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【2026】日本で3Dプリンターの家が実用化するのはいつ?日本や世界の事例・メリットデメリット

2025年の大阪・関西万博で、竹中工務店の3Dプリンター製仮設休憩所がギネス認定を受け、3Dプリンター建築の魅力を広く示しました。

しかし、この「仮設」と「住宅」では建築基準法の扱いが大きく異なります。実のところ、日本における3Dプリンターの家は、実用化への課題が少なくないのです。

本記事では、「日本で3Dプリンターの家が実用化するのはいつ?」という疑問にお答えすべく、実用化を妨げる最大の要因、3Dプリンターの家のメリット・デメリット、世界の導入事例まで幅広くお伝えします。

3Dプリンターの家とは?

3Dプリンターの家とは?

3Dプリンターの家とは、巨大な3Dプリンターで造られる住宅のことです。デジタル設計図のデータをもとに、機械が自動で素材を積み重ね、壁や土台を形づくっていきます。

外観に見られる滑らかな曲線「R形状」、造形表面の「積層痕」は、素材を重ねて成形する3Dプリンターの家ならではの美しさです。

  1. 従来建築との違い
  2. 3Dプりンターの家の造形方法は2種類
  3. 3Dプりンターの家で使う素材
  4. 3Dプリンターで作った家の耐久性

①従来建築との違い

3Dプリンターの家と従来の建築は、施工方法が本質的に異なります

従来の建築では、設計図を現場の職人が読み、材料を加工・組み立てて家をつくります。木造なら継手加工、鉄骨なら溶接、RC(鉄筋コンクリート)なら型枠を組んでコンクリートを打設するといった専門技術が必要です。

一方、3Dプリンターの家は、BIMやCADで作られたデジタル設計データをそのまま入力し、素材をノズルから吐出して「層状に積み重ねる」ことで構造体を造形します。

つまり、従来の建築技法の溶接や型枠、継手といった作業が不要になるのです。それに伴い、建築現場における技術継承、工期の長さといった「属人化」に伴う様々な課題を解決できます。

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3Dプリンター建築をはじめ、現代の建設・設計分野では、コンピューター上の立体設計図(BIM/CAD)が主流で、設計から施工、維持管理に至るまで、プロジェクトの全工程で中心的な役割を果たしています。

BIM・建築 3DCAD Revitセミナー講習は、BIM/Revitの操作をハンズオン形式で習得できる実践型のカリキュラムです。

②3Dプリンターの家の造形方法は2種類

3Dプリンターの家の造形方法は、大きく分けて、家を建てる現場で直接施行する方法、工場で部材を造形する方法の2種類があります。

現場造形

これは、3Dプリンターを建設現場に設置し、家の壁をその場で層状に積み上げる方式です。

主に、カーテシアン式(門型)プリンターやロボットアーム式があり、カーテシアン式は大きく剛性が高いため家全体を一気に印刷できます。以下は、現場造形の手順です。

  1. 従来の基礎工事を実施
  2. デジタル設計図に従い、ロボットアームが直接壁を造形
  3. 壁が完成した後、屋根などは従来の工法で設置

工場造形

この方式は、工場で造形された部材を組み立てる手法です。この技術により、JR西日本初島駅の駅舎が一晩(約2時間)で組み上げられるなど、人間では不可能なスピードでの造形を実現しています。この工場造形は、以下の手順で進めます。

  1. 工場で外壁などのコンクリート部材を製造
  2. 部材を建設地に運搬
  3. クレーンなどで吊り上げて部材を接合

③3Dプリンターの家で使う素材

日本をはじめ、3Dプリンターを使った建築ではコンクリート系の「モルタル」が主に活用されています。しかし、日本で「モルタル」を構造材に使うには国土交通大臣の認定が必要です。具体的な素材の種類を以下に挙げてみます。

種類 特徴 メリット
コンクリート系 セメントや砂、水を特殊配合したモルタルが主 速乾性、強度、耐久性が高い
樹脂系 紫外線を照射すると分子が変化して瞬時に硬化 コンクリートより軽量、衝撃に強い
天然素材系 土や天然繊維によるナチュラルな仕上がり 地域資源を活かし、CO₂排出抑制

