建築CAD検定は「一般社団法人全国建築CAD連盟」が実施している試験です。
日本で初めて誕生したCAD検定で、多くの方の受験実績があります。
今回は、「建築CAD検定2級」の概要や試験内容、合格率、合格のためにすべきことなどを詳しく紹介します。建築CAD検定2級の合格を目指している方はぜひ参考にしてみてください。
建築CAD検定とは
引用:建築CAD検定試験
建築CAD検定は1993年に誕生した、国内初の建築CADの民間資格試験です。
出題内容は主にCADソフトを使用して設計図面を作成する問題が出題されます。詳しくは後述しますが、暗記で解ける問題はなく、実践的な知識が身についているかを判断する問題です。試験は
- 準1級
- 2級
- 3級
- 4級
の4種類の級から成り、いずれかを受験することになります。
ただし、4級は高校生の団体受験のみ対応しているため、一般で受ける場合は準1級、2級、3級のいずれかを受験することになります。
また、建築CAD検定の試験会場が遠い場所には一定の条件で利用できる「社内受験」を活用することで、受験がしやすくなるでしょう。
申し込み方法
建築CAD検定の申し込みは、インターネットのみになります。
ホームページの説明を読み、「同意する」ボタンを押し、「一般受験申込みページ」から手続きができます。
ただし、建築CAD検定の申し込み期間が決められているため、その期間内に申し込みを行うことが重要です。
- 例:2023年8月 1日(火)~8月 18日(金)16:00
詳しくは、こちらのホームページリンクからご確認ください。
参照:一般社団法人全国建築CAD連盟 一般受験の申し込みについて
受験資格
受験資格には規定がありません。ただし、前述したとおり、4級は高校生の団体受験のみ対応しているため、準1級、2級、3級の中から選ぶことになります。
受験料
受験料は「準1級」と「2級・3級」で費用が異なります。
- 準1級:14,700円(税込)
- 2・3級:10,500円(税込)
ちなみに、2級・3級を同時にお申し込み(併願)する場合に限り、それぞれの級で2,100円分割引されます。その場合の受験料は、合計で16,800円となります。
建築CAD検定を実施している団体
建築CAD検定を実施している団体は「一般社団法人全国建築CAD連盟」です。
その他の団体が実施しているCAD検定もありますが、一般的にはこちらの団体が提供しているものを「CAD検定」と呼びます。
また、現在全国720校の建築系大学、職業訓練校、専門学校、工業高校、短大などの教育機関で建築CAD検定が実施されています。受験者数は年間10,000名以上の方が受験している資格であり、試験開始から30年目を迎えた総受験者数は15万名を超えているようです。(2022年現在)
参照元:建築CAD検定
受験方法
建築CAD検定は、CADソフトを使用して実際に建築図面を作成する実技的な試験です。
受験の際は、次の2つの方法を選択し、実技試験を行います。
- CADソフトをインストールした自分のパソコンを会場に持ち込んで受験する
- 試験会場に設置されたパソコンを使って試験を受験する
試験会場は毎年異なり、設置されているCADソフトも異なるという特徴があります。
そのため、試験会場に設置されたパソコンを使用した受験を希望する場合には、一般社団法人 全国建築CAD連盟の公式ホームページから使用CADソフトを確認し、申し込みを行いましょう。
また、慣れたソフトで試験を受けたい場合には、自身のパソコンにCADソフトを入れて持参した方が良いでしょう。
建築CAD検定2級の試験内容
ここまで、建築CAD検定の概要について紹介しました。
ここでは、建築CAD検定2級の試験内容や合格基準、難易度などについて解説しましょう。
試験時間
建築CAD検定2級は、5時間の実技試験で、建築一般図を2面作成する試験となっています。
自らの持つ建築知識をもとに、CADシステムを使って建築図面を作成する実力を備えていることが求められている試験です。2級は準1級、3級、4級の中では最も長い受験時間が設けられているため、集中して取り組むことが求められます。
合格基準
合格基準は、公式サイトで明確に記載されています。
- 「250点満点中、190点~200点を目安とする」
参照元:一般社団法人全国建築CAD連盟 一般受験の申し込みについて
つまり、絶対基準の試験であり、難易度の低い問題が出題された年度は合格しやすくなるということです。
難易度
一般社団法人全国建築CAD連盟の公式ホームページに記載されている統計資料によると、過去10年間の受験申込者数・過去の合格率の推移は次のとおりです。
合格率 | 受験者数 | |
2022年度 | 57.9% | 4,744 |
2021年度 | 60.3% | 4,358 |
2020年度 | 67.7% | 3,911 |
2019年度 | 58.6% | 4,185 |
2018年度 | 52.1% | 4,043 |
2017年度 | 51.7% | 3,382 |
2016年度 | 55.1% | 3,455 |
2015年度 | 55.7% | 3,143 |
2014年度 | 55.7% | 2,838 |
2013年度 | 55.1% | 2,335 |
2012年度 | 57.4% | 2,083 |
合格率の低い年度で51.7%、最も高い年で67.7%となっており、おおよそ57%程度が合格率の平均だといえます。
過去の試験内容
建築CAD検定2級の試験内容は、以下のページで紹介されています。
詳しくはこちらをご覧ください。
建築CAD検定2級合格のためにすべきこと
ここまで、建築CAD検定2級の概要について紹介しました。
では、合格するためにどのようなことをすべきでしょうか?
