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【2026】DX推進人材とは?デジタル人材との違いや必要なスキル・効果的な育成方法などを解説

企業のDXが加速するなかで、自社でも専門人材の確保を検討していませんか。しかし、自社でどのような役割を果たしてくれるのかわからない企業も多いでしょう。

そこで本記事では、DX推進人材の定義や必要なスキル、効果的な育成方法など解説します。企業の成功事例も紹介しているので、自社のDX推進人材の確保・育成に役立ててみてください。

DX推進人材とは?

DX推進人材は、デジタル技術を活用して企業の変革を主導する人材です。経済産業省が策定した「デジタルスキル標準」でも明確に定義されており、企業のDX推進において欠かせない存在となっています。

しかし、DX推進人材の役割は幅広く、類似する職種との違いがわからない担当者も少なくありません。自社のDX推進に向けて適切な人材を見極めるためにも、まずはDX推進人材の定義や他職種との違いを理解しておきましょう。

ここからは以下の項目を深堀りして解説します。

  • DX推進人材の定義
  • DX推進人材とデジタル人材の違い
  • DX推進人材が企業に必要な理由

DX推進人材の定義

DX推進人材とは「組織・企業において専門性を持ってDXの取組みを推進する人材」のことです。これは経済産業省が策定した「デジタルスキル標準」で明確に定義されている公式な表現になります。

特徴は、単にデジタルツールが使えるだけでなく「専門性を持って」「推進する」という点にあります。つまり、社内のDXプロジェクトを主体的にリードし、成果を出せる人材を指します。

デジタルスキル標準には2つの層があることも覚えておきましょう。

区分 対象者 概要
DXリテラシー標準 すべてのビジネスパーソン DXに関する基礎的な知識・マインド
DX推進スキル標準 DX推進人材 DXを専門的に推進するためのスキル

2024年7月の改訂では生成AIの急速な進展を受けて、ChatGPTなどのAIツールを業務に活用するスキルも新たに追加されました。IT出身でなくても、DX推進人材として活躍できる可能性は十分にあります。

DX推進人材とデジタル人材の違い

DX推進人材とデジタル人材(IT人材)の違いは、担当する役割の範囲にあります。

両者の違い DX推進人材 デジタル人材(IT人材)
主な役割 ビジネス変革を主導する 技術面の専門家として開発を担う
求められる視点 経営視点・事業視点 技術視点
重視されるスキル 組織調整力・企画力 プログラミング・システム設計

DX推進人材に求められるのは、単なるシステム導入ではありません。データやデジタル技術を活用して、ビジネスモデルそのものや業務プロセスを根本から変革することが求められます。

技術知識だけでなく、経営視点で物事を捉える力や、各部門を巻き込んでプロジェクトを進める調整力が必要です。経営企画や事業企画の経験がある方は、むしろDX推進人材としての素養を十分に持っていると言えるでしょう。

DX推進人材が企業に必要な理由

DX推進人材が注目されている最大の理由は、経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」問題にあります。このまま企業のDXが進まなければ、2025年以降、日本全体で年間最大12兆円もの経済損失が発生するリスクがあるといわれています。

IPAの調査によると、DX人材の不足状況は年々深刻化しています。

調査年度 「大幅に不足している」と回答した企業の割合
2021年度 30.6%
2022年度 49.6%
2023年度 62.1%

とくに注目すべきは、IT企業よりも製造業などの事業会社でDX推進人材不足が顕著な点です。転職市場におけるITエンジニアの求人倍率は約11倍と、採用競争は非常に激しい状態が続いています。外部採用だけに頼らず、社内で人材を育成していく取り組みが急務となっているのが現状です。

DX推進についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をも参考にしてみてください。DX推進が必要な背景から課題整理の方法まで網羅しています。

【2026】DX推進とは?定義・必要性・成功ステップと課題を解説

DX推進人材の主な種類

DX推進人材の主な種類経済産業省のDX推進スキル標準では、DX推進人材を5つの類型に分類しています。自社のDX戦略に合わせてどの類型を優先すべきか判断するためにも、それぞれの役割を理解しておきましょう。

人材類型 主な役割
ビジネスアーキテクト DXプロジェクト全体を統括し、目的設定から効果検証まで一気通貫で推進する
データサイエンティスト データを活用して業務変革や新規ビジネスの実現を支援する
ソフトウェアエンジニア DX推進に必要なシステムやアプリケーションの設計・開発・運用を担う
デザイナー 製品やサービスのユーザー体験(UX)全体を設計する
サイバーセキュリティ人材 企業の情報資産をサイバー攻撃の脅威から守る

