Unity Industryは、ゲーム開発で知られるUnityを建築や医療、自動車などの産業分野向けに特化して開発したツールです。このツールを使えば、複雑な設計データの活用が可能となり、効率的な業務の推進が期待できます。
本記事では、Unity Industryの特徴や各業界での活用事例について解説しているので、Unity Industryの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
Unity Industryの特徴
Unity Industry(ユニティ インダストリー)は、ゲームエンジンとして知られるUnityを産業分野向けに特化させたツールです。自動車や建築、エネルギーなど幅広い産業分野で、3Dコンテンツの開発を実現します。
これにより、製造現場のシミュレーションや、自動車デザインの可視化など、専門的な業務に役立つ課題解決の方法を得られます。
使いやすさと産業特化の機能を兼ね備えたUnity Industryは、効率的なプロジェクト開発を支援してくれるため、業務の生産性向上効果を期待できるでしょう。
現実世界に仮想空間を構築できる
Unity Industryを使えば、建物や機械の設計データを取り込んで、現実そっくりの仮想空間を作成できます。例えば、まだ建物が建っていない場所でも、仮想空間の中で完成後の建物を歩き回って視察したり、そこで働くロボットや人間の動きを見たりすることが可能です。
これにより、現実世界で作業を始める前に、どのような完成図になるのかを確認できます。
容量の大きなデータでもストレスなく扱える
通常のソフトウェアでは、大きな3Dデータを扱うと動作が遅くなったり、エラーが発生したりすることがあります。
ただし、Unity Industryなら、容量の大きなデータでもストレスなく扱えるのが特徴です。
大規模なシミュレーションも簡単にできるので、リアルな動きを確認しながら、より正確な設計や改善が行えます。
XR技術を簡単に活用できる
Unity IndustryはVRやARといったXR技術との相性が良く、導入も簡単にできます。
例えば、VRコンテンツでは、仮想空間内で建物や機械の内部をリアルに体験できるため、設計の確認や改善に役立ちます。
また、危険を伴う作業の練習や、医療・宇宙分野での専門的なトレーニングを安全に実施することも可能です。このように、Unity IndustryはVRコンテンツを使った業務の効率化だけでなく、現実では難しい体験を仮想空間で事前に行えることによって、教育や訓練の質を大幅に向上させられる効果も期待できます。
産業向けの機能が豊富にある
Unity Industryには、多様な建物や機械の設計データを取り込む機能や、ARアプリを効率よく作るツールなど、業務で役立つ機能が多く搭載されています。
また、チームでの作業を助ける仕組みもあるので、大きなプロジェクトでもスムーズな進行ができるでしょう。
サポートが充実している
Unity Industryでは、専任アドバイザーのサポートやトレーニングを受けられるIndustry Successが用意されているため、安心して利用を開始できます。
また、3年間の長期サポートや、組込みのサポートが受けられるIndustry Successといったサービスも用意されています。
これらのサポートにより、導入から運用までスムーズに進むため、利用者が抱える課題や不安を効率的に解消できるでしょう。
Unity Industryに含まれるツール
Unity Industryに含まれるツールには、以下のようなものがあります。
- Unity Enterprise
- Industry Success
- Pixyz Plugin
- Unity Mars
- Unity Build Server
これらのツールの特徴について確認していきましょう。
Unity Enterprise
Unity Enterpriseは、大人数のチームで大規模なプロジェクトを進めるのに役立つツールです。
このライセンスでは、3年間にわたる長期的なサポートや、読み取り専用ソースコードのアクセス権が付与されます。
Industry Success
Industry Successは、Unity Industry専用のサポートサービスです。
専任のアドバイザーがついているため、難しい問題を素早く解決できます。
また、専門家によるトレーニングも受けられるので、ビジネス目標の達成に向かって効率的に進められます。
Pixyz Plugin
Pixyz Pluginは、さまざまな種類の設計データをUnityに取り込める便利な機能です。
40を超える3DやCAD、PointCloudモデルを情報を保ったまま処理できます。
Unity Mars
Unity Marsは、オーサリングツールを使用してARのアプリを制作できるツールです。
ARには現実世界の情報が必要ですが、Unity Marsでは現実世界の仮想環境を使用できるため、Unity内でARのシミュレーションを可能とします。
Unity Build Server
