NECが今年5月に発表した新たなDXブランド「BluStellar」は、従来の受注型のビジネスから、顧客の課題を深く理解し、最適な解決策を提供する、よりコンサルティング型のビジネスへと転換を図るというものです。
この新たなビジネスモデルを実現するために、NECはコンサルティング能力の高い人材の育成に力を入れています。
従来の営業担当者は顧客の要望を聞き、それに応えるという受動的な役割が求められていましたが、BluStellarでは、顧客の潜在的なニーズを的確に捉え、最適な解決策を提案できる高度なスキルが求められるためです。
NECがコンサルティング人材を自社で育成する強みは、自社の技術や製品に対する深い理解と、長年の顧客との信頼関係にあります。
これらの強みを活かし、NECは顧客のビジネスを深く理解し、最適な解決策を提供できる人材を育成することで、顧客のDXを成功に導くことを目指しています。
今回は、コンサルティング人材の特徴や必要なスキル、育成のコツを詳しく解説します。
コンサルティング人材とは
コンサルタント人材は、企業の人材に関する課題解決を支援する専門家です。企業が抱える採用難や組織改革などの問題に対して、客観的な視点から分析を行い、最適な解決策を提案します。
具体的には、以下のような採用活動のサポートやコンサルティングを行います。
- 企業の新規開拓
- 採用要件のヒアリング
- 求人票の作成
- 候補者の選考
- 企業の人事制度の設計
- 社員の育成・評価制度の構築
また、個人に対しては、キャリア相談や転職活動のサポートを行い、求職者のスキルや経験、キャリアプランなどをヒアリングし、求人を紹介したり、面接対策を行ったりします。
コンサルタント人材は企業と求職者の双方を対象に、それぞれのニーズに合わせたサービスを提供します。
彼らの活動は、企業の成長に貢献するだけでなく、個人のキャリア形成を支援し、社会全体の活性化にも繋がるでしょう。
コンサルティング人材の特徴
コンサルティング人材は、単なる職業を超えて、人々の成長をサポートし、社会に貢献できるやりがいのある仕事です。具体的には、以下のような特徴があります。
経営に関する問題を解決できる
コンサルタント人材は、企業にとって最も重要な経営資源である「人」に特化し、その最大限の力を引き出すための支援を行います。
特にマネジメント層との打ち合わせでは、人材に関する課題だけでなく、企業全体の経営戦略や将来展望などのより広範なテーマについて深く掘り下げることが可能です。
人材に関する施策は、企業の業績に直接的な影響を及ぼすため、コンサルタントには大きな責任とプレッシャーが伴います。しかし、自身の提案が企業の成長に貢献し、経営陣から感謝の言葉をかけてもらえたときの達成感は計り知れません。
コンサルタント人材の仕事は、単なる人材紹介にとどまらず、企業の経営戦略に深く関わることで、自身の成長にも繋がる仕事と言えるでしょう。
様々な業界や企業と関われる
コンサルタント人材の仕事は、多種多様な業界や規模の企業と関わる機会に恵まれている点が大きな魅力です。例えば、
全く異なる業種の企業の経営層や担当者と対話する中で、幅広いビジネスモデルや業界トレンドに触れることができるため、他の職業ではなかなか得られない貴重な経験と言えるでしょう。
また、各企業が抱える特有の人事課題や経営戦略に深く関わることで、経営や業界に関する深い知見を身につけることができます。
さらに、多くの人とコミュニケーションを取る中で、自身の考え方や価値観、コンサルタント人材としてのキャリアプランを見つめ直すきっかけにもなるでしょう。
このように、コンサルタント人材は、多様な企業との関わりを通して、専門知識の習得だけでなく、自己成長にも繋がる仕事と言えるのです。
様々な人脈を築くことができる
コンサルタント人材は、多種多様な人々と関わる機会があるため、クライアント企業の経営者や幹部、他の優秀なコンサルタント、特定分野の専門家など、様々なバックグラウンドを持つ人々と仕事をする中で、自然と幅広い人脈が築かれていきます。
多様な価値観や考え方を持つ人々と交流することで、常に新しい刺激を受け、自身の知識やスキルを向上させることができるでしょう。
また、様々な業界の専門家と接することで、視野が広がり、物事を多角的に捉えることができるようになります。
コンサルタント人材が携わる業界は、製造業や医療、サービス業、建設・インフラなど、実に多岐にわたるため、様々な業界の人々と関わることで、世の中の動きを深く理解し、社会全体への貢献を実感できるでしょう。
製造業における優秀な人材を確保するコツについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
