CAD・設計関連のDX研修やりスキリング研修に取り組みたいけれど、「研修費が高い」「費用対効果が見えない」とお悩みではないでしょうか。それなら、条件を満たすことで研修費用の最大75%、さらに研修中の賃金の一部まで助成される「人材開発支援助成金」がおすすめです。
そこでこの記事では、人材開発支援助成金の仕組みから、CAD・設計に適用できるコース情報をわかりやすくまとめました。申請手順や気をつけたいポイントも解説しているので、助成金を活用する参考にしてみてください。
最大75%が助成される「人材開発支援助成金」とは?

人材開発支援助成金は、企業が従業員に対して行う研修(OFF-JT)にかかる費用や、研修時間中の賃金負担を国が支援する制度です。CAD・設計関連の研修との相性がよく、条件を満たせば研修費用の最大75%が助成されます(利用するコースによる)。
もし100万円かかる研修で75%の助成を受けられれば、実質25万の手出しに抑えられます。
大幅な費用負担から解放されるため、人材開発支援助成金は社内のDX化や生産性向上に取り組みたい企業におすすめです(賃金助成を除く)。
また人材開発支援助成金は、単なる座学研修ではなく、以下の目的を重視しています。
- 業務に直結するスキル習得
- 職種転換・業務高度化
- DX・デジタル化への対応
そのため、2DCADから3DCADへの移行やBIM対応、設計業務の自動化・AI活用といったDXに関わる研修は、助成対象になりやすいのが特徴です。
例として、これまで建築設計をJw_cadで対応していた状況から、BIM業務へ移行するためにRevitの研修を受けて人材育成に取り組めば、人材開発支援助成金に適用されるケースもあります。

