「データ分析が重要と言われても、そもそも何から学べばいいの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
近年、あらゆる業務で「データに基づく判断」が求められるようになった一方で、統計分析は「難しそう」と敬遠されがちです。しかし、統計の基礎を身につけることで、プレゼンの説得力や業務に基づく意思決定を素早く行えるため、業務の効率が向上します。
そこで本記事では、統計基礎研修を選ぶ際のポイントや分析との違い、初心者におすすめの統計基礎研修7選を紹介します。
統計基礎研修とは
統計基礎研修とは、統計学の基礎的な内容を体系的に学ぶための研修です。研修では提供する企業により異なりますが、主に以下の内容を学習します。
- 平均・中央値・標準偏差といった基本的な統計指標の意味
- データのばらつきや傾向の捉え方
- グラフの読み解き方
- 仮説や信頼区間といった分析の土台となる考え方
「数字が苦手」という方にとっては、データに対する苦手意識を払拭し、業務で活用できる最低限の数値理解力を身につけることが目的です。単に数式を暗記するのではなく、「なぜこの数値が必要なのか」といった「数字の意味づけ」を重視するため、意思決定の根拠に統計的な視点を取り入れたい企業や個人におすすめ。
働き方改革などが進む昨今においては、限られた時間の中で効率よく成果を出す必要があるため、経験や勘に頼らずデータに基づいた意思決定ができる統計基礎研修が注目を集めています。
データ分析研修との違い
統計基礎研修とデータ分析研修は似ていますが、学ぶ目的や内容、ゴールが異なります。
統計基礎研修は「数値の正しい読み解き方」を学ぶことに重きを置いており、平均や分散、相関といった統計的な考え方を理解し、「どんな数値を見ればよいのか」「数字の背景にある意味は何か」を判断できるようになることが目的です。
一方、データ分析研修は統計基礎を活用しつつ、実際のデータを加工・集計・可視化・モデル化するプロセスまでを含みます。たとえばExcelやBIツールを用いて、実際に売上データや顧客データを分析し、業務の意思決定や改善に結びつける「手段」を学ぶのがデータ分析研修です。
つまり、統計基礎研修が「数字を見る目」をつくるのに対し、データ分析研修は「その数値を使って実務に応用する力」を養う研修であると言えるでしょう。
データ分析の基礎を学習したい方は以下の記事で紹介しています。
統計基礎研修の選び方
まずは統計基礎研修の選び方について解説します。主に以下3つの点を留意しましょう。
- 現場で活用できるカリキュラムか
- 研修の目標や目的が明確であるか
- 初心者がつまづくポイントを重点的に教えてくれるか
①現場で活用できるカリキュラムか
統計基礎研修を選ぶうえで重要なのは、「学んだ内容が自分の業務にどう活きるか」が明確であるかどうかです。
たとえば、「標準偏差とは何か?」を学ぶだけでは不十分で、「その知識を使って品質のバラつきをどう管理するか」「アンケート結果をどう分析するか」など、実際のビジネスシーンと結びつけて教えてくれるかどうかがポイントです。
営業、マーケティング、商品企画、人事などの職種では、統計知識をそのまま実務に置き換えるイメージがしづらいため、職種・業種ごとの活用方法を具体的に教えてくれると良い研修と言えるでしょう。また、統計用語の定義を説明するだけの講義ではなく、データを見て「どう読み取れば次のアクションにつながるのか」といった思考力を育てるカリキュラムであるかを重視すべきです。
②研修の目標や目的が明確であるか
良い統計研修かどうかを見分けるには、「この研修で、何ができるようになるのか」が事前に明確に示されているかを判断軸としましょう。たとえば、「統計的な指標を使って業務の改善提案ができるようになる」など、成果のゴールが具体的に示されている研修は、内容も整理されていて受講後の満足度が高くなります。
逆に、「統計の基礎を学びます」とだけ記載されているような曖昧な研修は、目的が不明確で実務に結びつきにくいリスクも。また、企業向けに導入する場合は、自社の課題と研修の狙いが一致しているかも確認しましょう。
受講前に目的と達成イメージを明示してくれるかは、研修選定時の比較ポイントです。
③初心者がつまづくポイントを重点的に教えてくれるか
統計は専門性が高い分野です。特に文系出身者や数字が苦手な人は、「分散」「標準偏差」などの基礎用語が出てきて難しさを感じ、挫折する人も少なくありません。
