PythonとJavaScriptは一般的に「似ている」とされているものの、それぞれ似て非なる特徴を持つ人気のプログラミング言語です。両者とも初心者に適していることから推奨されることも多いので、どちらを学ぶべきか迷う人は少なくありません。
今回は学習するならどちらがいいのかについて紹介します。また、それぞれの細かな違いやメリット・デメリットを徹底比較していくので、どちらを学ぼうかで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
PythonとJavaScript学習するならどっち?
「どちらを学習するべきか」に対する答えとしては、一概にはいえないというのが現状です。目指す目的や用途によって、それぞれに向き不向きな部分があるためです。
具体的にはデータ分析やAI開発、バックエンド開発分野で活躍していきたいという目標をもつ方であれば、Pythonを学習したほうがいいでしょう。一方でWeb・フロントエンド開発やWebアプリケーション開発など、Web系にこだわりのある方であればJavaScriptを学習するのがおすすめとなります。
上記のような目的が明確でない方、「かんたんなほうを習得したい」という初心者であれば、Pythonがおすすめです。JavaScriptよりも文法がかんたんで、将来性も高いためです。
なお、これからPythonをはじめるなら、まずPCにインストールすることから始めることになるでしょう。その方法は以下で詳しく解説していますので、気になる方はぜひ併せてお読みください。
PythonとJavaScriptの違いを比較
この章では、両者の違いを比較していきます。
おおまかPythonは機械学習やデータ分析、そしてJavaScriptはWeb系に強いといった特徴の違いはあるものの、記述法や汎用性、年収相場や求人数など、さまざまな違いがあります。
Python | JavaScript | |
主な用途 |
など |
など |
汎用性 |
など |
など |
年収相場(おおよそ) | 約500万~1,000万円(AIエンジニアなど高め) | 約400万~800万円(フルスタックで高くなる) |
求人・案件数 | AI・データサイエンス分野で増加中 | Web開発中心で需要が安定 |
将来性 | AI・自動化分野での需要が拡大する見込み | Web3.0、フロントエンド技術の進化に伴い成長する見込み |
学習難易度 | 初級~中級レベル(初心者にも人気) | 初級~中級レベル(非同期処理などは複雑) |
フレームワーク |
など |
|
情報量 | 非常に豊富で初心者向けの情報も多い | 非常に豊富で初心者向けの情報も多い |
PythonとJavaScriptの違い①文法・記述法
Pythonはシンプルな文法で可読性を重視していることから、インデントでブロックを構成します。また多くのプログラミング言語で必要とされる「末尾のセミコロン」が不要なので、直感的な記述が可能です。
たとえば以下のコードは、Pythonで記述したif文(条件分岐)のコードです。
x = 10
if x > 0:
print(“Positive”)
elif x == 0:
print(“Zero”)
else:
print(“Negative”)
カッコの数やセミコロンが最小限となっているだけでなく、「else if」が「elif」に簡略化されているなど、コードをシンプルに見せるための要素が随所にあらわれています。
一方のJavaScriptは中括弧({})でブロックを定義し、文末にセミコロンを付けることが一般的です。たとえばJavaScriptのif文は、おなじ内容でも以下のように記述します。
let x = 10;
if (x > 0) {
console.log(“Positive”);
} else if (x === 0) {
console.log(“Zero”);
} else {
console.log(“Negative”);
}
Pythonはelifで条件を追加するのに対し、JavaScriptはelse ifを使用します。JavaScriptは中括弧やセミコロンがふんだんに使われる構造のため、初心者から見て難しいと感じてしまうことは否めません。
PythonとJavaScriptの違い②汎用性・用途
どちらも汎用性および用途が非常に広いのが特徴です。
Pythonはデータ分析および機械学習などにおけるバックエンド開発に使用されることが多いです。ライブラリの豊富さと簡潔な文法が特徴で、教育やプロトタイピングにも適していることから汎用性は非常に高いです。
一方JavaScriptは主にWeb開発で使われているほか、Node.jsを利用すればサーバーサイドの開発も可能になります。したがってフロントエンドとバックエンドの両方で活用されることからフルスタック開発にも適しています。
