業務効率化やDXという言葉を耳にする機会が増えましたが、実際に何から手をつければいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。特にCAD設計や製造業の現場では、図面管理や工程管理など、自動化できそうでできていない業務が山積みです。
そんな課題を解決する選択肢の一つとして、近年「n8n(エヌエイトエヌ)」というツールが注目を集めています。本記事では、n8nの基本情報から実際の活用例まで、CAD・製造業の現場で使える情報を中心に詳しく解説していきます。
n8nとは何?
n8nは、複数のアプリケーションやサービスを連携させて業務を自動化できるワークフローツールです。プログラミングの知識がなくても、視覚的な操作で自動化の仕組みを構築できます。
n8nはオープンソースで提供されているため、無料で利用を開始できる点も大きな特徴です。GmailやSlack、Googleスプレッドシートなど700種類以上のツールと連携でき、あらゆる業界で日常業務の効率化を実現しています。
n8nの読み方と名前の由来
n8nは「エヌエイトエヌ」と読みます。この名称は「nodemation(ノードメーション)」という言葉に由来しており、「node」と「automation」を組み合わせた造語です。
n8nでは、処理の単位を「ノード」と呼んでおり、これらを線でつなぐことでワークフローを構築します。数字の「8」は、英単語「nodemation」の「n」と「n」の間に8文字あることを表現しています。
DIFYとn8nの違い
DIFYは生成AIアプリケーションの開発に特化したプラットフォームで、ChatGPTなどのAIモデルを活用したサービス構築に強みがあります。一方、n8nは汎用的なワークフロー自動化ツールで、さまざまなアプリケーション同士を連携させる用途に適しています。
n8nもAI連携は可能ですが、DIFYほど生成AIに特化していません。そのため、目的に応じて使い分けることが重要でしょう。
n8nが注目される理由
ここでは、n8nが注目される主な理由として、以下の3つを紹介します。
- ノーコードで業務フローを視覚的に構築できるから
- オープンソースで無料で使い始められるから
- 700種類以上のアプリ・サービスと連携できるから
①ノーコードで業務フローを視覚的に構築できるから
n8nの最大の魅力は、プログラミングコードを書かなくても自動化を実現できる点です。n8nでは、各処理を「ノード」というブロックで表現し、それらをドラッグ&ドロップで配置してつなぐだけでワークフローが完成します。
たとえば「Gmailで特定のメールを受信したらSlackに通知する」といった流れも、視覚的な操作だけで構築可能です。n8nは技術者でなくても直感的に理解できる設計になっているため、CAD設計者や製造部門のマネージャーでも扱いやすいでしょう。
②オープンソースで無料で使い始められるから
n8nはオープンソースソフトウェアとして公開されており、セルフホスト版であれば完全無料で利用できます。さらに、ソースコードが公開されているため、自社の要件に合わせたカスタマイズも可能です。
セキュリティ要件が厳しい製造業でも、n8nなら社内サーバーで完結させられるため安心して導入できます。
③700種類以上のアプリ・サービスと連携できるから
n8nは、Gmail、Slack、Googleスプレッドシート、Notion、GitHubをはじめとする700種類以上の外部サービスとの連携に対応しています。さらにn8nは、標準で用意されていないサービスでも、WebhookやHTTP Requestノードを使って柔軟に接続できる点が強みです。
またCAD業務であれば設計データの自動保存、製造業であれば工程管理システムとの連携など、業種を問わず幅広い自動化シナリオに対応します。このようにn8nなら、複数のツールを横断した業務フローを一元管理できるでしょう。
n8nの料金プラン

この章では、n8nの料金プランを紹介します。プランを一覧にまとめたものが以下です。
| プラン名 | 料金(月額・年払い) | 実行回数 | 主な機能 |
|---|---|---|---|
| Community Edition (セルフホスト版) |
無料 | 制限なし |
|
| Starter | 20€(約3,000円) | 2,500回/月 |
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| Pro | 50€(約7,500円) | 10,000回/月 |
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| Business | 667€(約10万円) | 40,000回/月 |
