国産AIは、日本語処理能力や国内法規制への対応に優れたシステムとして、国産AIが注目されています。業務効率化やDX推進のため、国産AIの導入を検討している方もいるでしょう。
本記事では、国産AIが必要とされる理由や企業種別のサービスについて解説します。また、実際に導入する際の選定ポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
国産AIが必要とされる5つの理由

ビジネスシーンでAI活用が進む中、海外製ではなく国産AIへの注目度が高まっています。
ここからは、国産AIが求められる背景を以下5つ視点から解説していきます。
- 日本語の特性に最適化された処理能力
- 国内法規制とセキュリティ要件への対応
- 日本企業の産業データ流出リスクへの対策
- きめ細やかな日本語サポート体制
- ユーザーフィードバックの素早い反映
日本語の特性に最適化された処理能力
英語圏で開発された大規模言語モデルは、日本語独特の表現を正確に捉えきれない場合があります。敬語の使い分けや文化的な背景を含む言い回しなど、微妙なニュアンスの理解には限界が生じるためです。
国産AIは開発段階から日本市場を想定して設計されており、複雑な文脈や独特の言葉遣いにも柔軟に対応できます。ユーザーインターフェースも日本語を基準に構築されているため、導入時の操作説明や社内展開もスムーズに進められるでしょう。
国内法規制とセキュリティ要件への対応
海外のAIサービスを業務に取り入れる際、個人情報保護法をはじめとする日本の法律との整合性確保が課題になります。データの保管場所や管理方法が国内基準と異なる場合、企業のコンプライアンス体制に影響を及ぼす恐れがあるためです。
国産AIは日本の法制度を前提としたデータ管理体制を標準装備しており、国内サーバーでの運用も選択肢として提供されています。機密性の高い情報を扱う金融機関や自治体など、厳格なセキュリティ基準が求められる組織でも国産AIは安心して活用可能です。
日本企業の産業データ流出リスクへの対策
グローバルなAI開発競争が激化する中、日本が長年蓄積してきた産業データの流出に対する危機意識が強まっています。製造現場やサービス業で培われた質の高いデータが海外へ渡れば、技術優位性が失われる可能性があるためです。
国産AI開発を官民一体で推進する動きの背景には、貴重な国内データを自国の技術発展に活かす狙いがあります。特にロボット制御や機械の自律運転といった「フィジカルAI」領域では、国産AIにおける現場データの活用が競争力につながるでしょう。
きめ細やかな日本語サポート体制
海外製ツールでは、トラブル発生時に英語での報告が必須となったり、時差の影響で回答が遅れたりする場合があります。技術的な質問に対して的確な返答を得るまでに時間がかかれば、業務への影響は避けられません。
国産AIは日本語対応のサポート窓口を完備しており、専門知識を持つ担当者から迅速にアドバイスを受けられます。問い合わせ内容が複雑であっても、国産AIであれば母国語でのやり取りによって正確な意思疎通が可能です。
ユーザーフィードバックの素早い反映
国産AIを開発する企業は、日本のユーザーから寄せられる改善要望を製品アップデートへ迅速に反映させやすい体制を持っています。地理的・言語的な距離が近いため、現場の声を開発チームへ直接届けやすいためです。
ウェビナーやユーザーコミュニティを通じて、開発者と利用者が直接意見交換できる機会も豊富に用意されています。日本特有のビジネス慣習や業務フローに合わせた機能改善が期待できる点は、海外製にはない大きなアドバンテージです。
【企業種別】の国産AI12選
では、実際にどのような国産AIがあるのか、企業種別に見ていきましょう。
また以下では、生成AIを提供する日本の企業も紹介しているので、あわせて参考にしてください。
大手企業による国産AI5選
昨今、日本を代表する大手企業各社が独自の技術を結集し、高性能な国産AIを次々と市場へ投入しています。
