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3Dモデリングに初挑戦!イラストレーターが1からモデリングしてアクセサリーを作ってみた(後編)

女性イラストレーターの山中玲奈さんに、Fusion 360を使ったアクセサリー作りにチャレンジしてもらう本企画。前編では、2Dのデザイン案をもとに、Fusion 360を使って3Dモデリングをおこない、テスト出力するところまでを紹介しました。今回は、3Dデータの最終調整から完成までの模様をお送りします。

テスト出力をもとに、モモンガの形状を再調整

1回目のテスト出力が完了してから数日後、場所を変えてテスト出力をもとに3Dデータを再調整します。削り出したことで、モモンガの体の厚みが薄く均一で、デザイン案で想定していた筋肉や骨格をうまく表現できていないことがわかり、それらの調整を行います。調整後は改めてテスト出力し確認。微細な凹凸も調整できたことで、イメージ通りの仕上がりとなりました。

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1回目のテスト出力。全体的に薄くなっている

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Fusion 360を立ち上げ、前回のデータを画面に読み込ませる

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調整したい面を選択し矢印をドラッグすることで凹凸をつけていく。前回のモデリングで基本的な操作方法を把握し、調整作業もスムーズに進む

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背中の丸まり具合や、面がきれいにつながっているかを確認するための「ゼブラ解析機能」で、バランスを整えていく

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全体的な大きさや目や耳の位置も微調整し、テスト出力にかける

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今回(黒)、前回(緑)のテスト出力したものを比較。全体の大きさを15%ほど小さくし、コンパクトに仕上げた

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今回(黒)、厚みを増やせたことでよりデザイン案に近い仕上がりとなった。山中さんも「モモンガらしさが増した!」と喜ぶ

モモンガの表面の毛並みを表現する

最後に、背部にくぼみをつけて毛並みを表現していきます。くぼみをつける場合は、くぼみの形をした3Dデータを作成し、本体のくぼませたい箇所に設置して切り取ります。今回は、カプセル型の3Dデータを作成して背部の各所に設置し切り取っていきます。

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カプセル上のデータをモデリングし、モモンガの背面部に設置していく

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背面部の片側に設置したら、ミラーリング機能を使って、反対側にも同様のくぼみをつけていく

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こちらが完成のデータ

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レンダリングし仕上がりを確認。完成度が高く、試しに山の風景を重ねてみた妙な完成度に関係者から笑い声があがる

完成したデータをもとに、3Dプリントサービス「3Dayプリンター」に依頼。納期は1週間ほどで、素材はシルバーを使用し、周りは18Kの金メッキを施してもらうようにしました。費用も5万円とそれなりに発生するものの、世界に一つしかない自分だけのアクセサリーを作ることができます。

紐やしっぽをつけてアクセサリーが完成

1週間後、3Dプリントされたモモンガが届きました。開けてみると、かなりの完成度に満足そうな表情を浮かべます。背部のけなみや、腹部の隆起されている様子だけでなく、耳のちいさなくぼみなど細部までしっかり表現されています。

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届いた箱を開けて仕上がりを見ている

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こちらが最終的な出力品。微細な表現に加え、金属の重みや金メッキの光沢感から高い完成度がうかがえる

山中さんはもともと、レーザーカッターや3Dプリンターで出力したものをそのままアクセサリーにするのではなく、ファーや毛糸などの異素材と組み合わせてアクセサリーとして使うことをイメージしていました。しっぽに使うファーや猫が前足で転がすボールなどの素材は、山中さんが前もって用意していました。異素材を組み合わせることで、動物らしい動きが表現され、よりアクセサリーとしての魅力を出していきます。

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市販の毛玉やチェーンをニッパーやペンチを使ってモモンガにつけていく

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前回削り出した猫にも付属のパーツをつけていく

ネックレスをかけた際に、ヘッド部が胸の中央にくるように左右のチェーンの長さを何度もつけかえて、季節感がでるよう毛玉やリボンをあててカラーリングを調整したりなど、最後の調整作業を終えてようやく完成しました。

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ネコのネックレスは片耳につける。「今、大きなピアスを片耳だけつけるのが流行しているのでそちらに合わせて作りました」

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ネコのネックレスは季節感を出すためにカーキ色のリボンと毛玉を選択

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モモンガの尻尾には大きめの毛玉をつけた。ネックレスが揺れると毛玉も小刻に揺れてかわいさを演出

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モモンガのネックレス、ネコのネックレスとピアスの計4点を制作した

「今後もFusion 360を使って何かものを作っていきたい」

山中さんは今回初めて、Fusion 360を使って3Dモデリングを行い、レーザーカッターや3Dプリンターを使って現実に触れる出力物を得るところまで体験したわけですが、その感想をお訊きしてみました。

「やっぱり、普段使ってない思考回路を使ったので、面白かったです。普段、ものを平面的に見ているんだなあと感じました。実際にFusion 360で3Dモデルを動かしてみたときに、頭の中で3Dをなかなか想像できないというもどかしさを感じたので。いい頭の体操になりました。」

また、Fusion 360の操作性や機能についても満足しているそうです。

「もともとIllustratorを使って作業はしていたので、ある程度は直感的に使えて、とても楽しくできました。また、Illustratorにこういった機能があったらいいのにと思っていた機能のいくつかがFusion 360にはあったので、とても素晴らしいと思いました。ただ、まだ初心者なので、選択肢が多すぎて、迷路に入りこんでしまいそうだなと思いました。テクスチャがたくさん用意されているとか素晴らしいんですが、自分に確固とした設計図がないと、とめどなくやってしまいそうだなと。」

山中さんは、Fusion 360を使ったものづくりはとても楽しかったので、今後も続けていきたいと語ってくれました。

「今後もやってみたいなと思いました。まずは、もっとおにぎりみたいな簡単な形からだと思いますが。今思うと、Illustratorも、最初はなかなか使いこなせなかったんですが、使っているうちにいろいろできるようになりましたし、Fusion 360も、自分がやりやすいパターンとか、そういうのを見つけていけば、すごくいろいろ発想がわいて楽しそうだなと思いました。」

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体験者 山中 玲奈  イラストレーター

CM制作、出版/デザイン、印刷会社勤務を経て、フリーランスとして活動。
柔らかなタッチと軽やかな色使いが特徴。広告や雑誌、書籍のイラストなどを手掛けるほか、イラストを使ったオリジナルグッズも多数。 (衣装協力:MIYA NISHIYAMA)
山中玲奈 Official Website

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