BIMや3DCADの導入が進む建築・土木業界では、「AutoCAD」や「Revit」と並んで、Bentley社の「MicroStation(マイクロステーション)」が注目を集めています。しかし、他のCAD製品と何が違うのかわからない、価格やライセンス体系が複雑だとお悩みの方もいるでしょう。
そこでこの記事では、MicroStationの基本機能や価格・ライセンス情報、最新バージョンについてわかりやすくまとめました。また基本的な使い方や導入がおすすめの業界も紹介しているので、ソフト導入の参考にしてみてください。
Bentleyの「MicroStation」とは
MicroStationは、Bentley社が開発・提供しているインフラ設計専用のCADソフトです。
道路・橋梁・プラント・鉄道などの分野で活用されており、2D・3Dモデリングをベースに、GIS(地理情報)連携を組み合わせながら、現実に即した座標での設計を行えます。
大規模プロジェクトでも安定に動作するため、スピード感を重視する設計者におすすめです。
また、BIMなどでも活用する点群データやメッシュ処理に対応していることから、BIM業務にも活用できます。
- MicroStationの最新バージョン
- MicroStation 2025とCONNECT Editionの違い
- 競合CADソフト(AutoCADなど)との違い
上記について続けて詳しく見ていきましょう。
MicroStationの最新バージョン

現在提供されている最新版の「MicroStation 2025」は、AI・Pythonによる自動化と地理空間連携の強化が大きな特徴です。次のように、モデリング・設計・可視化がよりスピーディかつインテリジェントに進化しました。
- Pythonアシスタント(自動処理・スクリプト化対応)
- Googleマップ連携(地理空間背景を高精度に表示)
- 3Dフォトリアル地図対応(都市・地形をリアルに再現)
- 性能向上(処理速度と安定性が大幅改善)
多くのCADソフトがAIサポートを取り入れるなか、MicroStationも同様に最新のAI技術が組み込まれています。より直感的にインフラ設計を行える環境へ進化しているのが特徴です。
MicroStation 2025とCONNECT Editionの違い
現在、MicroStationは「MicroStation 2025」という名称で提供されていますが、それ以前は「MicroStation CONNECT Edition」という名称で提供されていました。
- MicroStation V7など(1980〜1990年代)
- MicroStation V8 / V8i(2001〜2014年)
- MicroStation CONNECT Edition(2015〜2024年)
- MicroStation 2025(2025年〜)
前世代ではクラウドやBIM、ライフサイクル管理への対応に関する機能が追加されており、今回のバージョンではAIやPythonなど、その世代ごとに求められる機能が追加されています。
すでにCONNECT Editionは旧世代のバージョンとなっているため、これからはMicroStation 2025を導入しましょう。
競合CADソフト(AutoCADなど)との違い
MicroStationは、多く普及している汎用型のCADソフトと比べて、インフラ設計に特化しています。以下に参考として、AutoCADとの違いを整理しました。
| MicroStation | AutoCAD | |
|---|---|---|
| おすすめの業界 | インフラ・土木・プラント | 建設全般・製造・機械など幅広い |
| データ形式 | DGNメイン ※DWGとの互換性あり |
DWG |
| 点群対応 | 標準搭載 | アドイン等の導入が必要 |
| GIS連携 | あり | 外部連携が必要 |
なお、MicroStationはDGNという2D・3D設計の標準拡張子を用います。
GISとの連携に強みをもつ拡張子であり、土地区画情報などを下図としながらのインフラ設計が可能です。
なおAutoCADの導入を考えている方は、スピーディーに使い方を理解するためにセミナー講習に参加するのがおすすめです。以下のセミナー講習では、プロの講師から業務で役立つ実践的な使い方や知識を学べます。
セミナー名 AutoCAD基礎セミナー講習 運営元 GETT Proskill(ゲット プロスキル) 価格(税込) 29,500円〜 開催期間 2日間 受講形式 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング
MicroStationの価格情報・ライセンス体系

