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【AUレポート】Autodesk Universityに潜入!ジェネレーティブデザインって結局なんなの?

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こんにちは!Fusion360 レポーターのイジュ(@IJU_chan)です。
11/13~11/16の4日間ラスベガスで開催されたAutodesk Universityに参加しています。

最近注目されているジェネレーティブデザインってなんなの?っていうのを探るべくジェネレーティブデザインについてフォーカスしてレポートをしていきたいと思います!

Autodesk Universityの詳細はこちらをご覧ください

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Autodesk Universityって何?

Autodesk University通称AUは毎年秋頃にラスベガスで開催されるAutodesk最大の、建設, 製造, 建築, エンジニアリング, メディアの最新技術が集まるイベントです。
次世代の技術を体験できたり、ジェネレーティブデザインをはじめ、さらにはオートデスクの様々な製品を体験できるハンズオン等に参加できます!

ジェネレーティブデザインって何?

Autodeskのサイトによると

ジェネレーティブデザインは、あらかじめ定義された目標と制限を満たす、高度に最適化されたデザインを生み出すことのできるソフトウェア テクノロジーです。クラウド上の形状合成アルゴリズムとマルチ物理モデルのパフォーマンス解析を活用して、単一のアイデアから、想像もできないようなものを含めた、何千ものデザインオプションを生成します。
参照:https://www.autodesk.co.jp/solutions/product-development-innovation-platform

そのままだとなんだかよくわからないですよね?笑
つまり今まではものを作る時にはものの耐久性や素材など、物理的な要因を人が考慮してデザインをしていたわけですが、ジェネレーティブデザインのテクノロジーを使うことによって、人が考えられる何倍も、何百倍ものデザインの選択肢を素早く生み出すことができるのです。

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写真: 無数のデザインオプション

私も学校で毎週75個のアイデア出しをしてるのですが、それに何時間かかっていることか。。。

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写真: ジェネレーティブデザインで作られた製品

ジェネレーティブデザインはAutodeskが出している3DCAD製品Fusion360の中に入っている機能です。
Fusion360のパッケージを購入することによって使えるようになります。
購入リンクはこちら

今回、ジェネレーティブデザインについて、日本でも有名なこのお二人が解説してくれました!

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写真: 左 藤村氏 右Paul Sohi氏
目つぶっちゃったねPaul氏

セミナースタート

いよいよ始まりました!
まずPaul氏が今の製造業が今後ジェネレーティブデザインを使うことでどのように変化していくのかを解説してくれます。

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写真: 現在の製造プロセス

ものが完成するまでには様々なプロセスが必要です。デザインの設計、解析、テスト、製造これらの過程を経てものは作られます。
みなさんもご存知の通りこれには膨大な時間とコストがかかっています。

もしも、この過程が同時にできて自動的にたくさんの選択肢を瞬時に生み出してくれたらどうでしょう。

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写真: 理想の製品開発プロセス

一つのアイデアから膨大な選択肢をジェネレーティブデザインが出してくれることによって、私たちは選択肢の中から最高の一つを選び出し、その設計アイデアを元に製造コスト、形の綺麗さを考慮してデザインをブラッシュアップすることができます。こうすることで生産までのプロセスがぎゅっと短縮できますね!

もちろんジェネレーティブデザインが全てをやってくれるわけではなく、

膨大な選択肢を提示→人が基準を決めてその中から選び、改善する

っていう流れみたいですね!将来デザイナーじゃない人もこの力を借りればかっこいいものが作れるようになるかもしれないです。
逆にエンジニアの知識がない私も物理的なことを含め理にかなった形状が作れる時代になったってことですね!
ここの垣根がなくなるのは革命的じゃないですか?

どうやって使うの?

ジェネレーティブデザインがなんか製造業に役立つのはわかったけど、実際どうやってそうやって使うの?って思いますよね。
今回は具体例を見ながら一緒に学んでいきましょ!

はい、まずこれ!ただの棚。

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写真: ただの棚

このただの棚を壁に固定するのには何が必要ですか?
そう!よくあるこういうL字の金具が必要ですよね?
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参照: https://www.amazon.co.uk/2x-Metal-London-Shelf-Brackets/dp/B076QGDRJX

これを取り付けてみるとこんな感じ。

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写真: https://www.homedepot.com/p/Everbilt-7-8-in-x-5-5-in-White-Magnum-Shelf-Bracket-EB-0099-8WT/204657448

では、ここで問題!
もしもこのL字金具にジェネレーティブデザインを使ってみたらどうなるの?を一緒に考えてみてください。

ん〜〜〜〜いや、L字っていうくらいやからもっとオシャレなLにするとか??
2018-12-08 8.12.06

… 明朝体、ゴシック体、サンセリフ、、、、想像つきませんね。いろんなLが頭を駆け巡ります。

それでは、できたのがこちら

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ドーン!!! いや、Lじゃないやんけ。。。

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だまされたわ。でも確かに棚を支えるのにLである理由ってないよな。

こんな形になるとはなかなか想像できませんよね。でもこの形、実は超理にかなっているらしい!どうやって作ったのか気になる。

ジェネレーティブデザインの使い方!

