建設業界では人手不足や高齢化が進み、若手人材の育成と定着が急務となっています。さらに、安全管理や技能継承、DX対応といった新たな課題にも直面しています。
本記事では、そうした建設業特有の課題を解決するための研修をテーマ別・目的別に整理し、厳選したおすすめの研修11選をご紹介。自社の状況に合った最適な研修を選ぶためのポイントも解説していますので、導入を検討する際の参考にしてください。
建設業における研修の重要性とは

建設業界は少子高齢化の影響を大きく受けており、深刻な人材不足と熟練工の大量退職による技能継承の問題を抱えています。また、労働災害やコンプライアンス違反といったリスクも高く、企業にとって“人を育てる力”が今まで以上に問われています。
- 人材不足と技能継承の課題を解決する
- 若手社員の定着率を高める
- 安全管理・法令遵守も研修で強化できる
ここでは、建設業における研修の必要性を、主に3つの観点から見ていきましょう。
①人材不足と技能継承の課題を解決する
現場の第一線で活躍してきたベテラン技術者の高齢化が進む一方で、若年層の入職者数は年々減少しています。
そのため、技能やノウハウを体系的に次世代に引き継ぐ仕組みが欠かせません。研修は、現場で培った属人的な知識を形式知に変換し、持続可能な技術伝承を実現する手段として注目されています。
下記では、建設業の人材確保や育成に役立つサービスも紹介しているので、ぜひご覧ください。
②若手社員の定着率を高める
若手社員が離職する原因の多くは、「現場での人間関係」や「指導環境の未整備」にあります。
報連相やコミュニケーション、職場の心理的安全性を高める研修は、若手の不安を取り除き、長期的な定着を促進するでしょう。新卒や入社数年の社員向けに、段階的な研修を用意することで、安心して成長できる環境を整備することが重要です。
③安全管理・法令遵守も研修で強化できる
建設業は労働災害の発生リスクが高い業種であり、安全衛生教育は法的にも義務づけられています。
職長・安全衛生責任者教育、リスクアセスメント研修、メンタルヘルス対策などを継続的に実施することで、事故の未然防止や法令順守を徹底できるでしょう。安全に対する意識を全社員に浸透させることは、企業の信頼性向上にもつながります。
建設業の研修は大きく3つに分かれる

建設業における研修は、目的や対象者によって内容が大きく異なりますが、主に「基礎教育」「専門技術の習得」「組織マネジメント」の3つに大別されます。
それぞれの研修には役割があり、企業としてバランスよく導入することで、技術力と組織力の両面を強化することができます。
| 区分 | 主な内容 | 対象者 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 基礎教育 |
|
新入社員・若手社員 | 社会人・現場人材としての土台形成 |
| 専門技術研修 |
|
中堅技術者・現場担当者 | 実務に即したスキル向上と技術継承 |
| 組織マネジメント研修 |
|
管理職・現場責任者 | 組織力の強化と人材育成能力の向上 |
それぞれの研修は独立しているようでいて、実は密接に関連しています。
たとえば、若手社員が定着し成長していくには、基礎教育だけでなく、将来を見据えた専門技術研修や上司のマネジメント力も重要です。企業として体系的に研修を設計・実施することで、人材の質と現場の生産性を同時に高めることが可能になるでしょう。
おすすめの建設業の研修11選

建設業界では、安全管理、技術継承、若手育成、さらにはDX推進など、企業が取り組むべき課題が多岐にわたります。
ここでは、実務で役立ち、かつ教育効果の高い研修プログラムを厳選して11個紹介します。対象者別に整理しているため、自社のニーズに合わせた導入の参考にしてください。
| 研修名 | 主催・提供元 | 対象者 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ①DX人材育成セミナー | GETT Proskill | DX推進担当者・管理職 | IoT・AI・3Dデータ活用まで、30分で学べる無料ウェビナー |
| ②eラーニングコース | 日本コンサルタントグループ | 新入社員・若手技術者 | 現場管理・法令遵守など6分野を網羅したオンライン教材 |
| ③階層別研修プログラム | リスキル | 新人〜中堅〜管理職 | ビジネススキルからリーダー教育まで段階別に対応 |
| ④法定講習・安全教育 | 建設業災害防止協会 | 作業員・安全管理者 | 職長教育、安全衛生責任者講習など義務講習が豊富 |
| ⑤技術者研修・監理講習 | 全国建設研修センター(JCTC) | 技術者・施工管理技士 | 公的な検定・資格更新を支援する体系的な講座群 |
| ⑥実務対応研修 | 中央工学校CIC | 実務経験者・現場担当者 | 実習中心で現場対応力を高める実践型カリキュラム |
