近年はインターネットの普及とともに、クリエイターが使用するソフトウェアやツールも増えてきています。初心者でも使いやすいツールやソフトを使えば、個人でもゲームやアニメーションの制作が可能です。中でもゲームやアニメーションの制作に興味を持ったときに、使用を検討されるツールが「Unity」や「Blender」です。
ソフトやツールは使用方法においてさまざまな違いがあり、この点を理解していなければ思うように使いこなせず、理想とするコンテンツを制作できない恐れがあります。
本記事ではUnityとBlenderについて、用途や料金を比較しながら、二つのソフトについての違いを解説していきます。これから使用を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Unityとは
「Unity(ユニティ)」は、Unity Technologies社が開発・提供しているゲームエンジンです。ゲームエンジンとは、ゲームの制作をサポートするための開発環境のことで、Unityがあればゲームを作るのに必要な処理や管理がトータルで行えます。ゲーム開発のプロが使用するほど高度な作業ができる一方で、初心者や子どもでも扱いやすい設計となっている点が大きな特徴です。
Unityはパソコンだけではなく、スマートフォンや家庭用ゲーム機用のゲーム制作にも用いられています。モバイルゲーム市場では約50%のコンテンツがUnityで作られているといわれており、ゲームエンジンのなかでは圧倒的なシェアを獲得しているといるソフトです。
Unityはその扱いやすさと応用範囲の広さから、ゲーム制作だけでなく、建築業界や自動車業界などでも活用されています。これらの業界では主にシミュレーションの用途で用いられており、製品設計や開発、課題や問題点の把握に役立てられています。Unityは他にも幅広い分野で使用されており、アニメーション業界に加え、エネルギー産業や航空宇宙分野でも活用されるほどのツールです。
Blenderとは
「Blender(ブレンダー)」はBlender Foundation(ブレンダー財団)が開発・提供する、3DCGを制作するためのソフトウェアです。BlenderもUnity同様、プロの世界で使用されている一方、初心者でも利用可能なツールとなっています。
また、Blenderはゲームやアニメーションの制作にとどまらず、映画制作や建築業界など幅広く用いられている点も特徴です。キャラクターの作成から建築物の可視化モデル、製品のデザインなど、さまざまなモデリングの場で使用されています。
WindowsやMac、Linuxはもちろん、SolarisやIRIXといった、たくさんのOSに対応している点も大きな特徴といえるでしょう。Blenderは日本語でも扱える仕様になっているため、はじめて3DCGソフトに触れる人でも安心です。
アップデートも随時行われているため、長期的な利用も見込めます。使い勝手の良さや随時新機能が加わわる点など、常に進化し続けているのもBlenderの魅力です。スクリプト編集や動画編集も可能なため、知識と技術を身につけることで、さまざまな制作物の創造に役立てられるでしょう。
UnityとBlenderの違いを比較
ゲームやアニメーションの制作を考えている方にとって、UnityとBlenderの違いを把握しておくことはとても重要です。どちらにも得意なことと苦手なことがあるため、何をしたいかによって使い分ける必要があります。ここではUnityとBlenderの違いを比較し、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
目的や用途
そもそもUnityとBlenderは、目的や用途が異なります。利用前にまずこの点は理解しておきましょう。先ほども述べたようにUnityはゲームエンジンであり、ゲームやアプリの開発を目的として使われるケースが大半です。そのため、ゲーム開発に必須の機能は充実していますが、あくまでもゲームやアプリ、アニメーションの全体像を構築するための環境ツールと捉えておく必要があります。
一方Blenderは主にゲームやアニメーションで使われる、アセットを作成するためのソフトウェアとして活用されています。あくまでも、キャラクターや建物、置物などの物質的なものの3Dで作成で使用するソフトで、Unityのようにゲームやアプリ自体の制作には適していません。Blenderはゲーム内で動かす3Dモデルを作成するためのソフト、UnityはBlenderで作成したモデルを動かすためのソフトというように、両者は目的や用途に違いがあります。
料金
ソフト名 | 料金・価格 |
Blender | 無料 |
Unity | Personal(無料)・Plus(月4,400円)・Pro(月16,500円) |