すべての類型を自社で揃える必要はありません。データサイエンスやセキュリティなど高度な専門性が求められる領域では、外部パートナーとの連携も有効な選択肢です

DX推進人材に必要なスキル

DX推進人材にはデジタル技術を取り扱う力だけでなく、事業課題を解決に導くための多面的スキルが求められます。DX推進人材に求められる代表的なスキルは、以下の5つです。

スキル 概要
プロジェクトマネジメントスキル プロジェクト全体を見据え、スケジュール・予算・リソースを管理しながら進行させる能力
コミュニケーションスキル 経営層・現場・IT部門など多様な関係者との橋渡し役として調整を行う能力
課題発見・解決スキル 現状の業務プロセスから本質的な課題を抽出し、解決策を立案・実行する能力
データ分析・活用スキル データの読み方・解釈の仕方を理解し、データに基づいた意思決定ができる能力
生成AI活用スキル ChatGPTやCopilotなど生成AIツールを業務に適用し、出力を適切に評価・活用する能力

DX推進人材に求められるスキルは、技術そのものよりも「人を動かす力」や「課題を見抜く力」といったビジネススキルが中心です。

これらのスキルは、IT出身でなくても十分に習得できるものばかりです。経営企画や事業企画の経験がある方は、すでにプロジェクトマネジメントやコミュニケーションスキルの土台を持っているケースが多いでしょう。

DX推進人材の技術力を可視化するスキルマップの作り方

DX推進人材の技術力を可視化するスキルマップの作り方
DX推進人材を育成するためには、まず現状のスキルを可視化することが重要です。そこで活用したいのが「スキルマップ」という手法です。

スキルマップの作成手順は、大きく4つのステップに分けられます。

ステップ 内容
Step1 デジタルスキル標準をベースに、自社に必要なスキル項目を定義する
Step2 各スキルの習熟度レベル(例:1~5段階)を設定する
Step3 対象者にスキルの自己評価または上長評価を実施する
Step4 結果を一覧表にまとめ、スキルギャップを可視化する

ポイントは、デジタルスキル標準をそのまま使うのではなく、自社の事業内容に合わせてカスタマイズすることです。また、スキルマップは一度作って終わりではなく、半年に1回程度のペースで見直しを行い、育成の進捗を確認していきましょう。

DX推進人材を社内で育成する5つのステップ

DX推進人材の育成を成功させるためには、計画的なアプローチが欠かせません。「何から始めればよいのか分からない」という課題を抱える企業は少なくありませんが、以下の5つのステップに沿って進めることで、着実に人材育成を実現できます。

ステップ 内容
Step1 自社のDXビジョンと必要な人材像を定義する
Step2 育成対象者を選定しスキルギャップを把握する
Step3 育成プログラムを設計する
Step4 小規模プロジェクトで実践経験を積ませる
Step5  評価・フィードバックで継続的な成長を支援する

ポイントは、人材像の定義を省略しないことです。また、座学で知識を習得するだけでなく実践経験を通じてスキルを定着させることも重要です。小規模なプロジェクトで成功体験を積み重ねながら、段階的にレベルアップを図りましょう。

DX推進人材の育成に成功した企業事例3選

DX推進人材の育成方法は企業によってさまざまですが、成功企業には共通するポイントがあります。ここからは、実際にDX推進人材の育成に成功した3社の取り組みを紹介します。

社内大学でDX推進人材1,500人を育成|ダイキン工業

ダイキン工業は、デジタル化によるビジネス構造の変革に対応するため、社員向けに「ダイキン情報技術大学(DICT)」を開講しました。2023年度末までにデジタル/AIを含むDX推進人材を1,500人育成する目標を掲げ、計画的に人材育成を進めています。

注目すべきは、外部研修に頼らず社内教育機関を設立した点です。継続的にDX人材を輩出できる仕組みを構築することで、長期的な人材確保を実現しています。製造業がDX推進人材育成に本腰を入れた先進事例として参考になるでしょう。

事業プロデューサー制度で営業人材をDX推進人材へ転換|ソフトバンク

ソフトバンクは2017年にDX本部を設立し、約120名をDX人材の候補者として選出しました。「事業プロデューサー制度」を設け、求められる人材像を明確化したうえで育成を進めています。

