バックオフィスの効率化・自動化においてPower Automateが注目されています。プログラミングスキルも不要なため、導入を検討している企業も多いでしょう。
本記事では、初心者向けにPower Automateの使い方を解説します。この記事を最後まで読めば、定型業務の生産性を上げて、より創造的で価値のある業務に時間を使えるようになるでしょう。
Power Automateとは?
Power AutomateはMicrosoft社が提供するRPAツールで、プログラミング知識不要で業務自動化が可能です。直感的な操作で使いこなせるのがポイントで、ITスキルに自信がない事務職の方でも安心して始められます。
また、500種類以上のアプリケーションやサービスと連携可能な強力なコネクタ機能により、社内のさまざまなシステムをつなげて効率化できます。そのため、日々の定型業務(Excel集計、メール送信、請求書作成など)を自動化することが可能です。
Power Automateを使うメリット
Power Automateを使う主なメリットを以下にまとめました。
- 手作業によるヒューマンエラーを大幅に削減し、業務の正確性を向上
- 定型業務の自動化により、より創造的で価値のある業務に時間を集中可能
- Microsoft 365との親和性が高く、既存環境を活かした導入が可能
- 無料版から始められるため、コストを抑えながら効果を実感できる
- 複雑なプログラミング知識不要で、事務職の方でも簡単に自動化フローを作成可能
メリットは生産性向上と導入のハードルの低さにあります。専門スキルも求められないため、ITに自信が無くても無理なく利用できるでしょう。
Power Automateの使い方の基本手順

実際の業務でよく使う「メール自動送信」を例に、具体的な操作方法を段階的に説明していきます。
- Power Automateをインストールする
- トリガーとアクションを設定する
- フローを作成・実行する
- テスト機能で動作確認
①Power Automateをインストールする
公式ページにアクセスし、「無料で開始する」ボタンをクリックしましょう。Microsoftアカウントでのサインインは、普段Officeで使っているアカウントをそのまま利用できるため、新規登録の必要がありません。
初回起動時の環境設定では言語設定を日本語にして、タイムゾーンを日本に設定します。あとは画面の指示に従って初期設定は完了です。
②トリガーとアクションを設定する
「メールが届いた時」などのトリガー選択は、画面上部の「新しいフロー」から「自動化したクラウドフロー」を選んで、検索窓に「メール」と入力すると見つかります。
条件設定では、特定の件名や送信者からのメールだけを対象にすることができます。例えば「請求書」という件名のメールだけを自動処理するような設定が可能です。
「ファイルを保存する」「通知を送る」などのアクション追加は、「+新しいステップ」ボタンをクリックして、やりたいことをキーワード検索すると追加できます。
③フローを作成・実行する
新しいフローの作成手順は、まず分かりやすい名前を付けることから始めましょう。「月末売上集計_自動化」のように具体的な業務名を入れると管理しやすくなります。
命名のコツとして、「いつ_何を_どうする」という形式にすると、後から見返したときにすぐに内容が分かります。テンプレートを活用すればよくある業務パターンがすでに用意されているため、一から作る必要がありません。
また、データは自動的にクラウドに保存されるため、デバイスが故障してデータが失われる心配もなくなります。
④テスト機能で動作確認
フローチェッカーを使ったエラー確認では、赤い警告マークが表示された箇所をクリックすると、具体的な問題点と解決方法が表示されます。手動テストは新規作成時や大幅な変更時に使い、自動テストは定期的な動作確認に使うという使い分けをすると効率的です。
また「実行に失敗しました」というエラーが出た場合は、各ステップの入力値を確認しましょう。特に日付形式や数値形式が正しいかチェックしてみてください。
Power Automateの活用事例【Excel業務編】
ここではExcelでPower Automateを活用する方法を解説します。手作業によるミス防止と作業時間短縮を期待できるので、参考にしてみてください。
Excel集計作業の自動化手順
複数のExcelファイルからデータを自動収集する場合、「ファイルの取得」アクションを使って指定フォルダ内のファイルを一括処理することで実現できます。そのため、各部署から送られてくるデータを手動でコピー&ペーストする必要がなくなり、ボタン一つで全データが集約されるようになります。
