インフラ事業を提供しているJFEエンジニアリングが、発電プラント事業において、コージェネレーション設備の発売をスタートしました。では、新たに登場したコージェネレーションシステムは、どのような性能を持ち合わせているのでしょうか。
今回は、JFEエンジニアリングがコージェネレーションシステムを発売したニュースをもとに、JFEエンジニアリングの概要や製品の性能について深掘りします。またJFEエンジニアリングが実施する最先端の事業事例も紹介しているので、企業動向を知る参考にしてみてください。
JFEエンジニアリングとは?
JFEエンジニアリングとは、以下に示すインフラ関連事業を中心に、最先端のソリューションを提供しているエンジニアリング企業です。
事業の種類 | 事業内容 |
環境事業 | リサイクル、発電、都市環境 |
インフラ事業 | 上下水道、パイプライン、エネルギープラント、構造物 |
システム事業 | システム開発、マシン開発 |
また、各事業における新技術の開拓に取り組む企業でもあります。
国内でのソリューション提供はもちろん、海外でも活躍するエンジニアリング企業として有名です。
JFEエンジニアリングの事業規模
JFEエンジニアリングは世界的に事業を展開しているエンジニアリング企業であり、直近のグループ売上がおよそ5,000億円と、高額な売上を出しています。
そのうち、1割が海外事業、2割がカーボンニュートラル事業の売上であり、インフラ分野への貢献はもちろん、環境対策にも積極的に取り組む企業として有名です。参考として、JFEエンジニアリングの企業概要を下表にまとめました。
会社名 | JFEエンジニアリング株式会社 |
本社 | 東京都千代田区内幸町二丁目2番3号 |
資本金 | 100億円 |
社員数 | 1万1,000人(グループ会社含む) |
グループ会社の種類 | JFEスチール JFE商事 ジャパンマリンユナイテッド |
また、海外ではアジアを中心とし、ドイツやアメリカなどにも拠点を構えているのが特徴です。
JFEエンジニアリングが最新のコージェネレーション設備を販売
![コージェネレーション設備の特徴](https://cad-kenkyujo.com/wp-content/uploads/2024/06/48a4ae73eb202f423a50a048282123d78218b19f-1.jpg)
JFEエンジニアリングは新たに、カーボンニュートラルの実現そして、高効率での電力発電・供給を実現できるコージェネレーション設備の販売をスタートしました。
今回販売されたコージェネレーション設備は、水素混焼ガスエンジンコージェネレーション(熱電併給)設備というものであり、生成された電気と熱をダブルで供給できるのが特徴です。また当製品は、以下に示す2つの運転モードを切り替えして利用できます。
- 水素混焼
- 都市ガス専焼
水素から発電された電力を供給できるのはもちろん、都市ガスを使った発電にも対応できるのが魅力です。JFEエンジニアリングの技術により、運転モードを操作者が切り替えをできるほか、従来の都市ガス専焼の機器と同等の出力を発揮できます。
新型コージェネレーション設備の仕組み
JFEエンジニアリングが販売をスタートした新型コージェネレーション設備は「JFE-MWM/Hシリーズ」というシリーズとして販売されており、供給した水素と都市ガスを専用のガスエンジン発電設備に取り込んで、混合ガスを機器で活用できるのが特徴です。
当設備は、水素の調達状況に応じて割合を調整された混合ガスを活用できるほか、停電時においても運転を止めることなく都市ガス専焼のモードを使って自律運転に対応できます。
JFEエンジニアリングが販売しているコージェネレーション設備関連の情報に興味をお持ちなら、以下の記事をチェックしてみてください。コージェネレーション設備の特徴や活用状況について解説しています。
JFEエンジニアリングの新型設備に期待されること
JFEエンジニアリングが販売をスタートしたコージェネレーション設備は、企業経営におけるコスト縮減や、カーボンニュートラルの実現など、多方面での効果を期待されています。
参考として、期待されている効果を深掘りしました。
高効率でガスエネルギーを供給できる
JFEエンジニアリングが販売している新型コージェネレーション設備は、従来の発電システムにおける利用エネルギー分散率を抑えやすくなるのが特徴です。
例えば、石油や石炭、天然ガスといった燃料を使って発電する場合、利用エネルギーが当初の半分近くまで低下します。対して、JFEエンジニアリングが販売している新型コージェネレーション設備は、利用エネルギーを7~8割近く維持できるのが魅力です。
排熱をムダにすることなくライフラインに供給できることから、JFEエンジニアリングはもちろん、供給効率を高めたい企業で導入が進んでいます。
災害対策として活用できる
JFEエンジニアリングの新型コージェネレーション設備は、災害や電力トラブルなど、停電が起きても稼働し続けられるのが特徴です。トラブルの際にも安定してライフラインの供給を実現でき、災害対策として活用できると期待されています。
また、新型コージェネレーション設備は電気エネルギーだけでなく、熱エネルギーを供給できるのが魅力です。温水の供給による暖房設備の省エネ化にも役立つほか、冬場の災害における慣例トラブルを回避しやすくなります。
カーボンニュートラルの実現に近づける
JFEエンジニアリングが販売している新型コージェネレーション設備は、従来の天然ガスを使った発電から、水素との混合ガスを利用することに変化したことにより、CO2排出量を減らしやすくなるのが魅力です。
2050年までに実現を目指しているカーボンニュートラルの実現に貢献できる技術であることはもちろん、水素混焼の効率を高める機能が搭載されていることから、今以上にCO2排出量を減らしやすくなります。
従来無駄にされていた廃熱を再利用できることはもちろん、水素混合のガスを生み出して高いエネルギー効率を発揮て切ることも含め、CO2排出量を実質ゼロとする脱炭素化を進めやすくなると期待されています。
DXやIoT機器の導入などにお悩みなら、まずはセミナーに参加するのがおすすめです。
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JFEエンジニアリングが販売している3機種の最新設備とは?
