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【2025】Autodesk Fusion×AIの活用法!ジェネレーティブデザインの使い方や事例を紹介

Autodesk  Fusionで発生している手動でのモデリングに負担を感じていないでしょうか。
もしAIを活用して自動化をしたいなら、Autodesk Fusionに搭載されているAI機能を活用するのがおすすめです。

そこでこの記事ではAutodesk Fusion×AIを組み合わせる使い方やメリット・デメリットをわかりやすくまとめました。ジェネレーティブデザイン機能やAIアドインなどを活用し、設計業務を効率化する参考にしてみてください。

Autodesk FusionのAI機能とは?機能一覧も紹介

Autodesk Fusionには、AIを活用して設計効率を高める次のような便利機能が搭載されています。

  • パターンを提案する「ジェネレーティブデザイン」
  • 指示に合わせて自動化する「自動モデリング」
  • 構造解析やシミュレーションを効率化する「クラウド解析AI」
  • Autodesk FusionのAI機能を拡張できる「AIアドイン」

単にAIで業務を「自動化」するのではなく、最適な設計案をまとめて複数提案してくれる便利な機能です。検討のサポートのほか、人力での対応に莫大な時間がかかる作業を短縮できるのがAI機能の強みです。

本記事では、複数あるAI機能のなかでもソフト内に搭載されている「ジェネレーティブデザイン」をメインに解説します。

生成AIとAutodesk FusionのAI(ジェネレーティブデザイン)の違い

AIと言えば、よくChatGPTやGeminiといった生成AIをイメージする人もいますが、Autodesk FusionのAI機能とは役割が違います。以下に2つの違いを整理しました。

生成AI ジェネレーティブデザイン
主な仕組み 過去のデータや学習モデルを基に新しい形状・コンセプトを提案 「荷重条件」「保持ジオメトリ」「素材」「製造方法」などを入力し、それに基づいて最適化
役割 テキストや画像生成と同じ仕組みで、AIが大量の設計パターンやモデリング案を生成する技術 Autodesk Fusionに標準搭載されている設計手法。条件を入力するとAIが最適化された形状を複数生成

つまり、生成AIは「設計分野だけに縛られない広義のAI」、そしてAutodesk FusionのジェネレーティブデザインといったAI機能は「設計条件にもとづく最適化」という位置づけになります。

なおAutodesk Fusionは、Pythonといったプログラミング言語を用いたカスタマイズに対応しています。Pythonのプログラミングコードを生成AIから出力可能であるため、ジェネレーティブデザインといったAI機能だけではなく、生成AIも活用できると覚えておきましょう。

Autodesk FusionとAIを組み合わせるメリット

Autodesk FusionとAI機能を組み合わせれば、人力で作業していたころと比べて大幅な業務改善を期待できます。ここでは代表的なメリットを解説します。

  • 設計時間の短縮
  • 多様な設計案を自動生成

設計時間の短縮

Autodesk FusionのAI機能を活用すれば、従来、人の手で数日〜数週間かかっていた「モデリング~検証~修正」までのループ作業を削減できるようになります。

たとえば、ジェネレーティブデザインの画面上で、設計条件等を入力してAIに指示を出せば、クラウド上で解析と設計案の生成を自動で行ってくれるのが魅力です。短期間で複数案を比較できるため、開発スピードの向上を期待できます。

またAutodesk Fusionを使ううえで欠かせないのが、基本的なモデリングの知識です。
詳しくは以下の記事をご参照ください。

【2025】Autodesk Fusionの簡単なモデリング方法をわかりやすく解説!

多様な設計案を自動生成

Autodesk FusionのAI機能の例
出典:Autodesk公式サイト

Autodesk FusionのAI機能を活用すれば、自身がつくった試作デザインや条件を与えるだけで、AIが数十~数百の設計パターンを提案してくれるようになります。

人間では発想しにくい複雑形状や軽量化構造の検討にも便利です。
特に設計業務では報告書内でも3案以上の比較が求められるため、より良いデザインアイデアを生み出したい場合に役立ちます。

Autodesk FusionとAIを組み合わせるデメリット

Autodesk FusionとAIを活用することで得られるメリットは多くありますが、いくつか制約や注意点があることに気を付けなければなりません。Autodesk Fusionを導入する際には、以下のデメリットを理解しておきましょう。

  • 無料プランの制約や追加コストあり
  • 高度な活用には学習が必要

無料プランの制約や追加コストあり

クラウドクレジット

Autodesk FusionのAI機能のなかでもジェネレーティブデザインは、教育ライセンスなどの無料プランに制約がかかっています。無料体験版なら一時的に利用できますが、継続的に使うにはサブスクリプション契約が必須になると覚えておきましょう。

なお生成をする際には、クラウドクレジットがかかります。
クレジットには上限があるため、何度もAIを使う場合には追加料金が必要になるケースもあります。

高度な活用には学習が必要

Autodesk FusionのAI機能を使えば自動で設計案を出せますが、出力されたデータの判別や選定に専門的な知識が欠かせません。

AI機能で生成された設計案は完成品ではなく、最終判断・評価を設計者が行う必要があります。
なかには、基準を満たしていない設計案が出力されるケースもあるため、荷重条件や製造プロセスの理解が重要です。

Autodesk FusionとAIの実践的な使い方(設計案生成)

設計案の準備

Autodesk FusionでAIを活用したいという方向けに、設計案を生成するAI機能の使い方をまとめました。

まずは上画像のように、ベースとなる設計デザインを準備しましょう。
続いてツール画面を「ジェネレーティブデザイン」に変えたら、AIに出力してもらうための設計条件として、以下の項目を設定していきます。