特筆すべきは、IT専任社員だけでなく、営業・企画の社員もDX推進人材へシフトした点です。OJTとOFF-JTの組み合わせやアセスメント指標による成長の可視化を通じて、効果的な育成サイクルを実現しています。非IT人材をDX推進人材に育成したい企業にとって、参考になる成功モデルといえるでしょう。

参考:Biz/Zine

製造業DXを支える現場起点の人材育成|コマツ

コマツは「DANTOTSU Value(ダントツバリュー)」を中期ビジョンに掲げ、次の100年を見据えたDXの推進に取り組んでいます。

建設・鉱山機械業界におけるデジタル変革を加速させるため、DX教育プログラムやスマートコンストラクション関連人材の育成などを通じて、現場や地域の課題解決に貢献できるDX・AI人材の育成を進めています。

特徴的なのは、現場やお客さまの課題解決を重視し、実務と結びついた実践力のあるDX人材を育成している点です。 建設・鉱山機械など製造業でDX推進を検討している企業にとって、同業種の取り組みとして参考にしやすい事例と言えるでしょう。

参考:NEXT DX LEADER

DX推進人材を確保する主な方法

DX推進人材を確保する主な方法
DX推進人材を確保する方法は、大きく3つに分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の状況に合わせて最適な方法を選択することが重要です。

方法 メリット デメリット
社内スタッフの育成 自社の業務・文化を理解している、長期的なコスト効率が高い 育成に時間がかかる、教育ノウハウが必要
経験者の中途採用 即戦力として活躍できる、外部の知見を取り入れられる 採用競争が激しい、カルチャーフィットの課題がある
外部パートナーの活用 必要なスキルをピンポイントで補完できる、柔軟な契約が可能 ノウハウが社内に蓄積しにくい、コストが高くなる場合がある

重要なのは、単一の方法に頼らず複数の方法を組み合わせることです。たとえば、コア人材は社内育成で確保しつつ、データサイエンティストやセキュリティ専門家など高度な専門性が求められる領域は外部パートナーを活用するといったハイブリッド型が効果的です。

また、中途採用した経験者が社内育成の指導役を担うといった連携も検討してみましょう。自社の予算・時間・人員体制を踏まえて、最適な組み合わせを見つけることがDX推進人材確保の成功につながります。

社内人材の育成に注力したい企業は、ぜひDX研修・人材育成サービスを活用してみてください。自社の課題を元に最適な育成案を提案してもらうことが可能です。製造業・工業DXに精通した講師がサポートするので、プロの知見を得たい企業におすすめです。

DX推進人材の育成でよくある失敗と回避策

DX推進人材の育成に取り組む企業は増えていますが、期待通りの成果が出ないケースも少なくありません。よくある失敗パターンを事前に把握しておきましょう。

よくある失敗 回避策
経営層の理解不足でDX推進人材が孤立する 経営層からの明確なコミットメントと定期的な発信を引き出す
育成が目的化し実務で活躍できない 育成と実践をセットで設計し、学びを即業務に活かす仕組みをつくる
全社的なDXリテラシー向上を後回しにする 推進人材の育成と全社員向けリテラシー研修を並行して実施する

とくに注意すべきは、経営層の理解不足によるDX推進担当者の孤立です。役員クラスと現場の間でDXへの認識にギャップがあると、担当者が一人で課題を抱えてしまいかねません。周囲の協力が得られないまま疲弊し、最悪の場合は離職につながるリスクもあるため、経営層からの継続的なサポートを引き出すことが重要です。

DX推進が失敗する背景についてより詳しく知りたい方は、下の記事も参考にしてみてください。企業の失敗事例や対策も紹介しているので、DX推進の成功率を高められるでしょう。

【2026】DXが失敗に終わる7つの理由と成功に導く7つのコツを徹底解説!

まとめ

DX推進人材とは、デジタル技術を活用して企業の変革を主導する人材です。高度なプログラミング技術よりも、プロジェクトマネジメントやコミュニケーションといった「人を動かす力」が重視されます。

DX推進人材の育成は、会社の成長だけでなく、担当者自身のキャリアアップにもつながります。DX推進の経験を積むことで、「DXが分かる経営企画のプロ」として社内外から頼られる存在になれるでしょう。

まずは自社のDXビジョンと必要な人材像を定義することから始めてみてください。人材像が明確になれば、育成計画の立案や外部パートナーの選定もスムーズに進められます。本記事の内容を参考に、自社に合ったDX推進人材の育成に取り組んでいきましょう。

DX推進人材とは? 必要なスキルや育成方法を解説
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