以上のことから、どちらも汎用性や用途においては申し分ないといえるでしょう。そもそもNode.jsの概要を知りたい方は以下の記事が参考になるので、ぜひご一読ください。
PythonとJavaScriptの違い③年収相場
レバテックキャリアが実施した調査によると、両者の平均年収は以下のようになっています。
- Python平均年収…約652.9万円
- JavaScript平均年収…約630.5万円
参考:Geekly Media
それほど大きな差はないものの、Pythonエンジニアのほうが約25万円ほど高くなっています。その理由は、AIや機械学習など需要の高い分野で使用されているためです。
Pythonはデータサイエンス分野でも人気があり、ビッグデータの活用が進む中でエンジニアの需要がより増しています。さらに日本ではPythonを扱えるエンジニアがまだまだ少ないため、需要に対する供給が不足し年収が上昇しています。
とはいえJavaScriptも年収630万円台となっており、どちらも国内のサラリーマンの平均年収を大きく上回っています。
PythonとJavaScriptの違い④求人・案件数
求人および案件数でいうと、両者の違いはおおよそ以下のとおりです。
- Python案件数…約10,000~30,000件
- JavaScript案件数…約15,000~35,000件
全体的な案件数ではJavaScriptが若干多く、とくにWeb関連の職種で求人が豊富です。とはいえPythonも急成長している分野なのは間違いなく、とくにデータ関連の職種において強いニーズをもっています。
PythonとJavaScriptの違い⑤将来性
将来性はどちらも非常に明るいとされています。
PythonはAIや機械学習、データ分析の分野で需要が高まり続け、企業のビッグデータ活用が進む中での成長が見込まれています。またJavaScriptもWeb開発の中心的な役割を担っているほか、とくにNode.jsの普及によりサーバーサイド開発でも重要性が増しています。
PythonとJavaScriptの似ている部分とは?
似ている部分としては、両者は動的型付けの言語なので、変数の型を宣言する必要がないことです。そのため高水準言語として簡潔なコードを書くのに適しています。
似ていない部分としては、Pythonは主に機械学習やデータサイエンスに使用される一方、JavaScriptはWebページの構築に特化しています。また文法や構文も異なり、文末のルールや括弧の種類に違いがあります。
さらに実行環境においても、Pythonはインタプリタで実行されるのに対し、JavaScriptはブラウザ内で実行されます。
両者は似ている部分のみよく取り上げられて比較されがちですが、似て非なるものと考えるほうがいいでしょう。
Pythonのメリット・デメリット
Pythonの最大のメリットは、シンプルで明確な文法ゆえに初心者に優しいことです。とくにデータサイエンスや機械学習の分野でのライブラリが充実しており、解析やモデリングが容易なうえ、スクリプト言語としても幅広い用途に対応可能です。
習得難易度、汎用性、将来性といった観点から、初心者がこれから学ぶには最適な言語であることは間違いありません。
しかしデメリットとしては、インタプリタ言語のため実行速度が遅く、大規模なアプリケーション開発においてパフォーマンスが劣ることがある点です。また、現状ではモバイルアプリ開発は出来なくはないものの、それほど適していないのが現状です。
JavaScriptのメリット・デメリット
JavaScriptの主なメリットは、Webブラウザ内で直接実行できるため、動的なコンテンツを作成しやすい点です。そのためWebおよびモバイル開発には最適です。
さらにNode.jsを使用することでサーバーサイド開発にも対応可能です。さらに豊富なライブラリやフレームワークがあることから、開発効率も向上します。
一方デメリットとしては、Pythonと比較すると初心者にとってコードの記述法が難しいことです。また動的型付けのため型関連のエラーが発生しやすく、コードの可読性も低下することがあります。
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PythonとJavaScriptまとめ
Pythonはシンプルな文法と豊富なライブラリによりデータ分析やAI(機械学習)開発はもちろん、バックエンド開発など幅広い用途で利用されています。
一方のJavaScriptはフロントエンド開発で不可欠な言語とされているため、Webサイトの動的な操作やユーザーインターフェースの構築に強みを持っています。またNode.jsの登場によって、サーバーサイドでも使用されるようになったのも人気の理由のひとつです。
どちらを学ぶべきかは、目指すキャリアや興味分野に応じて判断すると良いでしょう。どちらの言語も需要が非常に高いので、習得することで幅広い職種で活躍するチャンスを確実に広げられることは間違いありません。