ここからは、以下の5社が提供するAIサービスについて、それぞれの強みを詳しく紹介していきます。
- NEC:cotomi
- 富士通:FujitsuKozuchi
- NTT:tsuzumi
- サイバーエージェント:CyberAgentLM
- 日立:HitachiAITechnology/H
NEC:cotomi
NECが開発した「cotomi」は、日本語処理の速度において従来の商用大規模言語モデルと比べて約2倍のパフォーマンスを達成しました。日本語特有の複雑な表現やニュアンスを高精度で理解する能力を備えており、ビジネス文書の作成や顧客対応など幅広い用途に対応できます。
提供形態は企業の要望に合わせて柔軟に選択可能で、オンプレミス環境での運用や閉域クラウドでの利用も実現可能です。セキュリティを最優先する金融機関や、カスタマイズ性を重視する製造業など、多様な業界で導入が進んでいる国産AIです。
富士通:FujitsuKozuchi
富士通が提供する「Fujitsu Kozuchi」は、生成AIから予測分析、画像認識まで7つの技術領域を網羅する国産AIです。汎用的な設計ではなく、顧客が抱える業界固有の課題や業務特性に深く入り込んで最適化できる点が最大の魅力となっています。
広く浅くではなく「狭く深く」活用できる業務特化型の設計思想により、導入企業それぞれに合わせた細やかなカスタマイズが可能です。医療機関における診断支援や小売業の需要予測など、専門性の高い領域での実績も豊富に蓄積されています。
NTT:tsuzumi
NTTが開発した「tsuzumi」は、世界最高水準の日本語処理性能を持ちながら軽量設計を実現した国産AIです。リソース消費を大幅に抑えた設計により、高性能なサーバー環境がなくても導入しやすい点が評価されています。
テキスト情報だけでなく図表や画像も理解できるマルチモーダル対応を備えており、多様な形式のデータを統合的に扱えます。医療現場での患者情報管理やコンタクトセンターでの問い合わせ対応など、機密性の高い情報を扱う業務への適用に適した国産AIです。
サイバーエージェント:CyberAgentLM
サイバーエージェントが開発した国産AI「CyberAgentLM」は、日本語処理において世界トップクラスの性能を誇る大規模言語モデルです。最新バージョンは225億パラメータという大規模な構成を持ち、複雑な文脈理解や高度な文章生成を可能にしています。
Apache License 2.0のもとでオープンソースとして公開されているため、自社のサービスやシステムへ組み込んで商用利用する際の自由度が非常に高い点が特徴です。開発者コミュニティによる活発な改良活動も行われており、最新の技術トレンドを反映したアップデートが継続的に提供されています。
日立:HitachiAITechnology/H
日立が提供する「Hitachi AI Technology/H」は、膨大なデータから100万個以上の仮説を自動生成し、最適解を導き出す独自アルゴリズムを搭載しています。製造プラントにおける設備劣化の予兆分析や物流倉庫での在庫配置最適化など、特定業務に特化したソリューションが充実している点が強みの国産AIです。
長年にわたる産業界での実績とノウハウを活かし、現場の課題に対して実用的な解決策を提示できます。単なるAIツールではなく、業務改善のコンサルティングも含めた総合的なサポート体制が整っている点も魅力でしょう。
ベンチャー企業による国産AI7選

大手企業だけでなく、機動力のあるベンチャー企業も独自の強みを持った国産AIを開発しています。
ここからは、以下7社のAIサービスについて、それぞれの独自性と活用メリットを解説していきます。
- カサナレ:kasanare
- ファーストオートメーション:SPESILL
- 時空テクノロジーズ:ログミーツ
- Helpfeel:Helpfeel
- FRONTEO:KIBIT
- AIPicasso:AIPicasso
- Sparticle:Felo
カサナレ:kasanare
