2025年の大阪・関西万博で注目を集める「TECH WORLD館」は、台湾が誇る最先端のDX・AI技術を体験できる場として、企業の未来を考えるヒントに満ちています。
本記事では、TECH WORLD館の基本情報や学べる内容を紹介します。体験を通じて得た示唆を、組織の変革につなげる視点を探っていきましょう。
TECH WORLD館とは

引用:TECH WORLD | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト
2025年の大阪・関西万博において、ひときわ異彩を放つ存在が「TECH WORLD館」です。TECH WORLD館は、台湾が最先端のテクノロジーとともに世界へ発信する、未来志向のメッセージそのもの。
政治的背景により“台湾”という名を冠することはできないものの、館内には台湾企業が培ってきたAIやDX技術、そして文化的な奥行きが凝縮されています。ここは、TECH WORLD館の設立背景と展示の構成から、その本質に迫っていきましょう。
TECH WORLD館の主なテーマ
TECH WORLD館の展示は、「生命(Life)」「自然(Nature)」「未来(Future)」の3つのゾーンで構成されています。それぞれの空間は、8K映像やVR、AIによる感情解析といった先端技術を用いて、体験者の感覚と感情に訴える設計になっており、単なる視覚展示ではなく「体験としてのテクノロジー」が中心です。
たとえば、「生命」では台湾の最先端医療や生物技術、「自然」では胡蝶蘭や玉山(台湾最高峰)の映像と融合した演出がなされ、「未来」ではAIと感情をリンクさせたアート表現が展開されています。いずれも、テクノロジーを通じて人間らしさを取り戻すという、台湾の一貫した社会思想がにじみ出ています。
企業がUX設計やブランド体験に取り組む上で、多くの示唆を与えてくれる構成です。
民間名義での参加に込められたメッセージ
TECH WORLD館は、台湾政府ではなく、民間企業「玉山デジタルテック(TAITRA出資)」の名義で出展されています。外交上の制約を逆手に取った巧妙な参加方法であり、政治的な摩擦を避けつつ、台湾のイノベーションをしっかり世界に伝えるための設計です。
「台湾」と直接名乗らずとも、展示コンテンツやビジュアル、館内のメッセージは明確に台湾そのものを表現しており、ブランドとメッセージを伝える新しい手法としても企業のマーケティングやブランディングに通じる視点を提供しています。
TECH WORLD館の所要時間はどのくらい?
TECH WORLD館の所要時間は、見学スタイルや目的によって異なりますが、平均的には1時間〜1時間半程度を見ておくと安心です。展示ブースを一通り見て回るだけであれば約30〜45分ほどで可能ですが、各ブースでの実演説明や体験型コンテンツに参加する場合、より多くの時間を要します。
特に製造業や建設業、DX・AI関連の最新技術展示では、実際に操作体験ができるブースやセミナー連携も用意されているため、じっくり理解を深めたい場合は2時間以上滞在するケースもあります。団体での参加や視察目的で訪れる場合は、事前にスケジュールを組み、興味のあるブースを絞って効率よく回るのがおすすめです。
また、人気ブースでは説明に順番待ちが発生することもあるため、混雑する時間帯(11時〜14時)を避けた訪問も所要時間の短縮につながります。展示会場マップを事前に確認し、目的ブースの位置を把握しておくと、よりスムーズにTECH WORLD館を楽しむことができます。
TECH WORLD館から学べる内容3選
https://www.youtube.com/watch?v=au4A-qA46-A
TECH WORLD館の展示内容は、台湾が国家レベルで推進しているDXおよびAI戦略の縮図といえる構成になっています。特に印象的なのは、先端技術の紹介にとどまらず、それらがいかに人々の感情や社会的価値と結びついているかを“体験”として提供している点です。
- AI×インタラクティブテクノロジーの融合
- スマートブレスレットに見る個別最適化の可能性
- 展示企業に共通する「社会課題解決」志向
単なる未来予測ではなく、「すでに始まっている実装」を見せる場として、企業が学ぶべき視座が数多く存在しています。
①AI×インタラクティブテクノロジーの融合
TECH WORLD館では、AI技術を中心に据えながらも、感覚や体験と結びつけたインタラクティブな仕掛けが随所に盛り込まれています。
- 花を模した560枚のモニターで構成される映像演出
- 映像・音楽・触覚が一体化したマルチセンサーデバイス
- 展示空間を移動しながらAIが反応する仕組み
来館者は一方的な情報受信者ではなく、参加型の「ユーザー」へと変化します。技術が体験として昇華されている点は、BtoB製品であってもUX設計が求められる現代のビジネスに直結する教訓を含んでいるのでしょう。
また、パナソニックも最新のAI技術を用いたパビリオンを開催しています。興味のある方は下記をご覧ください。
②スマートブレスレットに見る個別最適化の可能性
来館者に配布されるスマートブレスレットは、TECH WORLD館の体験における「個別化」の象徴的デバイスです。
ブレスレットは来館者の脈拍や反応を計測し、展示終了後には「あなたが最も心を動かされた瞬間」と「おすすめの台湾旅行先」を提示するという構造になっています。
- 個人の生体反応をリアルタイムで取得
- AIが分析し、即座にパーソナライズされた提案を実行
- テクノロジーによる“感性の可視化”を実現
企業にとっても、顧客の行動・感情データを基にしたパーソナライズ戦略が重視される中、この仕組みは営業、マーケティング、商品開発など多方面での応用可能性を示唆しています。
③展示企業に共通する社会課題解決志向
TECH WORLD館に参加している台湾企業は、単なる先端技術の紹介ではなく、各社が向き合う社会課題に対する解決策としてテクノロジーを提示しています。
- AUO(友達光電)によるサステナブルディスプレイの活用
- 穀米機工による農業×AIのインターフェース展示
- HIWINによる製造現場へのロボティクス応用
取り組みはいずれも、「人と社会のために技術はどうあるべきか」という問いを軸にしているのでしょう。企業活動が単なる利益追求に終わらず、社会的価値の創出に接続していく未来像がそこにはあります。
TECH WORLD館から企業が学ぶべき3つの視点

