こんにちは!Chisatoです。
本日のtopicsは、サイバネットシステム株式会社が販売開始した、粉体挙動解析ソフトウェア「Ansys Rocky(アンシス ロッキー)」をご紹介します。
CAEのリーディングカンパニーのサイバネットシステム株式会社は、ANSYS, Inc. が開発・販売・サポートする粉体挙動解析ソフトウェア「Ansys Rocky」の販売および技術サポートを2021年5月31日から開始しました。
「Ansys Rocky」開発背景
粉砕、造粒、分級、混合など粉体を巡る技術は、身近な分野では製薬(錠剤や粉薬等)、食品(調味料やフレーク菓子等)、建築(塗料やセメント等)、さらには化学(セラミックや農薬等)、自動車の部品に用いられる粉末冶金材など、様々な業界の基盤技術として利用されています。
一方で、粉体は形状に応じて複雑な挙動を示すことから、撹拌時の混合の不均一、輸送工程や充填過程で発生する粉つまりや偏析などのトラブルが発生しやすく、回避も難しいのが実情です。
こうしたトラブルの解決策として挙げられる「製造条件の変更」や「製造設備の改善」には、シミュレーションによる粒子挙動の予測が効果的です。特に高額で代替えが難しい粉体製造設備は試作や試験が限定的になりがちな背景も相まって、粉体のシミュレーションニーズは高まっています。
「Ansys Rocky」概要
Ansys Rockyは、非球形粒子を「多面体」としてモデル化し、その挙動の予測を実現した初の商用版粉体解析ソフトウェアです。CADで作成できる形状ならほぼすべてのモデルを粉体として扱うことができ、粒子の形状や分裂などを考慮しながら、実現象に忠実なシミュレーションが可能です。
また、複数のGPUを利用した超高速計算が可能な3次元離散要素モデリング(DEM)プログラムにより、数百万個以上の粒子を取り扱うような複雑なシミュレーションでも正確かつ高速に計算を実行します。長年サイバネットが取り扱ってきたAnsys ソフトウェアとの連成シミュレーションも可能で、試験コストや検証工数の大幅な削減を実現させ、粉体加工プロセスの生産性向上に貢献します。
【動画】様々な形状のスナック菓子を袋詰めするシミュレーション
「Ansys Rocky」の特長
これまで難しかった「非球形」粒子の複雑な挙動も実現象に忠実にシミュレーション可能にします。
複数GPUの並列利用による超高速計算も実現し、粉体加工プロセスの生産性向上に貢献する「Ansys Rocky」の特長をご紹介します。
高精度シミュレーションで、実現象を忠実に再現
一般的な粉体シミュレーションソフトウェアでは、完全な「球形」以外の粒子形状を取り扱うことは困難ですが、Ansys Rockyでは球形/非球形両方の粒子形状を指定することができます。また、異なる形状、サイズ、弾性、粘性の粒子を組み合わせて、独自の粒子セットの作成も可能です。これにより、生産工程で起きる現象を忠実に再現して粒子挙動を把握できるため、試作や再現実験の回数や時間、コストを大幅に削減します。
複数のGPUを利用し、超高速計算を実現
Ansys Rockyでは、グラフィックボードを増設して複数のGPUを同時に利用した共有メモリ型並列計算を実行できます。従来のCPUを用いた計算と比較して圧倒的な計算性能を有するため、数百万個以上の粒子を取り扱うような複雑なシミュレーションでも高速に計算を行うことが可能となります。より多くのパターンで粒子挙動を予測できるようになり、製品品質の向上を実現します。
可視化の難しい粉体設備内の現象も解明可能
Ansys Rockyは、構造解析ソフトウェア「Ansys Mechanical」や熱流体解析ソフトウェア「Ansys Fluent」と連携しており、粉体―構造、粉体―流体、粉体―伝熱といった様々な連成シミュレーションが可能です。これにより、例えば構造体に粒子が衝突した時の力や、流体力が粒子の流れや温度に与える影響なども容易に予測することができます。これまで可視化が難しかった粉体設備内の現象を明らかにすることで、生産工程や設備の改善対象が明確になり、粉体加工プロセスの生産性向上を支援します。
【動画】Ansys Fluentと連携したパイプの浸食シミュレーション
これまで難しかった「非球形」粒子の複雑な挙動も実現象に忠実にシミュレーションし、粉体加工プロセスの生産性向上に貢献する、粉体挙動解析ソフトウェア「Ansys Rocky」に注目です!