そのため、受講者がどこでつまづくのかを理解し、丁寧にフォローしてくれる講師や教材があるかどうかは重要です。たとえば、「なぜP値が0.05を下回ると有意差があると判断されるのか」といった初歩を、具体例を交えてかみ砕いて教えてくれる工夫がある研修がおすすめ。
初心者向けと謳っているにもかかわらず、黒板に数式を書いて説明するような研修は要注意です。理屈よりも現場での「使いどころ」や「読み取り方」に重点を置いた研修かを必ずチェックしましょう。
おすすめの統計基礎研修7選
研修名 | 学習内容 | 特徴 |
データサイエンティストセミナー |
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データサイエンスの基礎から応用まで体系的に学べる実践的研修 |
統計研究研修所 |
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国内唯一の公的統計専門研修機関 |
統計研修 |
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統計知識の習得だけでなく、ビジネス現場での活用に重点 |
統計研修~はじめての統計分析~ |
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1万3,000社以上の企業研修実績 |
統計基礎研修 |
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営業現場での実務的統計活用に特化 |
統計学基礎 |
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統計学の基礎理論からデータ分析手法、統計ソフトの使い方、可視化まで体系的に学べる |
データサイエンス入門コース |
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基礎から実践的分析スキルまで段階的に学べる |
①データサイエンティストセミナー
「データサイエンティストセミナー」は、短期間でデータサイエンスの基礎から応用までを体系的に学べる研修です。カリキュラムは、データサイエンティストに必要な基礎知識やビジネス課題解決のためのデータ活用法、基本統計量やデータ前処理など幅広く網羅されています。
また、実務に即したエネルギー消費やマーケティング予測、時系列データの分析、プロジェクトマネジメントまで学べるため、未経験者から実務者まで幅広い層が実践的なスキルを効率よく身につけられる点が特徴です。セミナー受講後は、オリジナル教材「データサイエンティスト完全攻略セミナーガイド」をPDFで配布されるため、参考書として活用できます。
セミナー名 | データサイエンティストセミナー |
---|---|
運営元 | ProSkilll(プロスキル) |
価格(税込) | 41,800円〜 |
開催期間 | 2日間 |
受講形式 | 対面(東京)・ライブウェビナー・eラーニング |
②統計研究研修所
引用:総務省
総務省統計研究研修所は、国内唯一の公的な統計専門研修機関として、国や地方自治体の職員を主な対象に、統計作成の中核を担う人材育成と政策立案等に活用できる統計リテラシーの向上を目的とした研修を実施しています。
研修は「業務レベル別」と「分野別」に分類されており、統計実務経験や役職に応じて段階的に学べるのが特徴です。集合研修だけでなく、ライブ配信やeラーニングなどICTを活用した受講方形式で、統計の基礎から応用まで幅広い内容を学ぶことができます。
公的統計の現場で培われた実践的なノウハウを学べる点も強みです。
③統計研修
引用:インソース
統計研修は、統計知識の習得だけでなく、その知識を実際のビジネス現場でどう活用するかに重点を置いている点が特徴です。
初心者でも理解しやすい基礎的な内容からスタートし、実際の売上データを使った需要分析や、「Microsoft Azure Machine Learning」を活用した予測・分析など、実務に直結するスキルを習得可能。
また、受講者のレベルやニーズに応じたプログラム構成となっており、統計の専門知識をビジネス現場で活かしたい方に最適です。
④統計研修~はじめての統計分析~
「統計研修~はじめての統計分析~」は、データを論理的に扱い、ビジネス課題の本質を把握・解決するための手法を学べる初心者向けの研修です。
仮説の立て方からデータの収集・加工、本質的な課題の把握、解決策の導出までの流れを実践的に学びます。1万3,000社以上の企業研修実績を持ち、現場で役立つ統計的思考やノウハウを指導してもらえるのが特徴です。データで語る習慣を身につけたいビジネスパーソンや、データ分析初心者が直面しやすい壁の乗り越え方まで網羅しているため、統計の基礎を身につけたい方におすすめです。