Blenderはオープンソースのソフトウェアのため、すべての機能を無料で利用できます。Unityは個人で個人で楽しむぶんには無料で利用可能ですが、より高度な機能を求めるのであれば、上位のプランを選ぶ必要があります。これら料金面でも、両者には違いがあります。
とはいえUnityは個人向けプランである「Personal」でもゲームの制作は十分に楽しめるため、まずは無料プランから始めてみましょう。
一点注意すべき点は、Unityでの制作物で利益が出始めた場合です。一定の収入や資金調達額を超えた場合、個人で楽しむ範疇に収まっていないとみなされ、チーム向け有料プランである「Plus」や「Pro」との契約が必要となります。利益を出す分には、ある程度の知識が必要になりますが、利用後はこの点に留意しながら使用を開始しましょう。
Unityがおすすめな人
これまで説明してきたように、UnityとBlenderはその特徴の違いから、用途が異なります。
Unityがおすすめな人は以下の通りです。
- ゲームやアプリを開発したい人
- パソコンのスペックが比較的低い人
- 習得にあまり時間をかけたくない人
ここでは、Unityの使用が向いている人の特徴をいくつか挙げていきます。
ゲームやアプリを開発したい人
Unityはゲームやアプリの開発のために作られたツールです。ゲームやアプリの開発を目指している人にとっては利用価値が高くなるでしょう。グラフィックを盛り込んだり物理エンジンを活用したりと、とりわけゲームの制作に必要な高度な機能を備えています。ゲームやアプリ自体の構築に興味がある過多は、Unityを選びましょう。
パソコンのスペックが比較的低い人
これからゲームやアニメーションの制作を始めようと考えている人のなかには、スペックが低いパソコンを使用している人もいるでしょう。使用感は人それぞれですが、一般的にはBlenderよりもUnityの方が動作が軽く、スムーズに動く傾向がみられます。すぐにパソコンのスペックを上げられない人や、ノートパソコンでゲームを作りたいと考えている人であれば、Unityの方が扱いやすいと感じるでしょう。
習得にあまり時間をかけたくない人
どのソフトウェアやツールでも、高度なゲームやアプリを開発するには、機能の理解や技術の習得に時間がかかります。しかし、Unityは世界中で利用されており、関連のWebサイトや書籍も多く用意されています。プログラミング言語である「C#」の使用は必須ですが、比較的情報が集めやすいゲームエンジンといえるでしょう。短期間で知識や技術を習得し、早くゲームを形として仕上げたい人にとっては、まず先に利用を検討したいツールです。
Blenderがおすすめな人
Unityと比較して、Blenderのほうが利用価値が高い人もいます。ここでは、Blenderが向いている人の特徴を挙げていきます。
Blenderがおすすめな人は以下の通りです。
- 3Dモデルを作成したい人
- すべての機能を無料で使いたい人
- プログラミングが苦手な人
3Dモデルを作成したい人
Unityは基本的にモデル作成には不向きなツールです。そのため、キャラクターや建物などの3Dモデルを作成したい人は、まずはBlenderから使い始めてみましょう。3Dアセットはゲームにおいて不可欠な存在です。魅力的なアセット作りに興味があるのであれば、Blenderの使用は避けて通れません。
すべての機能を無料で使いたい人
Blenderは、すべての機能を無料で使用可能です。個人で楽しむぶんにはUnityも無料プランで十分ですが、Blenderにはどれほど使い込んでも料金がかからないといった安心感があります。Blenderであれば無理なく使い続けられるので、継続的な使用を見込んでいる人におすすめです。
プログラミングが苦手な人
Unityはプログラミング言語を使用しますが、Blenderは特定の言語を使用しなくても、3Dアセットの作成が可能です。求めるクオリティによっては時間をかけて知識や技術を習得する必要があるものの、プログラミング言語がどうしても苦手という人にとっては、使いやすいソフトウェアといえるでしょう。
UnityとBlenderの違いについてまとめ
UnityとBlenderは、いずれもゲームやアニメーションの制作に活用できるソフトです。
しかし、Unityはゲーム開発はできるものの、アセットの作成には不向きで、Blenderは3Dアセットは作れるものの、ゲーム自体の制作には不向きなど、それぞれに得手不得手があります。UnityとBlenderの利用を考えている方は、まず自分が何をしたいのかを整理したうえで、それぞれの特徴を理解してソフトを選びましょう。
自分にはどちらのソフトが適しているのかが理解できれば、選択はさほど難しくありません。個人で楽しむぶんにはどちらのソフトも無料で使用可能なため、ゲームやアニメーション、アプリに興味がある過多は、両方のソフトを使い始めてみるというのもおすすめです。