| ⑦施工管理技士 資格講座 | 土建学院 | 施工管理技士受験者 | 国家資格対策に特化し、短期集中で合格を目指す |
| ⑧新卒向け導入研修パッケージ | NICCON | 内定者・新入社員 | 社会人マナーから現場知識まで、研修導入セット |
| ⑨若手定着支援プログラム | HATA | 入社1〜3年の若手社員 | コミュニケーションや心理的安全性を重視した育成法 |
| ⑩業界特化型マナー・管理職研修 | インソース | 若手〜中堅管理職 | ハラスメント対応やマネジメント強化に最適 |
| ⑪建設業界コラム×導入支援 | リスキリングナビ | 教育企画担当者・経営層 | コラムによる気づきから導入支援まで一気通貫型 |
このように、建設業の研修には多様な形式と目的があり、どの研修を選ぶかによって成果に大きな差が出ます。
特に近年は、オンラインで学べる柔軟な研修や、DXや法令遵守といった時代に即したテーマの研修が注目されています。導入にあたっては、現場の課題を明確にし、対象者のスキルや役割に合わせた内容を選定することが重要です。
①建設業向けDX人材育成セミナー
建設業界におけるDX推進は急務である一方、社内にノウハウや人材が不足している企業も多く見られます。「製造業・建設業向けDX無料オンラインセミナー」は、AI・IoT・3Dデータ活用の実例や、DX人材の育成方法を学べるコンパクトな内容となっており、これからDXを始めたい企業にとって格好の導入コンテンツです。
- 社内にDX推進のノウハウがなく、最初の一歩に悩んでいる方
- デジタル人材の育成や再教育に取り組みたい人事担当者
- IoTやAIを活用して業務改善・省力化を進めたい現場責任者
限られた時間でDXの方向性と育成戦略を掴める、実用性の高いセミナーです。
セミナー名 製造業・建設業向けDX無料オンラインセミナー 日時 2026年3月17日(火) 14:00~14:30 価格 無料 開催場所 Zoomウェビナー(オンライン)
②日本コンサルタントグループのeラーニングコース
若手社員の基礎力を短期間で底上げするには、現場の実務に直結する知識を効率的に学ばせることが重要です。建設業に必要な基本的な安全・品質・法令の知識を網羅しており、スキマ時間を使って学べる点でも現場導入しやすい設計となっています。
- 初めて建設現場に立つ新入社員や若手スタッフ
- 現場での経験はあるが、法令や安全基準の知識が曖昧な社員
- 学び直しの機会が少ない中堅層に基礎を再確認させたい教育担当者
オンラインで柔軟に学べるため、全社的な基礎教育にも活用しやすい研修でしょう。
③リスキルの階層別研修
人材育成を長期的に考えるうえで、「誰に」「いつ」「何を教えるか」は非常に重要です。リスキルの階層別研修は、新入社員から管理職まで、成長段階に応じた内容を体系的に学べるプログラムで、組織の生産性や人間関係の質を高めるのに有効です。
- 社内研修を階層ごとに整備したい企業の人事・教育担当者
- チーム運営に課題を感じている中堅リーダーや現場監督者
- 社員のマネジメント能力やコミュニケーション力を強化したい管理職層
現場力と組織力を両立させるための、基盤構築に最適な研修と言えます。
④建設業災害防止協会の法定講習・安全教育
建設業における労働災害は、ひとつの油断や知識不足から発生することが多く、日々の安全教育が事故防止のカギとなります。この講習では、職長・作業主任者教育など法令で定められた研修を中心に、安全管理の基本と実践を学ぶことができます。
- 職長や作業リーダーとしての自覚と知識が必要な現場社員
- はじめて危険作業に関わることになる新任スタッフ
- 入札や評価のために法定教育の実施が必要な企業の総務・管理部門
事故ゼロを目指すなら、まずは正しい安全教育の導入が欠かせません。
⑤JCTC(全国建設研修センター)の技術者講座
建設業界でキャリアを築いていくうえで、施工管理技士などの国家資格は大きな武器となります。JCTCの技術者講座は、公的機関が提供する信頼性の高い講座であり、監理技術者の講習や資格対策として多くの受講者に支持されています。
- 国家資格取得を目指している技術職社員や若手エンジニア
- 監理技術者としてキャリアアップを図りたい中堅社員
- 社内で資格保有者を増やし、案件の幅を広げたい経営層・人事担当者
現場での信頼や業務範囲の拡大に直結する、キャリア形成型の専門研修です。
⑥中央工学校CICの実務対応研修
現場の即戦力を育てるには、実務に即した教育が欠かせません。中央工学校CICの研修は、施工管理、建築設備、CAD操作などを中心に、座学だけでなく実習形式で学べる内容が特徴です。
現場での判断力や応用力を高めたい企業にとって、非常に実践的な選択肢となるでしょう。
- 実務経験は浅く、現場での判断力を鍛えたい若手社員
- 現場で即戦力として活躍できるよう、技能向上を図りたい技術者
- 手を動かしながら学びたいタイプの社員や職人志望の人材