⑤統計基礎研修
引用:アイ・イーシー
「統計基礎研修」は、営業現場での実務的な統計活用に特化した内容が特徴です。学術的な理論ではなく、営業判断を的確に行うための統計的基礎を事例を交えてわかりやすく解説。
平均値やばらつき、コントロールチャートによる異常値管理、検定や回帰分析を用いた販促効果の評価や価格戦略の根拠付けなど、営業担当者が現場で直面する課題に即した統計手法を学べます。カリキュラムはカスタマイズ可能で、全く統計に触れたことがない方でも理解しやすい構成となっており、統計基礎専門の人材を育てたい企業にもおすすめです。
⑥統計学基礎
引用:アイ・ラーニング
「統計学基礎」は、統計学の基礎理論から実務で役立つデータ分析手法までを体系的に学べる研修です。
統計的な考え方やデータの扱い方、代表値や分散、確率分布、推定や検定など、統計学の基本項目を解説し、統計ソフトウェアの使い方やデータの可視化、実践的な模擬プロジェクトを通じて、理論と実践をバランスよく習得できます。
ビジネスや研究の現場で即戦力となる統計リテラシーを身につけたい方に最適で、初心者から中級者まで幅広い層に対応しています。
⑦データサイエンス入門コース
引用:キカガク
「データサイエンス入門コース」は、データサイエンスの基礎から実践的な分析スキルまでを段階的に学べる内容が特徴です。統計学やプログラミング、AIや機械学習の基礎知識を効率的に習得できるカリキュラムが組まれており、未経験者でも安心して学べるよう解説やサポート体制を構築。
実際のデータを使った演習や、現場で役立つノウハウの提供により、データサイエンスの全体像を短期間で理解し、実務に応用できる力を養うことができます。統計の基礎だけでなく、中・上級者用のコースも用意されています。
以下の記事でも統計の基礎が学習できる講習を紹介していますので、参考にしてください。
統計基礎研修を受講するメリット
統計基礎研修を受講するメリットは主に以下の3つです。それぞれ詳しく解説します。
- 数値に基づいた判断ができる
- データ分析やAI活用に応用できる
- 職種・業界を問わずスキルを使える
①数値に基づいた判断ができる
統計基礎研修を受講するメリットの一つが、「感覚や経験に頼らず、データに基づいて判断ができるようになる」点です。
たとえば、営業現場で、「今月は売上が落ちているけど、一時的なブレなのか、それとも原因があるのか?」といった問題に直面したとしましょう。統計の知識があれば、単なる数値に振り回されることなく、標準偏差や移動平均などを用いて「変動の範囲内かどうか」を判断できるようになります。
つまり統計の基礎を学ぶことは、数字を単に「見る」から「読み解く」へと視点を進化させることに繋がり、より合理的で説得力のある業務遂行が可能になるのです。
②データ分析やAI活用に応用できる
統計基礎の理解は、データ分析やAI活用に必要なスキルとしても重要です。機械学習やAIモデルは「過去のデータからパターンを学習し、未来を予測する」仕組みで動いていますが、根っこには回帰分析や分類、クラスター分析といった統計手法が組み込まれています。
統計を学ぶことで、「どのデータが結果に影響しているのか」といった判断や説明ができるようになります。また、BIツールやダッシュボードを使っている方にも、数値の背景にある統計的な意味を理解しているかどうかで、活用の幅は変わります。
③職種・業界を問わずスキルを使える
統計の基礎は、さまざまな職種・業界で使用できる汎用スキルです。統計知識があれば、職場が変わっても応用できるため、転職やキャリアアップがしやすくなります。
また、近年では分析を数値に基づいてできるかどうかで、ビジネスの成果は大きく異なります。そのため、統計基礎を扱える人材は重宝される傾向にあり、業務の意思決定や戦略立案においても評価を受けやすくなるでしょう。
統計基礎研修に関するよくある質問
統計基礎研修についてのまとめ
統計基礎研修は、単なる知識の習得ではなく、ビジネスにおける判断力・説得力を高めるために必須です。感覚や経験に頼る意思決定から、データに基づいた判断ができるため、今後あらゆる業界・職種において求められるスキルとなっていきます。
本記事では、統計基礎研修とデータ分析研修の違いを明確にし、現場で使える研修を選ぶためのポイントを解説した上で、信頼性や実践性の高い研修を7つ紹介しました。統計基礎研修を選ぶ際は、自分の目的やレベルに合った統計基礎研修を選ぶことから始めてみましょう。