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| Enterprise | カスタム価格(要問い合わせ) | カスタム |
|
※2025年12月現在
参考:n8n公式サイト
n8nを初めて試すなら、まずは無料のCommunity Edition(セルフホスト版)から始めることをおすすめします。サーバーなど環境構築が難しい場合は、Starterプランなら月額約3,000円で手軽にスタートできます。
n8nは実行回数による従量課金制のため、毎日どれくらいの頻度で自動化を動かすかを事前に見積もっておくと、プラン選びで失敗しません。CAD業務や製造管理で本格的に活用するなら、Proプラン以上を検討してみるのもよいでしょう。
n8nでできること
ここでは、n8nで主にできることとして、以下の7つを紹介していきます。
- 複数のツールやサービスを連携した業務自動化
- GmailやSlackなどのSaaSツールの自動連
- Webhookを使って外部サービスからデータを受け取る
- データの取得・整形・保存を一括処理する
- 整形したデータをデータベースやスプレッドシートに保存する
- CAD図面データの自動整理・バックアップ
- 製造工程の進捗管理と通知を自動化
①複数のツールやサービスを連携した業務自動化
n8nを使えば、普段使っている複数のツールを横断した自動化が実現できます。たとえば「Googleフォームで受け取った問い合わせ内容をスプレッドシートに記録し、同時にSlackへ通知する」といった流れを、n8n一つで完結できます。
手作業でのデータ転記やコピペ作業が不要になり、業務スピードと正確性が大幅に向上するでしょう。
②GmailやSlackなどのSaaSツールの自動連
n8nは、GmailやSlack、Microsoft Teams、Notionなど、ビジネスで頻繁に使われるSaaSツールとの連携に標準対応しています。
各サービスの認証情報をn8nに登録しておけば、繰り返し利用できるため設定の手間も最小限で済むでしょう。
③Webhookを使って外部サービスからデータを受け取る
n8nのWebhook機能を活用すれば、外部システムからのデータ送信をトリガーにしてワークフローを起動できます。
たとえば顧客管理システムで新規登録があった際、その情報をn8nが自動で受け取り、関係者へメール通知したり、別のシステムへデータを転送したりできます。
④データの取得・整形・保存を一括処理する
n8nでは、外部APIやWebサイトからデータを取得し、必要な形式に加工してから保存するまでの一連の流れを自動化できます。JSONやCSV形式のデータをn8nが読み込み、必要な項目だけを抽出して整形する処理も、専用ノードを組み合わせるだけで実装可能です。
複数のデータソースから情報を集約し、一元管理する仕組みもn8nなら簡単に構築できるでしょう。
⑤整形したデータをデータベースやスプレッドシートに保存する
n8nは、MySQLやPostgreSQLといったデータベースへの直接書き込みにも対応しています。加工したデータをn8nからデータベースに自動保存できるため、手動でのデータ入力作業も不要になります。
データベース環境がない場合でも、n8nはGoogleスプレッドシートやAirtableへの保存にも対応しているため、手軽にデータ管理を始められるでしょう。
⑥CAD図面データの自動整理・バックアップ
CAD設計の現場では、図面ファイルの管理が煩雑になりがちです。n8nを活用すれば、共有フォルダに保存されたCADファイルを自動検知し、ファイル名に日時やバージョン番号を付与してクラウドストレージへバックアップできます。
n8nが履歴管理も自動で行うため、設計変更の追跡が容易になり、バックアップ忘れによるトラブルも防げるでしょう。
なお、CAD業務の自動化を実行するには、CADに関する深い知識も必要になるので、資格で知識を深めることも有効です。以下の記事では、AutoCADの資格を紹介していますので、気になる方はぜひお読みください。
⑦製造工程の進捗管理と通知を自動化
製造業では、各工程の進捗状況をリアルタイムで把握することが重要です。n8nを使えば、製造管理システムから定期的に進捗データを取得し、遅延が発生している工程を自動検出できます。
n8nが遅延を発見すると、担当者やマネージャーへSlackやメールで即座にアラートを送信します。手動確認の手間が省け、トラブルへの対応スピードが格段に向上するでしょう。
n8nのはじめ方

この章では、n8nのはじめ方として、以下の2パターンをご紹介します。