ジェネレーティブデザインをする手順

①状況を確認して、デザインしたいパーツを決める
②必ず必要となる部分を定義する(保持ジオメトリ)
③空けておかなければならない領域を定義する(障害物ジオメトリ)
④拘束と荷重条件を設定する
⑤製造条件とマテリアルを決める
⑥実行!出来上がったいくつかのパータンから最適なものを選択する
⑦必要な個所を残して、プロダクトデザインを行う

それではジェネレーティブデザインを利用するための具体的なプロセスをみていきましょう!

①状況を確認して、デザインしたいパーツを決める

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まず最初に大切なのが、何をジェネレートするかということらしい。
またジェネレーティブをする時に、周りがどのようになっているかもきちんと確認しましょう!ということです。
下の画像の様に、壁と板だけではブラケットは固定できませんよね?つまり条件というのは、ネジなんかも入ってるんです!

②必ず必要となる部分を定義する(保持ジオメトリ)

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そしてそのネジで壁や、板に固定される部分(緑色)が手順でいう②必ず必要となる部分を定義する(保持ジオメトリ)にあたります。
挟むものがないと留まらないですもんね。
このネジを止める領域はどんな形を作るにしてもネジを固定するために確保しなければいけない領域です。
他の製品と接続する箇所は必ず必要なので残します。これを保持ジオメトリといいます。

③空けておかなければならない領域を定義する(障害物ジオメトリ)

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保持しなければいけない部分(残さなければいけない部分)を定義し終わったら、次は壁に留める時に使うこのネジの部分が障害物ジオメトリに該当します。
(赤い部分)ネジがはまる部分に構造体ができてしまってはネジがはめられませんので、確かに開けておかないといけませんよね!
 
ポイント!
 
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あととても大事なことらしいのですが、この例だとネジで留めるためにはスクリュードライバーを使いますよね普通。
その工具の通り道が必要なんです!ですから赤い部分を延長して、スクリュードライバーの通り道には構造体が生成されないように定義します。
これらの障害ジオメトリはご自身でモデリングをして作ります。

④拘束と荷重条件を設定する

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まず荷重条件。今回は棚なので上から主に力がかかります。今回は上からの荷重と横からかかる力を設定します。次に拘束。壁から落ちてはいけないので拘束をかけます。(この画像では各条件をわかりやすくするために加工しています)

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障害物ジオメトリを非表示にしたところです。
 
拘束と荷重条件を設定し終えました。
ここまでやってみて、ジェネレーティブデザインっていっても下準備はしっかり必要でまだまだ人間の頭も捨てたもんじゃないなと思いましたね。

⑤製造条件とマテリアルを決める

最後に、製造条件とマテリアルを決めます。
製造条件は、計算した結果をどの方法で作成するかを指定する部分で、今後鋳造や板金なんかも追加される予定があるそうです!!

ここまできたらあとはボタン押すだけ!!!!

[生成]-[解析]から実行します

ドーン!!!!!

2018-12-11 19.09.07

解析結果でました!

生き物みたい、、、ぐにゃぐにゃしててアートみたいなのにちゃんと荷重にも耐えられるしちゃんとネジも止められる!すげっ〜〜
赤い部分覚えてますか?
これ障害ジオメトリ。見事に貫通してます。これでドライバーでネジ止められるんだね。

お。実際に出力されたものが配られました。こちら!絶対手作業では作れない形してますね。
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イジュの感想

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この技術は効率的に形が作れるってところもすごいけど、エンジニアとデザイナーの垣根を下げてくれるツールでもあるのかな。と思いました。
実際に触ってみて、この有機的な形が人間の靭帯に似てる気がしました。人間の神経、筋肉、昆虫の羽など、
自然界のものってとっても効率的な形をしているから、ジェネレーティブデザインが発達していくと自然の形に近づいていく気がします。

実は今回は一つのジェネレーティブデザインの結果が出るところまで追ってみましたが、ものづくりは「はい結果出た!これで生産〜」とはいかず、実際に作るのはこれからです。
この結果をもとにデザインを生産、コストなどを考えもう一度デザインしていきます。
今回の記事でジェネレーティブデザインって何なのか。作るにはどういう設定が必要なのかを知ってもらえたら嬉しいです。
オートデスクさんでは時々ジェネレーティブデザインの体験会や、オンラインセミナーを無償で開催しているらしいので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?

Fusion 360イベントページ

それではまた!

次回はこの結果を元にどうやってデザインしてくのかをみてみようと思います!おたのしみに^^


@IJU_chan
イジュ
千葉大学 工学部 デザイン学科
Autodesk Fusion360 ストゥーデントエキスパート
(元アンバサダー)
現在 アメリカ オハイオ州に留学中

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