「Autodesk Fusion」で3D設計を始めたものの、部品同士の動きや連携を上手く再現できないと悩む方も多いでしょう。そんな時に活用したいのが「ジョイント」機能です。
ジョイントは、部品やコンポーネント同士を連結し、現実の動きを再現するために欠かせない機能です。
本記事では、Autodesk Fusionにおけるジョイントの基本操作と、さまざまなモーションタイプについて詳しく解説していきます。複雑な設計においても動作や機能を具体的に可視化できるため、ジョイント機能を覚えておきましょう。
ジョイントとは?
Autodesk Fusionのジョイントとは、コンポーネント同士の動作を設定するコマンドです。ジョイントを活用できれば、モデルを軸に回転させるなど実際の製品と同様の動作を再現することが可能です。
例えば、機械の回転軸や引き出しのスライドといった動きをリアルに再現することができます。ジョイントを使うことで、設計の精度やリアリティが向上し、完成品の動作イメージを明確にしやすくなります。
位置固定とは機能が異なる?
ジョイントには類似機能に「位置固定」がありますが、基本的に機能は同じです。
強いて言うならば、使い分けとしては以下のようなイメージです。
| 位置固定 | 部品同士が結合している |
| ジョイント | 部品同士が離れている |
大きく異なるコマンドではないため、上記のようなそれぞれの役割だけを覚えておきましょう。
Autodesk Fusionにおけるジョイントの基本操作

まずはジョイントの基本操作について解説します。ジョイント行うには以下の手順に沿ってください。
- コンポーネント
- ジョイント
今回は円柱と直方体を作成して、基本的なジョイントについて紹介します。

初めにこれらの部品をコンポーネント化していきます。ブラウザからボディ1を選択して、右クリック→「ボディからコンポーネントを作成」をクリックします。同じようにボディ2もコンポーネント化していきます。


ここから実際に「ジョイント」を行っていきます。ジョイントは「アセンブリ」→「ジョイント」で選択できます。

今回は直方体と円柱を繋げる(剛性)を行っていきます。まずは直方体を選択しますが、この際どの面を円柱に接合させるか選びます。今回は直方体の上の面を選択。

次に円柱のどの部分と繋げるかを選択します。今回は円柱の上の面を選択。すると、直方体と円柱を繋げることができました。

今回は剛性を使用しましたが、ダイアログボックスには7種類のタイプが選べるようになっています。

それぞれの機能の解説については次の項で解説していますので、ご覧ください。
また、以下の記事ではAutodesk Fusionの基本操作について解説していますので併せてご覧ください。
Autodesk Fusionにおける7つのジョイントを紹介
Autodesk Fusionにおける7つのジョイントについて紹介します。7つの特徴は以下の表を参照ください。
| タイプ | 概要 |
| 剛性 | 部品を繋げる |
| 回転 | 指定した軸で回転 |
| スライド | 部品をスライドさせて移動 |
| 円柱状 | 円筒を回転&スライドさせる |
| ピンスロット | 1軸移動して回転 |
| 平面 | 回転しながら2軸の移動 |
| ボール | 回転させたい球の中心と、ベースの中心を選択し回転 |
①剛性
剛性は先述した通り部品と部品同士を繋ぎ合わせる際に使用します。動きがなく、部品が完全に結合されているため、機構内で移動や回転は発生しません。フレームや支持構造の固定に適しています。
②回転
部品が特定の軸を中心に回転するジョイントです。例えば、ドアのヒンジや車輪の回転など、軸を中心とした回転運動を再現できます。
③スライド
直線方向へのスライド(平行移動)を可能にするジョイントです。引き出しやシャフトの動きなど、一直線の移動が必要な場面に適しています。
スライドをする際はZ軸になっていますが、Z軸に設定すると部品同士が上下にスライドするため、面にはってスライドさせたい場合はX軸またはY軸を選択します。
④円柱状
回転とスライドの両方を組み合わせたジョイントです。シャフトが回転しながらスライドする動きや、ボルトが回転しながら締め付けられるような場面で活用されます。
⑤ピンスロット
回転と一方向のスライドが組み合わされたジョイントです。選ぶ箇所が多く、回転軸を2箇所選んだ後に、スライド時の回転と移動の方向を指定しなければいけません。
⑥平面
平面上でのスライドと回転が可能なジョイントです。2D平面上での自由な動きが必要な場合に使用され、たとえばロボットアームのベース部分が平面上で移動する際に適しています。
⑦ボール
ボールジョイントは、3D空間での自由な回転を可能にするジョイントです。球体の中心を支点にして任意の方向へ動かすことができるため、人間の肩やカメラのジンバルのような多方向の動きを再現する際に適しています。
ジョイントを使用するメリット

