「設計、製造、保守などの各プロセスで、情報が繋がらずミスが多発」「PLMを導入しようとしたがコストと時間がかかりすぎる」こうした状況を解消するのが、素早く開始でき、拡張性に優れたクラウドPLMであるAutodesk Fusion Manageです。
機械や設備の設計で多くの方に使われているPDMのAutodesk Vault Professional との連携もスムーズなので、BOMを中心とした製造業のデータ管理やDXをスモールスタートで実現できます。
この記事では、Autodesk Fusion Manageの機能や価格を解説します。Autodesk Vault Professionalと連携するメリットもお伝えするので、「エンジニアリングチェーンのデータを繋ぎ、業務の効率化やミスを削減したい」という製造業の担当者の方はぜひ参考にしてください。
Fusion Manageとは?
Fusion Manageとは、3Dモデルや BOM、ドキュメントなどのデータや、設計・製造・保守・販売などの異なる部門にまたがるワークフローを一元管理できるクラウド型PLMです。
多くの企業で導入されているエンタープライズ向けのPLMは、導入コストや期間の面で膨大な労力がかかる反面、Fusion Manageは、クラウド型かつサブスクリプションライセンス、既存のワークフローに活用できる多くのテンプレート、そして始めやすい価格帯なこともあり、素早く始めることができるPLMです。
Autodesk Fusionとの違い
Autodesk FusionとFusion Manageは、名前は似ていますが役割が異なります。
- Autodesk Fusion:3Dモデル・加工データの作成、シミュレーションを行うCAD / CAM / CAE / PCB 統合型アプリケーション
- Fusion Manage:データやワークフローを管理するPLM
つまり、Autodesk Fusionは「設計や製造などの各プロセスで使用するツール」、Fusion Manageは「設計や製造などの各プロセスにおけるデータや業務を繋いで管理するツール」です。
Autodesk Fusionについては、以下の記事をご参照ください。Autodesk Fusionのダウンロード方法や基本的な使い方をわかりやすく解説しています。
Fusion Manageの値段(2026年3月記事公開日時点)
Fusion Manageは、1年と3年のサブスクリプションプランがあり、その他、閲覧・レビュー・承認などのアクセス権を提供するAutodesk Fusion Contributorプランもあります。
| 契約期間 | Autodesk Fusion Manage | Autodesk Fusion Contributor |
|---|---|---|
| 月間 | ― | 5,500円 |
| 1年契約 | 184,800円(月額換算:15,400円) | 41,800円(月額換算:3,484円) |
| 3年契約 | 553,300円 | 124,300円 |
料金は1ユーザー単位で、3年契約でも支払いは年払いです。最大30日間の返金保証もあります。
参照:Autodesk Fusion Manage | Autodesk Fusion | Fusion
Fusion Manageの主な機能
続いて、Fusion Manageの機能・できることを一覧表で見てみましょう。Fusion Manageがどの場面で役立つのかを理解するうえでも、まずは機能を把握しておくことが重要です。
| 機能 | できること | 効果 |
|---|---|---|
| BOM管理 | E-BOMやM-BOMなどの各部品表を共有 | 情報ズレ防止・手戻り削減 |
| 変更管理 | 変更依頼〜承認を自動化 | 変更漏れ防止・業務効率化 |
| タスク管理 | 業務を可視化・自動アラート通知 | 遅延防止・連携向上 |
| サプライヤー連携 | 外部と安全に情報共有 | 調達・見積りが早くなる |
| 品質管理 | NCR・RMA・APAなどを自動管理 | 不具合対応が早い・品質向上 |
| 新製品開発 | テンプレでフェーズ管理 | プロジェクトの体系的な運営 |
| 製品ポートフォリオ管理 | 製品ライフサイクルを一元管理 | 最強の商品ラインナップ構築 |
| 要件管理 | 連携環境の中で要件を一元管理 | 要件の優先順位付け・管理 |
| プロセステンプレート | すぐに実装できる無料ライブラリ | 生産性向上・作業時間短縮 |
| 設定エディタ | コード不要でワークフローを設定 | 自社の業務フローに最適化 |
| ダッシュボード | 進捗・問題をリアルタイム可視化 | 早期対応・遅延の防止 |
| API連携 | PLMをERP・CRMと統合 | データへのアクセス改善 |
| モバイルアクセス | タブレットでBOM確認・作成・共有 | 現場でも作業が止まらない |
| 外部関係者との連携 | ブラウザからプロジェクト参加 | 外部も参加・コラボが円滑 |
Fusion Manageは上記のような多彩な機能があり、これらが連携することで、製造業ビジネスの流れ全体がスムーズになります。