なお、人材開発支援助成金の前にDXの失敗を回避する方法を知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
CAD・設計関連で使える人材開発支援助成金の4コース
人材開発支援助成金には複数のコース・メニューがありますが、そのなかでもCAD・設計・DX研修に実務上活用しやすいのが次の4コースです。ここでは、適用される4コースについて解説します。
| 人材開発支援助成金のコース名 | 適用の有無 | 理由 |
|---|---|---|
| 事業展開等リスキリング支援コース | 〇 | DX・業務転換を目的とした研修が対象 |
| 人材育成支援コース(従来型CAD研修) | 〇 | 職務に直結するCAD研修が対象 |
| 人への投資促進コース | 〇 | デジタル人材・eラーニング研修向け |
| 教育訓練休暇等付与コース | 〇 | 教育訓練休暇制度を導入する企業向け |
| 建設労働者認定訓練コース | × | 建設現場向き |
| 建設労働者技能実習コース | × | 建設現場向き |
| 障害者職業能力開発コース | × | 障がい者の雇用向き |
事業展開等リスキリング支援コース
人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースは、DX推進・新規事業・業務転換に伴う設計スキルの再教育に使いやすい助成金コースです。以下のように、「事業展開」または「DX・デジタル化への対応」を目的とした訓練が対象になります。
- 2DCAD中心の業務から、3DCAD・BIMへ移行する
- 設計業務にAI・自動化ツールを取り入れる
- 製造・建設業でDX推進を目的とした設計体制を再構築する
- 新規事業や新分野への参入に伴う設計スキルの刷新する
なお、当コースでは、「職業訓練実施計画届」に加えて「事業展開等実施計画」の提出が必須です。事業展開やDXの内容を具体的に記載しないと否認リスクが高い点に注意しましょう。
| 人材開発支援助成金の項目 | 概要(中小企業の場合) |
|---|---|
| 助成額 | 経費助成:75% 賃金助成:1,000円/時間・人 |
| 年度上限額 | 1事業所あたり最大1億円 |
| おすすめの企業 | ・設計部門でDXを進めたい企業 ・2D→3D・BIMへ移行中の企業 ・新規事業・新分野に挑戦する製造・建設関連企業 |
| 対象外になりやすい例 | 単なる操作研修 →人材育成支援コース |
| 制度の期限 |
恒久制度ではない(年度ごとに見直しあり) |
人材育成支援コース(従来型CAD研修)
人材開発支援助成金の人材育成支援コースは、現在の業務内容を前提に、設計者・CADオペレーターのスキルを底上げする研修に適した助成金コースです。DXや事業転換まで踏み込まない、従来業務の延長線上にある次のようなCAD研修はこちらが該当します。
- 新人・若手向けの2DCAD・3DCADの基礎研修
- 既存CADソフトの 操作レベル向上研修
- 図面作成ルール、設計基準の 社内標準化研修
- 設計者・CADオペレーターの スキル平準化を目的とした教育
なお、訓練開始前に 職業訓練実施計画届の提出が必須です(原則1か月前まで)。
10時間以上のOFF-JT(座学・研修形式)が対象になるなどの条件もあるため、事前チェックが欠かせません。
| 人材開発支援助成金の項目 | 概要(正規雇用の場合) |
|---|---|
| 助成額 | 経費助成:45%(中小企業) 賃金助成:800円/時間・人(要件加算あり) ※eラーニング・通信制は経費助成のみ |
| 年度上限額 | 1事業所あたり最大1,000万円(訓練時間・内容により変動) |
| おすすめの企業 | ・新人教育を行いたい企業 ・CAD操作レベルを底上げしたい企業 ・設計品質を均一化したい製造・建設関連企業 |
| 対象外になりやすい例 | DX・業務転換を目的とした研修 →リスキリング支援コース |
| 制度の期限 |
恒久制度ではない (年度ごとに内容・助成率の見直しあり) |
人への投資促進コース
人材開発支援助成金の人への投資促進コースは、企業の人材育成を中長期で後押しするために設けられた期間限定の助成金コースです。令和4~8年度限定で実施されており、次のように、他のコースで助成対象になりにくかった研修形態がカバーされています。
- サブスクリプション型の研修サービスを利用する「定額制訓練」
- 高度デジタル人材を育成する「高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練」
- 従業員が自ら受講した研修・資格取得に関する「自発的職業能力開発訓練」
- 働きながら学ぶための長期休暇・短時間勤務制度を導入する「長期教育訓練休暇等制度」
また、当コースは訓練開始の1か月前までに計画を提出しなければなりません。
令和8年度以降の実施は未定であるため注意が必要です。
| 人材開発支援助成金の項目 | 概要(中小企業の場合) |
|---|---|
| 助成額 | 経費助成:最大75% 賃金助成:最大1,000円/時間 |
| 年度上限額 | 最大2,500万円(※成長分野等人材訓練除く) |
| おすすめの企業 | ・全社員のスキル底上げをしたい企業 ・DX人材を段階的に育成したい企業 |
| 対象外になりやすい例 | ・業務と無関係な一般教養・趣味的な講座 ・単なる操作説明のみの短時間研修 ・会社負担がなく、個人受講のみで完結する研修 |
| 制度の期限 |
令和4~8年度の期間限定 |
教育訓練休暇等付与コース
人材開発支援助成金の教育訓練休暇等付与コースは、「働きながら学ぶ」環境づくりそのものを評価・支援する助成金コースです。研修内容そのものではなく、次のように教育訓練のための休暇制度・勤務制度を企業が整備したことが助成対象になります。
- 一定期間、学習に専念できる「長期教育訓練休暇制度」
- 所定労働時間を短縮し、学習時間を確保する「教育訓練短時間勤務制度」
- 所定外労働を免除し、業務と学習の両立を支援する制度
特に、学習に時間がかかるCAD・設計部門では、BIM・3DCAD・DX・AI分野など、業務と直結する高度スキルを中長期で学ばせたい場合に相性の良いコースです。
なお、本コースは「研修を実施したから支給される」のではなく、制度を就業規則等に明確に定め、実際に取得・運用した実績が必要になります。
| 人材開発支援助成金の項目 | 概要(中小企業の場合) |
|---|---|
| 助成額 | 制度導入助成:最大20万円 賃金助成:最大1,000円/時間(※有給休暇の場合) |
| 年度上限額 | 原則1事業所あたり1回(定額) |
| おすすめの企業 | ・中長期で高度設計人材を育成したい企業 ・業務と学習を両立できる制度を整えたい企業 |
| 対象外になりやすい例 | ・制度を就業規則に定めていないケース ・実際に休暇・短時間勤務を取得していない場合 ・業務と無関係な学習を目的とした制度 |
| 制度の期限 |
恒久制度ではない(年度ごとに見直しあり) |
目的別に考える人材開発支援助成金の選び方

