モデリングしたオブジェクトを立体物として打ち出す3Dプリンターは、比較的安価なものも登場してますます身近な存在になりつつあります。3Dプリンターで制作するモノと言えば、合成樹脂で成形された固いものというイメージがあります。
しかし、最近では衣服のようなやわらかいモノを出力する試みが始まっています。そこで、3Dプリンターを使って衣服を制作している事例を紹介します。
3D Normcore
3Dプリンターで制作する衣服を共同研究しているファッション系スタートアップのSTARtedとクリエイターの小野正晴氏は、2015年11月に「3D Normcore」を発表しました。記事のトップの写真が今回の取り組みで制作された作品です。
東京大学大学院所属の大嶋泰介も開発に協力した同製品は、3Dプリントされた衣服を構成している各パーツがAuxetic Materials(オーセチック構造)という構造をしています。この構造は、各パーツが組み合わさった時に全体に柔軟性が生まれるという特徴を持っているのです。柔軟性が生まれた結果、従来の3Dプリントされた服にありがちな「服のプラモデル」という印象を払拭して、より伝統的な衣服に近いものとなっています。
STARtedと小野氏は、ショーモデルが着るような未来感に溢れた衣服ではなく、3Dプリンターで制作されながらも、誰もが普段に着られるような「リアルクローズ」を目指して現在も開発を進めています。
Iris van Herpen
引用元 https://www.youtube.com/watch?v=RY31gU819x8#action=share
パリコレに作品を毎年発表しているIris van Herpenは、3Dプリンターを多用するデザイナーとして知られています。彼女は、水の動きや波紋といった自然現象から着想したアイデアを、3Dプリンターという最新のテクノロジーを駆使して実現します。こうした独創的な衣服は、ビョーク、レディー・ガガなどのアーティストがライブやMVのコスチュームに採用しています。
2013年に発表された「VOLTAGE」と名づけられたコレクションでは、電流を体の中に流したかのようなデザインの衣装を制作して、観客を驚愕させました。3Dプリント技術を使うにあたっては、MITメディアラボ所属のNeri Oxmanが協力しました。
Danit Peleg
Danit Pelegは、家庭用の3Dプリンターを使って衣服を制作したことで有名になり、世界的なトーク・カンファレンスであるTEDでプレゼンしました。その中で、家庭用3Dプリンターで衣服を制作するにあたり、多数のパーツに分けて印刷した後にパズルのように組み合わせたと話しています。
3Dプリントは、現在の技術では出力するのに時間がかかるという難点があります。しかし、データの設計技術や3Dプリンターの性能の向上によって、近い将来、データをダウンロードして、近所のFabスペースや自宅の3Dプリンターで出力できるようになりつつあります。
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