Fusion Manageのメリット
Fusion Manageは、「導入しやすく」「変化に強く」「コスパが良い」ツールで、すでにVault Professionalによって3D設計データを管理している方は、より素早くPLMを始めることができます。
ここでは、「Fusion Manageの機能は分かったけれど、実際どう役立つのかイメージしにくい…」という方に向けて、Fusion Manageのメリットを4つお伝えします。
- すぐに使える・状況に合わせて拡張できる
- ムダの削減につながる
- 設計、製造、保守などの各プロセスがつながる
- Vault Professionalと連携して、既存のデータを活用できる
①すぐに使える・状況に合わせて拡張できる
Fusion Manageは、自社でサーバー構築や管理が必要なオンプレミス PLMではないクラウド型PLMとサブスクリプションライセンスという特性を生かし、以下のようなメリットが得られます。
- サーバー構築やメンテナンスなどの大がかりな準備が不要
- プロジェクト数や規模に応じて柔軟にスケール
- テンプレートも多く、大規模なカスタマイズ不要・低コストで導入可能
このように、Fusion Manageは初期投資を抑えつつ、必要に応じて機能や運用規模を段階的に広げられるため、スタートアップ企業や小規模で始めたい企業にとっても最適なツールです。
②ムダの削減につながる
Fusion ManageなどのPLMを使うと、業務プロセスの合理化やデータの共通化が可能になり、ムダを削減できるため、コスパの良い運営が叶います。さらにFusion Manageでは、標準機能で素早く小さく始めることができるため、以下のようなメリットがあります。
- 人件費や外注費用の適正化(各プロセスでのムダ業務の削減)
- 在庫管理の強化(過剰在庫を避け、在庫部品の活用や切り替えも見える化)
- 基幹システムや外部データベースとの連動(調達リスク管理やサプライチェーンマネジメント)
特に近年は、世界情勢の変化や関税率の変動など、外部環境の影響を受けやすい状況が続いています。こうした不確実性に振り回されず、安定した運営ができる点は、Fusion Manageならではのメリットといえるでしょう。
③設計、製造、保守などの各プロセスがつながる
Fusion ManageをはじめとするPLMは、各BOMの連携、新製品開発・製造プロセス、承認フローなどの、各部門にまたがるワークフローをつなげることができます。これにより、
- 企画から製品投入までのプロセス全体が迅速化
- 人的作業(確認・連絡・承認)が効率化
- 仕様変更や部品変更に対する素早い対応
といったメリットが得られ、その結果、市場投入までのスピードが向上し、市場での競争力維持・強化を実現できます。さらに、リアルタイムの情報共有ができることで、チーム全体の意思決定が早く、さらに安定しやすい点もメリットです。
④Vault Professional と連携して、既存のデータを活用できる
Fusion Manageは、製品データ管理システム「Vault Professional」と連携できます。この連携でVault Professional内のCADデータや図面情報を自動で紐付けできるため、以下のメリットが得られます。
- 既に作成しているE-BOMを素早く連携
- CADデータや図面の最新データ共有
- 承認・変更履歴をPLM側にも反映
このように、Vault ProfessionalとFusion Manageの連携で、すばやくPLMとPDMをつなげて立ち上げることができ、現場・管理側の双方に大きなメリットをもたらします。なお、Vault 2026.1以降のバージョンでは検索性や操作性も向上するので、設計プロセスでのさらなる効率化が期待できます。
Fusion ManageとVault Professionalを組み合わせるメリット

Autodesk Vaultは、CADデータや図面、E-BOMなどの設計情報を管理し、変更履歴や承認状況も正確に追えるPDM(データ管理システム)です。
すでに多くの設計チームで活用されているVault ProfessionalとFusion Manageを組み合わせることで、今まで多くの時間を必要としていたPLM導入を素早く進めることができます。
では、Fusion ManageとVault Professionalを組み合わせた効果を、活用方法とともに具体的に見てみましょう。
- スムーズに情報共有
- プロパティを自動で紐付け
- プロパティ編集を効率化
- 同期状況を可視化
スムーズに情報共有
Fusion ManageとVault Professionalは、Vault 2026.1で追加された「Vault Connector」により直接連携が可能になりました。Vault ProfessonalのGUIから直接接続できるため、設計データの共有がスムーズに行えます。
設計データを自動同期
