CADツールを使用する場合、AutoCADとInventorのどちらかを選ばなければならないこともあります。ただ、具体的な違いがわからないため、どちらを選べば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで今回はAutoCADとInventorの違いを比較しながら解説していきます。
AutoCADとInventorの共通点
AutoCADとInventorはいずれも、「Autodesk社」によって製造されたソフトウェアです。そして、いずれも2Dと3D両方の製図をすることが可能です。また、製図に関する基本的な操作内容はほとんどが共通しています。
そのため、AutoCADからinventorに移行・あるいはその逆を行ったとしても、一から使い方を学ぶ必要はないのが大きな共通点です。
Inventorについて知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
AutoCADとInventorの基本的な違い

AutoCADは、汎用性の高い製図用のソフトで、建築や土木など幅広い分野で活用することができます。そして、2Dと3Dの両方の製図が可能です。2Dでの製図の発展として、3Dが行えるようになっている形です。また、バリエーションが豊富であるという強みを持ち、建築や機械など、特定の分野のツールセットがオプションで用意されています。そのツールセットを活用すれば、効率的に製図が可能となります。
それに対してInventorは、機械設計に特化しているのが特徴です。AutoCADのように、建築や土木などの分野で使用することは想定されていません。また、製図以外の機能も豊富で、機械設計を全面的にサポートできるようになっています。AutoCADには、AutoCAD Mechanicalという機械設計に特化したツールもありますが、あくまでも製図のみを行うツールです。したがって、Inventorほど機能は多くありません。
最初に世に出たのはAutoCADで、その中から機械設計に特化したものとしてInventorが作られたという経緯があります。
AutoCADとInventorの機能の違い
AutoCADとInventorは、使用する拡張子の種類が異なります。AutoCADでは作成した図面は全てDWG形式で保存するのが基本となり、InventorでもDWG形式は使用しますがその他にもIPTやIAMといった拡張子も用います。
DWGを使用するのは2Dで製図を行った場合のみです。3Dでパーツモデルを作った際にはIPT、3DアセンブリモデルはIAMという風に、どういった図面を扱うのかによって拡張子を使い分けます。
また、Inventorは、機械設計に特化しているということで、機械製図の基本的なレイアウトが、少ない手順で作れるようになっています。AutoCADでも、同様のレイアウトを作ることは不可能ではありません。しかし、手順や、使用するコマンドの数がInventorよりも多くなってしまいます。
InventorにできてAutoCADにできないこと
Inventorは、AutoCADと比較すると、搭載されている機能が豊富です。そして、AutoCADではできなくても、Inventorであればできることは数多くあります。その中でも代表的なのは、ダイナミックシミュレーション機能です。
Inventorでは、設計した機械が、実際にどのようにして動くのかを、コンピュータ内で確認することが可能です。その際には、荷重や加速度など、細かく条件を設定することができます。シミュレーション結果はグラフなどで可視化でき、CAEとして活用可能です。
また、アセンブリという概念も、Inventor側にのみある機能です。AutoCADもInventorも、機械設計のパーツを作れる点は共通です。そのパーツを複数作って組み合わせたものは、AutoCADでは新しいひとつのパーツとして扱います。
それに対してInventorでは、複数のパーツを組み合わせたものを、ひとつのアセンプリという別の単位として扱うことができます。そして、動きを伴うアセンプリであれば、そのままシミュレーションにも使うことが可能です。さらに、アセンブリの一部を加工した場合、その加工記録を残しておけます。もし、加工が間違いであれば、遡って加工をしなかった状態にできます。
AutoCADとInventorの価格差の違い
AutoCADとInventorはいずれも、買い切り型ではなく、定期購入をする形です。そして、それぞれ1ヶ月と1年・3年という、3通りの期間から選択することが可能です。また、どちらも契約期間が長い方が、1ヶ月当たりの料金が安くなる点は共通しています。