ここでは、合格の3つのポイントを紹介します。
建築CAD検定2級の合格ポイント1.CADの操作方法をマスターする
まずは、CADの使用方法をマスターしておくことが重要です。
限られた時間の中でまったくソフトに触れない状態だと、習得するまでに時間がかかってしまうためです。また、CADソフトの使用方法さえわかっていれば、そこまで難易度の高い試験ではありません。
自身のパソコンで受講する場合は、日本においてフリーで提供されている「Jw_cad」がおすすめです。実際に、多くの試験会場で用意されているCADソフトなので、こちらの使用方法を習得しておけば建築CAD試験の合格はそう難しくないでしょう。
建築CAD検定2級の合格ポイント2.過去問を何度も解く
過去問を解くことで問題の傾向が理解でき、合格率を高められます。実際に5時間の本番試験形式で受験してみると、自分がどの部分について理解していないのかが明確になります。
また、建築CAD検定においては過去5〜10年ほどの問題が似ている傾向にあります。
本番前の数週間で新しい問題の解答時間を設けておくと、より合格率を高められるはずです。
建築CAD検定2級の合格ポイント3.試験の際は図面に関する資料を持ち込む
建築CAD検定は、資料の持ち込みが許可されている検定試験です。そのため、過去に自分が解いた解答や図面を書く際に必要な手順書などを用意しておくと、いざというときに便利です。
特に、2級の問題形式はほとんど毎年同じパターンで出題されます。つまり、図面の書き方のパターンについて自分で資料を作成しておけば、大幅な時間短縮ができるということです。
ただし、デジタルデータは不可という制限が設けられているため、本番に資料を持ち込む際は印刷するなど手元に用意できる状態にしておきましょう。
建築CAD検定2級に合格した後のキャリアプラン
建築CAD検定2級に合格した場合、どのようなキャリアプランを進められるのでしょうか?
最後に、建築CAD検定が使える主なキャリアプランを4つ紹介します。
建築CAD検定合格後のキャリアプラン1.CADオペレーター
建築CAD検定2級を取得した人の中で最も多いキャリアプランは、建築業界でのCADオペレーターです。設計士や建築士が考案した計画をもとに制作されたデザインを図面化するのが仕事です。
設計士・建築士が指示した内容と、デザイナーがイメージする内容をその通りの図面に変換する能力が必要です。建築物は少しでも図面が異なると、設計ミスにつながるため、精密な仕事ができる人に向いている仕事となります。
建築CAD検定合格後のキャリアプラン2.インテリアデザイナー
インテリアデザイナーは、建築物の空間をデザインする仕事です。お客様からいただいた図面をもとにインテリアを配置していき、実際にどのような見た目になるかを提案します。
加えて、見た目だけではなく、快適に暮らせるようデザインする事も求められるため、図面に対する深い知識が必要になります。
また、CADの能力だけでなく3Dソフトを使用したり、部屋全体の色味に対してどういったデザインのインテリアを設置したりするかといったように、さまざまな知識が必要となる仕事です。
日本は高齢化によってリフォームの需要が高まっており、リフォームの際にインテリアも一新しようと考える方が多いため、今後、ますます需要が高まると予想されています。
建築CAD検定合格後のキャリアプラン3.CGデザイナー
CGデザイナーは、前述したインテリアデザイナーと協力し、建築物のイメージをより具体的なものに仕上げる仕事です。3DCGソフトを使用し、お客様がわかりやすい状態に仕上げて提示します。
3DCGソフトを使用する際の基礎的な考え方となるのがCADなので、CGデザイナーになる場合、CADの知識が必要不可欠です。
一昔前までインテリアデザイン・建築物のヴィジュアル化は、パネル等を貼り合わせて実物として仕上げていました。ところが、現在はよりリアルに表現できるCGの活用が期待されています。
また、昨今はメタバースなど新たな技術も普及していることから、今後ますますCGデザイナーの需要が高まると予想されます。
建築CAD検定合格後のキャリアプラン4.計士・建築士
設計士や建築士になる場合も、CADの知識が必要です。
建築士は国家資格で、主に建築業務を請け負います。街中にある学校、病院、ビル、ショッピングセンターなどの建物の設計図を作り、建築現場の作業員に指導するのが仕事内容です。
建築士になるには建築CAD検定2級以外にも別途資格が必要で、次のいずれかの資格を取得する必要があります。
- 二級建築士
- 一級建築士
- 木造建築士
二級建築士でも四年制大学卒業後試験を受ける、もしくは7年以上の実務経験を積むという非常に難易度の高い資格ですが、取得すれば大きくキャリアアップにつながるでしょう。
また、設計士は建築士の仕事内容を無資格で請け負う状態のことで、建設会社やハウスメーカーの設計業務に携われば「設計士」となります。ただし、設計士の業務では、下記の建築設計のみ可能という制限が設けられています。
- 100㎡未満の木造建築物
- 30㎡未満、高さ13mかつ軒高9m以下の建築物
建築CAD検定2級とは まとめ
建築CAD検定の概要や2級の情報、合格のためにすべきこと、今後のキャリアプランなどを紹介しました。建築CAD検定2級に合格すれば、今後のキャリアアップに役立つことが多いです。
難易度は50%強とそこまで難しい試験ではないので、資格取得のための学習を進めてみてはいかがでしょうか?
今回お伝えしたことが、建築CAD検定2級の合格を目指す方の参考になれば幸いです。