コンサルティング人材に必要なスキル
コンサルティング人材になるためには、業務に活かせる知識やスキルを身につけておくことが重要です。以下で、コンサルティング人材に必要なスキルを解説します。
コミュニケーション力
コンサルタントは、多岐にわたる人々と日々接するため、コミュニケーションが苦手だと、仕事を進める上で大きなストレスに繋がってしまうでしょう。
単に言葉をやり取りするだけでなく、相手の言外の意味を読み取ったり、良好な人間関係を築いたりする能力も求められます。
クライアントのニーズを正確に把握し、プロジェクトメンバーと協力して目標達成を目指すためには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。
様々な人とのコミュニケーションを通して、クライアントやプロジェクトメンバーとの信頼関係を構築し、スムーズな業務遂行に繋げることが、コンサルタント人材にとって重要なスキルと言えるでしょう。
ヒアリング力
ヒアリング力とは、企業の人事担当者や経営者、そして求職者など、様々な人々から話を聞き出し、その本質を深く理解する能力を指します。
企業が抱える人材に関する課題は、複雑多岐にわたるため、コンサルタントは、単に相手の話を聞くだけでなく、その背景にある問題点や本当に求めていることを正確に把握する必要があります。
例えば、企業の人事担当者が「優秀な人材がなかなか採用できない」と訴えてきた場合、その言葉の裏には、どのような人材を求めているのか、どのような採用活動を行ってきたのか、といった様々な背景が隠されているかもしれません。
コンサルタント人材は、こうした背景を丁寧に聞き出すことで、企業の真の課題を明確にし、最適な解決策を提案することや求職者との面談では、その人のキャリアプランやスキル、価値観などを丁寧に聞き出すことで、より良いマッチングを実現することができます。
プレゼンテーション力
コンサルタント人材の仕事は、クライアントの課題や悩みを解決するための最適なプランを提案することだけではありません。
いかにその提案を効果的に伝え、クライアントを納得させるか、つまりプレゼンテーション力も非常に重要な要素です。
プランや戦略の筋道を立て、論理的に説明することはもちろん、聞き手に分かりやすく説得力をもって伝える必要があります。
プレゼンテーション力は、単に情報を伝えるだけではなく、クライアントとの信頼関係を築き、最終的な契約へと繋げるための重要なカギとなり、大きく分けて3つの要素から構成されます。
構成力 | 伝えたい内容を整理し、論理的なストーリーとして組み立てていく能力 |
表現力 | 視覚的な資料を作成し、言葉で伝えにくい情報を効果的に表現する能力 |
説得力 | 聞き手の心に響き、行動を促す言葉を選ぶ能力 |
これらの3つの要素をバランス良く備えることで、効果的なプレゼンテーションが可能です。
コンサルタント人材は、日頃から意識的にプレゼンテーション力を磨き、クライアントとの信頼関係を築く努力を怠らないようにすることが重要です。
論理思考力
コンサルタント人材の仕事は、直感や推測ではなく、論理的な思考に基づいて行われます。
クライアント企業に対して、効果的な戦略や企画を提案するためには、綿密な調査と分析を行い、筋の通った論理を構築することが重要です。
論理的な思考はクライアントを説得し、納得させるための強力な武器となります。印象や推測に基づいた提案は説得力に欠け、クライアントからの信頼を得ることはできません。
論理的思考を磨くためには、仮説思考やフレームワーク思考などの思考のツールを積極的に活用することがおすすめです。
仮説思考 | ある現象に対し、なぜそうなるのかという仮説を立て、検証する思考法 |
フレームワーク思考 | 複雑な問題を構造化し、体系的に分析するための思考の枠組み |
これらの思考法を日頃から意識することで、物事を客観的に分析し、論理的な思考を自然と身につけることができるでしょう。
データ分析の経験
コンサルティング業務において、クライアントに最適な戦略や解決策を提案するためには、事前の綿密な分析が欠かせません。
具体的には、業界全体の動向や競合他社の状況を調査し、クライアントが抱える人事に関する課題を多角的に分析します。
また、現場の従業員の声を直接聞き取り、生の声を収集することもあるでしょう。これらの分析を通じて得られた知見に基づき、客観的な視点から課題を洗い出し、仮説を立て、戦略を策定していきます。
もし、過去の経験でデータ分析に携わったことがあるのであれば、その経験はコンサルタント人材としての大きな強みとなります。積極的にアピールすることで、クライアントからの信頼度も高まるでしょう。
営業経験や人事経験