- n8nクラウドを活用する場合
- セルフホスト版を活用する場合
①n8nクラウドを活用する場合
n8nを手軽に始めたいなら、お金はかかりますが、公式が提供するクラウド版n8nがもっとも簡単です。環境構築の知識は不要で、ブラウザがあれば以下の手順ですぐに使い始められます。
- n8n.ioの公式サイトにアクセスする
- メールアドレスを入力してアカウント登録する
- ログイン後、すぐにワークフロー作成画面が表示される
- 新規ワークフローを作成して自動化を開始する
n8nのクラウド版ならサーバー管理の手間が一切かからず、アップデートも自動で適用されます。個人利用や小規模チームでの検証には十分な機能が揃っているでしょう。
②セルフホスト版を活用する場合
実行回数を気にせず無料で使い続けたい場合や、社内データを外部に出せない企業には、セルフホスト版が適しています。Dockerを使えば、n8nを数分で自社環境に構築できます。
手順は以下のとおりです。
- Dockerをインストールする(未導入の場合)
- ターミナルを開き、n8nの起動コマンドを実行する
- ブラウザで「http://localhost:5678」にアクセスする
- 初期設定を行い、ワークフローの作成を開始する
技術的な知識は必要ですが、完全なデータ管理とコスト削減を両立できる方法です。
セルフホスト版なら、n8nのすべての機能を制限なく利用できます。CAD業務や製造業など、セキュリティを重視する現場でも安心して導入できるでしょう。
【CAD・製造業向け】n8nの実際の使用例
ここでは、CAD・製造業向けに、n8nの実際の使用例を以下のとおりご紹介します。
- CAD図面の自動バックアップと履歴管理システム
- 設計変更通知の自動配信システム
- 製造工程の進捗自動チェックと遅延アラート
①CAD図面の自動バックアップと履歴管理システム
n8nでCAD図面の自動バックアップと履歴管理システムを作成する場合、以下のようなフローになります。
- 設計者が共有フォルダにCADファイルを保存
- n8nが自動でファイルを検知
- ファイル名に日時とバージョン番号を追加してGoogleドライブにバックアップ
- Slackの設計チャンネルに「〇〇.dwg v2.3をバックアップしました」と通知
- Googleスプレッドシートに「ファイル名/更新日時/担当者/バージョン」を自動記録
これにより手動でのバックアップ忘れを防止できるうえ、図面の履歴管理を自動化できます。
②設計変更通知の自動配信システム
n8nで設計変更通知の自動配信システムを作成する場合、手順は次のようになります。
- 設計者がGoogleフォームで設計変更申請を提出
- n8nが変更内容(部品番号、変更箇所、影響範囲)を受け取る
- 変更内容に応じて関係部署を自動判定
- 寸法変更→製造部門へ通知
- 材質変更→購買部門・品質管理部門へ通知
- 各部署のSlackチャンネルとメールに変更内容を自動配信
- 変更履歴をスプレッドシートとデータベースに記録
このシステムのメリットは、設計変更の情報共有漏れがなくなり、部門間の連携がスムーズになることです。
③製造工程の進捗自動チェックと遅延アラート
n8nなら、製造工程の進捗自動チェックと遅延アラートも作成できます。フローは以下のとおりです。
- 毎朝8時にn8nが自動実行
- 製造管理システム(またはスプレッドシート)から各工程の進捗データを取得
- 予定日と実績を比較し、遅延している工程を検出
- 遅延が2日以上→マネージャーと担当者にSlackとメールでアラート
- 遅延理由の入力フォームURLを通知に含める
- 日次進捗レポートを自動生成してSlackに投稿
このフローによって、工程遅延の早期発見が可能になり、結果としてトラブル対応が迅速化します。
なお、以下の記事では、CAD業務を生成AIで効率化する方法について解説しています。興味のある方は、ぜひご一読ください。
n8nをCAD・製造業でより実践的に使うなら
n8nと生成AIを組み合わせれば、さらに高度な自動化が実現します。たとえばn8nで収集したCAD図面データをChatGPTで自動分析したり、製造工程の遅延理由をAIが要約して報告書を作成したりできます。
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n8nについてまとめ
n8nは、オープンソースで提供されるワークフロー自動化ツールで、ノーコードで業務効率化を実現できます。無料のCommunity Editionから始められるため、初期投資を抑えた導入も可能です。
手軽に始めたい方はクラウド版n8nから試し、n8nの便利さを体感してみてはいかがでしょうか。