カサナレが提供する国産AI「kasanare」は、企業が抱える固有の課題や達成したい目的に応じて生成AI技術を組み合わせ、最適化されたシステムを構築できるSaaS型サービスです。高い推論能力を持つエンジンを搭載しており、顧客サポートの自動応答や熟練営業担当者のトーク再現など、質の高い回答が求められる場面で真価を発揮します。
テンプレート的な返答ではなく、状況に応じた柔軟な対応が可能な点が大きな差別化要素です。導入企業の業種や規模に合わせてカスタマイズできる柔軟性により、既存業務フローへスムーズに組み込めます。
ファーストオートメーション:SPESILL
ファーストオートメーションが開発した「SPESILL」は、製造業のデスクワーク効率化に焦点を当てた国産のAI支援ツールです。仕様書や作業手順書、各種マニュアルの作成業務を強力にサポートし、技術文書作成にかかる時間を大幅に削減できます。
文書から必要な情報を高精度で抽出する技術と、誰でも使いこなせるシンプルな操作設計が両立されている点が特徴です。学習データが外部へ共有されないセキュアな環境で動作するため、機密性の高い技術情報を扱う製造現場でも安心して利用できます。
時空テクノロジーズ:ログミーツ
時空テクノロジーズが提供する「ログミーツ」は、対面会議とオンライン会議の両方に対応した議事録自動作成ツールです。会議中の発言をリアルタイムでテキスト化し、要点を自動的に抽出して整理された議事録を生成します。
発言者ごとに内容を分類する機能や多言語翻訳機能も備えており、国際的なミーティングでも活用可能です。会議後の議事録作成作業から解放されるだけでなく、会議時間そのものを短縮する効果も期待できる国産AIです。
Helpfeel:Helpfeel
Helpfeelが開発した「Helpfeel」は、独自の「意図予測検索」アルゴリズムを搭載したFAQシステムです。ユーザーが入力した曖昧な表現からでも意図を正確に汲み取り、98%という極めて高い検索ヒット率を実現しています。
AI特有の課題であるハルシネーション対策として、人間が作成した正確な回答記事のみを情報源として使用する設計を採用しました。検索スピードは0.0001秒という驚異的な速さで、ユーザーを待たせません。
FRONTEO:KIBIT
FRONTEOが提供する「KIBIT」は、テキストデータ解析に特化した国産AIエンジンです。少量の学習データからでも弁護士などの専門家が持つ暗黙知を学習できる独自技術を搭載しています。独自開発のベクトル化技術により軽量な動作を実現し、省電力な「Green MicroAI」として環境負荷も抑えられている点が特徴です。
大量の契約書類や法的文書のチェック業務を効率化したい法務部門や、コンプライアンス調査を強化したい企業に適しています。人手では膨大な時間がかかる文書精査作業を短時間で完了でき、見落としリスクも大幅に低減可能です。
AIPicasso:AIPicasso
AIPicassoが開発した「AI Picasso」は、テキスト指示や既存画像から高品質なビジュアルコンテンツを生成できるツールです。生成された画像は高解像度でダウンロードでき、デザイン制作やマーケティング素材の作成業務を大幅に効率化できます。
専門的なデザインスキルがない担当者でも、イメージを言葉で伝えるだけで希望に近いビジュアルを短時間で入手可能です。SNS投稿用の画像制作や社内資料のビジュアル強化など、日常的なクリエイティブ業務での活用が期待できます。
Sparticle:Felo
Sparticleが提供する「Felo」は、学術論文をはじめとする広範なデータベースを活用した検索エンジン型の国産AIです。多言語対応により世界中の情報を母国語で検索でき、言語の壁を越えた情報収集が可能になります。
検索結果から自動的にマインドマップを生成したり、プレゼンテーション資料を作成したりする強力な機能も搭載されています。リサーチ業務に多くの時間を費やす企画部門や研究開発部門にとって、情報収集から資料作成までの一連の流れを効率化できる点が魅力です。
セミナーで生成AIの知識・スキルを最短で習得!