コンサルタント人材は、企業の人材に関する課題を解決し、求職者と企業の最適なマッチングを支援する専門家です。
そのため、営業経験や人事経験はコンサルタント人材として活躍するための重要な基盤となるでしょう。
営業経験があれば、顧客との関係構築や提案力に長け、企業のニーズを的確に捉え、最適な解決策を提供することができ、人事経験があれば、企業の人事制度や課題に対する深い理解があり、より具体的な提案が可能です。
コンサルティング業務においては、組織人事に関する深い知識が重要です。人事制度や採用、研修など、人材に関わるあらゆる領域の知識を有することで、クライアントの多様なニーズに対応することができます。
特に、人材不足に陥る企業のよくある原因やAIを活用した最新の採用手法など、業界のトレンドや課題について常にアンテナを張り、最新の知識を習得しておくことが重要です。
そのため、コンサルタント人材は、組織人事全般に関する深い知識と、常に学び続ける姿勢が求められます。
もし、人材業界が未経験の場合でも、人材育成や採用、人事企画など、人材に関する基礎知識を身につけることで、即戦力として活躍できる可能性が高まります。
製造業のトレンドが得られる製造業向けメディアについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
コンサルティング人材の育成方法
コンサルタントに必要なスキルを一度に完璧に身につけることは現実的ではありません。大切なのは、それぞれのコンサルタントが持つ強みを活かしつつ、不足している部分を補うようなバランスの取れた育成を行うことです。
以下で、コンサルティング人材の育成方法を解説します。
Off-JT
Off-JTとは職場を離れ、体系的な知識やスキルを習得するための研修のことです。実務から離れてじっくりと学習に集中できる環境が提供されるため、コンサルティングに必要な基礎知識を効率的に習得することが可能です。
また、外部講師や専門スタッフによる講義を通じて、体系的なスキルを学ぶことができるのも大きなメリットです。
OJT
OJTは、実際の業務を通してスキルを習得する実践的な研修方法です。コンサルタントの仕事は多岐にわたり、単なる知識の詰め込みだけでは対応できません。
クライアントの課題解決に向けた分析力や問題解決能力、コミュニケーション能力など、幅広いスキルが求められます。これらのスキルは、机上での学習だけでは身につけることが難しく、実際の業務を通じて実践的に学ぶ必要があります。
OJTでは経験豊富な先輩コンサルタントが、新入社員や若手コンサルタントに対して、クライアントとのやり取りや資料作成、プレゼンテーションなど、コンサルティング業務に必要な一連の流れを指導します。
人材育成サービス
人材育成サービスは、企業が社員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体の成長に繋げるための取り組みです。単に知識やスキルを教えるだけでなく、社員が自ら考え、行動し、成長できるような環境を提供します。
ProSkilllのCAD人材育成サービスでは、貴社の業務内容や育成したいCAD人材像を詳しくヒアリングし、最適な教育プログラムを提案いたします。
学習に重きを置く従来の研修とは異なり、貴社が求めるコンサルティング人材育成に焦点を当て、実務に即したカリキュラムを設計します。
日々の業務に追われる中、新しい技術を習得することは容易ではありません。そこで、短期的なプランから中長期的なプランまで、貴社の状況に合わせて柔軟にカリキュラムを構築します。
これにより、貴社に必要な内容を厳選し、効率的な教育を実施することが可能です。また、eラーニングにも対応しているため、時間や場所に縛られず、各自のペースで学習を進めることができるでしょう。
コンサルタント人材育成で企業を成長させよう
今回は、コンサルティング人材の特徴や必要なスキル、育成のコツを詳しく解説しました。コンサルタント人材は、企業の成長と個人のキャリア形成を両立させる、社会貢献度の高い仕事です。
コンサルティングの仕事は、高度な専門知識、論理的思考力、コミュニケーション能力など、多岐にわたる能力が求められます。
これらの能力を短期間で習得することは容易ではありません。しかし、実務経験や個々の特性を踏まえ、効率的な育成プログラムを設計することで、より短期間で高いレベルのコンサルタントを育成することが可能です。
実務経験や個々の特性を考慮しながら、効率的な育成プログラムを設計し、信頼されるコンサルタントを育成することが重要です。
コンサルタントの育成は、一朝一夕にできるものではないため、継続的なサポートと評価を行いながら、着実に成長を促していくことが大切です。
