「Autodesk Fusionでモデルを作成する際、複雑な傾斜をつけたいけれど、どの機能を使えばいいのかわからない」と悩む方も多いでしょう。
Autodesk Fusionにはモデルの傾斜をつける方法として、様々な機能が備わっていますが特におすすめなのが「勾配」機能です。使いこなせれば複雑でリアルなモデルを作成することが可能です。
そこで本記事では、Autodesk Fusionの勾配の概要をはじめ、使用するメリットや使い方にいて画像付きで詳しく解説します。また、傾斜平面との違いについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
Autodesk Fusionにおける勾配とは?
Autodesk Fusionにおける「勾配」とは、モデルの特定の部分に傾斜を付ける機能を指し、設計において滑らかな形状や特定の角度を必要とする際に活用されます。
主に製造プロセスを考慮した設計や、流体力学を意識した形状作成などで重要に。勾配は、平面や曲面に対して設定でき、角度や方向を自由に調整することで、より正確な設計が可能になります。
また、後ほどメリットを詳しく解説しますが、傾斜をつけることで応力分散やモデル外観を整えることも可能です。
勾配のコマンド一覧
勾配におけるコマンド一覧は以下の表を参照ください。
コマンド名 | 概要 |
平面 | 基準として使用する平面または形状の面を指定 |
面 | 傾斜(テーパー)を加える対象となる面を選択 |
接面チェーン | 接線でつながっている面をまとめて選択するかどうかを設定 |
方向を反転 | 角度の適用方向を逆に切り替え |
角度 | 適用する角度の値を入力 |
方向 | 角度をつける方向を選択
|
勾配-両側 | 対称:両方向に等しい角度を設定 |
以下の記事では、Autodesk Fusionの使い方やコマンドについて詳しく解説していますので併せてご覧ください。
Autodesk Fusionの製品設計で勾配を用いるメリット
モデルの設計や製作において勾配を使用するメリットは以下の3点です。
- 製造の簡易化
- 機能性の向上
- 製品強度の向上
メリット①製造の簡易化
Autodesk Fusionの勾配機能を使用することで、製造プロセスが効率化されます。特に金型成形や射出成形では、パーツを金型から容易に取り外せるようにするためには勾配が必須です。
勾配を適切に設定することで、製造中のパーツが金型に引っかかり防げるため、生産性が向上します。また、勾配があることで、加工時に工具がスムーズに動作しやすくなり、加工時間やコストを削減も期待できるでしょう。
設計者は製造の現場に適したデータを効率よく作成できるのはメリットといえます。
メリット②機能性の向上
勾配を設計に取り入れることで、製品の機能性を向上させることができます。
例えば、流体や空気の流れを最適化するデザインを作成する場合、勾配は抵抗を最小限に抑えることができるため、流れを促進。勾配によって製品の形状を滑らかにすることで、接触面の摩擦を減らし、製品や部品の寿命を延ばすことも可能です。
Autodesk Fusionでは、調整を細かく行えるため、製品の性能を追求したデザインが簡単にできるのです。勾配を活用すれば、機能性とデザイン性を両立した設計が効率よく行えます。
メリット③製品強度の向上
勾配を設計に取り入れることで、製品の強度を向上させる効果もあります。急激な角度変化やエッジがある設計は、応力が一点に集中しやすく破損のリスクが高まりますが、勾配をつけることで応力が分散され、構造全体の耐久性が向上するのです。
また、勾配を利用して厚さを徐々に変化させることで、軽量化と強度のバランスを調整することも可能です。勾配を上手く使いこなせれば、強度とデザインを両立した形状を作り上げることができるでしょう。
Autodesk Fusionの勾配機能の使い方
ここからは実際にAutodesk Fusionの勾配機能を画像付きで解説していきます。まずは下記の直方体を用意してください。
まずは画面上部にある「修正」をクリックし、「勾配」を選択してください。
すると、画面右に勾配の傾斜や面など様々な調整ができるボックスが出てきます。ここで勾配について選択していきます。
まずは抜き方向です。抜き方向とは、「どの方向に勾配をさせるのか」を選択します。選択する面を勾配させるわけではないことを覚えておきましょう。ここでは、抜き方向で上の面を選択します。
次に面を選択します。ここでの面は実際に勾配をさせる面です。例えば、前面を選択していきます。すると角度を調節できる円が表示されますので、手動または角度を入力して勾配をつけていきます。
実際に勾配をさせた図形は以下のようになります。
勾配は難しい機能ではありませんので、自身で角度を調節しながら作成していきましょう。
勾配解析の使い方
ここで勾配機能を使用する際に覚えておきたい機能「勾配解析」について紹介します。勾配解析とは、画面上部にある「検査」から選択でき、選択したボディのカラーグラデーションを表示して、デザインの製造可能性を評価する機能です。
実際に勾配解析を選択すると、ダイアログボックスが表示されます。
実際にボディと方向を選択すると、以下のように勾配している面が緑、側面が赤に表示されます。
この緑と赤が意味するものは以下のとおりです。
- 緑:勾配角度の範囲外(プラス側)
- 赤:勾配角度の範囲内
詳しく説明すると、先ほどのダイアログボックスで勾配角度が「-2,0~2.0」に選択されていますが、赤はこれらの値の間にあることを示し、緑は高い値以上であることを示しているのです。
つまり、モデルのパーツと金型の間に適切な勾配があるかどうかを評価するものが勾配解析なのです。
Autodesk Fusionの勾配と傾斜平面の違い
Autodesk Fusionでモデルを作成する際にモデルの角度をつけるには勾配以外に傾斜平面というものがあります。この2つの機能は混同される方も多いですが、明確な違いは主体のモデルに対して角度を変化させることができるかどうかです。
実際に傾斜平面を用いて、作成したモデルは以下のようになります。
初めに作成したモデルに対して、傾斜をつけた新しいモデルを作成するのが傾斜平面です。一方で、勾配をモデルそのものに傾斜をつける機能なのです。
傾斜平面について詳しく知りたいという方は以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
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受講形式 | 会場/ライブウェビナー/eラーニング |
受講費用 |
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受講到達目標 | 【1日目】
【2日目】
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持ち物 | 特になし(筆記用具程度) |
会場住所 |
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Autodesk Fusionの勾配におけるよくある質問
ここではAutodesk Fusionの勾配におけるよくある質問についてまとめています。
Autodesk Fusionの勾配についてのまとめ
本記事では、Autodesk Fusionの勾配についての使い方や傾斜平面との違いについてなど解説しました。勾配は使いこなすことができれば、様々な形状のモデルを作成できるため、製品設計の幅が大きく広がります。
ただし、製品によっては勾配よりも傾斜平面や回転コマンドを使用する方が良い場合もあります。ぜひ、本記事を参考に傾斜平面を使いこなしてみてください。