人材開発支援助成金は複数のコースがあり、「どれを選ぶか」で可否と助成額が大きく変わります。そのため、以下のように研修内容そのものよりも「目的」で選ぶのが正解です。
| 研修・育成の目的 | 人材開発支援助成金の該当コース |
|---|---|
| ・2Dから3DやBIMへ移行したい ・AI、自動化など設計DXを進めたい |
事業展開等リスキリング支援コース |
| ・新人、若手にCAD基礎を教えたい ・CAD操作のバラつきをなくしたい |
人材育成支援コース |
| ・eラーニングや定額制研修を使いたい ・DX人材を段階的に育てたい |
人への投資促進コース |
| ・学習専用の休暇・時短制度を作りたい | 教育訓練休暇等付与コース |
人材開発支援助成金は、研修内容よりも事業目的・育成方針との整合性が重視される制度であるため、目的があいまいなまま研修を決めてしまうと、「コース不適合」で不支給になるリスクが高まります。
失敗を回避するためにも、まずは自社が「何を変えたいのか」を整理し、その目的に合ったコースを選んだうえで研修内容を設計しましょう。
また、人材開発支援助成金に適用できるDX研修をお探しの方は、以下の記事もご参考ください。
人材開発支援助成金の申請手順(全体フロー)
人材開発支援助成金は、研修を開始する前に「計画提出」が必要な助成金です。
計画を提出したうえで研修を実施し、事後申請をするという流れが決まっています。
順番を間違えると不支給になるため、以下を参考に人材開発支援助成金の準備を進めましょう。
- 助成金対象になる研修体制を整える
(最適な研修を作る or 探す) - 職業訓練実施計画届を労働局へ提出する
- 計画どおりに研修を実施して記録を残す
- 実施結果と費用をまとめて助成金を申請する
- 書類審査後、問題なければ助成金が振り込まれる
よくある失敗として、手続きの順番を間違えるほか、出勤簿や受講記録の不備、研修目的が助成金コースと合っていないケースも否認の原因になります。特にeラーニングや外部研修は「事後でも大丈夫」と勘違いされやすいため注意しましょう。
人材開発支援助成金は電子申請も可能?

人材開発支援助成金の申請で発生する「職業訓練実施計画届」「支給申請書」などの主要な手続きは、原則としてオンラインで提出可能です。厚生労働省の人材開発支援助成金の公式ページに、電子申請のリンクが掲載されているので、コースを選択しましょう(上の画像より)。
また、各申請ページを利用する際には、人材開発支援助成金の申請のために、GビズIDという専用IDを取得しなければなりません。以下のボタンをクリックし、登録を行ったうえで申請手続きを進めてください。

なお、申請に利用する書類は、各コースからExcel形式でダウンロードが可能です。
書類を準備したうえで人材開発支援助成金の申請手続きに進みましょう。
人材開発支援助成金はいつ支給される?
人材開発支援助成金は、研修がすべて終了し、必要書類をそろえて支給申請を行ったあとに支給されます。
目安としては、訓練修了日の翌日から2か月以内に申請し、書類審査を経て、申請から2〜4か月程度で指定口座に振り込まれるのが一般的です。不備や追加確認が入ると、さらに時間がかかる点に注意してください。
そのため人材開発支援助成金を利用したい企業は、助成金を前提にした資金計画ではなく、立て替えを想定して研修計画を立てる必要があります。
人材開発支援助成金はいつまで使える?

人材開発支援助成金は、原則として毎年度実施される制度ですが、コースごとに期限や内容の見直しがあります。
特に「人への投資促進コース」は令和4〜8年度の期間限定制度です。
その他のコースも、助成率や要件が年度ごとに変更されるため、恒久的に同条件で使えるわけではありません。
今後、人材開発支援助成金を利用する予定があるなら、「いつか使う」ではなく、最新年度の要綱をチェックし、研修計画を具体化することが重要です。
DX研修を人材開発支援助成金でお得に利用しよう

人材開発支援助成金を利用してDXを進めたいと考えていても、以下のような理由から、DX研修や人材育成を社内だけで完結できない企業も少なくありません。
- 社内に教えられる人がいない
- 研修体系をどう作ればいいかわからない
- 現場業務が忙しく、人材育成まで手が回らない
また、単発の研修を実施しても現場に定着せず、「受けただけ」で終わってしまった経験があるケースも多いでしょう。こうした課題を解決したい場合は、助成金の対象になりやすい研修サービスを活用するのがおすすめです。
たとえば、以下の研修サービスでは、ヒアリングをもとにその企業に最適な研修カリキュラムを構築したうえで、DXの基礎から活用、業務改善までを段階的に学べます。
人材開発支援助成金を利用しつつ、人材育成の研修から事業サポート研修までトータルで受けたい方は、ぜひ利用を検討してみてください。
人材開発支援助成金についてよくある質問
ここまで紹介してきた人材開発支援助成金について、よくある質問をFAQ形式で回答します。
人材開発支援助成金についてまとめ
人材開発支援助成金は、CAD・設計・DX研修と非常に相性の良い制度ですが、コース選択と計画書の書き方を間違えると、不支給になるリスクも高い助成金です。
特にDX研修やBIM研修は、「どのコースで申請するか」「研修目的をどう説明するか」で結果が大きく変わります。少しでも不安がある場合は、研修内容と人材開発支援助成金の要件をセットで整理できる研修サービスや専門家に早めに相談することが重要です。
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