生成AIに関する知識は、セミナーを通じて得ることが可能です。
以下の生成AIセミナーでは、国産AIの種類や仕組みについて体系的に学習できます。より実践向けの知識やスキルを身につけたい方はぜひ利用を検討ください。
国産AIの選定ポイント5選

数多くの国産AIサービスが登場する中、自社に最適な製品を見極めるには明確な選定基準が必要です。
ここからは、国産AIの選定時に重視すべき5つの視点について、具体的な判断基準とともに解説します。
- 自社の課題とAI導入目的を明確化する
- オンプレミスかクラウドかの提供形態を選ぶ
- 操作性と従業員の継続利用可能性を確認する
- 初期導入費用とランニングコストを試算する
- 導入後のサポート体制と保守体制を確認する
自社の課題とAI導入目的を明確化する
国産AI導入を成功へ導くためには、導入自体が目的化しないよう注意が必要です。
まず各部門へのヒアリングを通じて現場が抱える具体的な課題を洗い出し、AIによって解決すべき問題を特定しましょう。
ルーチンワークの自動化による工数削減を目指すのか、顧客満足度向上を優先するのかなど、達成したいゴールを明確に定義します。複数の課題が存在する場合は優先順位をつけ、段階的に取り組む計画を立てる必要があります。
オンプレミスかクラウドかの提供形態を選ぶ
国産AIの提供形態には、自社サーバーで運用するオンプレミス型とインターネット経由で利用するクラウド型があります。
セキュリティを最重要視し、データを外部へ出したくない場合や高度なカスタマイズが必要な場合は、オンプレミス型が適しています。一方で初期投資を抑えて手軽に導入を始めたい場合や、利用規模を柔軟に変更したい場合はクラウド型が有利です。
自社の情報管理ポリシーや既存のITインフラ環境、予算制約などを総合的に判断して選択しましょう。
操作性と従業員の継続利用可能性を確認する
高性能な国産AIであっても、現場の従業員が使いこなせなければ導入効果は得られません。実際に業務で利用する担当者に操作画面を見せ、直感的に操作できるかを確認する必要があります。
多くのベンダーが無料トライアル期間を設けているため、本格導入前に実務環境で試用してもらいましょう。操作マニュアルが日本語で充実しているか、社内展開時の教育コストはどの程度かかるかも重要な判断材料です。
国産AIは継続的に利用されなければ投資が無駄になるため、使いやすさは性能と同等に重視すべき要素といえます。
初期導入費用とランニングコストを試算する
国産AI導入には初期費用だけでなく、月額利用料や保守費用といった継続的なコストが発生します。初期費用が安価でも、ユーザー数に応じて月額料金が増加する料金体系では、将来的に予算を圧迫する可能性があります。
従業員数の増加や利用部門の拡大を見据え、3年後・5年後の総コストをシミュレーションしておきましょう。同時に、AI導入によって削減できる人件費や時間的コストも試算し、費用対効果を定量的に評価する必要があります。
導入後に追加機能が必要になった場合の費用や、データ容量増加時の追加料金体系も確認しておくべきです。
導入後のサポート体制と保守体制を確認する
AI導入後に不具合が発生した際、迅速に対応してもらえる体制が整っているかは極めて重要です。24時間365日のサポート窓口があるか、日本語での技術サポートが受けられるかを事前に確認しましょう。
自社の業務時間帯に合わせた問い合わせ対応が可能かどうかも、業務への影響を最小限に抑えるために重要な要素です。定期的なシステムアップデートやセキュリティパッチの提供頻度、バージョンアップ時の移行サポート有無も確認しておく必要があります。
導入時の初期設定支援や従業員向けトレーニングプログラムの有無も、スムーズな国産AIの運用には欠かせません。
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国産AIについてまとめ
今回は、国産AIが必要とされる理由や具体的なサービス、選定時のポイントについて紹介しました。国産AIには、日本語処理能力の高さや国内法規制への対応、充実したサポート体制といった、海外製にはない多くの強みがあります。
大手企業からベンチャー企業まで幅広い開発元が国産AI市場に参入しており、業務自動化から専門的な分析まで、目的に応じた多彩な選択肢が揃っています。自社の課題を明確にし、提供形態やコスト、サポート体制を総合的に検討して最適な国産AIを選びましょう。
まずは無料トライアルで実際の操作性を確認し、段階的に国産AIの導入範囲を広げていく方法がおすすめです。