Unity Build Serverを使えば、プロジェクトのビルドテストを素早く行えます。
これにより、ダウンタイムを回避したり、品質を向上させたりできます。
Unityの価格
引用:Unityプランを比較
Unityには、Unity Industryを含めた4つのプランが用意されています。
2024年12月現在のUnityで利用できるプランと価格は、以下の表のとおりです。
プラン | 価格(税込み) |
Unity Personal | 無料 |
Unity Pro |
|
Unity Enterprise | カスタム価格 |
Unity Industry |
|
引用:Unityプランを比較
このように、Unityには個人用からプロ用までさまざまなプランが提供されています。
また、Unity Personalは年間収益や資金調達額が20万米ドルまでなど、プランによっては利用条件が設けられています。
そのため、どのプランを選択しなければいけないのかを、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
Unity Industryの活用事例
Unity Industryは、主に以下の業界や産業で活用されています。
- ゲーム業界
- 医療業界
- 自動車業界
- 建築業界
- 宇宙産業
これらの活用事例について見ていきましょう。
ゲーム業界
ゲーム業界では、Unity ProもしくはUnity Enterpriseが活用されています。
そのため、厳密にはUnity Industryが活用される業界ではありませんが、Unityはゲーム開発において欠かせないソフトの一つです。
2D/3Dゲームはもちろん、VR/ARゲームの開発にも使われています。
実際、世界中でヒットした人気タイトルの多くがUnityで開発されているため、ゲーム業界で活躍するには、Unityのスキルは必要不可欠です。
医療業界
医療現場では、Unity Industryを使って手術のシミュレーションや医療トレーニングを仮想空間で実施できます。例えば、3D化した人間の体内を利用して手術の手順を事前に練習したり、危険を伴う医療機器の操作方法を安全に学んだりすることが可能です。
さらに、リハビリテーションの現場では、XRコンテンツを活用して、患者の機能回復を支援しています。
こうした使い方により、医療従事者のスキル向上やミスの削減に大きく貢献しています。
自動車業界
Unity Industryは、自動車の設計や製造においても活用されるツールです。
Unity Industryで車両を仮想空間で再現することで、デザインの確認や安全性のテストを効率的に行えます。実際、大手自動車メーカーでは、Unityによって開発されたVR空間でシミュレーションを行っています。
実際の車を使ったシミュレーションをするとなると、複数のデモ機が必要になりコストがかかりますが、Unity Industryを活用することでデモ機の開発コストを抑えられるため低コストで開発を進められるでしょう。
建築業界
建築業界では、Unity Industryを使うことで、建物の設計やプロジェクトの計画を仮想空間で可視化可能です。まだ建設されていない段階でも現場をバーチャル空間に生み出させるため、効率的な建設を実現できます。
これにより、設計段階でのミスを減らし、プロジェクトの進行をスムーズに行えます。
宇宙産業
Unity Industryを使えばロケットや衛星の設計データを仮想空間で検証できるため、宇宙産業でも欠かせません。宇宙空間での作業シミュレーションや設備の動作確認を事前に行うことで、現場でのリスクを減らし、効率的な運用が可能になります。
さらに、トレーニング用の仮想体験を提供することで、宇宙飛行士や技術者のスキルアップにもつながるでしょう。
このように、宇宙産業でもUnity Industryが活用されるケースが増えています。
Unity Industryでよくある質問
Unity Industryを利用するうえでよくある質問について確認していきましょう。
また、Unity Proユーザーの場合は、直接Unity Industryへのアップグレードが可能です。
Unity ProからUnity Industryへのアップグレードは、購入方法によって手続きが異なります。営業担当者を通じて購入した場合は、担当のアカウントマネージャーに問い合わせることでアップグレードが可能です。
一方、オンラインで購入した場合は、Unity IDを使ってアップグレードの手続きを進められます。
Unity Industryについてのまとめ
今回は、Unity Industryについて紹介しました。Unity Industryは、建築や自動車、医療、宇宙産業といった幅広い分野で活用できる、産業向けに特化したツールです。
設計データを取り込み、仮想空間でのシミュレーションや体験を可能にすることで、効率的な業務の推進を支援します。また、豊富な機能だけでなく、手厚いサポート体制も魅力の一つです。
3D技術を活用して業務を改善したいとお考えの方は、Unity Industryの導入をぜひ検討してみてください。