無機質で理解しにくい数字のデータを、カラフルで見やすいグラフに可視化するPower BI。プレゼンテーションやビジネスレポート作成で活躍しますが、Power BIの魅力や特徴を良く知らない方もいるでしょう。
今回は、Power BIについて詳しく解説します。Power BI Desktopの使い方や実際の作成例、エクセルとの違い、できること・できないこともお伝えするので、Power BIを始めたい方はぜひ参考にしてください。
Power BIとは

Power BIは、Microsoftが提供するデータ分析ツールです。複雑な数値情報も、簡単な操作ひとつで見やすいグラフやチャートに変換してくれます。
売上の移り変わりを追う場合は折れ線グラフ、商品ごとの売上比率を把握するなら円グラフというように、データの特性に合わせたグラフ形状を選べるのも特徴です。
- Power BIの種類
- Power BIの難易度
①Power BIの種類
Power BIには用途に応じて選べる複数のプランが用意されており、それぞれ特徴や価格が異なります。
| プラン名 | 料金 | 主な特徴 |
| Power BI Desktop | 無料 | 基本的なレポート作成に対応 |
| Power BI Pro | 2,098円/月 | レポート共有、チーム連携可 |
| Power BI Premium Per User | 3,598円/月 | 大容量データ、高度な機能 |
Power BIは、Power BI Desktopからスタートし、チームでレポートを共有したくなったらPro版に、大規模なデータ分析が必要になったらPremium版に、という風に段階的にステップアップしていくのがおすすめです。
無料で利用できるPower BI Desktopでも、データの取り込みや加工、さらに複雑なレポート作成まで行えます。まずはPower BI Desktopで、データ分析の可能性を体験してみてください。
②Power BI の難易度
Power BIは、基本的な操作であれば難易度は高くはありません。普段からエクセルを使い慣れている方の場合、短時間で直感的に操作を覚えられるでしょう。一般的なPower BIの研修でも、基本的な内容であれば半日から1日で完結するものが主流です。
ただし、データの複雑な加工やDAX関数を用いた高度な計算、複数のデータを連携させた応用的なレポート作成となると、習得には相応の練習と理解が求められます。
Power BIとエクセルの違い

Power BIとエクセルは共にデータを扱うツールですが、それぞれ異なる得意分野と機能を持っています。まずは、Power BIとエクセルの違いをまとめた一覧表からご確認ください。
| 特徴 | Power BI | エクセル |
| 得意分野 | 大量データ分析・統合、自動レポート | 少量データ分析、個人利用の資料作成 |
| 扱えるデータ量 | 数千万~数億行以上 | 約100万行 |
| データソース | 複数、多様(DB, Cloud等) | 単一(ファイル等) |
| データ更新 | 自動更新設定が可能 | 手動更新が基本 |
| 分析特性 | 双方向(インタラクティブ) | 静的、基本的な集計・グラフ作成 |
| 利用できる関数 | Dax関数 | エクセル関数 |
ここでは、以下の3点からPower BIとエクセルの違いを解説しましょう。
- 扱えるデータ量の違い
- データソースと更新方法の違い
- 分析の深さとインタラクティブ性の違い
①扱えるデータ量の違い
Power BIとエクセルの最も異なる点は、扱えるデータ量です。
エクセル
エクセルは最大約100万行までと、扱えるデータ量に限界があります。そのため、中規模までのデータ集計や表作成には適していますが、それ以上の大量データでは処理が重くなったり、フリーズしたりする可能性があります。
Power BI
Power BIは、数千万から数億行以上のデータも高速で処理可能です。内部的にデータをデータベースのように扱うため、ビッグデータ分析に特化した設計となっています。
②データソースと更新方法の違い
Power BIとエクセルは、データの取得元や更新の効率性にも違いがあります。
エクセル
エクセルは、主にワークシート上のデータやCSVファイルなど、単一のファイルベースのデータソースを扱います。データの更新は基本的に手動で行うため、頻繁な更新が必要な場合は手間がかかります。
Power BI
Power BIは、データベース、クラウドサービス、Webサイトなど、多彩なデータソースに接続可能です。さらに、異なるデータソースのデータを統合して分析でき、一度設定すれば自動で最新の状態に更新されます。
③分析の深さとインタラクティブ性の違い
Power BIとエクセルの違いは、データ分析の機能面や操作性にも見られます。
エクセル
エクセルは主に「表計算ソフト」であり、関数やマクロを用いた静的な分析が中心です。グラフ作成は可能ですが、特定のデータをクリックして掘り下げるといった双方向性(インタラクティブ性)はありません。
Power BI
Power BIは「ビジネスインテリジェンス(BI)ツール」として、データ分析に特化しています。グラフ上の要素をクリックすると関連データが絞り込まれ、データと関連付けて分析できます。
Power BI Desktopを使う前のチェックポイント

