=(プロジェクト完了に必要だった資源の総量/実際にプロジェクトに投入された資源の量)×100

この率は投入された資源の量をプロジェクト完了に必要だった資源の総量で割り、その結果に100を乗じて百分率で表されます。

高い歩留まり率は、資源の効率的利用とコスト削減を意味し、プロジェクトの計画段階での正確な資源見積もりや、進行中のプロジェクトの実績データの追跡と分析を通じて改善することが可能です。

これにより、コストの削減、資源の有効活用、環境への影響の最小化が実現できます。

歩留まり率の改善方法

歩留まりの改善方法

最後に、歩留まり率の改善方法について解説します。

原因の特定

歩留まり率を改善するためには、まず原因を特定することです。
通常、歩留まり率が低下する原因は、材料の品質、施工技術、天候など複数の要素が関連しているため、各部門・業種における原因の特定が改善につながります。

例えば、材料の品質面に問題があれば、信頼できる仕入先との取引を強化し、品質管理を徹底することが求められます。施工技術の向上が必要と判断した場合は、職人のトレーニングや施行マニュアル作成などで対処することが可能です。

天候の影響が原因であれば、雨天時の作業中止基準を明確にすると効果を発揮します。
農業の場合は、病害虫対策、適切な品種選定、収穫後の管理、土壌管理などの取り組みが必要です。

歩留まり率の向上を目指す場合、問題の根本原因を把握し、それに基づいた具体的な対策を取ることが改善に向けた第一歩となります。

従業員の意識向上

歩留まり率を改善するには、現場の従業員の意識向上も欠かせません。
従業員の意識が高まれば、材料のロス削減、作業効率アップ、品質向上に貢献します。

従業員一人ひとりが意識を高めるためには、教育・研修の充実、明確な目標設定、情報共有、コミュニケーションが重要です。現場全体で協力し、歩留まり率向上への意識を高めることが、より効率的で高品質な現場を生み出すことにつながります。

IoTを活用

歩留まり率の改善策として、IoT(Internet of Things)の活用が挙げられます。
IoTを導入することで、従来見逃されていたムダや改善点をリアルタイムで収集・分析、可視化できます。

製造現場では、各工程の稼働状況や材料の使用量、従業員の作業時間などを即時に分析することが可能です。設備の稼働状況の監視や故障予測、製品検査の自動化、在庫管理の最適化なども行えます。

IoT導入は、歩留まり率低下の原因を素早く特定・改善することで、コスト削減、品質向上、生産性向上など多くのメリットをもたらします。
近年、デジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されていますが、その実現にもIoTが欠かせません。

歩留まりの計算についてまとめ

まとめ

歩留まり率は製造業や建設業、サービス業などさまざまな業界で重要な役割を果たし、生産効率や品質管理の指標として利用されています。

歩留まり率向上はコスト削減や品質向上、環境負荷低減など得られるメリットも多いです。
良品率や直行率との違いを理解し、各産業における計算方法を習得することで、効果的な改善活動につながっていくでしょう。

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