AutoCADは、1ヶ月契約で9,900円、1年契約が74,800円、3年契約が224,400円です。それに対してinventorは、1ヶ月契約は50,600円、1年契約が407,000円、3年契約は1,219,900円です。どの契約期間であってもinventorの価格はAutoCADのおよそ5倍ほど高価となっています。
AutoCADには、Mechanicalツールセットなど、特殊なツールセットを7つ含んだAutoCAD Plusもありますが、その料金は1ヶ月契約で29,700円、1年契約が240,900円、3年契約は722,700円です。オプション込みの料金でも、Inventorを上回ることはありません。
AutoCADのライセンス購入の際は、以下ボタンより公式サイトで見積もりをすると購入可能です。
AutoCADとInventorの使い分け方
実はAutoCADよりもInventorの方が機能は多いです。そして、設計からシミュレーションに至るまで、ひと通りの流れをひとつのソフトで完結させたいのであれば、Inventorを使用すると良いでしょう。ただ、Inventorは機能が豊富な分、価格が高めに設定されています。したがって、製図だけを行うのであれば、支払うコストが無駄になる恐れがあるので、AutoCADを選んだ方が無難でしょう。
また、Inventorは、あくまでも機械設計のみに特化したソフトです。そのため、機械設計以外の分野では、強みである効率の良い製図を活かすことができません。幅広い分野での製図を行う場合には、AutoCADを選択しましょう。さらに、通常は汎用性の高いAutoCADを使用して、すぐに機械設計の製図をしなければならない場合にはinventorを使用するという風に、使い分けることも可能です。AutoCADの図面をInventorでそのまま使えるので、2DモデルはAutoCADで作成し、機械部品としての仕上げはInventorで行うというのは、よくあることです。
AutoCADの図面データをInventorで使用する方法

AutoCADで作成した図面データをinventorで使用する場合、まずはAutoCAD側で、標準のDWG形式のファイルを保存しておきます。そして、inventorを立ち上げ、ファイルタブの中にある「DWGをインポート」を選択します。その後、保存しておいた図面ファイルを選択し、DWG/DXFファイルウィザードへと進みます。AutoCADの図面データを元に、inventorで新しく図面を作るのであれば、新規作成を選択します。図面データを元にしてスケッチを作る場合は、インポートを選択する必要があります。
どのような形で取り込むかを決めたら、次はオプションを設定していきます。3Dソリッドの指定や、スケッチ拘束など、必要なオプションにチェックを入れます。また、単位の指定も忘れてはいけません。
図面が複数のレイヤーで構成されている場合は、DWG/DXFファイルウィザードで、取り込むレイヤーを絞り込むことができます。チェックが付いているレイヤーのみが、inventor側に取り込まれます。さらに、エンティティが複数ある場合、DWG/DXFファイルウィザードの段階で削除が可能です。元のデータに影響を及ぼすことなく、削除したエンティティを取り除いた状態で、残りのエンティティが取り込まれる形です。そのオプション設定が完了したら、inventor側に図面がそのまま取り込まれているでしょう。
また、スケッチの素材としてAutoCADのデータを使用する場合、手軽にインポートをするという手もあります。
inventorのリボンメニューにある「ACAD」を選択し、保存しておいた図面ファイルを指定すると、レイヤーの指定やオプション設定などを行った上で、取り込むことができます。
Inventorについて学べる無料オンラインセミナー
ここまでAutoCADとInventorの違いを紹介してきましたが、「実際の画面を見ながらInventorの特徴を確認したい」「本当に自社の業務に合っているか判断したい」という方におすすめなのが、Autodesk Inventor無料オンラインセミナーです。
こちらのセミナーでは、Inventorの基本機能、Inventorで実現可能なことは何か、どのような使い方ができるのかなど、初心者にもわかりやすく解説されますので、どなたでも気軽にご参加いただけます。
AutoCADとInventorの比較についてまとめ
AutoCADとinventorには、それぞれ異なる強みがあります。そして、どちらかのみを使用しなければならない、というわけではありません。いずれもAutodesk社製品であり、互換性があるため、併用可能です。したがって、目的や状況に応じて、使い分けると良いでしょう。