このように、3Dプリンターは、上記のように様々な素材を使って造形できる柔軟性があります。以下の記事では、金属3Dプリンターを紹介し、その他、熱溶解積層方式、光造形方式など、様々な造形方法をお伝えしていますので、ぜひこちらもご一読ください。

金属3Dプリンターとは?使い方から人気製品まで徹底解説

④3Dプリンターで作った家の耐久性

3Dプリンターの家は、その高い耐久性にも注目が集まっています。

例えば、石川県珠洲市の約48時間で完成した3Dプリンターの家は、木造住宅の耐用年数が20~30年なのに対し、約70年の耐久性を持つといいます。手掛けたセレンディクス社によると、30cm以上の分厚い壁、高い耐震性コンクリートによる二重構造の壁が高い耐久性・耐震性を実現しているとのことです。

モルタル材の課題と新素材による解決

一方で、外壁に使われるモルタル材には、ひび割れや塗装の剥がれから水分が侵入し、凍害」を引き起こすリスクがあります。特に、壁の凍結→融解を繰り返す寒冷地は、ひび割れが拡大し、劣化が進行しやすいです。

これを解決するために、合成繊維を混ぜた繊維補強セメント複合材料(ラクツム)も開発されています。この新素材は水や空気の侵入を防ぎ、より長寿命な住宅を実現します。

参照:スーモジャーナル モルタル外壁の構造と劣化メカニズムとは?

日本で3Dプリンターの家の実用化を妨げる最大の要因

日本で3Dプリンターの家の実用化を妨げる最大の要因

3Dプリンターの家は、今後、低価格でローン負担の少ない住宅として需要が見込まれるほか、人手不足解消やCO₂削減といった社会課題の解決策としても期待されています。

しかし、3Dプリンターの家が日本で本格的に実用化するには、乗り越えるべき課題も少なくありません。特に、施工場所の制限や基礎・配管配線工事への対応に加え、建築基準法への適合が実用化を妨げる大きな要因となっています。

建築基準法における3Dプリンター材料の位置づけ

建設用3Dプリンターで主に使われるモルタルは、建築基準法第37条の指定建築材料には含まれません。つまり、木材や鉄筋コンクリートといった、国が性能や安全性を保証している「建築材料」として扱われないということです。

しかし、この建築基準法第37条には建築材料の強度基準が定められていないため、構造耐力上重要な部分にモルタルを使用する場合は、建築基準法第20条に基づく国土交通大臣の認定(大臣認定)が必要となります。

ただし、この審査には時間とコストがかかるため、3Dプリンターの家ならではの「安価で工期が短い」という魅力が損なわれてしまいます。これが、日本での本格的な実用化を大きく遅らせている要因です。

3Dプリンター材料の部位・用途別の取扱い

3Dプリンターの家で主に使われるモルタルの扱いは、使用する部位や用途によって建築基準法の認定基準が異なります

大臣認定が不要なケース

  1. 壁などを非構造部材として使用(外装材など)
  2. 型枠のみを3Dプリンターで造形し、内部に鉄筋を配してコンクリートを充填

なお、②の場合は鉄筋コンクリート造として扱われます。

大臣認定が必要なケース

  1. 3Dプリンターで造形したモルタルを構造部材として使用
  2. 構造耐力に期待する用途で型枠を造形

つまり、構造耐力上主要な部分に使用する場合は、その規模に関わらず大臣認定が必須です。一方で、非構造部材や型枠造形としての利用であれば、大臣認定は不要で、比較的自由に3Dプリンター材料を活用できます。

参照:国土交通省建築基準法 | e-Gov

日本で3Dプリンターの家が実用化するのはいつ?