設計条件の設定

デザインしたい範囲を決める「デザインスペース」の設定のほか、耐力や構造の条件を決める「荷重と拘束」、またデザインをするための基準位置・面を決める「デザイン基準」を設定しなければ、AI機能を使えません。

ここまでの設定を終えたら、「生成」という項目を選択します。

生成の準備

生成したいモデルにチェックを入れたら、最後に右下にある生成をクリックします。
(生成にはクラウドクレジットが必要です)

あとはクラウド上でデザイン案が生成されるのを待つだけとなります。
準備に時間はかかるものの、ひとつずつデザインを用意するよりも効率的ですので、クラウドクレジットを購入したうえでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

Autodesk FusionでおすすめのAIアドイン一覧

Autodesk Fusionには、ジェネレーティブデザイン以外にも役立つAI機能が豊富に搭載されています。そのなかでも業務活用しやすいのがAIアドインです。

AIアドインとは、拡張機能を導入する仕組みのことであり、高品質なAI機能を手早く利用できます。以下に、AI関連のアドインを一覧にまとめました。

AIアドイン 料金(税込) 概要
Autodesk Fusion for Design
年額316,800円 ・デザイン機能が拡張
・インテリジェントなモデリングに対応可能
Fusion Simulation Extension 年額212,300円 ・パーツ性能や製造可能性の解析機能を強化
・構造、熱、陽解法、射出成形といったシミュレーションパターンに対応

それぞれAutodesk公式から出ているAIアドインです。
既存のAutodesk Fusionでは対応できない作業がある場合にはAIアドインの導入も検討してみてください。

より詳しくAutodesk Fusionのアドインについて知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

【2025】Autodesk FusionのAPIとは?自動モデリング・アドイン開発・生成AI活用を解説

Autodesk FusionとAIの活用事例(製造・建築・航空)

Autodesk FusionのAI活用アイデア

Autodesk FusionとAIを組み合わせれば、設計効率化はもちろん、業界ごとにユニークな活用が可能です。ここでは、実際の現場で応用できる活用例を紹介します。

活用分野 活用方法 期待できる効果
製品設計 ・強度を維持しつつ材料を最適化する
・軽量化デザインを自動生成する
材料コスト削減や開発スピード向上につながる
建築分野 ・窓配置や構造材配置を最適化する
・省エネ効率の高い設計案を生成する
省エネ基準に適合させつつ、断熱性能の向上や環境負荷の低減を実現できる
航空・船舶分野 ・荷重条件を反映した軽量化を実現する
・高耐久性を持つ設計デザインを生成する
燃費効率の改善のほか、ライフサイクルコストを抑えられる製品を生み出せる
中小企業全般 ・AI設計+3Dプリントで試作回数を削減する(金型デザインなど) 試作コストを削減し、少量多品種の製造に対応できる

また、Autodesk Fusionの事例として、長岡技術科学大学では、製品を導入し、AIを活用したジェネレーティブデザインの設計演習授業を開始しました。CAD・CAM・CAEを統合的に学べる環境を整備し、学生が条件を設定してAIが生成する複数案を比較検討する力を養っています。

(出典:Autodesk公式サイト

このように、Autodesk FusionのAI機能は、ものづくりを加速するだけでなく、そこにかかるリソースや費用負担を抑えられるのが魅力です。「より良いデザインを生み出す」「複数案を比較する」という部分に役立つため、ぜひAI機能を活用してみてください。

また、AI機能に合わせてAutodesk Fusionの基本操作や実践的な使い方を学びたい方は、以下のセミナー講習がおすすめです。

セミナー名Autodesk Fusionセミナー講習
運営元GETT Proskill(ゲット プロスキル)
価格(税込)41,800円〜
開催期間2日間
受講形式対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング

Autodesk FusionとAIについてよくある質問

Autodesk FusionのAI機能とは?
Autodesk Fusionには、AIを活用した「ジェネレーティブデザイン」や「自動モデリング」機能があります。設計者が荷重条件や素材を入力するだけで、AIが最適な形状を自動生成されるというものです。初心者から研究開発者まで幅広く利用されています。
Autodesk Fusionを無料で使えるのはいつまで?
Autodesk Fusionは、学生・教育機関向けには無料ライセンスが提供されています。また、30日間の無料体験版も準備されています。長期的な利用であれば有料での契約が必要ですが、特定の条件下であれば無料での利用が可能です。
Autodesk Fusionの無料版と有料版の違いは?
無料版は、商用利用や高度な拡張機能が制限されている一方、有料版では、AIを活用したジェネレーティブデザインやシミュレーション拡張などが利用可能です。なお、無料版は非商用利用であるため、企業は有料版のみが選択肢となります。
Autodesk Fusionのジェネレーティブデザインはいくら?
Autodesk Fusion自体にジェネレーティブデザインの機能は含まれていますが、クラウドクレジットが必要です。また「Fusion Simulation Extension(旧Generative Design Extension)」という有料拡張機能を利用する際には、年額212,300円がかかります。

Autodesk FusionとAIについてまとめ

Autodesk Fusionは、ジェネレーティブデザインといったAI機能を組み合わせることで、従来の「人による設計プロセス」を大幅に効率化できます。特に「設計時間の短縮」「多様な設計案の自動生成」といったメリットは、製造設計の業務改善に直結します。

一方で、無料版では利用できる機能に制限があるため、実務的に活用したい場合は有料版や拡張機能の導入を検討すべきです。

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