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半導体とは?不足している理由や種類・仕組み・作り方をわかりやすく解説

産業界にとって重要な素材である「半導体」とはいったい何なのかと気になっている方もいるでしょう。結論として、半導体とは電子デバイス・機器を動かすために重要な材料です。

今回は、半導体の基礎知識について説明されているニュースを深掘りし、半導体とはなんなのか、市場の動向、仕組み、作り方について詳しく解説します。半導体とは生活にとって重要な材料ですので、ぜひ基礎知識を覚えてみてください。

半導体とは?

半導体とは何なのか

半導体とは、電気を良く通す「導体」、電気を通さない「絶縁体」という2つの性質の中間に位置する材料のことです。電気を制御して一定のスピードで通電できるようにするために用いられる素材であり、例えば次のような材料が半導体に該当します。

  • シリコン(Si)
  • ゲルマニウム(Ge)
  • セレン(Se)
  • ヒ素ガリウム(GaAs)
  • 炭化ケイ素(SiC)

それぞれ理科の授業で聞くような素材ですが、これらの半導体は「スマートフォン」「PC」「電気自動車の制御装置」といった電子デバイス・機器などに用いられています。

ネット環境や電子機器を利用する環境が整備されている現代では、半導体に利用が必要不可欠です。一般の人が目にする機会は少ないですが、電子機器の内部で重要な役割を担っています。

半導体の仕組みとは?

導体・絶縁体がONとOFFの切り替えしかできたいことに対し、半導体はトランジスタと呼ばれるデバイスと組み合わせることで、ON・OFFそして通電量の増減を調整できるのが特徴です。

参考として、半導体の仕組みの流れを以下にまとめました。

  1. 人間がデバイス等を操作する
  2. 信号が半導体やトランジスタの搭載されたICチップなどに送られる
  3. 操作されたときの強さを判断してデバイスを動かす

例えば、導体・絶縁体しかない自動車の場合、急加速・急停止しかできず事故が起こりやすくなります。一方で半導体を活用すれば「加速時は徐々にスピードを上げる」「停止時はゆっくりと停まる」といった動作が可能です。

つまりスマートフォンを快適に利用できること、自動車事故を起こさずに運転できることには半導体の力が役立っているのです。

半導体の作り方とは?

半導体は、かなり複雑な工程を経て製品へと生まれ変わります。
参考として、簡単に製造の流れを以下にまとめました。

  1. 半導体デバイスの回路パターンを設計する
  2. 半導体の素材を加工して回路パターンを専用機械で書き込む
  3. 回路パターンを書き込んだ素材を切り分けてチップを搭載する
  4. セラミック樹脂で製品を保護する
  5. 電圧テスト・検査を実施して半導体が完成する

半導体デバイスの種類によって少しずつ工程が変化しますが、一般的な流れは上記の通りです。
高額な専門機械が必要になることから、半導体受託製造を担う専門のメーカーなどでしか製造されていません。

もし半導体の製造でも利用される回路設計・パターン設計などに興味をお持ちなら、プログラミングの強化学習セミナーに参加するのがおすすめです。ゲーム制作や製造業の機械設計にも役立つ知識を学べます。

半導体の種類とは?

半導体の種類

ひと言で半導体といっても、実はさまざまな種類が提供されています。
簡単に説明すると、半導体の機能の集積度(量)によって3種類に分類されるのが一般的です。
参考として、代表的な半導体の概要をまとめました。

ディスクリート半導体とは

ディスクリート半導体とは、単一の機能に対応できる半導体のことです。
紹介する3種類のうち、もっとも集積度が低く設定されています。

形状としては、タコやイカのような見た目をしており、ダイオードやトランジスタといった名前でスマートフォン・PC・自動車などに多数導入されています。

集積回路(IC)とは

集積回路(IC)とは、複数の半導体の機能を集積した半導体のことです。
前述したディスクリート半導体と違い、1つで複数の機能に対応できます。

形状としては、虫のような見た目をしているのが特徴です。
特定の製品の機能に条件を付けて動かしたい場合などには回路を組んだ集積回路(IC)を導入します。

大規模集積回路(LSI)とは

大規模集積回路(LSI)とは、3種類の中でもっとも集積度が高く複雑な機能に対応できる半導体のことです。スマートフォンやパソコンのメインチップに搭載されており、四角形の見た目をしています。

電子デバイスはもちろん電子機器のほとんどに搭載されており、ストレスなく操作できることから私たちの生活を豊かにしてくれる便利な半導体だと言えます。

半導体需要の動向

さまざまな電子デバイス・機器に利用されている半導体ですが、半導体需要には波があるため年によって受託量・製造量が変化しやすいのが特徴です。例えば、下表に示す4つの半導体市場の推移を見てみると、次のような変化が起きています。