Power BI Desktopは、無料で利用できるPower BIの人気プランです。
ただし、Power BI Desktopには機能的制約があるなど、事前に知っておきたいポイントがあります。Power BI Desktopを使う予定の方は、ぜひ以下の内容をご確認ください。
- Power BI Desktopでできること・できないこと
- Power BI Desktopの基本的な操作の流れ
①Power BI Desktopでできること・できないこと
Power BI Desktopは、できることとできないことがあるため、用途や目的によっては適さない場合もあります。まずは、Power BI Desktopでできること・できないことをまとめた表から見てみましょう。
| できること | できないこと |
| レポートやグラフの作成・編集 | Web上でのリアルタイム共有 |
| エクセルやCSVなど多様なデータソースの読み込み | コメントや同時作業など、組織内での共同編集 |
| データのクリーニング・加工処理 | 大容量データの高速処理 |
| ローカルへの保存とオフラインでの利用 | ダッシュボードをクラウド上に常時公開 |
Power BI Desktopは、エクセルやCSVなどのデータを整えて、見やすいグラフやレポートを作成する際に最適です。作成したレポートはローカルに保存でき、小規模なデータ分析や個人利用であれば十分に対応できます。
一方で、同僚との同時編集、コメントのやり取りはできません。また、Web上でのリアルタイム共有、クラウド上でのダッシュボード公開は、有料プランへの移行が必要です。
Power BI Desktopはあくまで「ローカル環境でレポートを作成・編集するツール」とご理解ください。
②Power BI Desktopの基本的な操作の流れ
Power BI Desktopを使う場合、事前に基本的な流れを把握しておきましょう。スムーズに操作を進めるためにも、大まかな流れを理解しておくと効率よく作業を進められます。
- Power BI Desktopを起動する
- データを取り込む
- 複数のデータを取り込んだ場合はつなげて関連付ける
- グラフや表を組み合わせてレポートを作る
- レポートを共有する(有料版)
Power BI Desktopを使う際には、事前のインストールが必要です。
Power BI Desktopのインストール方法は、以下の記事で詳しく解説しています。次項の「Power BI Desktopの使い方」に進む前にぜひ目を通しておいてください。
Power BI Desktopの使い方と作成例
Power BI Desktopの特徴を具体的にお伝えするために、使い方と作成例を紹介します。
ここでは、エクセルで作ったデータを使い、円グラフと折れ線グラフを一つのレポートにまとめ、さらにテーブルを使って、データを連動する方法をステップごとに解説します。
インストールがまだの方は、上記の動画を参考にして済ませておきましょう。
- エクセルデータの読み込み
- 円グラフの作成
- 折れ線グラフの作成
- テーブルの作成とデータ連動
STEP1. エクセルデータの読み込み
- エクセルデータの作成・保存(以下は今回使うデータ)

- Power BI Desktopを開いて「Excel ブック」をクリック

- ダイアログから使いたいファイルを選択
- ナビゲーターが起動したら「Sheet1」にチェックマークを入れ「読み込み」をクリック

STEP2. 円グラフの作成
- データが読み込まれたら画面右の「Sheet1」をクリックして展開

- 希望のグラフの形状を選択(円グラフ)すると仮のグラフが表示
- 「商品名」を「凡例」に、「売上金額」を「値」にドラッグ&ドロップ
(※円グラフは「構成比」を示すため日付データは使わない)
- データが円グラフ化

- 画面空白の部分でクリックして画像を決定
なお、円グラフは全体を100%として各商品の割合を示すため、同じ商品があれば自動で集計し、円グラフで一つの項目として表示します。ここでは、リンゴの売上(1,000+1,100+500)の合計で表示しています。
STEP3. 折れ線グラフの作成
- 折れ線グラフを選択
- 「日付」を「X軸」、「売上金額」を「Y軸」にドラッグ&ドロップ
(※折れ線グラフでは日付ごとの売り上げ推移を把握するので商品名は不要)
- 下矢印↓「ドリルダウン」をクリックしてドリルモードをオンにする
- 折れ線グラフ上で3回クリックして日付モードに変更

- 画面空白の部分でクリックして画像を決定
STEP4. テーブルの作成とデータ連動
- 「テーブル」を選択して「列」に「日付」をドラッグ&ドロップ

- 画像サイズを調整して適切な箇所へ配置(拡大図)

