設計現場や製造業、生産業において設計および製図を支援するシステムソフトであるCAD。
数々のメーカーが開発・発売してるCADですが、中でも純国産であるiCADにはどのような特徴があるのでしょうか。
今回は、気になるiCADについて詳しくご紹介します。
iCADとは
iCADとは、日本の富士通株式会社が1980年から開発しているCADソフトです。
2001年以降、富士通の子会社であるデジタルプロセス株式会社に開発が移行し、2010年になるとiCAD株式会社に移管されました。
元々iCADは2次元CADとしての開発でしたが、1990年後半からWINDOWSに移植され3次元CADとして開発されていきました。
内部構造には、空間領域構成法であるCSGというデータを持っている為、コンピューター上の組み立てが非常に高速であることが特徴です。
iCADは、実に100万部品を0.2秒で処理するというスピードを保持しています。
ちなみに10,000部品のデータの干渉検出ならば、5秒で完了するソフトです。
そのため、部品点数が多い製品の設計には非常に向いていますが、一般家庭で使用されている、家電製品や自動車などの自由曲面が多い製品には不向きなソフトでもあります。
操作面は直感的なインターフェイスを搭載し、扱い易く簡単、しかも動作もスムーズなソフトです。
かつ動作スペックに関してはローエンドでも可能であるという、まさに設計者の事を考えて作られた優しいソフトでもあります。
iCADと他のソフトを比較
iCADと他のソフトを比較してみました。
①Fusion 360
iCADを比較するソフトとしては、Fusion 360が挙げられます。
Fusion 360は、視覚的・直感的操作が可能で、さらにフリーフォームモデリングを使用しているために形状の具現化が非常に素早いソフトです。
価格面は、iCADの代替ソフトであるために、若干安く設定されている事も特徴です。
デメリットとしては、一時的に参照したいだけのインポートファイルであってもアップロードを行わないと加工に使えないということや、部品グループの作成に手間が必要であることなどが挙げられます。
②Solidworks
Solidworksも、iCADと比較されることが多いソフトでしょう。
汎用性が高いSolidworksは、様々な3Dデータを取り込めることが最大のメリットと言えます。
サブスクサービスに、ナレッジベースへのアクセスが年中無休でできるので、操作方法などで困ったときにはいつでも相談ができる点もメリットとして挙げられます。
デメリットとしては価格が比較的高価であることでしょう。
また再解析をかける場合にスムーズに行えないこと、またカム合致のときにはエラーが出てしまい修正が難しいことなどもデメリットとして挙げられます。
そのため操作面においては、ストレスフリーであるiCADの方が使いやすいと言えるでしょう。
iCADを使うメリット
iCADソフトのメリットは、先ず直感的な操作が可能ということです。
CAD初心者でも使いやすいように、操作面で難解となるシステムを極力排除しています。
頭で思い描いたイメージを、そのまま感覚的に形作っていくことが可能です。
iCADのコンセプトは、
- 見れば分かる
- 触れば分かる
- やればなんとなかる
であるため、事前のトレーニングや学習の必要もなくすぐに使いこなす事ができます。
iCADは、フルアクティブトップダウン設計を搭載している点も、使用するメリットとして挙げられます。
フルアクティブトップダウン設計とは、完成した製品から少しずつ細かい部品などを分類していく機能を持った設計のことを言います。
通常のCADで行う設計は、何もないところからスタートして徐々に製品を作り上げていくものですが、iCADは全くその逆を行うソフトなのです。
トップダウン設計ができるメリットとしては、より頭の中で描いていたイメージに近い製品が完成できるということでしょう。
頭の中でおぼろげにしかない状態でも、イメージがより具体的に目の前に広がりやすいので、早い段階で製品設計に取り掛かる事ができるのです。
金型設計を行う場合に様々なサポートがついていることも、メリットと言えるでしょう。
iCADでは、金型設計の際にキャビコア部と機構部に分類する事が可能です。
そのほかにも、型締力の算出機能や一筆書きによる冷却穴設計機能、さらに冷却穴の編集やタンク穴配置まで搭載しています。
もちろん金型設計も直感的・感覚的に操作する事ができるので、初めて使う人でも安心です。
iCADは、設計が完了する前に3次元データを持って立ち合い検証を行う事ができる「デジタル立ち合い」ができることもメリットです。
製造時に検出される不具合を事前に検証する事ができるので、実機による立会検証を必要としなくなったのです。
iCADの機能
iCADは、3次元設計および2次元設計を共用できる機能を搭載しています。
電気設計と制御設計、メカ設計を統一された内部でデータ連携している為、設計が非常に効率的です。
iCADのアセンブリ検証機能は、干渉チェックおよび機構検証を搭載しています。
そのため、従来では困難であった大規模アセンブリ干渉チェック、動的干渉チェックも可能となりました。
さらに、構想モデルを搭載しているために、構造解析や梁構造計算も即座に検証できます。
手計算をする必要も解析モデルを使う必要もないのです。
iCAD上では、人の視点での操作を確認できる「ウォークスルー確認」が機能として搭載しています。
また、機械上で設定した動きやエレキからの情報を基に、実機が完成する前に机上デバックを行う事ができる機能も搭載しています。
iCADの価格
iCADの価格は、iCAD SX ベースモジュールの3次元2次元モジュールスタンダードでは、ローカルライセンス価格で1,518,000円です。
ネットワークライセンス価格では、1,903,000円となっています。
3次元2次元モジュールプロフェッショナルではローカルライセンス価格で1,848,000円、ネットワークライセンス価格では、2,310,000円です。
そのほかにはオプションモジュールやトレーニング、保守サービスがあります。
iCADは初心者でも簡単
iCADは初心者でも簡単に操作ができる3DCADソフトは、機能性の高さや使いやすさ、高速レスポンスや充実のサポートなどが特徴です。
設計現場などの物作りの場面で活用されているiCADは、今後もさらに多くの利用者から高い支持を集めることとなるでしょう。