また決まった時間に集計処理を実行するスケジュール設定では「定期的」トリガーを使用して、毎日の定時や月末の特定日時に自動実行することが可能です。
請求書作成の自動化
顧客データベースから請求書を自動生成する流れは、ExcelやSharePointリストと連携させることで、請求書番号の自動採番から金額計算まで自動化できます。テンプレートを使った効率的な請求書作成では、あらかじめ用意したExcelテンプレートに顧客情報や金額を自動入力し、PDF化まで一連の流れで処理します。
また、承認プロセスを組み込んだワークフロー設計により、作成した請求書を上司に自動送信し、承認後に顧客へメール送信するという流れも構築可能です。
勤怠管理データの自動転記
勤怠システムからExcelへの自動データ転記は、CSVファイルのエクスポート機能と組み合わせることで転記作業を自動化できます。出勤・退勤時間の自動計算と集計については、Power Automate内で時間計算の式を設定することで、残業時間や深夜勤務時間も自動で算出されます。
また月次レポートの自動生成機能を活用すれば、部署別・個人別の勤怠集計表が自動で作成されるため、管理職への報告も効率化されるでしょう。
Excel表データの行数制限と対処法
行数制限を超える大量データの処理方法として、Apply to eachを使うことで数万行のデータを処理できます。
パフォーマンスを向上させる設定のコツとして、並列処理の設定を有効にすることで、処理時間を大幅に短縮することが可能です。具体的には、「設定」メニューから「並列処理」を選択し、同時実行数を5~10に設定してみましょう。
Power Automateの活用事例【Teams連携編】

チーム内のコミュニケーション効率化を実現するTeams連携を活用すれば、定期報告や承認作業が格段にスムーズになります。ここでは、Teamsを使った情報共有の自動化・効率化の事例を紹介します。
Teams自動投稿による業務効率化
定期的な業務報告の自動投稿設定を行うことで、毎朝の進捗報告や週次レポートの共有が自動化されます。プロジェクト進捗の自動通知システムでは、タスクの完了状況やマイルストーンの達成を自動でチームに通知し、全員が最新情報を把握できるのもポイント。
また変数とランダム関数を活用してメッセージを工夫すれば「お疲れさまです」「今日も頑張りましょう」など、日替わりの挨拶文を追加でき、機械的な印象を和らげるでしょう。
会議リマインダー通知
自動リマインダー機能を設定することで会議の出席率向上を期待でき、時間通りに始めやすくなるはずです。参加者への資料配布自動化では、会議の24時間前に議事次第や関連資料をTeamsのチャットで自動送信し、事前準備を促すことができます。
また、会議後のフォローアップメッセージ送信により、決定事項やアクションアイテムを自動でまとめて共有できます。そのため、議事録作成の手間も削減できるでしょう。
ファイル更新時のTeams自動通知設定
SharePointやOneDriveのファイル更新検知機能を使えば、重要文書の変更を見逃すことなく、リアルタイムで把握できるようになります。更新内容をTeamsチャンネルに自動投稿する仕組みでは、誰がいつどのファイルを更新したかという情報と、変更箇所の概要まで通知できます。
承認フローでのTeams活用
承認依頼の自動送信とTeams通知連携を組み合わせることで、承認待ち時間を短縮することができます。承認状況の可視化とステータス管理では、Teams内で承認の進捗状況をリアルタイムで確認でき、督促を自動化できるのも特徴。
承認完了後は関係者への自動報告により、申請者だけでなく関係部署にも同時に通知されるため、次のプロセスへもスムーズに移行できるでしょう。
Power Automateの活用事例【メール・承認業務編】
ここでは、手作業でのメール送信業務を解決する具体的な手法を解説します。生産性の向上とヒューマンエラー防止に役立つ機能が豊富なので参考にしてみてください。
メール自動送信フローの作成
条件に応じた自動メール送信の設定方法は、「条件」アクションを使って送信先や内容を自動で切り替えることで実現できます。例えば、請求金額が10万円以上の場合は経理部長にも同時送信する、という条件分岐を簡単に設定できます。
また、添付ファイルの自動添付機能を使えば、SharePointやOneDriveに保存されているファイルを自動で添付できるため、最新版のデータを確実に送信できます。
購入申請などの承認ワークフロー
多段階承認プロセスの自動化設計により紙の申請書を回覧する必要がなくなるため、承認スピードが向上します。具体的には、第一承認者から第二承認者へ自動的に承認依頼が送られ、最終承認後は申請者に結果通知が届くという流れを構築できます。