- テーブルで知りたい日付のデータをクリック
- 選択した日付データのみが明るく表示
(折れ線グラフは該当データを点で表示)
このように、Power BI Desktopを使うと、複数のグラフや表を組み合わせて、自分で操作できるレポートを簡単に作れます。データはすべてつながっているので、グラフの一部を選択すると、関連する他のデータも連動して変わります。
Power BI Desktopでデータを変換して取り込む方法
Power BI Desktopでデータを取り込む際、データ型が適切でないと分析できません。例えば、以下のようなエクセルデータを使う場合、分析に必要なのは商品名と売上金額だけです。
りんご 100 山田
みかん 150 田中
バナナ 80 佐藤
このような場合は、Power Queryエディターで不要な列の削除とデータ型の調整を行います。
- Power BI Desktopを起動して「Excelブック」を選択
- 該当のデータを選び「開く」をクリック
- 「sheet1」にチェックマークを入れて「データの変換」をクリック

- Power Queryエディターが開く
- 不要な列を選択し「列の削除」をクリック

- 不要な列が削除される
- 画面上部の「ホーム」の「閉じて適用」をクリック

- 編集内容が反映されたデータがPower BIに読み込まれる

このように、Power BI Desktopは、「データの変換」内にあるPower Queryエディターを使うと、データの成型も簡単にできます。
Power BIのおすすめ学習方法4選
Power BIは、上記のような基本的な操作だけでなく、様々な応用操作もできる魅力的なツールです。ここでは、Power BIを深く使いこなしたい方に、おすすめの学習方法を4選ご紹介します。
| 学習方法 | メリット | デメリット |
| 公式トレーニング | 迅速なアクセス、段階的なテキスト | 疑問点の即時解消が困難 |
| YouTubeの解説動画 | 直感的に学べる、解説が分かりやすい | コンテンツによって差が大きい |
| 生成AI | スクショを使いダイレクトに質問できる | 誤情報生成のリスクがある |
| セミナー | 短期で幅広いスキルが身につく | コスト・スケジュールの負担 |
①公式トレーニング
Power BIを使い始めたばかりの方におすすめなのが、Power BIの公式トレーニング教材です。
Power BIのトップ画面「Power BIとは」をクリックすれば誰でも無料でアクセスでき、基本操作から段階的に学べます。各ステップの合間には簡易テストもあり、理解度を確かめながら学習できるのも魅力です。
ただし、内容は主にテキストと画像で構成されているため、初心者の方は専門用語に戸惑うかもしれません。こういった不明点が出てきたときに、すぐに答えが得られるわけではないという点に注意しておきましょう。
②YouTubeの解説動画
Power BIを学ぶにあたり、言葉だけではイメージしにくい、という人にはYouTubeの解説動画がおすすめです。
実際の画面操作を見ながら学べるので、手を動かすうちに自然と理解が深まっていきます。分かりやすい言葉と丁寧な説明、コメント欄での質疑応答など、初心者向けのチャンネルが多いのも魅力です。
しかし、動画によって情報が古い、内容に偏りがある点は否めません。動画視聴は案外時間を要するため、適したコンテンツがなかなか見つからないというケースもあります。
③生成AI
Power BIの学習方法として、疑問や不明点を直接質問できる生成AIの活用もおすすめです。
生成AIは、初心者であることを伝えれば、分かりやすい言葉で丁寧に解説してくれます。スクリーンショットを共有して具体的な質問もできるため、まるで専属のメンターがいるかのように学べます。
ただし、生成AIは「ハルシネーション(誤情報生成)」のリスクがあり、回答が常に100%正確とは限りません。そのため、得られた情報を元に、自身で確認・試行錯誤する手間がかかります。
④セミナー
時間をかけずに、実務ですぐ使える力をつけたい方は、セミナーの受講が最適です。
講師から直接教わることで、その場で疑問点・不明点を解消でき、さらに独学では気づきにくいコツや活用法も学べます。短期集中型セミナーも多いので、基礎から応用まで効率的に習得したい人にも向いています。
ただし、セミナーは有料のものが多く、開催日や場所が限られていることもあります。スケジュールと予算に合わせて、無理のない形で取り入れると良いでしょう。
以下の記事は、Power BIを学べるおすすめ講座を紹介しています。マンツーマン型や企業研修向けなど、ニーズに合わせた3つのジャンルに分けてお伝えしているので、効率的にPower BIの講座を見つけたい方もぜひ参考にしてください。
Power BIについてまとめ
データ分析ツールで人気のPower BIはいくつか種類があり、最も広く使われているのが今回操作を紹介したPower BI Desktopです。
Power BI Desktopは、無料で使える手軽さ、幅広い機能への対応など、魅力的要素が多いツールですが、レポート共有や大容量データ処理など、一部の機能は対応が難しい制限もあります。これらを理解した上で、ご自身の用途に合わせてPower BIを活用していきましょう。













