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タレットパンチプレスとは?穴開け加工の種類と機械方式ごとの強みを解説

金属加工に関する用語として、タレットパンチプレスというものがあります。タレパンと略されることもある用語で、加工そのものを指します。では、タレットパンチプレスとはどういった加工なのか、メリットや使用する機械の種類と共に確認していきましょう。

金属板に自動で穴を開けるタレットパンチプレス

金属板に自動で穴を開けるタレットパンチプレス

タレットパンチプレスは、金属の板を加工する方法です。プレス機を使って、金属板に様々な形の穴を開けていきます。厚みのある金属板に、プレスの圧力できれいな穴を開けるのは困難です。そのため、厚みが3mmまでの、比較的薄い金属板を加工する際に、タレットパンチプレスが選ばれることが多いです。そして、丸や四角といったシンプルな形状だけでなく、複雑な穴を開けることも可能です。
また、タレットパンチプレスは、機械で自動化される加工です。あらかじめ作っておいた加工データを機械に取り込み、機械がそのデータに応じた加工を進めていきます。使用する加工データ次第では、1枚の金属板にいくつもの穴を開ける加工を施すことも不可能ではありません。

タレットパンチプレスの仕組み

タレットパンチプレスは、金型という部品を使用して、金属板に穴を開けていく仕組みとなっています。金型は原則として2つセットで、それぞれ金属板を上下から挟み込む形となります。下に設置する金型はダイと呼ばれ、穴を開ける際の土台の役割を担います。そして、穴を開ける役割があるのは上の方で、パンチという名前です。パンチは複数の部品で構成されていて、ダイと共に金属板を挟み込んで固定した上で、中にあるパンチボディと呼ばれる部品で穴を開ける構造となっています。パンチとダイでしっかり固定することで、金属板を歪ませずに穴を開けられます。

基本的には、金型で開けられる穴の種類はひとつです。したがって、複数の穴を開ける場合、穴の形や大きさに応じた複数の金型を用意しなければなりません。ただ、同じ金型の穴を連結させて、複雑で大きな穴を開けるというテクニックもあります。そのため、ひとつの金型で開けられる穴の種類が、必ずしもひとつとは限りません。

タレットパンチプレスでは、データに基づいて、金属板の決められた位置に穴が開きます。よって、金型と金属板の位置を合わせる必要があります。ただ、金型そのものの位置が変わることはありません。金属板の方を移動させて、金型と位置を調整します。そのため、タレットパンチプレスを行う機械は、金属板を設置するテーブルが移動するようになっています。

タレットパンチプレスのメリット

タレットパンチプレスのメリット

タレットパンチプレスは、加工時間が短く済むのが大きなメリットです。プレス加工そのものは、機械で自動化しなくても、人が金属板を移動させながらプレス機で穴を開けていくということも可能です。しかし、金属板の移動速度は、人よりも機械の方が高いです。そのため、自動化されたタレットパンチプレスの方が、早い段階で加工を完了させられるでしょう。そして、高性能の機械を使用する場合、タレットパンチプレス加工の大部分を自動化できます。人が付きっきりで機械を操作する必要がありません。そのため、機械操作を行うスタッフの人件費を削減できるというのも、メリットとなります。

また、タレットパンチプレスの機械を稼働させるために必要な技術は、加工データを作るスキルのみで済むというのもメリットです。機械ごとに、新しい操作スキルを身に付ける必要はありません。よって、新しいタレットパンチプレスの機械を導入したとしても、すでに加工データを作れる人がいれば、使いこなすまでにそう時間はかからないでしょう。

さらに、タレットパンチプレスは、比較的安全に加工作業を進めることができます。人が作業をする場合、プレス機で手を挟んでしまったり、金属板が跳ねたりして、事故が発生するリスクがあります。その点タレットパンチプレスは、機械の近くに人がいる必要がないです。万が一事故が発生したとしても、機械が破損するだけで済みます。人が被害を受けることはありません。

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タレットパンチプレス加工の種類

タレットパンチプレスには、

  • タレット式
  • シングル式

2種類があります。

タレット式は複数の金型を使用し、金型は全て、タレットという部分に収められています。そのため、タレット式と呼ばれます。タレット式で使用する金型は、それぞれ異なる形をしています。そして、機械が自動でタレットを動かし、使用する金型を切り替え、異なる形の穴開けをまとめて行うことができます。したがって、異なる形の穴をいくつも開けなければならない場合は、タレット式が選ばれます。現代の金属加工業界では、タレット式が主流となっています。

それに対してシングル式は、原則としてタレットを使用しません。用いる金型はひとつのみで、同じ形の穴を複数の金属板に開けていくために使用する場合が多いです。そして、同じ形であれば、1枚の金属板にいくつも開けることができることもあります。シングル式は複雑な穴開けはできませんが、基本的な構造はシンプルなので、使用する機械のサイズはコンパクトとなるのが強みです。

タレットパンチプレスを行う機械の種類

タレットパンチプレスを行う機械は、

  • 機械式
  • 油圧式
  • サーボモーター式

の大きく3通りに分かれます。いずれも力をかけて金属板を打ち抜く点は共通ですが、構造や強みが異なります。

3種類の中で構造が最もシンプルなのは、機械式です。フライホイールという部品を回転させ、そこに接続されているクランク構造によって上下の運動を実現します。構造がシンプルなので、他の種類よりもコストが安い傾向があり、メンテナンスも容易です。ただ、その構造上、上下運動の長さを変えられないのが弱点です。そのため、同じ加工スピードかつ、同じ圧力で穴開け加工をするのに適しています。

油圧式のタレットパンチプレスは、油圧ポンプの力を使って金属板を打ち抜くための圧力を出します。そして、送り込む油量によって、圧力の強さや上下運動の長さの調節が可能です。必要最小限の強さに抑えられる上に、じっくり加圧していくため、撃ち抜いた際の音が小さく済みます。さらに、上下運動の長さを短くして、より素早い稼働を実現させることも可能です。したがって、騒音に配慮しなければならない場所や、大量の加工をしなければならない場合などで、油圧式が活躍できます。

サーボモーター式のタレットパンチプレスは、電力によって回転と半回転を繰り返すサーボモーターを使用します。サーボモーターは電力次第で、出力や稼働スピードを簡単に変えられるのが強みです。金型で金属板を挟み込むまでのスピードと、挟み込んでから加圧するスピードを変えるということも不可能ではありません。そのため、上下運動のスピードを早くして、作業効率を高められます。また、電子制御ができるので、サーボモーター式のタレットパンチプレスには、素材となる金属板の種類や大きさなどの状況に応じて、設定を変えられるものもあります。そのような特徴があるため、複雑な穴開け加工をいくつもしなければならない場合には、サーボモーター式が適しています。

タレットパンチプレスで効率的な穴開け加工を

タレットパンチプレス加工は、自動化された機械によって、効率的に金属板に穴を開けることが可能です。そのため、作業コストを抑えたり、安全な作業を実現したりできます。そのようなメリットがあるため、金属板に穴を開ける加工が必要な場合、タレットパンチプレスを選ぶことを考えてみると良いでしょう。

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