日本での3Dプリンターの家の実用化には、建築基準法という大きな障壁があります。しかし、3Dプリンターの家は「いつか実用化される」という未来の話ではなく、すでに実用化が進んでおり、実際に販売・建設が行われている段階です。

すでに販売が始まっている3Dプリンター住宅

セレンディクス社は、2023年7月に建築基準法に適合した2人居住用住宅の建設に成功しました。この住宅は、従来の工法では考えられない44時間半という短時間で完成させています。

この家は、約50平米の平屋として、550万円という安価な販売価格で市場に投入されました。低価格と手軽さから、シニア世代からの需要が高まっています。

参照:スーモジャーナル

建築基準法をクリアした事例は多数

日本で3Dプリンターの家の実用化が実現した事例は多数あります。

その発端は2022年6月、大林組による日本初の建築基準法に基づく「3Dプリンター実証棟」の建設着手です。この3Dプリンターの家は、国土交通大臣認定を取得した構造形式を用いており、大手ゼネコンも本格的に3Dプリンター住宅市場に参入する道が開かれました。

また、熊本県の住宅メーカー「Lib Work」は、日本初となる土を主原料とした3Dプリンター住宅を開発しました。同社は2025年7月に延べ面積100m²の住宅を完成させ、建築基準法をクリアしています。この家は、2026年1月より、約6,000万円で一般販売予定です。

参照:大林組国内初「土の3Dプリンター住宅」が完成

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日本で3Dプリンターの家を実用化するメリット

日本で3Dプリンターの家を実用化するメリット

続いて、日本で3Dプリンターの家を実用化するメリットについて解説しましょう。

建設コストの大幅削減

日本で3Dプリンターの家が実用化する最大のメリットは、建設コストの削減です。

従来の住宅建築では、人件費が大きな割合を占めますが、3Dプリンターによる自動施工を行うことで、人件費を大幅に抑えられます。日本でも、500万円台の家が販売されたのは、この自動施工による人件費カットによるものなのです。

工期の大幅な短縮

日本で3Dプリンターの家が実用化するもう一つのメリットは、圧倒的な施工スピードです。3Dプリンターは、型枠を組む工程が必要なく、機械であるため24時間連続稼働も可能です。

実験的事例ベースですが、最短24時間で完成する事例も報告されているため、この短工期は従来の建築にはない大きなメリットといえるでしょう。

人手不足問題の解決

日本における3Dプリンター住宅の実用化は、人手不足が加速化する建設業界に大きなメリットをもたらします。

国土交通省北陸地方整備局の資料(令和6年8月29日)によると、建設業の就業者数はピーク時から平均で約30%減となっており、高齢化も顕著です。3Dプリンターによる自動化施工は、少ない人数でも建築を可能にするため、この人材不足の課題解決に貢献することが期待されます。

環境負荷の低減

3Dプリンターの家は現場で直接造形するので、従来の建築で必要な大量の資材運搬が削減されます。これにより、CO₂排出量の削減にもつながり、環境負荷の低い住宅建設が可能です。

さらに、必要な分だけを正確に造形するため、現場発生の廃材も少なく、SDGsの観点からもメリットの多い施工方法といえるでしょう。

日本で3Dプリンターの家を実用化するデメリット

日本で3Dプリンターの家を実用化する場合、いくつかのデメリットも存在します。

建築基準法適合が難しい

3Dプリンター住宅の実用化における最大の課題は、やはり日本の厳しい建築基準法です。地震大国である日本は世界でも特に耐震基準が厳しく、この規制がデジタル技術の導入を妨げる最大のデメリットとなっています。

しかし、規制緩和に向けた動きも出はじめました。2024年8月「3Dプリンター対応検討委員会」が「建設用3Dプリンターを利用した建築物に関する規制の在り方について」で言及するなど、今後の動向が注目されます。

原材料の選択肢が少ない

日本で3Dプリンターの家を実用化するデメリットには、素材の選択肢の少なさも挙げられます。現在、日本や海外の主流はモルタルですが、これは寒冷地の水分による劣化(凍害)、高湿度・多雨による劣化が見られるため、日本の気候風土にはあまり適していません

また、海外では、金属、炭素繊維、木質繊維といった様々な素材を用いた事例(アメリカ・メイン大学のバイオ素材住宅など)があるものの、こうした素材を日本国内で導入・普及させるには、コスト面はもちろん、技術面でも多くの時間が必要です。