TECH WORLD館の展示は、単に台湾の最新技術を紹介する場ではなく、企業にとっては「DXやAIをどう実装すべきか」「顧客体験をいかに再設計するか」といった本質的な問いに向き合うきっかけを与えてくれます。
実際に展示を体験したうえで浮かび上がるのは、次の3つの視点です。DXを形だけで終わらせず、組織変革や新たな価値創出につなげるための重要なヒントでもあります。
| 視点 | 概要 | 企業にとっての示唆 |
|---|---|---|
| 体験の設計力(UX) | 展示空間全体が一貫した物語と感覚設計に基づいて構成されている | プロダクト・サービスにも「使いやすさ」ではなく「感情が動く導線」の設計が求められる |
| 技術と文化をつなぐナラティブ設計 | 技術単体ではなく、その背景にある歴史や価値観が語られている | 技術導入時に社内の共感形成を促すストーリーテリングの重要性 |
| DXとは「組織の変容」である | 展示自体が「人間中心」「社会課題解決」を志向している | DXはツール導入ではなく、ビジョン・体制・文化の見直しを含む包括的プロセスである |
このように、TECH WORLD館は「何を作るか」ではなく「どう届けるか」「なぜやるのか」という問いへのヒントに満ちています。企業がDX・AIを本気で進めるなら、技術選定の前に“組織としてどう変わるべきか”を考える必要があります。その答えの一端が、この展示空間に凝縮されているのです。
また、中国パビリオンのAIキャラクター・ロボットとの体験などの最新技術も見逃せません。気になる方は、下記をご覧ください。
TECH WORLD館から学べるDX・AIの戦略

TECH WORLD館の展示を通じて感じられるのは、DXやAIの導入は単なる技術的な選択ではなく、いかに人と技術を共存させ、社会課題の解決につなげるかという「実装と応用」の視点です。そしてその根底にあるのは、“人材”の存在です。
組織のDXを本質的に進めるには、AIを使える人材を育て、現場で価値に変えるスキルとマインドを持つことが欠かせないでしょう。
TECH WORLD館で体感した未来を現実に落とし込むには
TECH WORLD館で提示された「未来のユーザー体験」は、来場者の感情に働きかけ、AIによって最適化される新しいUXのあり方を示していました。
企業がこのような未来像を実際の製品開発や業務改革に落とし込むには、理解し再構成できる人材が必要です。未来を“見る”だけでは足りず、それを“再現し、運用する”力が問われます。そのためには、現場起点で課題解決に向き合えるAIリテラシーと、顧客視点に立った設計思考の両方を備えた人材を意識的に育てる必要があるでしょう。
人材育成とAI活用の両立は可能か?
DXやAIの推進において、最も多い障壁の一つが「育成に時間がかかる一方、業務は待ってくれない」という現場のジレンマです。しかし、近年では短期集中型の研修やEラーニング、OJTを組み合わせるハイブリッド型の育成方法が確立されつつあり、業務を止めずに人材育成を進めることが可能になっています。
重要なのは、全社員に一律の知識を詰め込むのではなく、組織の目標やフェーズに応じて必要なスキルセットを明確にし、段階的にスキルを積み上げる設計です。その戦略的視点が、育成と実務活用の両立を可能にするでしょう。
研修はプロジェクト創出の起点に
多くの企業では、研修が単なる「知識のインプット」に終わってしまう傾向があります。しかし、本来の研修の目的は、スキルを身につけた人材が現場で課題を発見し、解決へ導く“仕掛け人”になることです。
たとえば、AIやデータ利活用をテーマにした研修をきっかけに、実際の業務課題を題材としたプロジェクトが立ち上がることで、研修が事業成長の起点になるでしょう。そうしたアウトプット志向の研修設計と、受講後の実践支援を組み合わせることで、企業全体の変革エンジンとして人材育成を位置づけることが可能になります。
現場で成果を出すDX・AI人材育成研修の実践支援
DXやAIの取り組みを組織内で定着させ、持続可能な成長につなげるためには、単なる座学やツール導入にとどまらない、実務に直結した人材育成の仕組みが欠かせません。そうした企業の現場課題に寄り添いながら、AIリテラシーの底上げからプロジェクト創出までを支援するのが、法人向け「DX・AI人材育成研修サービス」です。
企業ごとの課題を可視化する「DXレベルチェック」から始まり、スキルに応じた階層別研修、さらにはアウトプット重視のワークショップまでを一貫して提供。研修の目的があいまいにならないよう、「何のために学ぶのか」「どう現場で活かすのか」を重視した設計が特徴です。
TECH WORLD館についてまとめ
TECH WORLD館は、単なる先端技術の展示にとどまらず、「テクノロジーが社会にどう貢献できるか」「組織はどう変わるべきか」という問いに対するリアルなヒントが詰まった空間です。そこに共通していたのは、人間中心のDXという発想、そして“使うためのAI”を育てる人材戦略でした。
AIやデジタル技術が進化しても、それを活かすのはあくまで“人”です。今、企業に求められているのは、ビジョンを描き、それを担う人材を育てる意志と仕組みを持つこと。そして、現場で実行可能なステップに落とし込む具体性です。
台湾の展示に学び、自社のDXを現実の成果に変えるためにも、今こそ「人材育成」を起点とした組織変革に取り組むタイミングでしょう。