MicroStationのライセンスは、サブスクリプション型としてBentley公式eStoreで提供されている「Virtuosoサブスクリプション(12か月ライセンス)」と、サポート付きでワンタイム購入できる「SELECT永久ライセンス」の2タイプが提供されています。
ここでは、2つの価格帯や契約の仕組み、最適なライセンス選びに悩んだ時のチェックポイントを見ていきましょう。
Virtuosoサブスクリプション(12か月ライセンス)の価格
まず現在の主流として用いられているのがサブスクリプション型の「Virtuosoサブスクリプション(12か月ライセンス)」です。
価格は地域で異なりますが、日本では年間約52.58万円(税込)が目安です。
サブスクリプション契約には、トレーニングやコンサルティングを受けられるKey(クレジット)も付属します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 契約期間 | 12か月 |
| 年間価格 | 年間約52.58万円(税込) |
| 含まれる内容 | ソフト・更新・サポート・2Key(トレーニング用) |
| 主な特典 | オンライントレーニング・コンサル |
短期契約・教育サポート込みで導入したい企業におすすめです。
SELECT永久ライセンスとメンテナンス料金の仕組み
MicroStationの永久ライセンスは、一度購入すれば継続使用できる買い切り型です。
金額については要見積もりとあることから、事前の問い合わせが必要になります。
なお、サポートやアップデートを受けるためには年間保守料(SELECT契約)が必要です。
ソフト自体は買い切りですが、「使い方を質問したい」「トラブルを解決してほしい」といった場合には、継続的な費用がかかる点に気を付けてください。
ただし、維持管理コストを抑えやすいことから、長期運用前提の企業におすすめです。
ライセンス選択は企業規模に合わせるのがおすすめ
どちらのプランを選ぶべきかわからないと悩む方向けに、中小企業と大企業ごとのおすすめプランを比較しました。
| 企業規模 | 推奨タイプ | 特徴 | 費用感 |
|---|---|---|---|
| 中小企業 | サブスプリクション型 | トレーニング付で導入しやすい | 年間約52.58万円(税込) |
| 大企業 | 永久ライセンス+保守 | 長期運用で総コスト削減 | 初期80〜100万円+保守料 ※目安 |
以上より、中小企業は学習支援が付いているサブスプリクション型、大企業・官公庁は安定運用重視の買い切り型が適しています。
また、初めてCADソフトを導入する方は、CADの基本知識から身につけるのがおすすめです。以下の記事では、CAD初心者がやるべきことを解説しています。
MicroStationの主な機能と特徴
MicroStationは、2D・3D設計からGIS・点群データ、カスタマイズまで対応するインフラ設計の統合型のCADソフトです。次のような機能を用いて、土木・建築・プラントなど、あらゆる業種の設計を支えます。
- モデリング(2D・3D)機能
- ジオスペーシャル対応、点群・メッシュ・GISデータ対応
- 相互運用性(DGN・DWGなど)
- カスタマイズ・MDL・スクリプト・API対応
モデリング(2D・3D)機能
MicroStationは、2D製図から3Dのパラメトリックモデリングまで対応しています。
制約を設けながら、図面の一貫性を保った設計が可能です。
また、複雑な形状も効率的に作成でき、完成したモデリングについては、VUEレンダリング機能を用いることで、フォトリアルな可視化も実現できます。
ほかにも3DCADソフトを比較したい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
ジオスペーシャル対応、点群・メッシュ・GISデータ対応
MicroStationは地理空間設計に強く、BingやGoogleマップ、GPSデータ、点群、メッシュを直接統合できます。既存地形をスキャンして設計へ反映するなど、現況に即したモデル作成が可能です。
相互運用性(DGN・DWGなど)
MicroStationは高いデータ互換性を持ち、Autodesk製品のDWGやIFC、PDF、STEPなど多様な形式に対応します。DGNをメインの拡張子としているため、他社CADソフト(AutoCADなど)やBIMツールともスムーズに連携可能です。
カスタマイズ・MDL・スクリプト・API対応
MicroStationは自動化・拡張性に優れており、MDL(MicroStation Development Library)やVBA、.NET、C++、C#などを用いてコマンドや機能を自由にカスタマイズできるのが特徴です。
最新のMicroStation 2025では、Python APIも搭載され、AI設計との連携も容易になりました。
MicroStationの初心者向けの使い方