Vault Professionalでアイテム情報・BOMをリリースすると、関連ファイル(PDF・DWFなど)が自動生成され、そのままFusion Manageへ同期されます。設計者がファイルを探して添付したり、情報を手入力で転記したりする必要はありません。
変更内容を即時反映
Vault Professional側で情報を更新すると、その内容はFusion Manageへ自動反映されます。設計変更や急な発注が発生しても、調達・製造・品質部門が常に最新情報をもとに迅速に対応できます。
プロパティを自動で紐付け
Fusion ManageとVault Professionalを連携すると、双方のプロパティ(属性情報)の紐付けを自動化できます。例えば、Vault Professionalプロパティの「Title」が Fusion Manageプロパティの「Title」にマッピングされるという感じです。プロパティ設定の手順は以下の通りです。
- 接続するFusion Manageのテナントを指定
- マッピングするFusion Manageのワークスペース(Item)を選択
- Vault ProfessionalとFusion Manageのプロパティマッピングを指定
- 「既定を使用」をクリック
- マッピングが自動で設定される
この連携により、手動でのデータ転記が不要になり、入力ミスも防げるため、業務効率とデータ精度の向上が望めます。
プロパティ編集を効率化
Vault 2026.1では、Copy Design(設計コピー)画面でユーザ定義プロパティも直接編集できます。これにより、Fusion Manageへ同期するデータ作成時間が短縮されます。
コピーと同時にプロパティ修正が可能
Vault Professionalとの連携で、コピー後に変更する項目(型番・品名・担当者など)をその場で編集できます。コピー後に別画面でプロパティを開き直す必要がなく、Fusion Manageに送るデータを正確にそろえられます。
Excel連携で大量データも一括編集
Vault Professionalと連携してリストビューに切り替えると(Ctrl+Shift+L)、Excelからの貼り付けによる一括編集が可能になります。これにより、複数のプロパティを一度に修正できるため、スピーディにFusion Manageへのデータ登録準備ができます。
同期状況を可視化
Vault 2026.1では、Fusion Manageとの同期ステータスを確認できるようになりました。同期結果は「成功」「エラー」「最新」「空白(未同期)」で表示されます。Vaultに表示される情報は以下の3つです。
- Fusion Manageリンクのステータス
- Fusion Manageの同期ステータス
- Fusion Manageの同期日
これにより、連携状態をすぐに把握できるため、エラー発生時の原因特定がしやすく、運用トラブルを早期に解消できるといったメリットが得られます。
Fusion Manage×Vault Professionalで現場はどう変わる?
続いて、Fusion ManageとVault Professionalを組み合わせることで、具体的にどのような業務改善ができるのかを解説します。
設計変更の伝達ミス・誤発注を防止
Fusion ManageとVault Professionalを組み合わせると、設計変更があるたびに図面をPDFにしてメールで送る、といった手作業から解放されます。その他の例としては、
- Vault Professionalで承認すれば最新図面がFusion Manageに送付
- 誰でも最新版が見れるので、古い図面での誤発注を防止
- スマホやタブレットでどこでも図面を閲覧
- 「誰がいつ承認したか」が履歴に残るので、確認作業が不要
などが挙げられます。このように、Fusion ManageとVaultを使うと、「確認作業のストレスや手戻りの手間」といった課題を解決できるのです。
情報共有をスピードアップ
Fusion ManageとVault Professionalは、どちらもクラウド上で最新仕様を共有できるため、場所や部門を問わず、スムーズな連携が可能です。例えば、次のような場面でも業務が滞りません。
- 海外拠点や協力工場と、最新図面・仕様をすぐに共有できる
- 外出先からスマートフォンで承認ルートや進捗を確認できる
- 設計者に「最新版はどれか」と問い合わせる手間がなくなる
このように、拠点や部門を越えて情報がリアルタイムに伝わることで、確認待ちや伝達ミスによる停滞を防止できます。その結果、プロジェクト全体の流れがスムーズになり、製品開発のスピード向上につながります。
Fusion Manageについてまとめ
Fusion Manageは、製品の企画から設計・製造までを一元管理できるクラウド型PLMです。分散していた情報をまとめることで、確認や承認のスピードを高められます。
さらに、設計データを管理するVault Professionalと組み合わせれば、図面やBOM、変更情報を自動で共有できるため、転記や確認待ちのロスを減らし、業務効率がさらにアップします。なお、どちらもサブスクリプション形式なので、「初期費用を抑えてDXを進めたい」という企業にも最適な組み合わせです。