半導体市場の種類 半導体を用いる目的 市場の拡大状況
MEMS センサ MEMS センサとは、光・音・熱・動き・力などの情報を信号に変える技術のことであり、機械制御するために半導体を使用 拡大
MCU MCUとは、コントローラによる操作を信号に変える技術のことであり、細かい操作を調整して機械制御するために半導体を使用 拡大
画像センサ 画像センサとは、撮影した映像をもとに検査・計測を行う技術であり、読み取った信号の違い機械制御するために半導体を利用 縮小
ディスクリート半導体 ディスクリート半導体とは、単一目的のために使用される単一機能の制御に対応できる半導体のこと 拡大

全体的に拡大が進んでいる一方で、画像センサといった半導体の市場は拡大縮小が交互に続くような状況です。そういった需要が安定しない市場で注目されるようになったのが「半導体受託製造」という製造スタイルです。

半導体市場の動向を詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
半導体産業の変化について紹介しています。

半導体産業はどう変わる?SEMICON Japan 2023の注目ポイント

半導体受託製造に取り組む主要メーカー一覧

半導体の主要メーカー

半導体受託製造を行う主要メーカーを、半導体デバイスの種類ごとに整理しました。
「半導体とはどのようなメーカーが製造しているのだろう?」と疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。

半導体デバイスや用途の種類 概要 主要メーカーの例
ロジック ロジックとは、演算処理や制御を担う技術のことであり、半導体が必須の機器である ・Intel
・NVIDIA
メモリー メモリーとは、データの記憶保持のことであり、回路の電子制御のために半導体を利用する ・サムスン
・キオクシア
CMOSセンサー CMOSセンサーとは、感知した光を電気信号に変換する技術のことであり、画像の取り込みや信号処理のために半導体を利用する ・SONNY
・キヤノン
パワー半導体 パワー半導体とは、電力の制御や供給を行うデバイスのことであり、モーター制御・バッテリー充電に用いる ・東芝
・三菱電機
アナログ半導体 アナログ半導体とは、音・光・温度といったアナログな信号をデジタル信号に変換できる半導体のこと ・STマイクロエレクトロニクス
・ローム
車載 車載とは、自動車の動きを制御する技術のことであり、電気自動車等に半導体を用いる ・インフォニオン
・NXP
ファウンドリー ファウンドリーとは、半導体の製造に特化した企業のこと ・TSMC
・オムニビジョン

なかでも国内で話題を呼んでいるのが、熊本県で運営をスタートしているファウンドリーの「TSMC」です。TSMCの概要を知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。自動車メーカーの倒産が増えている理由や半導体企業の誘致について紹介しています。

自動車部品メーカーの倒産が過去最多!倒産の理由や国からの支援策

半導体が不足している原因とは?なぜ足りない?

世界中でさまざまざまな半導体メーカーが運営されているなか、近年では半導体不足により、製造業の生産数減少の問題が続いています。参考として、現状の世界情勢を踏まえて半導体が不足する原因をわかりやすくまとめました。

新型コロナウイルスのまん延

近年では落ち着いてきましたが、新型コロナウイルスのまん延により、世界中の貿易が鈍化したことが原因です。

日本では半導体の材料を用意できないため、海外からの供給に依存しています。
しかし、ウイルスまん延で貿易が難しくなったことで半導体の材料自体を輸入できません。
その結果、半導体不足に陥り、生産量の低下といった問題が起きているのです。

米国による対中制裁の影響

半導体の材料の輸出国として強い中国ですが、アメリカによる対中制裁が実施されました。
その結果、日本は中国から半導体の材料を輸入しづらい状況に置かれています。

また中国でも海外への輸出量を減らし、内需を優先対応するといった施策を実施している状況です。半導体を使う環境は揃っているけれど、利用するための材料を集められないという問題により、半導体不足に頭を悩ませる企業が増えています。

中には製造に対応できない影響で倒産するメーカーも増えていることから、世界情勢の問題を色濃く受けているポイントです。

ロシア・ウクライナ戦争の影響

現在も続いているロシア・ウクライナ戦争により、半導体不足が加速しています。

実はウクライナは半導体産業における世界有数の製造国であり、多くの半導体メーカーがウクライナに拠点を置いて活動していました。しかし、ロシアによるウクライナ進行によって、半導体産業が影響を受けて生産量が低下し、世界への輸出が難しい状況に置かれています。

ロシア・ウクライナ戦争が終結すること、そしてウクライナの復興が完了しない限り、半導体不足は今後も継続していくと予想されています。

半導体とは製造業にとって必要不可欠な材料である

半導体とは、私たちが普段から利用しているスマートフォンやPC、自動車などにも搭載されている電子制御に欠かせない材料です。

近年では半導体不足などに悩まされている企業なども増えていますが、日本にTSMCを誘致したことによって、徐々に改善が見込まれてきています。半導体産業は目まぐるしく変化している分野ですので、今後の動向からも目が離せません。

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