承認者へのリマインダー機能付きワークフローでは、24時間以内に承認されない場合、自動で催促メールを送信する設定が可能です。また、否決時の差し戻し処理と再申請フローも組み込めます。コメント付きで申請者に戻せるため、修正後もスムーズに再申請できるでしょう。
添付ファイルの自動保存設定
メール添付ファイルの自動分類保存を設定すれば、メールをチェックする時間を短縮できます。例えば、請求書は「請求書フォルダ」、見積書は「見積書フォルダ」というように、ファイル名や送信者によって自動で振り分けられます。
ファイル名の自動リネーム機能を使えば、「受信日_送信者名_元のファイル名」という形式で統一できるので、後から探しやすくなります。
Power Automateを使いこなすポイント

ここではPower Automateを使いこなすポイントを解説します。便利な機能を最大限活用するために必要な知識なので、ここで押さえておきましょう。
導入目的を明らかにする
Power Automateの搭載機能は多岐にわたるため、導入目的が不明瞭だとどの機能を使うべきか決められなくなります。目的別の用途や対象の業務などを下の表にまとめました。
| 導入目的 | 対象業務 | 使用する主な機能 |
|---|---|---|
| 定型業務の自動化 |
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| 承認プロセスの効率化 |
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| データ連携の自動化 |
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| コミュニケーション最適化 |
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| ドキュメント管理の効率化 |
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| 顧客対応の迅速化 |
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この表を参考に、まずは効果が見込める目的に絞って導入しましょう。期待通りの成果が得られたら、別の用途にも横展開してみてください。
コネクターとトリガーを活用する
500種類以上のコネクターから最適な組み合わせを選択することで、社内の多様なシステムを連携させることができます。よく使うコネクターとして、Office 365、SharePoint、Teams、OneDrive、Excelなどが挙げられ、これらを組み合わせることで強力な自動化が実現します。
業務に適したトリガーの設定では、「特定の時刻」「ファイルが作成されたとき」「メールを受信したとき」など、業務の起点となるイベントを選びましょう。タイミングの最適化として、処理が集中する時間帯を避けたり、業務時間外に重い処理を実行するなどの工夫が必要です。
効率化と最適化を意識する
フロー実行時間の短縮とパフォーマンス向上のコツを実践すれば、処理速度を大幅に改善できるでしょう。並列処理の活用、不要なループの削減、条件分岐の最適化など、基本的な改善だけでも大きな効果を得られるはずです。
エラー処理と例外対応を組み込んだ安定したフロー設計では、「スコープ」を使ったエラーハンドリングを行います。一部の処理が失敗しても全体が止まらないようにします。
このように、定期的な見直しと改善を行うことで業務の変化にも柔軟に対応できるでしょう。
講座を活用して効率良く学習する
講座のメリットは、プロから必要な知識を体系的に学べることです。独学だと躓いたときに質問できなかったり、非効率な勉強を選んだりする恐れがあります。一方、専門の講座で学べばわからないときにすぐに講師に質問することが可能です。
また、通学形式の講座であれば受講生同士でモチベーションを高め合えるため、挫折のリスクも減らせるでしょう。
Power Automateの使い方のまとめ
この記事では、Power Automateの使い方を解説しました。Power Automateは従来の事務作業を省力化・効率化できる画期的なサービスです。アナログ作業でありがちなミスも低減できるため、効率化でできた時間を新規営業や研究開発といった付加価値の高い業務にリソースを割くことができます。
まずは、導入目的を明らかにしてどの機能から活用すべきか検討しましょう。小さく導入して得られた成果を徐々に水平展開すれば、全社で生産性向上を期待できるでしょう。専門知識も不要なので、ぜひ活用してみてください。