JFEエンジニアリングは、今回紹介しているコージェネレーション設備を合計3機種販売する計画です。参考として、各機種の定格出力の値を下表にまとめました。
JFE-MWM390/H | JFE-MWM585/H | JFE-MWM780/H | |
定格出力 | 390kW | 585kW | 780kW |
ラインナップに挙げられているHシリーズの機種名と定格出力が合わせてあることから、自社に導入してある他設備との整合性を取りやすいのが特徴です。
既存のエネルギー効率のまま混合ガスを調整したい場合は低出力の設備、将来的な機器の改修を予定しているのなら、高出力の設備を導入するのが良いでしょう。
JFEエンジニアリングが手掛ける事業事例
JFEエンジニアリングは、インフラ事業やエネルギー事業を展開しているだけでなく、現在に欠かせない企業の取り組みであるDX(デジタル・トランスフォーメーション)や新規事業の開拓にも力を入れています。
参考として、環境や企業経営に大きな影響を生み出す事業事例をまとめました。
AI・IoT活用
JFEエンジニアリングはプラント向けデータ解析のソリューションである「Pla’cello」を活用し、データ加工や可視化、AIエンジン開発への活用など、最新技術を活用した事業をスタートしています。
IoT機器が搭載された各プラントから膨大なデータを収集し、解析ソリューションであるPla’celloに読み込ませることで、プラント運用の傾向や不具合などをリアルタイムで検出できるのが特徴です。
また、収集したデータをもとに利用者ニーズを解析し、新たな効率化アプリの開発にも利用できます。
デジタルツイン
JFEエンジニアリングは、現実世界にある施設を仮想空間化して疑似的に運用するデジタルツインにも力を入れています。
例えば、既存施設の形状や施設内の空間を3Dモデルとして反映し、その空間内で設計や調達、建設をテストします。現実と同じ空間で繰り返しテストを実施できることから、設備運用プロセスを可視化して、無駄のない設備運営を実現できるのが魅力です。
また既存施設、設備の運用状況を可視化し、手間のかかる作業や自動化できる項目を分析します。操業の最適化にも活用できることから、JFEエンジニアリングおよびグループ会社の各設備が次々とデジタルツイン化が進められている状況です。
デジタルサービスの開発・運用
JFEエンジニアリングは運営している施設サービスの効率化、そして他社が運営している施設の最適化を実現するために、次のようなデジタルサービスの開発に力を入れています。
- 施設の最適運用サービス
- インフラの最適化サービス
- DX技術を活用した新たなサービス
人材不足で悩む企業の生産性を向上したり、自動化により作業効率化を実現したりと、現代のニーズに合う製品・サービスを数多く開発中です。
すでにリモート監視サービスである「GRC」、スタートアップ活用や診断ソリューションである「SecondSight」など、事業スタートや運営の効率化に役立つデジタルサービスが提供されています。
また製造業におけるDX事例を知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
課題解決の方法や導入手順を解説しています。
JFEエンジニアリングについてまとめ
JFEエンジニアリングが販売した「コージェネレーション設備」は、従来の設備で起きていた廃熱の無駄を削減でき、電力と温水を同時に届けられる便利な設備です。また、水素と天然ガスの混合ガスを活用できることから、CO2排出量を減らせる設備として期待されています。
災害時など電力が停止した際にも天然ガスを使って自動で発電し、運転を止めることなくエネルギーを供給し続けられることも含め、JFEエンジニアリングのさらなる進展から目が離せません。
![JFEエンジニアリングのアイキャッチ](https://cad-kenkyujo.com/wp-content/uploads/2024/06/f36eaac65027f491a7057ec8ad0cdd16-375x245.jpg)