ジョイントを使用するメリットは以下の3つです。
- アセンブリの設計効率化
- 柔軟性の向上
- エラーの早期発見
アセンブリの設計効率化
ジョイントを使用することで、部品の位置合わせや動作の再現が簡単にできるため、設計効率が大幅に向上します。
ジョイントによって部品同士を連結できれば、回転やスライドなどの動作をシミュレーションできるため、組み立てや動作確認が簡単です。つまり製品を作成して、動作確認などの試験をする手間が省けるのです。
また、手作業で位置を調整する必要がなくなり設計工程の時間短縮に繋がります。動作範囲などを設定することで、複雑な構造もスムーズに配置でき、アセンブリ全体の効率を上げる効果が得られます。
柔軟性の向上
ジョイントはさまざまな動作タイプ(剛性や回転、スライドなど)に対応しており、実際のメカニズムに合わせた設計が可能なため、設計の柔軟性が向上します。部品ごとに異なる動作を設定できるため、回転、スライドなど複雑なシステムの連動を簡単に再現でき、設計の自由度が高まります。
また、部品やパーツの動きをリアルタイムで確認しながら調整が可能なため、変更や修正がスムーズに行えます。
エラーの早期発見
ジョイントを活用することで部品同士の干渉や不適切な動作を事前に発見できるため、エラーを早期に発見し対処することが可能です。設計段階で正確な動作シミュレーションができるため、組み立て時の問題や機能不良を防ぐことができ、後工程での修正の手間を減少できます。
また、シミュレーションにより耐久性や動作範囲の限界も確認できるため、製品の品質向上も期待できるでしょう。完成品のトラブルを減らせるのはメリットと言えるでしょう。
ジョイントを学ぶなら「Autodesk Fusionセミナー講習」
ジョイントは習得できれば便利な機能ですが、初心者の方がいきなり使いこなすのは難しいものです。そこでおすすめするのはGETT Proskillが運営する「Autodesk Fusionセミナー講習」です。
Autodesk Fusionセミナー講習は未経験でも2日間で実務レベルまでスキルが向上が期待できます。また、受講形式は会場/ライブウェビナー/eラーニングと選べるため、自分に合った受講形態でどこに住んでいても受講が可能。
受講後は本セミナーのオリジナル教材「Autodesk Fusion完全攻略セミナーガイド」が配布されるため、受講期間の復習はもちろん、参考書として活用できます。
| 受講形式 | 会場/ライブウェビナー/eラーニング |
| 料金 | 会場/ライブウェビナー:58,300円 eラーニング:41,800円 |
| カリキュラム | 【1日目】
【2日目】
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| 持ち物 | 特になし(筆記用具程度) |
| 会場住所 |
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Autodesk Fusionのジョイントでよくある質問

ここではAutodesk Fusionのジョイントでよくある質問についてまとめています。
[アセンブリ]パネルで[接触セットを無効化]し、既存の接触セットを無効にする。次に[有効化]を選択し、ブラウザの[接触セット]項目から[新規接触セット]を設定してジョイント動作を確認してみてください。
Autodesk Fusionにおけるジョイントについてのまとめ
Autodesk Fusionのジョイント機能は、3D設計における部品の動作再現や動作確認で役立つ機能です。7種類のジョイントタイプを理解し使いこなせれば、設計の効率や精度が向上し、エラーの早期発見にも繋がります。
また、独学でも習得は可能ですが、初心者には「Autodesk Fusionセミナー講習」などのセミナーを利用することでスムーズに実務レベルへとスキルアップできます。本記事を参考にジョイント機能を積極的に活用しましょう。