MicroStationは、初心者から手軽に操作できるシンプルなUI(ユーザーインターフェース)で構成されたCADソフトです。上の画像にあるような「ソリッド」の作成をメインとし、次のような3Dモデルを構築できます。
- サーフェス
- メッシュ
- NURBS(幾何学曲線)
また、MicroStationでは、操作画面の上側に表示されている「リボンインターフェース」でコマンド機能を選択しながら、モデリングしていくのが基本です。

複数の機能がまとまっている「ホーム」、表示方法を変更できる「ビュー」、ほかにも設計検討に欠かせない「曲線」「拘束」など分けてコマンドが整理されているため、視覚的に使いたい機能を見つけられます。
なお、使い方がわからない場合、迷った場合には、同じくリボンにある「ヘルプ」から基本機能や使い方をチェックできます。製品を購入すれば公式サポートも受けられるため、安心して運用を続けられるのが魅力です。
MicroStationの無料体験版の利用手順

MicroStationの使いやすさや操作性をチェックしたいなら、まずは無料体験版を導入するのがおすすめです。上の画像のように、公式サイトのトップにある「無料で試す」をクリックし、以下の情報を入力しましょう。
- 名前
- メールアドレス
- 電話番号
- 会社名
- 業界
- 国
「送信」ボタンを押して以下に画面が表示されれば、当日~翌日にインストールURLが掲載されたメールが届きます。

なお、MicroStationは当日中に確認できないケースが多いです。
インストールまでに時間がかかると覚えておきましょう。
MicroStationの業種別の活用例
MicroStationは、建築・土木・プラント・都市開発など、エンジニア向けの分野で利用されています。参考としてBentley公式サイトにも掲載されている事例を整理しました。
| 業種・目的 | 導入事例・企業名 | 活用例 |
|---|---|---|
| 建築設計 | PT Wijaya Karya (インドネシア) |
大統領宮殿をデジタルツインで設計。複雑形状の3Dモデリングと可視化を実現。 |
| 道路・橋梁設計 | CRBC・Qk4 (カンボジア・米国) |
洪水地域の高速道路設計や橋梁調査を自動化。 |
| プラント・エネルギー | CCTEG・COPEL (中国・ブラジル) |
プラント設備や電力施設を3D統合設計し、変更管理を自動化。 |
| インフラ・都市開発 | Amey・Monir (英国・カナダ) |
iTwin・SYNCHROで都市や空港の施工管理を最適化。 |
特に近年では、一般的な設計業務に加えて、管理等の自動化を目的にMicroStationが活用されています。
(出典:Bentley「リソースセンター」)
MicroStationの学習におすすめのマニュアル一覧

MicroStationでは、初心者が基本操作や使い方を学ぶ参考として、「MicroStationヘルプ」というマニュアルページを用意しています。
入門知識はもちろん、リボンの構成、図面作成などをワンストップで学べるのが魅力です。
また、初めてCADやBIMに触れる人でも内容を理解できるよう、用語集なども同じページ内に用意されています。
文章や画像付きで、MicroStationの基礎を学べるので、ぜひ順番に読み進めてみてください。
※最終更新日は2022年10月19日であり、最新バージョンで追加された新機能には対応していません。
MicroStationについてよくある質問
ここまで解説してきたMicroStationの情報について、よくある質問をFAQ形式で整理しました。
MicroStationについてまとめ
MicroStationは、インフラ設計・土木・建築分野で信頼される高性能CADソフトです。
2D・3D設計はもちろん、BIM、GIS、点群処理まで一括で対応でき、長期的な資産管理にも優れています。
Autodesk製品との互換性も高いため、インフラ系の設計業務で使えるCADソフトを探している方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。