“学ぶ”だけでなく“体感する”ことに重きを置いた、現場密着型の研修です。
⑦土建学院の施工管理技士資格講座
1級・2級の施工管理技士は、現場責任者としてのキャリア形成において不可欠な資格です。土建学院の講座は、豊富な過去問題や実務経験を踏まえた講師陣による指導が強みで、短期集中で合格を目指す受験者に最適でしょう。
- 国家資格を短期間で取得したい現場技術者
- 将来的に管理職・現場責任者を目指す若手社員
- 社内の資格保有率を高めたい企業の人材開発担当者
実務と両立しながら着実に資格取得を目指せる、信頼性の高い専門講座です。
⑧NICCONの新卒向け研修パッケージ
建設業界における若手の早期離職は深刻な課題ですが、多くは配属直後の「教育不足」に起因しています。
NICCONの新卒研修パッケージは、ビジネスマナーから業界基礎、現場対応力までを段階的に学べる内容で、安心して現場に送り出せる新人育成を実現します。
- 初めて社会人になる新卒社員や内定者
- 建設業界に不安を感じている若手や未経験者
- 配属前に基本的な現場マナーや業界知識を身につけさせたい人事担当者
若手の不安を払拭し、早期戦力化と定着を両立させる実用的な研修です。
⑨HATAの若手定着支援プログラム
近年、若手社員の離職理由として多く挙げられるのが「人間関係」や「心理的な負担」です。HATAの定着支援プログラムは、心理的安全性・自己肯定感・対人スキルに着目し、若手が安心して現場に馴染めるようサポートする内容となっています。
- 入社1〜3年目で現場への不安が強い社員
- 上司との関係構築やコミュニケーションに苦手意識がある若手
- 離職率改善を真剣に検討している中小建設企業の経営者・人事担当者
「辞めさせない仕組み」を人材の内面から支える、定着特化型の研修です。
⑩インソースの業界特化型マナー・管理職研修
マネジメントにおける最大の課題は「人の扱い方」です。インソースでは、建設業特有の職場環境や課題に配慮したマナー研修や、現場リーダー向けの管理職教育を展開しており、実務に根差した内容が高く評価されています。
- 若手の教育に悩む現場リーダーや職長
- チームマネジメントに課題を抱えている中堅管理職
- ハラスメント防止やコンプライアンス教育を強化したい経営層
現場力だけでなく、人を動かす力を育てるための「人間教育」に特化した内容です。
⑪リスキリングナビの建設業コラム×研修導入支援
単に研修を探すのではなく、「なぜ必要か」「どんな課題を解決したいのか」から逆算して設計したい企業に向けて、リスキリングナビは情報提供と導入支援をセットで行っています。
建設業界特化のコラムを通じて、企業が直面する問題に対する気づきと学びのきっかけを提供します。
- 研修を導入したいが、何から手をつければいいか分からない担当者
- 現場の課題や人材育成方針を言語化できていない経営層
- 情報収集から研修選定・実施までを一括して任せたい中小企業の人事担当者
表面的な研修比較ではなく、「必要性の根拠」から伴走してくれる支援型サービスです。
その他にもおすすめの講座があります。下記の記事をチェックしてみてください。
研修を選ぶときのポイント

建設業における研修は、多岐にわたるテーマや対象者が存在するため、「とりあえず有名な研修を入れる」という方法では、十分な効果が得られません。限られた時間とコストを投資する以上、自社にとって本当に必要な人材育成を実現するには、慎重に選定することが重要です。
以下に、建設業で研修を選ぶ際に確認すべき主要なポイントをまとめました。
| 選定ポイント | チェックする内容 |
|---|---|
| 対象者のレベル | 新人、若手、中堅、管理職など階層に合っているか |
| 目的と課題の明確化 | 技能継承、人材定着、安全教育、DXなど明確な狙いがあるか |
| 研修形式の適合性 | 対面、オンライン、eラーニング、実習など業務との両立が可能か |
| 継続性とフォローアップ | 一過性で終わらず、振り返りや継続学習の仕組みがあるか |
| 助成金・補助金の活用可能性 | 人材開発支援助成金などの制度活用が視野に入るか |
単に「良さそう」な研修を選ぶのではなく、「自社にとって必要な要素が揃っているか」を判断基準にすることで、投資対効果の高い研修運営が可能になります。特に階層別の設計や、将来的な事業方針と一致しているかどうかは、研修の成果を左右する重要な視点です。
建設業の研修は「学び」への投資
建設業界は今、これまで以上に「人を育てる力」が企業の存続と成長を左右する時代に突入しています。安全性の確保、技能の継承、若手人材の定着、そしてDXの推進まで、あらゆる課題の根本には“人材”の存在があります。だからこそ、研修は単なるコストではなく、未来への投資と捉えるべきです。
自社の状況や課題に合った研修を見極め、戦略的に導入していくことで、強い現場と組織が育ちます。本記事で紹介した研修プログラムや選定ポイントが、皆様の人材育成におけるヒントとなれば幸いです。