対応できる業者が少ない

3Dプリンター住宅は、「欲しい」と思ってもすぐには買えない、供給体制の未整備もデメリットです。現在、一般に販売されている3Dプリンターの家は、セレンディクス社のモデルなどごく一部に限定されています。

従来の住宅展示場のように、実物を見学・購入できる場所もほとんどありません。このように市場が未成熟なため、購入希望者が増えても、生産側がその需要に追いついていないのが現状であり、本格的な実用化への道は、時間がかかると考えられます。

世界で3Dプリンターの家が実用化した事例

次は、世界での3Dプリンターの家の実用化事例を見てみましょう。

テキサスで世界最大級の3Dプリンター住宅街を建設

アメリカ・テキサス州では、建設会社「Icon(アイコン)」が、幅14メートル、重さ5トンの巨大3Dプリンター「Vulcan」を使い、100軒の家を建設しました。

施工開始は2022年11月。建築方式は「現場造形」で、広さ約140〜185平方メートルです。この家は、従来より安価な約6,610万円〜8,820万円で販売されています。

住人からは、分厚いコンクリート壁による「高い静音性」「暑いテキサスの夏でも涼しく過ごせる」といったメリットが評価されています。その反面、壁が厚いことでWi-Fiの電波が通りにくいという声もありました。

オランダでは3Dプリンターの家の実用化が加速化

オランダでは、建設業全体をデジタル化し、生産性を高めながら環境負荷を減らすという大きな目標のもと、3Dプリンターの家の実用化が加速化しています。

ある家は、近くの工場で24個のパーツを3Dプリントし、敷地内で組み立てる方式で建設されました。完成した住宅は小型ながらも高性能で、住民からは「住み心地がいいし色も素敵」との声が見られます。また、外壁の積層痕(凹凸)といった、独自の質感も評価されていました。

この動きは、「安く家を建てる」ことだけでなく、デジタル技術が建設の質そのものを変えるという、ヨーロッパの未来志向の取り組みとして注目を集めています。

以下の記事でも、日本や海外の3Dプリンターの家の事例を紹介しているので、実際の活用事例に興味をお持ちの方はぜひご一読下さい。

【2025】3Dプリンターで作られた家とは?日本でも実用化が進む?価格とメリット&デメリット

日本で3Dプリンターの家を購入する方法

日本で3Dプリンターの家を購入する方法

最後に、日本で3Dプリンターの家を購入する方法をお伝えします。ここでは、具体的な購入方法として、熊本県の「Lib Work」のケースを見てみましょう。

①電子カタログの請求

まず、公式サイトから電子カタログを請求し、詳細な情報を得ましょう。フォームでは、以下の選択肢から検討理由を選びます。

  • 将来の建て替え・新築候補として
  • セカンドハウス・別荘として
  • メディアなどで興味を持った
  • 「土」を主原料にした環境配慮型コンセプトへの共感

②任意での来場予約

購入検討を進めるために、熊本県山鹿市にある施設での「来場予約」を利用できます。これは必須ではありませんが、実際に建物を見学し、デザインや性能を体感することで、購入の意思を固めることが可能です。

③契約・資金計画

情報収集や見学を通じて購入の意思が固まった後は、土地の選定や契約、そして住宅ローンなどの資金計画の検討に進みます。この資金計画や契約に関する具体的な手続き、および住宅ローンなどの審査については担当者が個別にサポートします。

参照:3Dプリンター住宅「Lib Earth House」

3Dプリンターの家と日本での実用化についてまとめ

3Dプリンターの家は、日本で実用化されているものの、構造材に用いる新材料への大臣認定取得が必要です。これには、手間とコストがかかり、また実際に施工できる業者も限られています。

しかし、デジタル化社会の加速化に合わせ、建築基準法の緩和への動きも見られることから、日本でも本格的に実用化される可能性は高いでしょう。日本の住宅市場を3Dプリンターが席巻する日は、そう遠くないのかもしれません。

【2025】日本で3Dプリンターの家が実用化するのはいつ?世界の最新事例・メリットデメリット
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